「モンスターハンター フロンティア オンライン シーズン10」インタビュー
HR1から使える新アクションなどの見所を杉浦氏に聞く

1月26日 アップデート実施予定

 

 株式会社カプコンは、Xbox 360/Windows用オンラインハンティングアクション「モンスターハンター フロンティア オンライン」(MHF)の大型アップデート「シーズン10 “新たなる技の境地”」を1月26日に実施する。

 「シーズン10」の節目を迎えた本作は、サブタイトルにモンスターの名前がないことからわかるように、アップデートでは恒例の新モンスターが登場しない。その代わり、ハンターランク(HR)1から使用可能な新アクションの追加、特異個体モンスターの追加、新フィールド「新大闘技場」、「狩猟技クエスト」など、従来とはまた違った新要素が多く見られる。

 今回はその雰囲気を変えたアップデートの内容を中心に、カプコン東京制作部 運営室長兼「MHF」運営プロデューサーの杉浦一徳氏にお話を伺った。



■ 「定番に甘んじたくはなかった」新モンスター抜きの挑戦的アップデート

東京制作部 運営室長兼「MHF」運営プロデューサーの杉浦一徳氏
モンスターが描かれず、ハンターをズラリと並べたメインビジュアル

――初めてサブタイトルとアップデートの内容を見たときに、今までとは方向性が違うと思いました。まずは、このサブタイトルも含めた今回のアップデート全体の狙いについてお聞かせください。

杉浦氏: このサブタイトルを発表した時、お客様からも興味を持っていただけました。これまで通り新モンスターを登場させるスタンダードな案もあったのですが、「シーズン10」という節目を締める意味で、いつもと違うアップデートだということをお客様に伝えたかったのです。また開発・運営が3年も経つと、チーム内も保守的になってしまいます。そこで、お客様にはいい意味での刺激を味わっていただきつつ、チームとしても前に進みたかったのです。

 ただし、方針転換ではありません。今回の評判がよかったからと言って、次回も新モンスターは入れない、ということにはなりません。今回のアップデートがイレギュラーなことは自覚しています。今後も定番は定番で大事にしたいと思っていますが、定番だけに甘んじたくはなかった、と受け止めてもらえれば幸いです。

――メインビジュアルも雰囲気が変わりましたね。

杉浦氏: 新モンスターが出ないので、メインビジュアルをどう差別化するのかも悩みどころでした。新登場の特異個体を並べる案もありましたが、「いままでの『MHF』とは変わった」と思っていただくには、こちらの方がインパクトがあると思います。お客様にも「今回のポスターは特に欲しいと思った」と言っていただけたりと、今までとは違った反応をいただいています。これはかなり成功した事例だと思います。



■ 「MHF」の狩猟が変わる! HR1からの追加アクション

HR1から使用できる追加アクション。こちらはガンランスの「連撃砲」
こちらはランスの追加アクション「ふんばり上段突き」。この他武器11種分のアクションが追加される
SR100からの新スタイル「嵐ノ型」も登場。「太刀」の新スタイルはかなり派手なアクションだ

――サブタイトルに「新たなる技」とある、HR1から使える追加アクションについてお聞かせください。

杉浦氏: 以前のアップデートでHR500、スキルランク(SR)1から使える「天ノ型」という新スタイルを追加しました。これも言わば追加アクションですが、これは既存の上位向けのお客様に喜んでいただけるように追加したものでした。しかし今回は、できる限り大多数のお客様に、今までとは違う刺激を与えたかったのです。そこで思い切ってHR1から投入することにしました。

――見所はどこですか?

杉浦氏: 「MHF」はアクション要素の強いゲームです。追加アクションを入れるということは、簡単に言えば「モンスターの狩り方が変わる」ことです。文章ではなかなか伝わりづらいのですが、実際に触れれば感じていただけると思います。これは「MHF」の根底に関わる大きな変化だと言えます。

――アクションでは、「天ノ型」に加えて、「嵐(らん)ノ型」という新スタイルの追加もありますね。

杉浦氏: HR1の追加アクションだけでは、既存のお客様の目標がなくなってしまいます。ですので、追加アクションと合わせて、この新スタイル「嵐ノ型」も武器11種分を揃えて投入しました。

 今ある「天ノ型」は、HR500、スキルランク(SR)1から使用できます。「嵐ノ型」は、SR100から使えるようになります。SR300で秘伝防具が獲得できますが、データを見ているとSRの動きが少なく、まだまだSRに魅力が足りないと感じていました。そこで「嵐ノ型」はSR100に設定して、SR1になってからの目標になるようにしました。

――SR100になれば「嵐ノ型」を無条件で使用できますか?

