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「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(後編)
オーディン、第七霊災、PvPシステムなど“新生”の気になる話をまとめて聞く


10月収録

会場:スクウェア・エニックス本社





■ 蛮神とは何か!? イフリート、そして「オーディン」について

「ファイナルファンタジー XIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏
「FF」シリーズとも、姉妹作「FFXI」とも異なる「FFXIV」のオーディン
もちろん新モンスターも。これは「FFXI アトルガンの秘宝」でもお馴染みのキマイラ。弱点属性の異なる3つの頭が個別に襲いかかってくるようだ

編: この新生「FFXIV」のイメージキャラクターとして使われているオーディンはいつごろ登場するのですか?

吉田氏: やっと今回パッチ1.19でチョコボが実装できて、蛮神イフリートとの戦いが追加され、いよいよ「FF」馴染みのものが増えてくるかなと。この先も皆様ご存知のものが「FFXIV」ならではの解釈でどんどん出していきます。モーグリ、ガルーダなんかもですね。そして「FF」と言えば、誰でも知っている「オーディン」は、新生に合わせて登場させたいな、と。これまでの「FFXIV」には、設定もアートも存在していなかったので、僕自身が発注しました。

編: 「FF」シリーズで伝統的に“召喚獣”と呼んでいる存在は、「FFXIV」では“蛮神”と呼ぶという理解でいいのですか?

吉田氏: はい。そして僕が今回の「XIV」に思っていることなのですが、召喚獣をあまり軽々しくしたくないなと。僕が担当を引き継いだ時点で、設定はすべて決まっていて、ストーリーもそれに合わせて走っていたので、好きに変えられない部分もあります。ただ、今回これまで召喚獣と呼ばれていたものが、蛮神、つまり神様として扱われているので、「ちょうどいいぞ、これは」と。人間なんぞが簡単に呼び出して使役できる存在ではない。「だって神様だし!」ということです。今回の1.19で搭載された「蛮神イフリート」についても、「神様だよね」という強さを体感して頂けるかなと。

編: 公開された動画を見ましたが凄まじい強さですよね。8人で勝てるのですか?

吉田氏: 勝てます。すでに各ワールドで撃破したLSやパーティーが存在していますね。さすが、冒険者として、プレーヤーの皆さんも、とても手強いです(笑)。まだ未体験のプレーヤーの皆様には気合を入れていただいて、神に戦いを挑むというのはこういうことかと。神が本気を出すというのはこういうことか、というのを味わっていただければと思います。「イフリート」にはおなじみの「地獄の火炎」が現世代機のグラフィクスでMMOとして登場するとき、なるほどこういう演出になるのかというのも味わっていただけているのではないかと思います。

 今後、新生以降の召喚システムには2つのアイデアがあります。いわゆるペットとしてモンスターや精霊を呼び出すというものと、蛮神そのものを呼び出す召喚はまったく別に考えています。蛮神そのものを呼び出すのは、そのワールドで1つのプレーヤーコミュニティが権利をホールドして、2週間全員で召喚ゲージをためて、一発呼び出したらまた野に帰るというMMOらしい召喚にしたいなと。

編: どういうシチュエーションで蛮神を呼ぶことを想定していますか?

吉田氏: 好きなときで良いと思います。自分たちのフリーカンパニーでは倒せないボスを一撃必殺で「イフリートさんやっちゃってください」という場合もあれば、PvPエリアでさんざん辛酸をなめているヘビープレーヤー集団のフリーカンパニーを「一撃でなぎ倒してやってください」といった使い方です。ありとあらゆるものを超越していて良いと。ただし1回しか使えず、次またいずこかに現われる「イフリート」を倒さなければならないですし、それが自分たちに回ってくるとは限らない。世界のどこかで「イフリート」が召喚されたら全ゾーンの天候が変わり、だれかが「イフリート」を呼んだとわかる。それが「FF」がMMORPGになるという意味なのかなと僕は考えています。かなり具体的にお話させていただいていますが、設計はすでに終わって仕様もだいたい決まっているので、あとはサーバーが出来上がり次第作っていくだけです。

編: 精霊を呼び出せる召喚士というジョブも追加される?

