インタビュー

「NBA 2K17」、シニアプロデューサーインタビュー

シリーズ未プレイの人にも、NBAを知らない人にも遊んで欲しい

10月20日発売

価格:
6,800円(税別/PS4、Xbox One パッケージ版)
6,120円(税別/PS4 ダウンロード版、PC Steam版)
5,800円(税別/PS3 パッケージ版)
5,220円(税別/PS3 ダウンロード版)
6,180円(税別/Xbox One ダウンロード版)
5,400円(税別/Xbox 360 ダウンロード版)
8,500円(税別/PS4レジェンドエディション パッケージ版)
7,650円(税別/PS4レジェンドエディション ダウンロード版、レジェンドエディション Steam版)
7,680円(税別/Xbox One レジェンドエディション ダウンロード版)
CERO: A(全年齢対象)

 2Kは、プレイステーション 4/Xbox One用スポーツゲーム「NBA 2K17」を10月20日に発売する。本作は北米で展開する男子プロバスケットボールリーグ「NBA:National Basketball Association」をテーマにしたスポーツゲーム。実写さながらのリアルなグラフィックス、そして実際の選手達に囲まれてプレイしているような選手達の特徴を活かしたAI、簡単な操作でスーパープレイが楽しめるという「NBA」ファンの夢を実現したような作品となっている。

 今回、2Kのオフィスで本作のハンズオンが実施され、発売に先がけてゲームの概要を聞き、ゲームをプレイすることができた。さらに来日した本作のシニアプロデューサーを務めるエリック ベニッシュ氏に本作のコンセプトなどを聞くことができた。

 「NBA 2K17」は、「2KU」というチュートリアルモードを用意し、これまで以上に初心者がプレイしやすい環境を準備したという。そしてオリジナルのプレーヤーキャラクターがプロバスケットプレーヤーとして成功していくストーリーを描いた「マイキャリア」もこれまで以上にパワーアップしたものが搭載されるという。そして、ゲームの発売に先がけて、「2KU」や「マイキャリア」を体験できる豪華なコンテンツ「ザ プレリュード」を先行配信するという。

 各モードの詳細は今後の情報でさらに明らかになっていくが、本稿ではこれら新要素に込めた開発者の想いを聞いていきたい。

濃いストーリー性を導入し、ユーザーをスポーツゲームに誘う

――「NBA 2K」シリーズは毎年発売される人気スポーツゲームです。リアルさ、臨場感などは毎年ブラッシュアップされていますが、作品ごとの“方向性”というのはあるのでしょうか? 例えば「NBA 2K16」はリアルさよりもゲーム性を重視とか、「NBA 2K17」は上級者向けに全体的に手を加えている、といったような全体のコンセプトは設定されているんでしょうか?

「NBA 2K17」シニアプロデューサー エリック・ベニッシュ氏
「マイキャリア」では様々なドラマが待っている
今回はコートの中でのドラマが中心となるという

ベニッシュ氏: おっしゃるとおり毎年コンセプトは決めています。ただそれは作品ごとではなく、数年のスパンで決めています。ここ数年私たちが取り組んでいるのは「プレーヤー層を広げる」ことです。これまでシリーズに触ったことがない、スポーツゲームそのものをあまりやっていないという人に向け、どうすればプレイしてもらえるかにトライしています。

 特に今年はチュートリアルモード「2KU」、そして的確にプレーヤーにアドバイスする「スマートコーチ」で、「NBA 2K」ならではの操作や、駆け引きを学べるようにしました。そしてなにより「ザ プレリュード」で、無料でプレイできる環境を用意したのです。今回はこれまで以上に新しいユーザーの開拓に積極的なチャレンジをしています。

――ゲーム的な部分では、簡単な操作でNBAの超人的なプレーヤー達を操作できる、簡単な操作でものすごいスーパーテクニックが使えるというのはやはりすごいなと思いました。その中で面白かったのが、反則するキャラクターがいると、それをしかるキャラクターがいたところです。試合の駆け引き以外のモーションも、選手の個性を再現しているのでしょうか。

ベニッシュ氏: まさにそこが「NBA 2K17」で力が入っているところです。他の選手を押す仕草、ぶつかったときの反応など、各選手達のエモーショナルな反応はぜひ見て欲しいです。巨大な体躯を持った選手達がぶつかり合う「NBA」ならではの迫力を再現できたと思います。

 カッとなってファウルをしやすい選手、チームの中でそういう選手をしかる選手なども実際の試合の中での彼らの行動から反映しています。ある選手はとてもクールなのでコートの中では絶対に怒った顔を見せません。ある選手はすごく感情表現が豊かで、フェイシャルエモーションも豊かで、他の選手に対してもその感情をぶつけてきます。「NBA」で選手達が見せた様々な行動をAIで再現しています。

――シリーズを重ねていると、「俺はこんな性格じゃない」なんて選手から言われることもあるのでは?

