インタビュー

3DS「さよなら 海腹川背」クリエイターインタビュー

コスチュームを増やしていく過程でキャラクターも追加

コスチュームを増やしていく過程でキャラクターも追加。新キャラクターの追加能力でより遊びやすくなった

ノースリーブの新コスチュームにより開放的になった、主人公の川背さん

主人公の海腹川背さんは、「海腹川背・旬」のときの19歳から今作では20歳になって、バストがより大きくなったのではないかと一部で話題になっているようですが、この年齢に設定した理由や意味がありましたらお願いします。

近藤氏:自分は1ミリも大きくしたつもりはないんですけれど「おっきい!おっきい!」って言われて……(笑)。多分あれは描き方の問題というか、前はシャツで隠れていたのが今回は大胆になったというか、ノースリーブの夏用パーカーとかにしているので、いわゆる隠れ巨乳的なものではないですが、コスチューム的に大きく見えるということだと思います。

年齢が上がっていることについては、いかがですか?

近藤氏:そのへんは若干酒井さんと意見が分かれていたり……酒井さんは19歳のままがいいという意見なんですよね?

酒井氏:いや、別にそこはおまかせしていたので。

近藤氏:今までは移植が多かったじゃないですか。移植という意味では年齢は一緒なんだろうなというのがあるんですが、自分的には新作という意味で、年齢を1歳あげたというのはあります。

川背さんのほかに、9歳のころの川背さんである川背ちゃん、友人の江美子ちゃん、横山埜鼓(通称ノッコ)さんなどの新キャラクターが追加されていますが、彼女たちの特徴についてお話ください。

近藤氏:見た目的なところでいいますと、若干冒険もあるんですけれども、元々の「海腹川背」の場合って、ロリ巨乳キャラと言われていて、1人のキャラクターの中にロリも巨乳も詰まっているような感じのキャラクターだったんですけれど、今回20歳になってちょっと大人になって、よりセクシーというか大胆になっているじゃないですか。

 その代わりといったらなんですけれど、ちゃんとちっちゃい頃の川背さんも用意することによって、2人で今までの川背さんを現わしているというか、今まで1人のキャラクターに入っていたものが、2つになっているという、デザイン的な意味はあります。

 あとは今回新作になるので、キャラクターが増えるといいな、いろいろキャラクターを選べるといいな、というところがあったんです。そこで新しいキャラクターデザインが欲しいということで、江美子に関してはああいったキャラクターをあたためていたというわけではないのですけれども、ちょこちょこ企画を考えたりするときに、考えていたんですね。それを今回「さよなら 海腹川背」用にリファインしたというか、落とし込んだ感じです。

 ノッコに関しては、完全に1から「さよなら 海腹川背」用に考えたキャラで、同じような年齢の巨乳キャラなんですけれど、タイプ的に全然違うものを用意できればいいのかなということで考えています。

【海腹川背(20歳)】
シリーズを通しての主人公である海腹川背(通称、川背さん)。20歳により少しだけ大人っぽくなった感じ

【川背ちゃん(9歳)】
小学校時代の川背さん。顔立ちは幼いものの、どこか強い意志を感じさせる面立ちだ

【江美子ちゃん(9歳)】
小学校時代の友達である江美子ちゃん。髪のつけられたリボンや、ランドセルの猫の缶バッジなど、女の子らしさを感じるデザインとなっている

【横山埜鼓(18歳)】
クールなイメージの通称ノッコさん。川背さんの子孫にあたり、未来からやってきた時空警察の潜入捜査員という彼女は、一体何のためにこの時代に来たのだろうか……?

9歳のキャラクターがいるというのは、ゲームの中で何かストーリー的なものであったり回想シーン的なものがあったりするのでしょうか?

近藤氏:そのへんはもう、清く正しく「海腹川背」なので、何もないですね(笑)、ざっくりです。

ではプレーヤーの好みでキャラクターは選んでね、という感じなのでしょうか?

近藤氏:でも、能力が微妙に違ってくるので、そういう意味での差というか好みはあると思うのですが、それを考えないのであれば、好きに選んでもらえればってのはあります。

 絵的なところでいうと、ステージ構成とか団地の公園があったりだとか、バックボーン的には、昔2人がこのへんで溺れたのかな?的なのは、表には出ないですけれど裏に流れているものはあります。

そのあたりはカッチリ見せるよりはファンの皆さんで想像してください、という感じでしょうか?