杉浦氏:「嵐ノ型」には、武器種ごとに「モンスターを狩る」などのお題があります。ただ、それほど難しいものではありません。イメージとしては、「ラスタ」の武器解放に近いですね。

――どのようなアクションになるのでしょうか?

杉浦氏:「天ノ型」とは全く別物として作成しました。ムービーを見ていただければ、「天ノ型」を使っていただいているお客様には全く違ったものだということがおわかりいただけると思います。例えば私がよく使う大剣は、「天ノ型」では溜め攻撃をなくしてしまったので、お客様から「寂しい」という意見もいただきました。「嵐ノ型」には、切り上げ式の溜め攻撃が入っていて、これがかなり面白いです。ぜひ試してみてください。



■ 動きが違う「特異個体」が大量追加。HR500未満でも狩猟が可能に

特異個体のうちの2体、「ラージャン」と「デュラガウア」。HR500以下でも狩れるようになる

――大量に追加されるという特異個体について教えてください。

杉浦氏: 今までは、特異個体はHR500以上の方にしか狩れませんでした。新モンスターがいない「シーズン10」では、HRの低いお客様にも特異個体に挑んでいただけるようにしました。新たな特異個体はほぼ毎週、配信クエストで1体ずつ公開します。「シーズン9.0」以上の数を追加しますので、こちらもウリになると考えています。

 合わせて今回、「MHF」になってから入った新スキルを中心にした装飾品を追加します。この装飾品は特異個体の報酬から作れます。装飾品が欲しいという方は、ぜひこの特異個体を狩っていただきたいと思います。こちらもウリのひとつですね。

――手元の資料ではHR100から装飾品が追加されるとありますが。

杉浦氏: すべての特異個体はHR100未満の低いHRでも登場しますが、この装飾品は、全てG装飾品です。キーとなる素材は低いHRのクエストで得られますが、HR100以上のクエストで得られる素材も必要になるので、G装飾品を生産できるのはHR100以降です。



■ 仲間と狩りながら腕を競う対戦システム「狩猟技クエスト」

「新大闘技場」には「ガノトトス」も登場する

――新フィールドの「新大闘技場」の見所はどの辺りでしょうか?

杉浦氏: 大きな要素としては、闘技場の中に水辺があります。例えば、プロモーションムービーには「ガノトトス」が出ているように、これまで闘技場には出せなかったモンスターが出せるようになります。またバリスタのような仕掛けを用意していて、そのギミックをどう使うかというのも楽しみのひとつとして考えています。

 「シーズン10」で力を入れたのは、手の込んだ過去にない形式のゲーム内イベントをたくさん開催することです。イベントがメインと言うと語弊がありますが、イベントによって相当面白くなるフィールドだと思います。

――どんな新しいことができるのでしょうか?

杉浦氏: やはりギミックですね。先ほど話に出たバリスタは、これまでは戦闘街で古龍に対して使う程度でしたが、ここでは通常のモンスターにどんどん使っていただけるようになっています。

――新しい対戦クエストとなる「狩猟技クエスト」について教えてください。

杉浦氏: 「狩猟技クエスト」は、クエストの貢献度の高さを仲間内で競い合うものです。「MHF」は基本的には武器と防具を作るゲームです。上により強力な武器がある間はそれを目指せばいいのですが、1番強いと言われている剛種武器や、強化段階がかなり進んだ進化武器を手に入れた後、この自慢の逸品を結局どこで使うのかというのが課題でした。それらを発揮する場の1つとして用意したのが、この「狩猟技クエスト」です。

――どのフィールドで遊べるのでしょうか?

杉浦氏: 「新大闘技場」を含め、色々なフィールドで対戦できます。

――貢献度の高さとは?

杉浦氏: 数式は明かせませんが、貢献度合いに応じて順位を競います。我々としては、それぞれの自慢の逸品を持ち寄って、ベストを尽くして競い合えるコンテンツが作りたかったのです。「VS.クエスト」も同じ思いで作っています。優劣はつきますが、あくまで猟団員やフレンドと肩の力を抜いて仲良く楽しんでください。



■ アイルーが作るランダム性能武器「剛猫武器」が登場

武器工房に新顔となるアイルーの師弟が登場。「剛猫武器」を生産してくれる

――武器では、「剛猫武器(ごうにゃぶき)」の追加があります。プロモーションムービーでもアイルーが武器を叩いていましたが、これはどんなものなのでしょうか?