吉田氏: いずれ実装します。ペットユーザーというのは、MMORPGのクラスでは花形でもありますし。例えば「カーバンクル」は召喚士が呼べる召喚獣です。しかし「イフリート」や「ガルーダ」や「リヴァイアサン」、「オーディン」は蛮神であるというわけです。

編: どのあたりに線引きがあるのですか?

吉田氏: 感覚論なので難しいですね(笑)。単純に個人が術式で呼び出せてもおかしくないものが召喚獣で、そうでないものが蛮神です。

編: 「シヴァ」や「ラムウ」はどうですか?

吉田氏: あの2体も蛮神の予定です。特にエレメンタル四元素+光闇あたりに関しては確定で蛮神かなと。

編: モンスターを呼び出すということですが、モンスターをテイミングすることはできないのですか?

吉田氏: その瞬間MPを消費して呼び出せるペットと、そのエリアにモンスターをテイミングして一時的に使役するペットと2種類で設計はされています。設計には組み込んであるので、あとは順次といった感じでしょうか。その前にスペルユーザーも少ないですし、クラウドコントロールスペルも足りないので、現行運営でジョブを実装し、その先に順番にという感じですね。

編: 蛮神「オーディン」についてですが、どういう強さの蛮神になりそうですか?

吉田氏: 設定は決まっているのですが、あまりしゃべるとネタバレになってしまいます。少し変わったことをやりたいなと。今まで「FFXIV」の歴史の中で「オーディン」の名前はなかったので、古い時代の第三星紀に登場した1人の英雄にまつわるエピソードを設定チームに作って貰いました。英雄が蛮神化して、記憶と目的を失って、エオルゼアの大地のいろいろなエリアを放浪している……。そんな蛮神にしようかと思っています。

編: それは新生「FFXIV」のメインストーリーの1つになるのでしょうか。

吉田氏: いえ、MMORPGの世界はメインストーリーだけではないと思っています。いろいろなストーリーが絡まって世界を彩っていると思いますので、そのエピソードの1つだと認識しています。もちろん「オーディン」にまつわるエピソードも用意しようと思いますが、それがメインかといわれればあくまでも枝葉の部分なのかなと。それだけ元々の世界が細かく大きく作られているので、そこにこれまでの「FF」が踏襲されていることが大事なのかなと思います。

【召喚獣】
左はオーディンのキャラクター設定。中央は吉田氏が語る蛮神ガルーダ、蛮神リヴァイアサン。中でもガルーダは、今までにないほど禍々しい雰囲気になっている

【モンスター】
左はナイト、サイクロプス、サハギンのモンスター。ナイトのモンスターの詳細は謎。「FFXI プロマシアの呪縛」のフォモルのような存在なのだろうか



■ メインストーリーついて。「第七霊災」とは何か?

「第七霊災」について語る吉田氏
エオルゼアに今後出現するという謎の巨大地形
2011年の元旦に公開された謎のメッセージ。この謎はいまだ解けていないが、「第七霊災」と関連しているようだ

編: ちなみにメインストーリーについては、3都市のオープニングムービーの映像は謎のままですが、今後あれが綺麗に繋がるストーリーが実装されるということですか。

吉田氏: はい。ですが、今は途中で止めている状態です。一本の巨大なコストのかかるメインクエストを今追加するよりも、他にいっぱいやることがあるだろう、サブクエストの数もまだまだ足りないんだし、ということです。

編: 書きためている状態ですか。

吉田氏: そうですね。メインクエストは、テキストベースで、もうかなり先まであります。あとはそれに見合ったカットシーンを作って、順番にという感じですが、まずは幹を太くして、それからまた先を伸ばしていきたいなと思っています。

編: メインストーリーについてですが、新生「FFXIV」がスタートした時点で、「FFXI」でいうところの“闇の王を倒す”といった完結型の物語が終わりまでキッチリ実装されると期待して良いのでしょうか?

