インタビュー

iOS「デーモントライヴ」インタビュー

自分のペースで楽しむシングルプレイミッションも大幅改善! 各要素を整理しUIもモデルチェンジ

自分のペースで楽しむシングルプレイミッションも大幅改善! 各要素を整理しUIもモデルチェンジ

シングルプレイの「討伐ミッション」は以前のようなランダムな見せ方ではなく、より攻略している手応えを楽しめるよう、チャプター形式になった

――シングルプレイの変化についてですが、どんな方向性で作っているのでしょう?

久井氏:基本的な設計として“あまり壁は設けない”という考えで作っています。そこでストレスを感じてプレイを辞められてしまうのは、こちらとしても残念なので。サクサク進むというゲームデザインにしています。バトルのミッションを進めていく中で、飽きさせないように、間にストーリーも入ってきます。ボリュームにおいては「2.0」時点の内容だけでも1カ月半ぐらいは遊びこめる量を入れていますし、今後も定期的にストーリーを追加していく予定です。

――かなりボリュームがありますね。シングルプレイと対戦や協力といったマルチプレイがそれぞれに充実していくわけですが、遊ぶ側はどんな風にプレイしていくのがいいのでしょう? シングルオンリーやマルチオンリーでも楽しめる? それともバランス良くしないと遊び方としてはまずい?

河井氏:基本はまずシングルプレイでゲームの基本やデーモンの育成をしていくところから始めて頂ければと思います。対戦の世界に踏み込んで頂くタイミングはそれぞれのユーザーさん次第かなと思いますが、協力戦は結構早い段階で触れてもらいたいなと考えています。クランに参加して、一緒に遊ぶという面白さを味わってもらいたいなと思っていて、ゲーム内でも協力戦の参加を促しています。

――なるほど、シングルと協力戦でプレイや育成、一緒に遊ぶ面白さを覚えていってというわけですね。今度は対戦に入っていくというタイミングですが、開発・運営側としては大体どれくらいゲームに慣れたら挑んでもらいたいな、と考えていますか?

河井氏:そうですね、こちらとしてはすぐにでもというか(笑)。同じぐらいの強さの人と対戦できるようにクラス分けなどもしていますから。

岩濱氏:そこに関しては、本当にユーザーさん次第でいいと思っていますね。協力戦は早い段階から挑んでもらいたいという話がありましたが、協力戦に参加するためのBPが10ポイントなのですが、1日のうち2時間だけBP消費が少なくなる時間を作ってあります。なので、その時間に集中してやってもらいたいと考えているんですよね。普段はシングルプレイで育成して、お得な時間がきたら協力戦をやって、という感じです。

 それで、そのサイクルの中のどこかで対戦に入ってくれればいい、というように考えています。これまでは「対戦してみましょう!」っていうクエストが早い段階で出てきたのに、逆にレベルが低いうちは対戦ができなかったりとか……。その促しも制限も「2.0」からは無くしてしまおうと。つまり、対戦は本当にいつでもできるようにしました。すぐに対戦やりたい人はすぐに、あまり気が乗らない人は後回しでいい、と。

 必ず全てのユーザーに最終的に対戦にいってもらいたい、というわけではない。ただ、面白さもそこにもあるので、トレーニングモードなども用意しました。ちょっとずつでも興味を持ってもらえたらいいな、と思います。

――どっちにいても、居続けても問題はないように作っているということですね?

岩濱氏:はい。楽しくバトルを遊んで欲しいし、「デーモントライヴ」のウリはあのバトルそのものだと思うんです。ただ、これまでは対戦を推しすぎていたのかなと思うんです。1人で遊んでも面白いし、協力というスタイルでもバトルの魅力は楽しめる。「2.0」ではそういう方向に打ち出しています。

河井氏:最もプリミティブな遊びは“デーモンを集める、育てる、戦う”というゲームですから。その場所がマルチであったりシングルであったり。対戦もあるよというゲームですので。どれを遊んで頂いても、その“デーモンで戦う”という魅力は変わらず味わえると思いますね。

――自分を強くするための報酬という面ではどうでしょうか。シングルよりもマルチプレイの方が報酬が大きいゲームというのは多いですが、そのあたりは「2.0」以降ではどうなるのでしょう?

