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FPSの音が挿すだけで変わる! GRAPHTのFPS特化イヤホン「THE SHOOTER」と超小型アンプ「MINI DAC for GAMING」を試す

お手頃価格で高性能。音重視プレーヤー必見製品

【GRAPHT THE SHOOTER】
3月21日 発売
直販価格:7,700円
【GRAPHT MINI DAC for GAMING】
3月21日 発売
直販価格:5,500円

 ゲームをプレイする上で欠かせない要素の1つは「音」だ。BGMや効果音などを使ってゲーム内の情報を伝達したり、プレーヤーの高揚感を高めるなど、昔からゲームにおいて音はとても重要な役割を担ってきた。特に近年流行している対戦FPSなどにおいては、相手の足音や銃声などの音が単なる効果音ではなく、相手の位置を探ったり、状況を把握する上で貴重な情報の1つとなっており、こうした音の聞き分けが勝敗を左右するレベルで重要なポイントの1つとなっている。

 対戦FPSにおいて、より多くの音を聴きとり、そこから状況を判断するためにはプレーヤー自身の経験も重要になるが、肝心の音が認識できなければ意味がない。そのため、音を聴くためのオーディオデバイスの品質は何より重要となる。

 今回ご紹介するのは、ゲーミングブランド「GRAPHT」(グラフト)より、イヤホンはイヤホンでも“対戦FPS特化”を掲げるゲーミングイヤホン「THE SHOOTER(GRT042-SHT-2M)」と、手元にあるオーディオ製品の音質をさらに強化するUSB接続の極小アンプ「GRAPHT MINI DAC for GAMING」だ。

 これら2製品は、接続した瞬間から、ゲームプレイの音質を即時向上してくれる。なおかつ、価格帯としても「THE SHOOTER」が7,700円、「GRAPHT MINI DAC for GAMING」が5,500円と、ゲーミング製品のなかでもかなり手に入れやすい。本稿は製品を実際に使ってみることで、FPSなどのゲーム体験がどれほど変化するかを検証したい。

FPS特化のイヤホン「GRAPHT THE SHOOTER」
コンパクトなUSB DAC「GRAPHT MINI DAC for GAMING」
同社イヤホン製品「GRAPHT THE STANDARD」(右)と格闘ゲーム「スト6」特化の「GRAPHT THE DRIVE IMPACT」(中)も用意し、3種類のイヤホンで音声の検証を行う

シンプルなパッケージがクール!マグネット付きケーブルクリップも便利

 先ずは「GRAPHT THE SHOOTER」のスペック周りから確認したい。本製品は6mm径と10mm径のデュアルダイナミックドライバーを採用するカナル型(耳栓型)の有線イヤホン。2基のダイナミックドライバーを同軸上に配置した構造により、低音域が歪まず、明瞭な中高音域を実現しているという。

 またこの構造によって、直線的に音が届くような、音の立ち上がりの速さと正確性が実現されている。コンマ数秒を争うFPSなどのゲームにおいて、少しでも早く正確な音がキャッチできるようなイメージだ。

 ケーブル長は約2.0mで、同シリーズの別モデル「GRAPHT THE STANDARD」や「GRAPHT DRIVE IMPACT」と比較しても長くなっている。PCやスマートフォンとは3.5mm径の4極L型ステレオミニプラグで接続する。プラグ部は金メッキ加工が施されており、音質へのこだわりが感じられる。

デュアルダイナミックドライバーを採用する「GRAPHT THE SHOOTER」。ハウジング部はアルミニウム切削パーツ採用のガンメタル塗装。「G」のロゴも切削加工されておりビジュアルもクール

 ハウジング部は剛性の高いアルミニウム切削パーツを採用しており、アルマイトカラーでガンメタルに塗装。メタリックな質感がクールだ。「GRAPHT」を示す「G」のロゴを切削加工してあり、FPSをイメージさせられる特徴的で硬派なデザインに仕上がっている。