吉田氏: 新生スタートの段階でそこまであるかといわれればまだお約束できない状態です。まずはそれ以前の物語として、今プレイしている皆さんが新生に至るまでの間、というのを大いに盛り上げたいと思っていて、今しかできないストーリーをすでに用意してありますので、そこでプレーヤーの皆様には、冒険者として暴れていただこうかなと思っています。

編: それが「第七霊災」ですか。もう少し詳しく教えて頂けますか。

吉田氏: イメージとしては1年がかりの巨大季節イベントだと思ってください。通常、季節イベントはだいたい2週間くらいの開催期間で、翌年またそれが開催されるかわからないですし、開催されたとしても内容が変わりますので一生涯に1回ですよね。それを僕らは今、1年がかりでやっていると思っていただければ良いです。

編: スタートはいつですか?

吉田氏: すでに始まっています。あと2回くらいのパッチを見て、その後で振り返っていただけると、あれもそうだったこれもそうだったとなると思います。すでに、いろいろ予想されている方もいらっしゃいますね。

編: 伏線はもう始まっていると。

吉田氏: はい。それこそ1月1日のタイミングから決めてありました。

編: ああ、なるほど、あのメッセージですか。これまで行なわれた季節イベントのどれかが伏線になっていたりするのですか?

吉田氏: 季節イベントのイラストにも伏線があったり、そして搭載されていってるクエストそのもの1つ1つが伏線になっているものが多いです。今しかプレイできないということは、新生のタイミングで一切プレイできなくなるものがある、ということです。シナリオのネタばれにも繋がっているのであまりいえませんが、それくらいの大事件がエオルゼアを襲うので、マップがこんなに変わるということになっています。そこは「FF」ですからストーリー仕立てにさせていただきます。パッチ毎に、リアルタイムに事態が進行していく、これがライブ感だと考えています。

編: ほほー。それによって現在の世界から新生の世界への物語の整合性がとれるというわけですか。

吉田氏: はい。それが一体なんなのか、冒険者はどうなるのか、冒険者はそこに向かってどう戦っていくのか、ということがこの1年の大きなテーマですし、この機会に通常のMMOではありえない、味わえないようなことをさせていただこうかなと思っています。僕らが本気で運営を続けていくというのは、そういうことなのです。

 もちろん全力で今のユーザーインターフェイスを修正していくことをやめることもありません。これは合理的に見れば、すべて作り直している以上、後に振り返れば捨ててしまうことになるコストです。ですが、サービスを続けさせていただく以上、改修全力で続けさせていただきます。今いるプレーヤーの皆さんに、楽しんでいただくことがすべてだと思っています。皆さんがプレイしてくれて、皆さんが冒険者として戦ってくれたからこそ、新生の世界がある、と考えていただけたらなと思います。

編: ただ、コミュニティの分断が懸念されますよね。「おまえらは“あれ”を経験してないからあ」みたいな人が出てきそうですが(笑)。

吉田氏: でも、それはそれで良いのではと僕は思います。今のプレーヤーの皆さんは、「FFXIV」の世界では世界のすべてを支えていただいた「ドラクエ」風に言えば勇者なのですから。その証は、特別に今のプレーヤーの皆様に刻んでいただければと思っています。思い出や体験、記憶ももちろんなのですが、それ以外にも、物質的な証を刻む仕様を1つ、キャラクターチームに発注してあります。

編: その仕様とは何でしょうか?

吉田氏: 今をプレイした証のようなものです。

編: 今をプレイしたことの報酬と考えて良いのですか?