杉浦氏: 武器のパラメーターがランダムで決まる武器生産システムです。性能がいまひとつな武器もできれば、素晴らしい性能の武器もできる、運要素の高いものです。必要素材も少なく生産のハードルは低いですが、性能のいいものは何度も試さなくてはならず、簡単には完成しないと思います。本当に素晴らしいものができたらかなり自慢できますよ。

――ハンター関連ではボイスの追加もありますね。

杉浦氏: こちらは以前からお客様からご要望をいただいていたもので、今回追加しました。「イメチェンサービス」の1つとして提供します。ここではインナーとフェイスタイプは追加していますが、ボイスの追加は今回が初めてです。「MHF」はセリフは言わず、かなりコンパクトなボイスだけなのですが、計8人の声優さんがいい声色で雰囲気を出してくれて本当に満足しています。ちなみに田中理恵さんは「ガールズフロンティア」に出演していただいていて、Xbox 360版を遊んでいただきましたし、ご本人からもやりたいと言っていただけたので今回ぜひにとお願いしました。

――その他追加されたものはありますか?

杉浦氏: リファインとして、武具工房に武器検索機能が付きました。素材などの条件によって検索できる機能です。手に入れた素材からどのような武器ができるか検索する、といったことも可能です。



■ Xbox 360でダウンロード版を提供。ディスクレスで起動が手軽に

「シーズン10」Xbox 360版のパッケージ

――Xbox 360版ですが、ダウンロード版の提供は予定されているのでしょうか?

杉浦氏: はい、実施する予定です。Xbox 360版を遊んでいただいているお客様を対象に、我々からXbox 360版「MHF」のダウンロード版のご利用コードをお送りします。これを入力すると、ゲームプログラムをダウンロードできます。こちらをアップデート当日の1月26日にお配りしたいと思っています。

 現状では、Xbox 360版はディスクチェックが必要で、本体にゲームディスクを入れておく必要がありました。しかしダウンロード版を利用していただくことでディスクレスの起動が可能になります。アップデートが必要になるので、その分はお手数をおかけすることになりますが、より気軽に「MHF」をプレイできると思います。



■ 「シーズン 9.0」で登場した「Nコース」の実装意図は?

――前回のインタビューから、「アシストコース」、「パローネコース」、「Nコース」の3種類のコースが新たに入りました。このうち、「パローネコース」の販売自粛についてコメントがあればお聞かせください。

杉浦氏: 当時告知いたしましたように、「パローネ=キャラバン」の「★ランククエスト」で本来入手できないアイテムが入手できてしまう、という不具合が発生しました。そのため、「パローネ=キャラバン」での不具合がある状態のまま「パローネコース」を販売すべきではないと判断して、一時自粛しておりました。不具合が発生した件は、一部のお客様には「課金の不具合だけは早めに直す」と怒られましたが、お金を別途いただいてる不具合ほど、逆に厳粛に受け止めなくてはいけないと思っています。ですから優先度を上げて素早く対応したという側面はあります。ただこれは他の優先度を下げているということではありません。

 今回も、不具合が起きた瞬間に事態を重く見て、状況を整理した上で即中止にしました。不具合そのものは全員に起きているわけではなかったですし、その不具合が起きたからといってバランスが崩れるようなものでもありませんでした。しかし、売り物は完璧な状態でお出しするものだと思っていますので、トラブルを厳粛に受け止めて、修正してから再スタートしました。本来、販売物は厳密にチェックして、ミスがゼロでなくてはならないので、ご迷惑をおかけしましたし、あの処置は当然だったと思っています。

――「Nコース」は料金が高いという声があると思います。改めて導入した意図を教えてください。

杉浦氏: 「Nコース」は、多くのお客様にたくさん利用していただくためというよりは、Windows版とXbox 360版の「MHF」に実装されている武器や防具をなるべくイコールにするためという意味合いが強いのです。ネットカフェ限定の装備は相当な量が実装されていますし、これからも少しずつ追加されていきます。Xbox 360版ではそれらを入手する手段が全くないので、その補填をしたかったのです。

 ただ、これがネットカフェでプレイする場合は、当然自宅とお店の往復の交通費もかかりますから、意図的にネットカフェよりも料金を高めに設定しています。そうしないと、ネットカフェを利用しているお客様は、「せっかくネットカフェまで来ているのに」と心証を悪くされてしまいます。まずは、ネットカフェ限定武器がXbox 360版でも手に入るようにしたかったというのが、導入の発端です。ネットカフェでのサービスと「Nコース」というサービスをイコールにするのではなく、Windows版とXbox 360版の「MHF」に実装されている武器・防具をなるべくイコールにする、という考えで現在は調整しています。

――セキュリティ問題が最近話題になっていますが、「MHF」はいかがでしょうか? またその対策は?