 ケーブル分岐部からハウジングまでの左右のケーブル長は同じで、右イヤホンケーブルの途中にはアルミニウム切削パーツを採用したマイク&コントローラを備える。こちらのコントローラー機能はスマートフォン用となっており、コントロールボタンを操作することで接続したスマートフォンの音楽や動画再生/停止、音声認識アプリとの連携機能のほか、電話の着信機能なども備える。

右イヤホンコードの途中にはマイク&コントローラを備える
付属のケーブルクリップはゴム製で「G」のロゴの部分にマグネットが内蔵されており、強力に張り付くのでかなり使いやすい
3.5mmの4極L型ステレオミニプラグを採用。ストレートじゃないのでデスクトップのゲーミングPCなど奥まった場所に設置されている場所であっても接続しやすい

 付属品は取扱説明書のほか、左右色違いのイヤーピース、S/Lサイズが付属。Mサイズはイヤホンに標準装着済み。持ち運び用のセミハードキャリングケース、「G」のロゴ部にマグネットを内蔵したゴム製のケーブルクリップも1つ付属する。

 外箱は落ち着いた大人のデザインに仕上がっており、ゲーミングデバイスと言われなければ気が付かないほどシックでおとなしめのビジュアルだ。箱の中はその全てが硬質スポンジで満たされており、ハウジング部やマイク&コントローラがしっかり固定。安心感かつ高級感のある梱包となっている。

 2mのケーブル長はやや長めにも感じるが、ゲーミングPCでの利用を想定し、これまでよりも長めに調整している。もしケーブルが長すぎる場合には、付属のケーブルクリップを使ってまとめればOK。「G」のロゴ部に内蔵するマグネットは強力なので、ケーブルをまとめればガッチリ止まる。かなり使いやすい仕組みだ。

「GRAPHT THE SHOOTER」のパッケージは超シンプルながら、「THE SHOOTER」の簡素な文字列がクール
箱の中には同じサイズの硬質スポンジが封入されており、イヤホンなどをしっかりと保護している
付属品はセミハードのキャリングケースと紙のマニュアル、サイズ別のイヤーピースはキャリングケース内に収められている
左右で色の異なるサイズ違い(S/L)のイヤーピースが付属する
セミハードキャリングケース

FPSで必要な音声が拾いやすいユニークなチューニング!聴こえる、聴こえるぞ!

 では、「GRAPHT THE SHOOTER」の実力をさっそく試したい。FPS/TPSゲーム特化というユニークなチューニングが特徴のイヤホンとなるので、今回は比較対象として、同ブランドの別モデル、ゲームや音楽全般を楽しむためのゲーミングイヤホン「GRAPHT THE STANDARD」と、格闘ゲームの「ストリートファイター6」に特化したモデル「GRAPHT DRIVE IMPACT」も合わせて使ってみた。

 試したゲームタイトルは、人気FPSの2タイトル、エレクトロニック・アーツの「エーペックスレジェンズ(Apex Legends)」と、ライアットゲームズの「Varolant」だ。

 まずは「エーペックスレジェンズ」から。最初に標準モデル「GRAPHT THE STANDARD」で試すと、ゲーム内の環境音とNPCの音声など、そのどれもがフラットに聞こえる。本来のゲーム音、つまり標準的な設計通りの音が、高品質に耳に届く感じだ。

 そこで、今度は「GRAPHT THE SHOOTER」を使ってみると、聞こえ方のニュアンスが大きく変わった。特に銃声や着弾音、プレーヤーが移動する時の歩く音、扉の開閉音など、キャラクターの動向で発生する環境音がどれも強調されることがわかる。

 「エーペックスレジェンズ」は終盤に向かうほど戦闘が激化し、敵味方が入り乱れて状況判断が難しくなるが、その戦闘において特に重要な音が耳に届きやすくなっていると感じられた。

「Apex Legends」のトレーニングより。パスファインダーへの着弾音や銃撃の音声がかなり明瞭に聴こえる
回復スキル使用時などの効果音がはっきりと聴こえるようになった

 続けて「Varolant」でも「GRAPHT THE SHOOTER」を試してみたが、こちらも同様で、対戦相手の足音や自身の足音がかなり明瞭に聞き取れるほか、アビリティーやアルティメットの発動音が明瞭に聞こえてくる。