吉田氏: 報酬とはまた違います。それ以外にも、アチーブメントという仕様をパッチ1.20で搭載させていただきます。いわゆる実績みたいなものです。例えば「第七霊災に立ち向かった証」みたいなのもありですし。それは普通に予想していただいて構わないかなと思います。ただ、それ以外に1つ、証となる仕様がある、ということです。

編: なるほど、吉田さんとしては、「第七霊災」の長期イベントの導入を呼び水に、ユーザーに対して今すぐにでもゲームを始めて見ませんかと。

吉田氏: 今から始めていただいても、他のMMORPGに比べ、まだまだストレスを感じる部分は残っていますが、それも引き続き全力で改修していきますし、逆にライブ感としては、他のMMORPGにはない経験ができると思います。本当に今しかプレイできない、しかもそれがリアルタイム、というのは、それこそ前代未聞であるので 。

編: 街を除いた既存のエリアをすべて捨てて、それでいて世界観的にもストーリー的にも整合性を持たせるというのはすごく難しいことですね。まさに天変地異でも起こらないと、というレベルですよね。

吉田氏: こればかりはネタバレになってしまうので、お楽しみにという感じです。「FF」らしくやりたいなと思っています(笑)。



■ グラフィックスについて。もっとも重要なのは“キャラクター同時表示数”

吉田氏が目標として掲げているバトル画面。エフェクトの大半はすでに実装済みだという
個人的に強く印象に残ったダンジョンのイメージイラスト「鍾乳洞窟内のイクサル拠点」
バードのイメージイラスト。ジョブシステムは、新生を待たずに2012年2月の実装が予定されている
今後実装予定のミコッテ男。「FFXI」のミスラ男とはまた違ったワイルドなイメージだ

編: グラフィックスに関して伺います。まず、見た目の点で何か変化はありますか?

吉田氏: MMOの描画エンジンでは、単純な静的な美しさに加えて、動的なゲームの面白さに寄与できないと意味がないと思っています。僕は現状であれば、根本的にキャラクター表示数が問題だと思っています。徐々に手は入れていますが、やはり根本的な改修が必要です。「FFXIV」はかなり細かくキャラクタカスタマイズができますので、それをきっちり再現した状態で、40人、50人、60人というキャラクターをPCのスペックが上がれば上がるほどどんどん表示でき、フレームレートに影響を及ぼさないという思想のエンジンが必要です。プレーヤーの皆さんは、それぞれ異なる環境のPCをお持ちで、さらにPS3では、特にメモリが最後のボトルネックになると思いますので、それぞれの性能に合わせたカスタマイズが可能でなければならないとも思います。

編: これまでに各PCベンダーからリリースされた「FFXIV」推奨PCを購入したプレーヤーの方は、新生「FFXIV」ではさらに優れたパフォーマンス、優れたグラフィックスでゲームが楽しめると考えて良いですか?

吉田氏: はい。特に表示数の数的優位とパフォーマンスですね。例えばエフェクトを最大限まで多数のキャラクターで表示しても大丈夫とか、キャラクターももっと表示でき、フレームレートもその状態で安定度が上がると思います。

編: PS3版もその新しいエンジンを搭載するのですか?

吉田氏: はい。

編: するとPC版もPS3版もキャラクターの表示数やグラフィックスのクオリティは基本的に同じなのでしょうか。

吉田氏: PC版はご使用になるPCスペックが、それぞれ異なるので一概には言えないですね。現状の推奨PCであれば、今以上に表示数は上がり、当然ではありますがPS3よりも上になります。その上で、PS3と同等性能のPCでも、快適に動作するようにはなりますね。これら個々のスペックによる、プレイヤー自身での「描画カスタマイズ性」は、しっかり設計に入れてありますので、お使いの環境や、コンテンツに応じて切り替えて頂けたらなと。パッチ1.19ではフレームレートを30fpsに固定する機能を実装させて頂きました。この延長線上の思想になります。

編: この新生コンセプトスクリーンショットはリアルタイムレンダリングですか?

吉田氏: もちろん。

編: 絵の質感からして違う気がします。

吉田氏: 今の描画エンジンでは、影がうまく表現できていないなと思っています。新描画エンジンでは、特に明るいところは明るく、暗いところは暗いというところをしっかり対応して、メリハリをつけたいとすごく思っています。アンビエントオクルージョンとかもですね。

編: PS3でもこの水準のグラフィックスが実現できる?