河井氏:どのモードを楽しんでも、それほどデーモンを育成するという面に影響はないです。クランでの協力戦では、クランランキングがあったり、協力戦をクリアすることでクラン全体に嬉しいボーナスが付いたりといったものですね。シングルプレイのミッションの方は、自分自身のアジトなどを大きくしていくという要素ですね。いろんなモードごとにアップしていくものを分けているので、どれをやりこむのが有利、というようにはならないと思います。ただ、どういう方向に強くしていくのか細かな効率を見ていくと、重視するモードというのは出てくるかもしれません。

岩濱氏:シングルプレイはあくまで1人でのプレイに関するものとして、組織レベルを上げられるのはシングルプレイのミッションだけにしています。マルチプレイの対戦やクラン協力戦では、ランキング順位を競うというものですね。育成においてほとんどはシングルプレイが基本です。

――今回はかなりシングルプレイのウェイトが上がったように感じられます。従来のゲームのバージョンアップとはそれは逆の流れに見えますね。対戦への誘導を少し控えめにしたので、まずはシングルプレイで楽しんで……という方向に感じられます。

河井氏:これまでは、いろんなモードがごちゃっと入っていて、プレーヤーさんから見ると「何を遊んだらいいの?」というのがわかりづらくなっていたかな、と思ったんですね。それをもっとわかりやすく整理したというイメージです。何か要素をさらにたくさん増やしたというよりは、以前のバージョンにあった要素を整理したという感じですね。

新エージェント「アラジン」が登場! シングルプレイでは、基本無料のゲームながら重厚なストーリーと世界観が楽しめるのも本作の大きな魅力。「2.0」ではその魅力をよりわかりやすく、楽しみやすく強化された
インターフェイスも多くが変更された。画像の出撃メニューも、シングルプレイの「討伐ミッション」が大きく、次いで「クラン協力戦」や「対戦」が並べられていて、何から遊んでいけばいいのかがわかりやすくなっている
世界観を重視した結果として控えめになっていた演出や表現も、良い意味でベタにわかりやすく、派手になっている

――整理したというのは、インターフェイスがかなり変わったところにも感じられますね。インターフェイスの改善はどんな意図や方向性で行なわれたのでしょうか?

河井氏:インターフェイスは、以前のものを遊んでみた感想としては「渋いな……」という感じで(笑)。整理するのと同時に“わかりやすくしたい”というのが大きくて、例えば最上位レアのデーモンにしても表示がおとなしめだったりで、それは世界観とかを大事にしたデザインだったと。でも、僕としては「1番いいんだからパッと見も豪華じゃないと」って思うんですよね。その辺りから渋いなっていう感想が出てきたんですよ。ですので、世界観を壊さない程度に、ユーザーさんにわかりやすくするためのベタさがあったほうがいいな、と思って変えていますね。

久井氏:出撃メニュー内のインターフェイスもガラッと変えていますが、まずはシングルプレイのミッションでゲームに慣れて頂くという事で、ボタンも大きくドンッと置いていますね。そこで自分やデーモンの強化をどんどんやってもらって。その後にクラン協力戦へ、その先に最終的には対戦をやってもらいたいので、対戦のボタンがあるという並びになっています。以前のバージョンではどのモードも同じように並んでいたのでわかりづらかったと考えまして、これから遊んでみてねという順に大きさを変えていますね。

河井氏:そのモードを選ぶボタンの大きさも、今後の動向を見て変えていくかもしれないですけど(笑)。

――そこは使い勝手に対するユーザーさんの声を聞いての事ですね?

岩濱氏:逆に言えば、これまでの動向を見て「2.0」ではそういうインターフェイスに変わったというところがありますね。ユーザーさんへのアンケートや、どんな風にプレイしているのかを見てきたのですが、嬉しい誤算としてはたくさんのユーザーさんがプレイしてくれたんです。

 でも、多くの人が対戦をしたか、というとそうではなかった。「じゃあどんなプレイをしたがっているのかな?」というと、実はシングルプレイをマイペースに遊ぶ事を求めている人が多かった。そこから、シングルプレイや協力プレイを厚くして、遊び方も以前より明確にしていますね。

――アンケート等で意見や要望をヒアリングされたということですが、ユーザーさんからの声の中で、これは想定内、これは想定外というものがあったと思います。その中で「これは面白いな」とか、「これは痛いところを突かれたな」とか、印象的なものはありましたか?

岩濱氏:そうですね。今の話のところでもありますが、“対戦に積極的ではない人が私たちが思っていたよりも多かった”ところですね。対戦が面白いゲームとしてがっつり作り込んだゲームだったのですが、サービス開始当初、対戦ができるようになるのがレベル6からだったんですけど、そのあたりでプレイを辞める人が出ていたんですよね。それがデータを見るとわかってきて、そこが今回の「2.0」に大きく影響しているのは間違いないですね。

河井氏:逆に対戦したくて遊び始めた人からしても、対戦のできるようになるレベル6までは普通のペースで行くと1日では行けなかったので……。対戦に行き着くまでに面倒くさくなってしまって、プレイを辞めてしまうというケースもあったのかなと。今回はそこの制限も取り払ってますから、どういうニーズのユーザーさんでもやりたい事がすぐやれるようにしていますね。

――そうしたところからバージョン「2.0」をこうしようという構想が生まれてきたと思うのですが、いつ頃ぐらいから「2.0」の制作は進んできたのでしょう?