 銃声、スキル、足音など特に重要な音がより聞こえやすく、さらに音が鳴っている方向も感じ取れるため、ゲーム内で起きていることにより素早く、より正確に反応できる。まさに、FPS/TPS特化の名にふさわしいチューニングが施されていると言えるだろう。

 また「GRAPHT THE DRIVE IMPACT」は、音質のタイプ自体は「GRAPHT THE SHOOTER」近く、銃声や歩く音といった効果音が強めに聞こえる。が、「GRAPHT THE DRIVE IMPACT」に関しては「スト6」の特徴的なシステム「ドライブインパクト」の音がものすごく強調されるチューニングとなっており、実際に「スト6」をプレイすると段違いに聞こえ方が変わる。

 「スト6」において、「ドライブインパクト」が聞こえることの重要性は本題から外れるので割愛するが、3モデル三様の、まったく異なる聞こえ方になっているところは、GRAPHTならではのこだわりと調整を感じられて非常に興味深かった。

GRAPHTイヤホン 3製品の体感比較
製品名製品カテゴリ体感
THE SHOOTERFPS/TPS特化モデル低音が減衰され、中高音域が強調されている。FPS/TPSで重要になる音がより聞こえやすくなる
THE STANDARD標準モデル比較的フラットな設計。音楽作品や、多くのジャンルのゲームを幅広く楽しめる
THE DRIVE IMPACT「スト6」特化モデル中高音域が強調されている。特に「ストリートファイター6」の「ドライブインパクト」を聞き取りやすいチューニングとなる
「ストリートファイター6」のトレーニングモードで「ドライブインパクト」の簡易練習を実行。「GRAPHT THE STANDARD」ではフラットな音声が楽しめるが「GRAPHT THE SHOOTER」では打撃音などがかなり明瞭に聴こえるように感じた
「GRAPHT THE DRIVE IMPACT」を使うと、ドライブインパクト発生時の音がかなり明瞭に耳に残るようになる
ただし、いくら音が耳に残っても、ドライブインパクトが返せるようになるほど簡単な話ではないので、この辺りは日々の修練が必要なところだ

USB DACで音質アップ!イヤホンの特性をさらに強めるイコライザーも搭載

 続いて、USB DAC「GRAPHT MINI DAC for GAMING」だ。DACとは「Digital-to-Analog Converter」の略で、デジタルな音声データを実際のアナログな音に変換してくれるコンバーターのこと。言ってしまえば、ゲーミングPCなどにおいて“音声出力専用の外部アンプ”を手軽に導入するようなイメージで、マザーボードに備える内蔵オーディオ機能と比べて、クリアな音質が簡単に実現できる、というものだ。

USB DAC「GRAPHT MINI DAC for GAMING」

 当然ドライバーのインストールなどは不要で、PCなどに接続すればいきなり使えるようになる。本製品を接続する事で、384kHz/32bit PCMや、DSD128といった高音質データの再生も可能だ。

 本体にはUSB Type-C端子を備えており、直接接続して使う事もできるほか、USB Type-A変換アダプタや、延長ケーブルも付属するので、PCの空き端子に合わせて接続先を変更できるのもありがたい。オーディオ出力端子部は3.5mmの4極ミニプラグを採用し、上記の「THE SHOOTER」などの同社製イヤホンが問題なく利用できるのはもちろん、他社製の有線ヘッドホンやイヤホンを使う事も可能だ。

 なお、今回はゲーミングPCとの接続を想定してその機能などについて紹介しているが、PC以外にもUSB Type-C接続に対応するスマートフォンなどでも利用できるのは便利なポイントの1つだ。最近のスマートフォンには音声入出力端子を備えていない物も多いので、こうしたスマートフォンなどに有線イヤホンを接続する用途で使えるのも嬉しいところ。

USB Type-C端子が空いているなら直接接続して利用できる
USB Type-A変換コネクタが付属するので、USB Type-Aで接続したい人も問題ナシ
長さ2mの延長布巻きケーブルが付属するので、デスクトップのゲーミングPCなどと接続した場合でも手元までDACを引っ張って来られるのがありがたい
USB Type-C搭載スマートフォンなどに接続して使う事もできる。試しに筆者手持ちの「Nothing Phone (3a)」に接続してみたが問題なくゲーム音声などをイヤホンで楽しむことができた