杉浦氏: 全く起きていないですね。ハッキングに関しては1年に1回あるかないかです。こういった問題の根幹には必ずリアルマネートレードがあるので、それができないゲームデザインにすることで、対策としています。この部分の治安のよさも「MHF」のウリです。



■ 「MHF」は終わりません――今年も1季節1アップデート

ガイド娘「エフィー」が同梱された「MHF シーズン10 プレミアムパッケージ」

――「シーズン10」のパッケージは、今回も通常版の「MHF シーズン10 プレミアムパッケージ」と、「MHF シーズン10 プレミアムパッケージ コレクターズエディション」の2種類ですね。

杉浦氏: 「コレクターズエディション」に同梱するガイド娘のフィギュアは、5体全部出るまで続けるので、順調に行けば今年の秋のアップデートで揃います。また、生産量もかなり調整して、限定版が品薄で悔しい思いをしたお客様も無理なく買えるようにしました。過去に発売されたものも再生産をかけていますので、こちらも普通に買えるようになると思います。

――品薄と言えば、「アニバーサリー2010プレミアムパッケージ」の再販のめどはいかがでしょうか?

杉浦氏: 2月あたりから順次出荷されると思います。また4周年の「アニバーサリー2011」のパッケージも、まだ内容は明かせませんが、「こんな内容は想像していなかった」と皆様が驚くものを鋭意制作中です。こちらの公開は3月か4月になると思います。

――オンライン、オフラインを含めイベントの予定があれば教えてください。

杉浦氏: オフラインイベントは、ネットカフェで行なう「VS.クエスト チャンピオントーナメント」を引き続きやらせていただきます。これまでは1アップデートごとにだいたい4会場を回っていて、最終的には47都道府県全部回ることが目標です。既に20県以上回っているので、あと2~3年以内に回れると思います。せっかく日本中から繋げられるゲームなのに、大都市だけのイベントにするのはもったいないので、なるべくたくさんの地域へご挨拶させていただく方針でこれからも続けていきたいと思っています。お客様と直に接することを忘れずにやりたいですね。

 ゲーム内イベントの方は、毎月何かしらの形でいくつか行なっていきます。他のオンラインゲームと比べても、「MHF」のイベント数は多い方だと思いますし、アンケート結果を見ても、お客様には満足していただいています。オンラインでもオフラインでもイベントを充実させることがサービスの向上であるという、カプコンの姿勢を見せていきたいと思います。

――今後のアップデート方針を教えてください。

杉浦氏: 2011年も、2010年と似たようなペースになるのは間違いないと思います。先日、HR100ごとに受け取れる高性能のピアスなど用意して、「近いうちに『MHF』は終わるのではないか」、「カプコンは自棄になっているのでは?」などとご心配をおかけしてしまったようですが、全然そんなことはありません(笑)。1季節1アップデートしたいと思っています。これからも積極的に展開していきますので、ご期待ください。

――それでは最後に、プレーヤーへのメッセージをお願いします。

杉浦氏: 「シーズン10」では、新モンスターが入りません。ただ、新モンスターの代わりにご用意した「シーズン9.0」以上の数になる特異個体や、HR1から使える追加アクションが武器11種分、新スタイル「嵐ノ型」も武器11種分、「新大闘技場」、「狩猟技クエスト」と、これだけでも「9.0」以上のコンテンツは揃えたつもりです。実際にそれが納得できるものなのかどうかは、ゲームの中でご確認いただき、その感想もいただけたら嬉しいです。特に追加アクションは、無料でご利用いただける「トライアルコース」でも確認できますので、1月26日にはぜひログインして体験してみてください。自信を持ってお届けできるアップデートです。よろしくお願いします。

――ありがとうございました。



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(2011年 1月 21日)

[Reported by 安田俊亮]