近藤氏:何も考えてないわけではなくて、考えていることはあっても、後はユーザーさんのほうで膨らませてもらえたらなと思いますね。

酒井さんのほうは、キャラクターをご覧になったときにどのような感想を持ちましたか?

酒井氏:実は最初はすごくいっぱいキャラクターというかコスチュームを出して、集めたりできるようにしようかと思っていたのですが、3DSということでゲーム画面の解像度が低いことから、あんまり作っても見分けがつかないということになったんです。

 絞り込んでとりあえず3キャラにしたんですけれど、最初は特に設定とかもなかったので、何かしらこう「海腹川背」に出るんだから、川背さんに関連づけようということで、とりあえず子孫だなとか友達だなとかは、割りと後づけだったので、デザインに関してはこちらでは思うところはない感じです。

能力的な面の違いについては最初から決まっていたのでしょうか?

酒井氏:それも後づけですね。別のキャラクターが出るのに、見た目しか違わないんじゃちょっと……ということで、後からちょっと入れたという感じです。

近藤氏:最初、新キャラを入れるのではなくてコスチュームデザインをたくさん作って着せ替えしていく、アバター的なものを考えていたのですけれど、デザインして画面に出しても違いがわからない感じだったんです。キャラクターがガッと変わるとパッと見でわかるじゃないですか。デザイン的には川背さんと川背ちゃんでは違うんですけれど、ゲーム画面ではほとんど一緒なので、そういう意味で江美子とかノッコとかのほうが違いがわかるという感じですね。

能力的な面ですが、江美子ちゃんと川背ちゃんにはチェックポイントを通過するとリスタートできるという能力がありますが、このリスタートは何回でも使用できるのでしょうか?

酒井氏:何回でもやり直せるとゲームオーバーにならなくなってしまうので、1回チェックポイントを通過したらそこからは1回だけですね。

 ただ、チェックポイントが何カ所もある場合には、1回チェックポイントを通過したら1回復活する権利が与えられるので、その後、別のところでチェックポイントを通過すると上書きされるので、1回なんですけれどそこから元のチェックポイントに戻るとまた復活する権利が与えられるので、何十回・何百回と復活しようと思えば復活できるシステムにはなっています。

戻った場合にはタイムはどうなるのでしょうか?

酒井氏:タイムは継続です。今回タイムアップがないので、無限にリスタートできるといえばできます。

復活した場合に、敵キャラとかは復活するのでしょうか?

酒井氏:いるのはそのまま継続していて、自キャラがそこにポッと出るだけですね。

 復活のことなんですが、例えばツルツルの氷ですべって死んでしまう場合でも、そこにチェックポイントがあると、死んでもその途中から止まって出てくるので、リスタートがないキャラクターだと滑ってちゃんと止まれないと死んじゃうんだけど、リスタートがあるキャラクターだと止まれなくても復活すれば続けられるみたいな、救済要素も重要になってます。

先ほどのAで復活してBで復活して、またAで復活してを聞いたときに、昔のゲームの無限点数稼ぎ的なことを想像したのですが……。

酒井氏:無限にプレイしようと思えばできるのですが、今回スコアがないので、得点的な意味もないですし、タイム的にもそのまま継続しているので、タイムアタックをする人は、リスタートの特殊能力はタイムアタック向きではないのかなと思います。

右下のチェックポイントを通過していれば、倒れてしまった場合でも復活可能となっている

ノッコさんにスローモーションにすることができるという、結構衝撃的な能力を使うのですが、これには何か制限等はあるのでしょうか? 動画で見ると全体的にスローになっているので、これは本当にゲーム画面がスローになっているのだろうかと思ったりもしたのですが……。

酒井氏:これは本当に全体がスローで動いているだけなので。元々追加キャラに特殊能力を追加すると決める前から、モーションストップという機能が入れてあったんです。ノッコ以外の全キャラクターが使えるのですが、十字ボタンの斜めが入力しづらいので、斜め入力をより正確に入力できるようにするにはどうしたらいいだろうかと考えて、斜め入力の支援用に一時停止機能がついているんですね。

 これが一時停止ではなくてスローだったらもっとやりやすいだろうな……というのがあったので、それを使えるキャラということで、能力としてつけてみたという感じです。

モーションストップというのは、スローモーションとはどう違うのでしょうか?

