佐藤カフジのVR GAMING TODAY!

もはやプロトタイプではない! VRゲーミング@E3 2015

筆頭はOculus&SCE。新興のVR第三勢力も続々参戦!

【著者:佐藤カフジ】

 Oculus Rift製品版の正式発表の興奮も冷めやらぬ中、世界最大のゲーム展示会E3 2015が6月16日~18日にかけて開催される。

 2013年のGDCでOculus Rift DK1が初披露されてから2年あまり。新世代のVRを猛烈な勢いで切り開いてきた業界の蓄積が本格的に結実する、VRゲーマーにとって記念すべきE3だ。

 今回のE3会場ではOculus Rift、SCEのMorpheusともに、製品版相当の実機デモが大量展示されるほか、やや遅れて立ち上がった第3勢力によるVRシステムや、各ゲームデベロッパーによるVR対応ゲームタイトルも、かつてない質と量で展示される模様だ。

 本稿では、VRの当たり年となるE3 2015の注目点を予習してみよう。

Oculus、SCEは対応ゲームを大量展示。新興勢力のVRシステムも!

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Oculus

Oculus Rift

VRコントローラー「Oculus Touch」も試せるだろうか?

 11日にOculus Rift製品版の正式発表したばかりのOculus VRは、今回のE3で過去最大級のブースを出展。ブースで行われる体験デモは専用アプリで予約を受け付けているが、11日の予約開始から半日ほどで3日分の全スロットが埋まった。VR関連では最大級の注目を浴びることは間違いない。

 Oculus VRのブログによれば、今回のE3デモでは以下のタイトルが試遊可能となる模様だ。発表されたばかりのVRコントローラー「Oculus Touch」も体験できるだろうか?

・Damaged Core (High Voltage)
・VR Sports: Challenge (Sanzaru)
・Esper (Coatsink)
・AirMech (Carbon)
・Lucky’s Tale (Playful)

 筆者も体験デモを予約することができたので、その模様はE3 2015レポートとしてお届けする予定だ。

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Morpheus

Project Morpheus

 PS4向けVRヘッドセットMorpheusを開発するSCEは、ブースの大半をVR関連に割り当てて製品版相当の体験デモを大量に実施する模様だ。そこでプレイできるVRゲームタイトルは現地時間6月15日18時(日本時間16日10時)からのプレスカンファレンスで発表される見込みなので、そちらも合わせてチェックしよう。

 なお海外メディアSony RumorsによればProject Morpheusの製品名は「PlayStation RealEyes」になり、また、最新のVRコントローラーとして「PlayStation Move 2」が今回のE3でお披露目されるというリーク情報がある。現時点では確信が持てないが、製品版の発売までおよそ1年となる今回のE3では、かなりのレベルで全貌が明らかになっていくはずだ。

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StarVR

StarVR

 ゲームデベロッパー/パブリッシャーのStarbreezeは、VR関連スタートアップ企業InfiniteEyeを買収し、独自のハイエンドVRヘッドセット「StarVR」の開発を進めている。

 StarVRは水平視野角210度(!)、解像度5,120×1,440(!!)という、Oculus RiftやMorpheusを遥かに越える表示系のスペックを誇るVRヘッドセット。はたしてこのスペックをまともに動かせるマシンなどあるだろうかと心配になるが、注視点を中心にアダプティブに解像度を切り替える技術などを駆使すれば十分に実現性はある。

 今回のE3では実機が出展される模様。前例のない高品質VRを体験できるかもしれない。

StarVR。独特の形状でかつてない高視野角(210度)を実現するとしている。表示パネルは2,560×1,440を2枚使用。
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ANTVR

「ANTVR」のKickStarterページ(https://www.kickstarter.com/projects/805968217/antvr-kit-all-in-one-universal-virtual-reality-kit)

ガンコンとHMDのセット

 中国の企業もVRヘッドセットを出展する。ANTVR(All-IN-ONE Universal Virtual Reality Kit)と呼ばれるこのVRシステムは、VRヘッドセットとガン型コントローラーのセットで構成される。

 視野角は100度、表示パネル解像度は1920×1080と、スペック的にはかなり抑えられているが、映像信号の通信にワイヤレスのWHDIを採用。ケーブルレスのVRシステムとなるのが特徴だ。

 付属のガン型コントローラーは2パーツからなり、変形することでゲームパッド型にもなるという仕様が面白い。全体的にスペックが抑えられていることもあって、かなり安価に導入できるVRシステムになる可能性がある。

体感型VRデバイスの戦国時代がはじまる?

 Oculus、SCE、Valve(今回のE3では出展なし)ともに“両手に持つVRコントローラー”を用意したこともあり、VRコントローラーの標準仕様は固まりつつある。

 しかし、より体感的にVRゲームをプレイしたいユーザーにとっては、これからが本番だ。手や全身をVRコントローラー化する本格デバイスを、各VR関連ベンチャー企業が凌ぎを削って開発を進めているのである。今回のE3ではこのカテゴリーでも複数の興味深い出展が見られる模様だ。

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Virtualizer

自由な姿勢をとれるのがウリ

 ドイツ企業CyberithのVirtualizerは、全身を使うVRマシンだ。昨夏よりスタートしたKickStarterキャンペーンを成功させ、現在は製品化に向けた開発が進められている。

 似たような装置としてはVirtuixのOmniが先行して製品化を果たしているが、Virtualizerは“専用ブーツが不要”、“立ったり座ったり、ジャンプしたりできる”など多くのアドバンテージを持っており、全身没入型のVRゲームを遊ぶならこれ!という決定版になりそうな塩梅だ。

 装置の規模的にちょっと買って試してみる、というのがほとんど不可能なので、今回のE3出展にてぜひ体験してみたいと考えている。

Omini Hands。DititalTrends.comより
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Omni Hands

昨年のE3で出展されたOmni

 昨年のE3で全身没入型のVR装置「Omni」を出展したVirtuixは現在、グローブ型のVRデバイスを開発中だ。「Omni Hands」と呼ばれるこのVRグローブでは、五指の完全なコントロールが可能である上、内蔵アクチュエーターにより触感のフィードバックも可能とされている。

 段階的にはまだ初期プロトタイプという印象なので、使えるレベルのものが今回のE3で出展されるかどうかは微妙だが、Virtuix自体はブース出展を行なう見込みなので、機を見てチェックしてみたいと考えている。

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Manus Machina

Manus Machina

軽量なVRグローブ

 スタートアップ企業Manus Mahchinaが開発中の「Manus」は、グローブ型VRデバイスだ。昨夏よりスタートしたKickstarterプロジェクトは残念ながら失敗に終わったものの(https://www.kickstarter.com/projects/606955275/manus-machinae-be-part-of-the-machine/)、チームはしぶとく本製品の開発を続けており、今回のE3ではじめての出展を行なう模様だ。

 Manusの特徴は、42グラムという軽量性。長時間にわたってVRゲームを遊ぶなら、重さを感じさせない基本仕様は重要だ。しかし、競合製品にあるような触感フィードバックの仕組みは搭載しない模様。だとしても、軽量さに加えて精度・遅延の面で差をつけることができれば生き残ることができると考えられるが、果たして?