吉田氏: 基本的にそうですが、解像度が落ちますので、背景なんかはおそらく少しジャギーが見えてくるのではないかと思います。

編: 背景も描き込みではなくリアルタイムなのでしょうか。

吉田氏: このスクリーンショットの背景もリアルタイムです。ただ、ハイエンドマシンになればなるほどパフォーマンスは気にしなくて良いかなと思います。また、新生以降、コンテンツがMO的になっていけば、大きなアドバンテージも得られます。コンテンツが限られたメンバーでアタックするものであれば、負荷も大人数ではなく、少人数に合わせて計算できます。もちろん、大規模PvEなどでは、PC表示に負荷を回すために、マップは軽く作る工夫はしますが。

編: キャラクターの同時表示数の目標を教えてください。

吉田氏: PS3版で最低32PC、8モンスターという言い方をしています。そこでフレームレートを30キープできるということが目標です。これ以上表示しようとし始めると、フレームレートが低下するかな、と。ただし、LoDも新たに入りますし、32PCというのは最高水準の品質表現での32PCなので、また定義がちょっと専門的すぎますね。簡単に言えば、遠近を問わず、たくさんのキャラクターを表示しても、快適に遊べるように頑張ります、ということです。

編: PC版ではこれまで通り60フレームも出せる?

吉田氏: 出せます。ただ、今の描画だとビデオチップをブン回しすぎなので、そこは抑えます……(笑)。先ほどの述べましたが、プレーヤーの皆さんからの要望を受けて、今回のパッチ1.19で、30フレームというリミッターを設定できるように対応させていただきました。30フレームに設定すると、ファン音が断然違うと思います。そのあたりも描画の脆弱性が影響していました。たとえば実際にこのスクリーンショットのここにあるエフェクトですが、現行の「FFXIV」のエフェクトなのです。

編: 陰影がついただけでまったく印象が異なりますね。

吉田氏: 違うと思います。現行のエンジンは、エフェクトの同時処理数がかなり少ないのです。エフェクトエンジンも作り変えていますし、シェーダーの数も変わります。ただ、キャラクターの髪の毛の表現は多少見た目が変わってしまうとは思います。そこで新生のタイミングでは、皆さんの懸念にも対応できるように、もう一度キャラメイキングの権利を差し上げようと考えています。

編: なるほど。新描画エンジンの採用によってキャラクターの見た目の印象が変わるので、もしそれが気に入らなければキャラクターを作り替えてもいいですよと?

吉田氏: はい。

編: 無料サービスですか?

吉田氏: そうです。

編: 種族まで変えられるのですか?

吉田氏: そこはどうしようか迷っています。可能ではあるのですが、さすがに昨日まで遊んでいた友達がいきなり別の種族は無いかなと。そこまでは許さない方が良いかなと思っています。例えば髪型とか色とかですね。もう一度気に入った目の色や肌の感じをもう一度カスタマイズしていただいても良いのかなと思います。

編: 種族と名前、性別は固定で、そのカスタマイズは自由と?

吉田氏: そうですね。後は直前の皆さんの希望をお聞きして決めようと思っています。

編: 今回公開されたイメージイラストには新ダンジョンもありますね。

吉田氏: これはまだコンセプトアートですので、実際の開発はこれからです。これくらいファンタジーが感じられるものを目指していこうと。ダンジョンの配置場所はだいたい決めました。今のマップは、どうしても自然地形や動物が多く、ファンタジーらしさが足りないのが最大の欠点だと感じています。

編: 遺跡のような場所は何箇所か残っていたりします。ああいったものはほったらかしなのでしょうか。

吉田氏: 新生のマップに「ああ、あれがこれか!」というのはもちろんあります。同じ地名ですし。ここは「何だ、へー、こうなるのか」というのは感じられますと思います。解釈の違いと思っていただければと思います。大幅に変わっている場所もありますし、ここは前のマップのあそこか、しかしずいぶん豪華になったなぁ、とか。解釈もありますし、“第七霊災”によって現われるものもあります。今回公開させて頂いた、開発用の白地図の中にも、昔懐かしい「FF」の地名があったりもしますね。

編: プレーヤーキャラクターに新種族は登場しますか?