ベニッシュ氏: それよりも、髪型や、表情に対して注文が多いです。選手達はゲームのデータを取るために2Kのスタッフがいつ来るかをとても気にしている。その日がわかれば、お気に入りの髪型にしたり、ひげを調えたりする。それが収録日がずれてしまうと髪型が気に入らなかったり、ひげぼうぼうで収録しなくてはいけなくなったりすることもありますね。

 また、TwitterやInstagramで愚痴を言う選手も多いです。「何で俺の数値はあいつより低いんだ」、「このパラメーターに関しては不満があるね」、「何で俺の数値が75なんだよ!」などなど、選手が声を上げることもありますね。

――ゲームモードの質問をします。「マイキャリア」はオリジナル選手のサクセスストーリーを描くモードですが、どういったストーリーが楽しめるのでしょうか。「NBA 2K17」ではネタバレになってしまうので、前作「NBA 2K16」ではどのような物語でしたか?

ベニッシュ氏: 「NBA 2K16」は試合以外の部分で大きなストーリーが展開するちょっと異色と言える作品でした。主人公のライバルとしてビック(ビクター)というキャラクターが設定されていて、彼はあまり育ちの良くない境遇で成長し、プレーヤーキャラクターを妬んで妨害を行ないます。ことあるごとにプレーヤーキャラクターの足を引っ張るというちょっとダークなストーリー展開でした。

 ビックは最終的にはそれまでのつけが回ってきて死んでしまうという結末を迎える。結末も苦いものになってしました。「NBA 2K16」は、ストーリーとして暗くなりすぎてしまったという反省のもと、「NBA 2K17」では明るく、選手と試合にフォーカスした物語を展開することに決まったんです。

――「マイキャリア」は、1人のキャラクターの成長物語で、ある意味NBAをリアルに再現しようとする方向性とは異なる、架空の物語です。ユーザーからの反応はどうでしたか?

ベニッシュ氏: 「マイキャリア」は実は一番人気のモードなんです。「NBA 2K10」からの人気コンテンツで、それからずっと受け継がれている。「今年はどんなストーリーなんだろう?」というのが、ファンの大きな関心になっています。

 「ザ プレリュード」に「マイキャリア」が入っているのは、まさにそこに理由があります。「マイキャリア」で自分の分身としてプレーヤーキャラクターを作り、成長させていくことができる上、製品版でそのデータを引き継げるんだ。今回の「マイキャリア」は映画を意識した演出もあるので、続きが見たくなると思いますよ。

状況に合わせプレイを誘導するチュートリアル「2KU」

――チュートリアルモードである「2KU」も初心者に向けた目玉コンテンツですが、こちらで特にプレイしやすさを意識したところはどこでしょうか。

選手達のリアルな表現は、他の作品の追随を許さない
簡単な操作で超人的なプレイを楽しめるところも魅力

ベニッシュ氏: これまでのシリーズでもチュートリアルはあったのですが、「2KU」はこれまで以上のクオリティを持っています。一番大きな点は、プレーヤーの状況に合わせて、ゲームが止まり、次にやるべきことがポップアップされる点です。

 ボールを持ったとき切り込むためのドリブルはどうするか、シュートチャンスの操作はどうするのか、状況に合わせて操作の指示が出ます。多数の情報を与えるのではなく、状況に合わせて限られた情報を与えることで、プレイしやすくなっています。試合の途中に情報が与えられ、また異なる状況で新たな情報が与えられるという流れになっています。

 さらにこれまで同様「Tips」、「グロッサリー」という項目があり、ダンクシュートや、パスなど通常のコマンドは簡単に検索でき、調べることができます。逆に「2KU」は様々な状況に合わせて指示が出るので、「ここでシュートしたいのにコマンドがわからない」ということも起こる。組み合わせて使うことで、知識が深まりより自然な操作ができるようになります。

――「NBA 2K」シリーズは北米やヨーロッパでは非常にポピュラーなタイトルです。しかしそれでも「ザ プレリュード」のような知名度を上げるための無料配布といった戦略が必要だったのでしょうか?

ベニッシュ氏: 私たちのタイトルは充分メジャーですが、さらに新しいユーザーを取り込みたいと思っています。「マイキャリア」の映画風の演出は、「NBA」を知らない人にもこの世界にグッと引きこみたいと考えて盛り込んだものです。そして「ザ プレリュード」は、「ファンのためのサービス」という側面も強いです。最新タイトルの一部のコンテンツを、発売に先がけて体験できる。これはファンにはとてもうれしい要素だと思っています。

 ちなみに「ザ プレリュード」では、「マイキャリア」の序盤がプレイできます。「カレッジゲーム」ともう1つで、ドラフト直前までのプレイとなります。製品版でプレーヤーキャラクターはプロプレーヤーの道に歩み出すことになります。もちろん製品版でもキャラクター作成からドラフトまでのコンテンツも収録されています。

――「NBA 2K」をプレイすると、「NBA」そのものにも興味が湧くし、ゲームもとても魅力的ですが、日本ではやはり「NBAのゲーム」と言うだけでハードルが高い部分もあります。こういったバスケットボールそのものがメジャーではない市場に、どういった働きかけをしていくのでしょうか?

ベニッシュ氏: キーポイントはやはり「2KU」だと思います。このチュートリアルでプレイの楽しさを知ってもらえれば「バスケットボールって楽しいんだ」と思ってもらえる。そして「マイキャリア」のストーリーラインでバスケットボールプレーヤーの物語に感情移入してもらえる。このストーリーは「NBA」を知らない人も引きこんでもらえるものだと思っています。

 このほか、カードゲーム要素、チームの監督になるモードなど、「NBA 2K17」は様々な入り口を用意しています。色々な遊び方が可能です。幅広い人たちに遊んで欲しいです。