【連載第19回】オンラインゲームの楽しさを再認識しよう!


てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム


これぞオンゲーの醍醐味! バーチャルな枠を超えて集う「愉しいオフ会」
仮想空間と現実(リアル)世界の相乗効果で強くなる友達との絆


 「オフで会わない?」という言葉は、ある意味オンラインゲームの最大の冒険かもしれない。ゲーム内で毎日のように会い、一緒に遊び、語り合った友達。彼らと、現実(リアル)で会って話をしてみたい。オンラインゲームプレーヤーの多くが、親しい友達ができたとき、きっとそう思うだろう。

 普段はゲームの中で遊んでいる、毎日のように合っている友人達と“リアル”で会う。楽しみだけど、ちょっと不安で、始まる前は緊張してしまう。しかし、リアルで会うことで、間違いなく絆が深くなり、その後のオンゲーライフがずっとずっと楽しくなる。

 「もっと君のことを知って、もっと関係を深くしたい。ぶっちゃけ一緒に酒飲みたい」。人と人をつなげるオンラインゲームだからこそ生まれる欲求。「てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム」の今回のテーマはずばり「オフ会」である。

 みんなゲームは好きだけど、僕とは全く違ったアプローチで楽しんでる。いつも会う友達とはひと味違った出会いがあった。彼らとの出会いが、新たなゲームライフを生み出す「愉しいオフ会」を語っていこう。


■ とにかく飲もう! 集まった人たちがアピールするのは、「ゲームの中のワタシ」

40人以上の人が集まった飲み会。かなりのテンションだった。6年も続いているゲームだけに、25~35歳くらいの人が多かった

 ネクソンのMMORPG「マビノギ」の6周年を祝う公式のオフラインイベントが、6月18日にあった。この時、「どうせならオフラインイベントの後、みんなで飲まないか!」という提案が、僕も参加している「マビノギ」のプレーヤー達によるSNSで上がり、40人を超える参加希望者が集まった。

 この提案をしたのは僕の女友達で、彼女はもう2年以上前からこういった集まりを提案し、そこから人脈を広げて、主要メンバーは数カ月に1度集まっている。「マビノギ」では6つのサーバーがあり、プレーヤーの多くは違うサーバーとの交流は少ないが、彼女とその仲間達は、SNSを起点に、サーバー間を越えて交流している。僕もその中に何度も混ぜてもらっている。

 リアルの集まり、飲み会が好きで、新宿にオフ会用の顔なじみの飲み屋までできてしまった。僕も「隅田川での屋形船オフ」などにも参加させてもらっていて、主要メンバーともすっかり顔なじみになった。中心となる彼女はものすごいパワーと、実行力、そして細かいところまで気にする繊細さがあって、彼女を慕ってフォローしてくれるメンバーが集まっている。みんなで楽しむために頑張ってくれる、気持ちのいい“オフ会メンバー達”なのだ。彼等が主要メンバーとなって、今回のオフ会も企画された。

 彼女たちの呼びかけに、40人を越える参加者が集まった。もちろん初参加の人も多い。オフラインイベントは六本木で行なわれたが、主要メンバーがリーダーシップをとり、きちんと引率し、新宿の飲み屋までつれていってもらえた。彼女の提案に50人収容できる場所をあっさり用意してくれる飲み屋の方もスゴイ。彼女とこの飲み屋の出会い、彼女を助けてくれる主要メンバー……そして「マビノギ」という長く続くゲームと、きちんと毎年開催されるオフラインイベントという、いくつもの要素が組み合わさっていないと開催できなかった、特別なオフなのだ。


イラスト:ミズノ マサト

乾杯! どがしゃーん!!

 派手にグラスを合わせての乾杯の後、運ばれて来る料理を食べながらも、みんなが席から立ち上がる。何をするかと思えば、「名刺交換」だ。オフラインイベントではリアルに出会えたのをゲーム内のきっかけにしようと、来場者が名前を書いたカードを交換できるようになっていた。オフ会の彼等は、そのアイデアからさらに発展させ、このときのために自作の名刺を持ってきているのである。

 名詞はキャラクターのスクリーンショットが貼り付けてあったり、イラストだったり、フォントにまでこだわってたり、面白い作品ばかりだ。共通するのは、「自分が、ゲーム内でどんなキャラクターなのか」というところだ。自分の思い描くイメージで自分のキャラクターの“絵”を作る。もちろんプレーヤーの本名なんて書いてない。キャラクター自身が作ったかのような名刺なのである。プレーヤー達は、自分のキャラクターと、ゲーム内での“生活”を力一杯アピールするのである。

