インタビュー
【特別企画】「Crazy Case BATMOBILE TUMBLER」企画担当K氏インタビュー
「大人が持ち歩けるフィギュア」を目指した世にも不思議なiPhoneケース
(2013/11/22 11:00)
バンダイが11月22日よりプレミアムバンダイにて受注を開始しているiPhone5専用ケース「Crazy Case BATMOBILE TUMBLER」。今回、受注開始に当たり、企画を担当したバンダイボーイズトイ事業部企画チームのK氏にインタビューを行なった。
「Crazy Case BATMOBILE TUMBLER」はクリストファー・ノーランが監督を務めたバットマン映画3部作「ダークナイト トリロジー」で登場したバットモービルを劇中の雰囲気そのままにiPhoneケースにした商品。底面にiPhoneを装着するが、伏せた姿はバットモービルのミニカーにしか見えない。さらにライトが光るなどのギミックを搭載、ユニークな作品となっている。
この「Crazy Case BATMOBILE TUMBLER」はどういった想いから生まれたか、開発者こだわりのポイントはどこか、今後の展開など気になる部分を聞いた。なおK氏は他にも様々な商品を手がけており、1つの作品の担当者としてイメージを固定したくないとのことで、本名と顔は秘密にしておきたいとのことだ。
ポケットにも入るし、通話する姿もキマル。実用性も重視した“男の憧れ”
――まず、この「Crazy Case」の企画が生まれた経緯を教えてください。
K氏: コンセプトは「大人が持ち歩けるフィギュア」です。私はフィギュアやミニカーなども好きで、家に飾るのではなく、持ち歩いて楽しめるものを作れないか、というのがスタートでした。そこでスマートフォンのケースがいいなと。スマートフォンのケースは様々なものがありますが、男が見て憧れるケースというものがあるかな、というのを考えました。バンダイならばもっと格好良く、精度が高いものが作れるのではないかと。
――なぜ「バットモービル」という題材を選んだのでしょうか。バンダイはキャラクター版権をたくさん持っていますが、アメコミ映画のビークルにしたのはどうしてですか?
K氏: 手に持っていてカッコイイキャラクターというのを考えたのです。そして“テーブルに置いておく姿”が様になるキャラクターは何だろうと。置いた姿が様になる、というのを考えた場合、形状からいって「ミニカー」だろうと考え、カッコイイミニカーのキャラクターは? というところからバットモービルになったんです。
男が憧れるビークルと言えば、映画「ダークナイト・トリロジー」のバットモービルだろうと思ったんですよ。個人的にもバットマンが好きでしてやはりカッコイイビークル、というところ、もっていてお気に入りのアイテム、というところでバットモービルにしました。ランボルギーニー的なシルエットと、装甲車的な無骨さを持つ、持っていてカッコイイアイテムとして、これかなと思いましたね。
企画に関しては、日本のワーナーエンターテイメント・ジャパンに話を持って行って、色々協力していただきました。12月に開催する「DCコミックス&ワーナーヒーローズ!フェスティバル2013」にも出展させていただきます。
――今回ケース製作に当たり、最もこだわった部分はどこですか?
K氏: “形”です。実は今回の「Crazy Case BATMOBILE TUMBLER」は、バットモービルをそのまま精密に再現しているのではなく、携帯電話のケースとして持ちやすいようにデフォルメを加えています。見た目の格好良さを最優先しつつも、実用性も考えています。
そして“ギミック”ですね。我々はおもちゃメーカーです。だからこそ、おもちゃとしてのギミックは盛り込みたかった。今回で言えば発光ギミックと、後部のバットシグナルの発光部分、さらにスイッチを操作するための前輪のスライドですね。ただの形を再現したフィギュアとしての方向性だけでなく、おもちゃとして楽しめるギミックを盛り込むところにもこだわりました。
――デフォルメというのは、どういった所なのでしょうか? そしてデフォルメの形を決めるには、やはり何個も試作品を作って検討したのでしょうか?
K氏: まずコンピューター上で設計を行ない、3Dプリンターで試作品を出力します。出力されたものを見て「こんなにハマるのか」と驚いた部分もありましたね。バットモービルとしての格好良さをきちんと再現できていると思いました。試作品を手に持ってみたとき、想像以上にハマるというのが実感できました。こう、テーブルに置いてみると、“イケてる”んですよね。そこからアイディアがさらに沸いてきたりしました。
例えばなんですが、劇中のバットモービルはもっと車高が高いのですが、「Crazy Case BATMOBILE TUMBLER」はより平たくなっています。これは、ポケットに入る薄さを意識したのです。バットモービルのフィギュアとしての再現度と、実用性の厚みは相当こだわっていて、このケースの厚みは3.8cmなのですが、ちゃんとズボンの後ろポケットに入るんです。持ち歩きできる大きさにはこだわっています。
形状も車体後部は後ろが盛り上がっていたり、出っ張っている部分が多いのを、ポケットで引っかからないようにデフォルメしています。バットモービルはウィングがついているのですが、それは車体にくっついている形になっていますね。後部車輪は左右2本ずつで大きいのですが、ここはスマホのケースらしいデザインになっています。また、車体前面にももう少し膨らんでいるのですが、ここもアレンジを加えています。
随所にアレンジを加えており、例えば資料と比べると違いがわかるのですが、ぱっと見たときバットモービルであるということと、アレンジがそれほど気にならないというデザインにはなっています。使ってみるとアレンジが実用性を意識したものであることをわかってもらえると思います。
――こうやって伏せて置いておくと走らせたくなってきます。コロ走行(転がし走行)のギミックをあえて入れなかったのはどうしてですか?
K氏: やろうかなとも考えたのですが、角度のあるところに置いたとき走ってしまってスマホが落ちてしまう、という懸念がありました。また回転する車輪を考えると、特に後ろが今あるものより大きくなってしまう。タイヤを動かさず、小さな回転機構を仕込む、ということも考えたのですが、それも違うなと。こういった所を考え、コロ走行はできないようにしました。