吉田氏: まずは足りていない性別を全補完しようかなと思っています。いくつか空きが存在しますよね。ルガディン♀とハイランダー♀、ミコッテ♂。最終フィックス前なのでいろいろなアートバージョンが存在していますが、大きくこの3つは確定です。もっと亜人種に寄ったものはその先にあるタイミングで搭載していきたいです。まずは足りていない部分をきっちりいれていきたいです。

編: 新しいクラスの実装はありますか? 銃術士と巴術士のギルドはすでにありますよね。

吉田氏: 明確な答えは控えますが、クラスバランスを考える上ではキャスター系がかなり足りていない状態ですし、召喚士のような魅力的なキャスタークラスも「FF」にたくさんいますので、そういったところは強く追加していきたいです。とはいえ、1.21にジョブシステムが控えていますから、今のクラスに対してジョブを搭載して、それからです。

【ジョブシステム】
左上からイービル、白魔導士、戦士、ブラックメイジ、ナイト、最後のみジョブ名は書かれておらず“拳法着装備”とある。ジョブシステムは、全7ジョブと専用クエスト、専用装備の実装が予定されている



■ オリジナルのPvPシステム「PvPフロントライン」について

PvPの舞台となるリムサ・ロミンサ海上に建設予定の水上コロセウム。
現在企画が進んでいるという「PvPフロントライン」のイメージイラスト
吉田氏がもっともハマったというMMORPG「Dark Age of Camelot」の攻城戦シーン。吉田氏は「DAoC」のPvPは規模が大きすぎたと捉えているようだ

編: 前回のインタビューで際に吉田さんが入れたいとおっしゃっていたPvPシステムはどうなりますか。新生スタートのタイミングで始まるのですか?

吉田氏: まだ微妙に当落線上です。システムはすでに新生の設計にあります。パッチ1.19で行なった、今のバトルフレームワークの改修の中にPvPの設計は入れてありますので。単純なプレーヤーのデュエルという意味では間違いなく間に合うのですが、PvPコンテンツとして搭載しなければならないので、マップだけできても、実際プレーヤー同士をバトルさせるためのマッチングシステムとランキングのシステムが同時に必要です。PvPでのみ成長できる軸というのも考えていますし、それに対するリワードも用意しなければならない。コンテンツとして力を入れるからには、コストが掛かってきます。そこがどれくらい間に合うかです。新生スタートから、そんなに遠くないタイミングでは実装します。

編: 1対1はどうですか。

吉田氏: 僕は1対1のデュエルは、あまり面白いとは思っていないので、ライトパーティー同士の4対4、フルパーティー同士の8対8というところです。コロセウムに関しては「ドラゴンボール」で言うところの天下一武道会で、正々堂々、相手が見えるタイミングでよーいドンしてもらおうと思っています。もう1つ大きなPvPコンテンツで考えているのが専用ゾーンでの大規模なバトルです。

編: こちらは完全新規のシステムですか?

吉田氏: 完全に新規です。今はコンテンツの名前を「PvPフロントライン」という仮称で呼んでいます。

編: 勢力同士が戦うというイメージで良いのでしょうか?

吉田氏: そうです。

編: それは既存の3つの勢力なのでしょうか、それとも3つのカンパニーなのでしょうか。

吉田氏: まだあまり具体的なことは申し挙げられませんが、複数勢力が入り乱れて戦うイメージを持っていただければと思います。

編: 最大何人で戦えますか?

吉田氏: それはそれぞれの勢力によると思います。40人ぐらいいても面白いでしょう。

編: 100対100とかもある?