酒井氏:止まっている間に、入力方向を確定させておいて再開したときに斜めが入りやすいよ、というちょっとしたお助け機能というか。ただノッコの場合は、その機能を使っている間はちょっとずつ動くので、タイミングも見計らえるという感じになっています。

モーションストップは、どのキャラクターでも使えるのでしょうか?

近藤氏:ノッコ以外ですね。

酒井氏:ノッコもモーションストップという名前にはなっていますけどね。

全キャラがモーションストップは使えるけれども、ノッコはゆっくり時間が進むからスローモーションだよ。というわけですね。モーションストップで止めている間もタイムは進んでいるのでしょうか?

酒井氏:進んではないですね。本当に自動で切れるポーズという感じで、止めている間に方向を入力できるよ、という感じなので。

近藤氏:絶妙なタイミングで斜めに入力しなければいけない、みたいなときでもとりあえずパッと止めておけば、合わせられる。元々、斜め入力しづらいのをどうしようかというところから入っているので、斜め入力用のサポート機能という感じですね。

酒井氏:スローモーションは、元は十字ボタンの斜め入力をやりやすくするところから始まっているので、斜め入力はやりやすくなるかなと思いますね。

逆にいうと絶妙なタイミングでモーションストップで止める能力がプレーヤーに求められたりしそうですが?

近藤氏:そこは逆にノッコだとちょっと前に止めておけばタイミングを計れる感じですね。

スローモーションの回数や時間については制限はありますか?

酒井氏:スローが切れてからは0.5秒間くらい使えない時間があるのですが、実質無限に使えます。ただし連打でずっとスローにできるかというとできないというだけで、特に制限はなく何回でも使えます。

 スローボタンを押してから実時間で2秒間くらいスローがかかっていて、それが切れてから0.5秒くらい経つとまた使える感じです。

プレーヤーが能動的にスローを切ることはできずに2秒間は必ず続くわけですか?

酒井氏:そうですね。

近藤氏:1アクション分という感じですね。ここで必ずここにルアーをかけたいとか、ここをすり抜けたいとかいうときに押せば、その1アクション分はスローがかかるという。

モーションストップを使うと、一時的にポーズがかかり、画面上に十字ボタンで入力されている方向を示す8分割された円が表示される。モーションストップ中に確実に入力できるわけだ
ノッコさんを使用中は、モーションストップがスローモーションに変わり、少しずつ時間が進んでいく。やや早めに能力を使ってもタイミングを計れるため、プレイしやすいといえる

ニンテンドーダイレクトではシリーズ未経験な方やアクションゲームの苦手な方への機能という説明でしたが、こういった機能を追加しようと思った経緯をお聞かせください。

酒井氏:「海腹川背」シリーズって、非常に難しいゲームだと思われている節があって、ただ私の個人的な考えでは、そんな難しくないだろうと思っているんです。「海腹川背」って難しいプレイをする動画が出回ってたりしてとんでもないゲームだと思われているみたいで、それが原因で敬遠されている人も結構いるんじゃないかと思うんです。

 今回、全体的な難易度は下がっていて、そういう昔ながらのアクションゲームだと現代のプレーヤーはなかなかついていけないところもあると思うので、そういう人が気軽に遊べるような方向に舵取りをしていこうというのがあったので、そういうお助け機能とか意識して入れていったというのがあります。

たしかに、難しい操作をしないとクリアできないかというと、別の安全なルートを通ることで楽にクリアできたりもしますからね。

酒井氏:難しいことを無理にやろうとしなくてもいいんです。ショートカットで行ったらすごく難しいのですが、正規ルートで行けば、時間はかかるけどそんなに死ぬ確率は高くなかったりするので、ショートカットしなくてもクリアはできるようにはしてあります。

 難しいというイメージが先行していて、誰でもクリアできるように作ってあるのにそこを評価してもらえないもどかしさがあるので、そんなに難しくないからやってみてね、という思いはあります。

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(菅原哲二)