インタビュー
3DS「さよなら 海腹川背」クリエイターインタビュー
今の時代に合わせて進化した「海腹川背」の内容とは?
(2013/5/29 00:00)
アガツマ・エンタテインメントから6月20日に発売予定となっているニンテンドー3DS用ラバーリング・アクション「さよなら 海腹川背」。本作は、ゴムのように伸び縮みするロープを自由自在に操り、さまざまな挙動を制御する楽しさで多くのファンを魅了してきた「海腹川背」シリーズの最新作で、1997年に発売されたPS「海腹川背・旬」より、実に16年ぶりの完全新作となっている。
今回本誌では、開発を担当しているスタジオ最前線のキーマン2人へのインタビューを行なう機会を得ることができた。シリーズファンにとって衝撃的だったであろうタイトルに込められた意味から、新たに使用可能となったキャラクターたちの詳細な内容、今の時代に合わせて変更されたゲームシステムやアクションなど、多方面に渡ったお話を伺うことができたので、紹介していこう。
企画当初はファンアイテムだった!? “さよなら”とタイトルにつけた意味とは?
最初に「さよなら 海腹川背」における役割や、これまでに携わってきたタイトル等、簡単な自己紹介をお願いします。
近藤敏信氏(以下、近藤氏):「さよなら 海腹川背」ではキャラクターデザイン、それと開発をしているスタジオ最前線の代表をしていますので、そういう意味では制作のコントロールですね。あとは広い意味でのグラフィックスの統括をやらさせてもらいました。今まで関わってきたタイトルというと、最近だと(「さよなら 海腹川背」のパブリッシャーでもある)アガツマ・エンタテインメントさんで企画していただいた「コード・オブ・プリンセス」ですね。あとは「シャイニング・ハーツ」とか「シャーマンキング 超・占事略決」シリーズのリアルなカードゲームとコンシューマーであったり、スタジオ最前線のデビュー作としてはPS「どきどきポヤッチオ」ですね。個人的には「海腹川背」シリーズも参加させてもらっています。
酒井潔氏(以下、酒井氏):「さよなら 海腹川背」のメインプログラム……というかプログラム全部です。今までに携わってきたタイトルとしては、スーパーファミコン「海腹川背」とかPS「海腹川背・旬」、ほかに初代「サルゲッチュ」に参加していたり、あとはSIMPLEシリーズのほうをちょっとやっています。
タイトルに“さよなら”とついている件ですが、本作でシリーズはおしまい……なんてことはないですよね? 復活したはずだったのに、“さよなら”とついていて衝撃だった読者さんが多かったようなのですが
近藤氏:どうなんですかね?
酒井氏:一応“さよなら”ってつけたのは、まあ終わっても構わないぐらいの覚悟があって、“なんだったら終わっても、別にいいよ”くらいの感じで。本当はファン向けのファンアイテムみたいなものを最後に1個ちょっと出せたらいいかなと企画していたのですが、アガツマさんから新作をやりませんか?という話があったので、それだったらファンアイテム的なニッチなやつではなくて、ちゃんとした新作を作りましょう、となりました。
タイトルは「さよなら 海腹川背」ってのは結構インパクトがあるので、それはそのまま変えずに、仮にさよならじゃなくなったとしても……この世界じゃよくあることだし(一同笑)、いいかなということでそのまま残しました。
近藤氏:そういう意味では、これで終わっても本望というのにプラスして、今後の可能性みたいなところも残していくところなんじゃないんですかね。
前作であるニンテンドーDS「海腹川背・旬 セカンドエディション完全版」から約4年というタイミングでの完全新作発売ですが、本作の制作にはどれくらいの年月がかかっているのでしょうか?先ほどお話しのあったアガツマさんの「コード・オブ・プリンセス」を出したあとに始まったのですか?
近藤氏:1年くらいですかね。
酒井氏:1年1カ月ぐらいですね。
先ほどのお話にあったファンアイテムというのを企画していたのは、そのもっと前なのでしょうか?
酒井氏:そうですね。それは具体的に話が進んでいたわけではなくて、機会があるならそういうのを作ってもいいよね、みたいな話レベルで考えていたときがあったのですが、そのときにつけたタイトルが「さよなら 海腹川背」だったと。
そのときは今のゲームのスタイルとは違ったものだったのでしょうか?
酒井氏:リメイクですね。DSの完全版がリメイクだったんですけれども、他機種でリメイク+ちょっとおまけ要素をつけて、ちょろっと作ってちょろっと出せないかな、みたいな話をしていた感じです。
近藤氏:移植プラスアルファですね。
酒井氏:おまけ要素というのが面エディタをつけて、それで“後はみんな好きにやってくれ!”という、そういう意味で「さよなら 海腹川背」っていうのを考えていたんですね。
そういう中で、「コード・オブ・プリンセス」があってアガツマさんからお話があったという流れですか?
近藤氏:そうですね。アガツマさんにそういったお話をしたら、「移植プラスアルファよりは、ちゃんとした新作が作れるのならばそのほうがいいかな」ということになったんです。