吉田氏: プレーヤーの指揮官次第では、ありえるのではないかなと。PCスペックによっては下を向いていないと動けない、という人もでてきそうですが(笑)。MMORPGの場合、サーバーの限界が来るまでは集まろうと思えば、集まれてしまいますしね。実際、僕が昔遊んでいたMMORPGで、大規模なレイドを敵の勢力に仕掛けたとき、人を集めすぎてサーバーを飛ばしてしまったこともありましたし……。あの時は、さすがにサーバーのスペックまでは、計算に入れてなかったので(笑)。

編: 新エンジンだとその当たりの描画周りの問題もある程度解消されそうですね。

吉田氏: とはいっても物理的な限界は来ます。今回のエンジンは、こちらからのストッパーをかけませんので、プレーヤーのオプションで表示限界数を決めたり、エフェクトを全部切るということができるように設計されています。ハイパワーのマシンを使えばかなり耐えられると思います。あとはゾーンサーバーの限界次第(笑)

編: イメージ的には攻城戦ですか?

吉田氏: そうですね、陣取りはやってもらおうかと思っています。

編: 実装時期はいつですか。

吉田氏: これはコロセウム実装の後です。

編: 「PvPフロントライン」は「FFXIV」主要なコンテンツの1つになりそうですね。

吉田氏: そうですね、PvP好きには延々籠もって頂こうかと。

編: 「FFXIV」における「PvPフロントライン」は、「DAoC」のような大きな存在になるのか、それとも参加してもしなくても良いという感じになるのですか?

吉田氏: 「DAoC」の当時のスタッフの方とGDCでお会いして話しましたが、「あの戦場は広すぎたよね」と。「FFXIV」はそこまで広くなくて、24時間そこで戦いが繰り広げられていて、それが外部にも微妙に影響を及ぼす。たとえば他のコンテンツの入り口をコントロールしているとかあっても良いかなと。また、専用ゾーンですのでPvPが嫌いな人は一切踏み込まなくて良いですし、そこでの成長もPvP向けの成長しかしないようにします。PvPを好きな人が、ずっとここにいてくれる場所、というのを目指していきます。

 おそらく中国や韓国などアジアを除けばPvPに強いモチベーションを持っている方は、全ユーザーのうちの15%くらいかなと思ってます。まずは、その彼らに向けたコンテンツにしたいと思っています。ですから、全プレーヤーに無理強いするつもりはまったくなくて、そこの所はゲームデザインで気をつけて開発しています。ただ、「うちの勢力のPvPマニア共がんばれ!」みたいなところは用意してあげたいなと。彼らががんばってくれたおかげで、モンスターとの戦いを主にやっている俺たちにもメリットがある!という要素は作ってあげたいです。

編: 最終的にはワールド同士の戦いも実現する?

吉田氏: いえ、「PvPフロントライン」は基本的に単独を考えています。ワールドナンバーワンというランキングを作ってあげたいのです。しかし、コミュニティの分散が始まってきたときに、ワールドを越えてつないであげる可能性は十分にありますし、1年に1回くらい運営側でワールドをまたいだPvPイベントをさせていただいても良いかなと思ったりしています。

編: しかし、15%のユーザーさんのために、PvPを用意するというのは豪気な話だと思いますが、それは吉田さんがPvPを好きだからですか? それとも他に何か理由があるのですか?

吉田氏: MMORPGは、オンラインヒエラルキーが、形成されるデザインでなければならないと思っています。常にコミュニティトップの人たちが他のコミュニティを引っ張っていく構図は絶対に必要で、先ほど挙げた15%のプレーヤー達は、本当にPvPだけをやっている人たちではなく、すべてに対してトップなのです。だからこそ、そんなトッププレーヤーたちが、エオルゼアの世界に住み着いてくれるために、僕は必要だと考えています。プレーヤー人口からすれば15%ですが、とてつもなく影響力のある15%なので僕は大事にしたい。

 「FF」ということだけを考えればもしかしたらPvPは要らないのかもしれないのですが、グローバルスタンダードに長く運営するタイトルを作るという点では必須だろうと考えています。また、PvPはゴールがありませんよね。シチュエーションも違います。格闘ゲームと同じで2度と同じシチュエーションが無いということが、何にも変え難い魅力です。そこは是非「FF」ならではのPvPを作ってみたいという、僕の開発者としてのチャレンジもあります。