岩濱氏:それはある意味では最初からで、オンラインゲームである以上はアップデートは最初から計算に入れていたんですね。大型アップデートは半年に1回はやっていきたいと思っていたので……。ただ、内容や方向性について話をし始めたのは4月の頭ぐらいからでした。

 「デーモントライヴ」のサービスが2月28日からスタートして、3月はたくさんの人が遊んでくれて。ところが3月の末ぐらいになるとちょっと様子が変わってきて。先ほどもあった対戦のあたりですよね。対戦にすんなり入ってくれた人は遊んでくれているものの、そのあたりで辞めている人もいるようだと。それを受けて、「大型アップデートでは、対戦が目当て以外の人にも楽しめるようにしなくてはいけない」と話し始めましたね。ゴールデンウィークあたりまで企画を詰めて、そこからずっと作ってきました。ちなみにこれが終わったら、すぐその次のアップデートの話に入りますよ。

――元々予定していたとは言え、ユーザー動向にかなりスピーディーに対応して動き始めたという印象がありますね。かなり豪華な作りをしているぶん、アップデートも大変なのではと思います。

岩濱氏:リッチな作りをしているというか。なかなかこんな風に作らせてもらえないですよね。カードゲームであれば1枚のカードを追加するのはそこまで大変じゃないですよね。イラストレーターの方10人に1枚ずつ描いてもらえれば、それで10枚のカードができあがる。でも、「デーモントライヴ」で1体デーモンを追加しようとすると、3Dモデリングで、ボーンがあって、モーションもあってと、相当に労力がかかるんですよね。

河井氏:単純に利益だけを考えていたら、こういう(リッチな)作りは避けるほうがいいかもしれませんね。だからこそ、こういうタイトルを開発、運営できているのはセガネットワークスならではといえると思っています。使っているエンジンにも開発チームとしては自信を持っていますが、まだそれを活かし切れていなかったというか、本当に面白いところを触ってもらうまでで上手くいかなかったところがあるので、今後はもっとストレートにわかりやすく伝えていこうと思います。

久井氏:こういうリッチなタイトルは、弊社としてのテーマというか。「デーモントライヴ」だけでなく他のタイトルもチャレンジングにやっていますね。

河井氏:スマートフォン向けでこれだけの規模のものを作るというのは、もちろん大変ですが、そこはなかなかできない経験です。そういうやりがいみたいなのはスタッフ全員が意識しているところですね。

――全部が家庭用ゲーム機にも見劣りしないぐらいに本格的な作りになっていて、この方向でどこまでスマートフォン向けで突き抜けていけるのか、すごいなぁと端から見ていても思うのですが?

河井氏:そうですね、正直に言うと「これってちょっと盛り込みすぎだなぁ」と僕も思っているので(笑)。ただ、それを何も考えずに削っていくというのはしたくないので。まず要素を整理してわかりやすくして。対戦をやりこんだ先で他のプレーヤーさんと差を付けられるような、そういう領域の要素も入っていたりしますので。そういうのをプレーヤーさんに提示していく順番というのをしっかりしていこうかなと思いますね。

――初期からやりこんでいるプレーヤーさんと、これから新規で入っていくプレーヤーさんとの間にある差というのが、どうしても出てくるでしょうし、その両方に満足してもらわないといけない。そのあたりはどのようにしていこうというのはありますか?

河井氏:そのあたりはリアルタイムのガチ対戦という要素があるこのタイトルに関しては、逆にアドバンテージがあるなと思っていて。他のソーシャルゲームでは超コアユーザーという人達がいると思うのですが、カードをいっぱい持っていてMAXまで育成も終えていて、イベントもいち早くクリアするようなユーザーさんですね。基本的にそれはシングルプレイの延長で終わってしまうと思うのですが、「デーモントライヴ」では更なる高みとして、そこにリアルタイム対戦があって、ランキングもありますので、マルチプレイの遊びを堪能できるというプラスがあります。もちろん、ソーシャルゲームのようなカードコレクションや育成もありますので。新規の人など広いところを押さえつつ、コアな人にも満足してもらえる土壌も用意していけると思います。

――ライトな人、ヘビーな人というところで、プレーヤーさんの1日あたりのプレイ頻度というのは、どれぐらいを想定していますか?

久井氏:ちょっとコア寄りな人で考えると、シングルプレイをやるのであれば、1ミッション3チャプターという構成になっていて、1チャプターあたりに3BPかかるので、一気にプレイして9BP消費すると1度PPが回復するまで休憩するという感じで。1日に3ミッションクリアできるかなというところですね。あとはクラン協力戦がお得にできる時間に参戦してというようにマルチも、という感じですね。

岩濱氏:レベルデザインとしては、おおまかに3タイプぐらいを想定していて。カジュアルに1日1プレイの人から、コアでがっつり遊んでくれる人までを考えて、どのタイプの遊び方でもゲームが破綻しないようにと計算しています。コアな人であれば1日に7回や8回ログインしてもらって遊ぶぐらいの頻繁でも、十分に楽しんでもらえるように考えていますね。

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(山村智美)