 PCやスマートフォンなどに接続すると、背面に備える3カ所のLEDが1度だけ点滅して再度消灯する。さっそく聞いてみると、PC標準のアナログオーディオ出力と比べて、全体の音圧レベルが上がることを感じる。

 その上で、ホワイトノイズなどは一切ない、よりクリアで鮮明な音が流れてくるようになる。挿すだけで、いきなりオーディオ体験が変わったわけだ。対戦中の、小さな足音や遠くの銃声でも聞き逃したくない状況では、少しのホワイトノイズでも邪魔になるかもしれない。そうした懸念が、このDACひとつで払拭される。また音圧が上がり、音のコントラストがより明確になる。「GRAPHT THE SHOOTER」と組み合わせると、その特長をより伸ばすことができる。

 ちなみに消灯状態は、デフォルトの「ノーマルモード」が動作していることを示す。本体の緑色部分はボタンになっていて、押し込むとプリセットモードを変更できる。「ノーマルモード」以外を使っている時は、LEDが常時点灯する。

 1度押すと「FPS LIGHTモード」となり、イヤホンでFPSなどのゲームを遊ぶ際に最適な調整されたモードとして動作する。2度押すと「FPS HEAVYモード」で、こちらはヘッドホン向けのFPSモードとなる。3度押すと「RHYTHMモード」として動作し、リズムゲームやBGMが楽しめるセッティングになっている。

本体底面部の緑色の部分はスイッチになっており、押す事でプリセットのイコライザーを変更できる

 各モードをチェックしてみると、「FPS LIGHTモード」は低音域が下がり、中音域が強調されるセッティングだ。一般的なイヤホンでも足音や銃声などの音の聞き分け性能が向上するような、「GRAPHT THE SHOOTER」と同じような効果を得られるイメージとなる。

 「FPS HEAVYモード」は低音域を維持しつつ中音域を持ち上げるセッティングで、音圧の高いヘッドホンと接続する事で、かなりきめ細やかな聞き分けが行なえるようになる。

 「RHYTHMモード」は低音域を持ち上げるセッティングとなっており、リズムゲームなどで重要なドラムやベースラインなどのリズム帯の音が特に楽しめるモードとなっている。

 「GRAPHT MINI DAC for GAMING」の良さは、ソフトウェア要らずでイコライザー設定が可能という点だ。挿すだけで音質が上がり、ボタンを押すだけで専門家によるイコライザー設定がいきなり使用できる。まず使ってみて、音にこだわるきっかけとして利用してみるのもいいだろう。

 ちなみに、製品は極小サイズのため紛失が心配になってしまうが、イヤホンジャックの差込口はあえて固めに作ってある。よく使うイヤホンなどに常に挿しておけば、紛失の心配なく持ち運ぶことができる。

FPSプレーヤーの可能性を切り開く。最高コスパのオーディオ製品

 「GRAPHT THE SHOOTER」と「GRAPHT MINI DAC for GAMING」は、いずれもFPSにおける音の重要性を理解し、それを最大限に活かすために設計された製品と言える。

 加えて「GRAPHT THE SHOOTER」が直販価格で7,700円、「GRAPHT MINI DAC for GAMING」が5,500円。性能重視のイヤホンなら1万円を軽く超えるものが多い中、どちらもゲーミングオーディオ製品としてかなりお手頃価格で提供されているのも嬉しいポイントの1つだ。

 対戦型FPSでは、音にこだわることで敵や味方の動きへの反応速度が変わり、自身の立ち回りに大きな影響を与える。「GRAPHT THE SHOOTER」と「GRAPHT MINI DAC for GAMING」のどちらかだけでも、あるいは両方を組み合わせて使うことで、ぜひ次の対戦で勝利を掴んでいただきたい。

手に入れやすく、高性能。GRAPHTのゲーミング製品は今後も注目だ