■ ビジネスモデル、新生サービス開始に向けて

インタビュー終了後、「不眠不休でやり続けるのは辛くないのか」と聞いたところ、「新しいことを始めるのは楽しいですよ」と即答してくれた。彼の奮闘を見守りたい
インタビューで広げて見せてくれた資料。これらはすべて公式サイトで見ることができる

編: ビジネスモデルはあくまで月額制とのことですが、それ以外にアイテム課金やその他の課金の形態を採用する可能性はありますか?

吉田氏: 今回クライアントを入れ替えさせていただく中で、月額制以外での課金については無いと思っていただいて良いです。まだその段階ではありません。付加サービスに関しても、現在はキャラクターに対して、リテイナーの紐付けが行なわれていますが、仕様を変更してアカウントに対してリテイナーが紐付くように変えます。今後はアカウントに対して雇ったリテイナーを複数のキャラクターで別々のワールドであっても呼び出して使える、という風に根本設計を変えようとしているのです。これもワールドレスという考え方です。今そこでお金を頂戴してしまうと、後でいろいろ引継ぎが大変になってしまいます。その辺の整理がついてから考えさせていただくつもりです。

編: 新規サービスに合わせてパッケージはどうするのでしょうか。

吉田氏: 新生のタイミングで、新たなパッケージを用意するつもりです。ただ、すでにPC版のクライアントをお持ちのお客様につきましては、新クライアントをすべて無料で提供させていただくつもりです。

編: PS3版のサービス開始時期はいつ頃を予定されていますか。

吉田氏: 正式サービスという意味なら、2012年の冬以降です。

編: PS3版のβテストのスケジュールについては?

吉田氏: PS3に関してはそのタイミングからクローズドβテストをはじめます。資料では2012年度の秋から冬とありますが、その付近からクローズドテストさせていただこうと思っています。

編: CBTの内容はいかがでしょうか。

吉田氏: 明確に決めていませんが、僕としてはできるだけ早くということを言っています。βの期間を今回は長く取らせていただこうと思っていまして、コンテンツ移植がまだ完璧に終わっていなくてもはじめようかという話はしています。

編: つまりCBTの前倒しもありえるということですか?

吉田氏: 明言したくはないところですね。とにかく新しいサーバーシステム、UI、マップを早くお届けしたいと思っています。

編: 正式サービス開始のタイミングはPC版もPS3版も同じですか。

吉田氏: 同じです。PS3版のCBTの期間中は、PC版も一度無料期間に戻させていただきます。

編: ユーザーさんにメッセージをお願いします。

吉田氏: 僕をはじめ開発も運営チームも、まずは、今プレイして頂いているプレーヤーの皆さんのことを最優先で考えています。そして、新生「FFXIV」は、その皆さんのために開発している新生です。僕が今回発表させて頂くことで、特に皆さんにご理解いただきたいのは、まさにその点です。これだけプレーヤーの皆さんに支えられたMMORPGは、世界的にも他に類を見ないと思っていて、それこそが今の「FFXIV」が他のMMORPGに対して、誇れる部分なのかなと。

 こんなにすてきなお客様がいますと、その皆さんに報いるためにも、皆さんが考えている以上の本気で、輝かしい未来を作ろうと思っていますので、この1年、そこに向かって果たしてエオルゼアはどうなっていくのか、何が起こるのか、どんなシナリオになるのかというのを、是非楽しみにプレイを続けていただけると幸いです。僕らが続けていくアップデートに対して、厳しいご意見や暖かいご声援をいただきながら、引き続き開発も運営もプレーヤーの皆さんと一緒に、理想の「FFXIV」を作り上げていきたいなと思っています。是非楽しみにしていてください。

編: ありがとうございました。頑張ってください。


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(2011年 10月 17日)

[Reported by 中村聖司]