 話すことも、ゲームのことばかりだ。特にこの集まりでは、普段の自分の周りにはいない、ディープな話が聞けた。「鍜治屋をやってて、1級品を安く売っていたら、『相場を荒らさないでくれ』と言われた。原価と儲けを考えているのに」とか、「実はボス狩りは、とどめを刺すのはテクニックを持つ人達で細かい取り決めがある」とか、「毎日何十のキャラクターでログインし、そこで手に入るアイテムを売って商売をしている」などなど、コアプレーヤーたちの濃い話を生で聞けるのは、貴重で楽しい。

 オフラインイベントで披露していた衣装に着替える人達もいた。このオフラインイベントとオフ会のため、衣装を作ってきたという。「日暮里に生地が安い店がある」といった、話題の広がりもあって面白い。このオフ会では、初対面が多い。しかし、「マビノギ」というゲームが大好きで、こだわりを持って“オンゲーライフ”を過ごしているという共通点を持っている。その空気が、みんなを陽気にさせていた。立ち上がって踊り始める人もいれば、奥でまったり酒を酌み交わす人もいて、なかなかカオスな空間だった。

時間がたつにつれ、さらにはじけていった。オフラインイベントのために用意したコスプレを披露する人も

 1次会の後、僕らはいつもゲーム内で会っているメンバーと2次会をした。場所は、落ち着いてお酒が飲める所だ。そこでは、気の置けない仲間と、“普段話せないこと”がメインとなって、たっぷり語り合った。

 「あの人のリアルな性別は、本当に女の人なんだろうか」、「いなくなったあの人のトラブルは、本当は何だったのか」……。もちろんこうしたどろどろした話だけでなく、スキルの話や、クエストの話もする。こちらもより実感のこもったものになる。ディープで、濃い、友達とだけの会話だ。ゲーム内での深いつきあいの友達と酌み交わす酒は、また格別だ。

 こういう、友達とのオフ会は何度もしている。僕の最初のオフ会は「ウルティマオンライン」だった。ゲームの中だけだった友人と現実に会うことになった最初の緊張は今でも覚えている。まず相手をどう呼ぼうかすらためらいがあった。本名を知らないし、街中でゲームキャラの名前もないだろう……。ぐるぐる悩んでいる内に、友人が来た。いつもゲーム内で、「俺、お前」で呼び合っている友達が、敬語で挨拶してきたとき、僕は無理に親しい口をきいて笑い飛ばした。自分から相手をゲームの名前で呼び、向こうもはにかみながらもうれしそうに答えた。思えばこの時の思い切った親しみの表現が、僕のその後のオンゲーライフを決定付けてくれた気がする。

 いまでも、ゲーム内で会っている時間が長い人とリアルで初めて合うのは、ちょっと緊張する。でも、ある瞬間、何気ない会話や仕草で、間違いなくゲームキャラクターと本人が、“同一人物”だとわかるのだ。そのときの独得のうれしさは、オフ会経験者なら、誰でも持っているだろう。ゲームキャラクタのセンスや、エッセンスが、目の前の人と重なる。そして、1度顔を合わせた人とは、ゲーム内での結びつきも一層強まる。ゲーム内で笑っているとき、画面の向こうのプレーヤーの笑顔も見えるのだ。反対に、現実で合うときは、年齢や、立場を飛び越えているのも面白い。そのとき僕らは、現実の友達の顔の向こうに、ゲームのキャラクターを見ているのである。

 オフ会は、ゲーム内のつながりを、もう一段深くしてくれるものだと思う。この人がどんな人か、どういう考えと、こだわりをもっている人か。僕たちはゲーム内で、多くの人に触れ、その中から、信じられる友達を得る。そして現実では難しいほどに一緒の時間を過ごす。そんな大事な仲間は、リアルであっても、やはり気持ちのいい人達だ。


■  てっちゃんの割とどうでもいい話 「贖罪のアイスカフェモカ」

「マビノギ」では、高品質の食べ物を食べるとムービーが流れる

 「コーヒー作ってくださいね。待ってますから」。こう友達にいわれたとき、「ごめん」という言葉で頭がいっぱいになった。数カ月前、友達が初心者だった頃、ジャングルの奥地に観光に連れて行き、「コーヒーの木」を見せ、「このコーヒーをごちそうするよ」と約束したのだ。「マビノギ」では多彩な料理が作れる。僕はあの時、軽い気持ちで約束した。そして、果たせないまま長い時が過ぎていたのである。

 コーヒーを作ってあげなかったのは、料理は僕にとって、メインのスキルではなく、作るのがちょっと面倒くさかった。そして友達と遊びたいコンテンツ、見せてあげたいものがたくさんあったからだ。友達の中で、「コーヒーを作って欲しい」というのが、そこまで大きいことだったとは、そのときまで気がつかなかったのだ。

 なんとしても友達に、僕が作った最高品質のコーヒーを上げたい。いや、それだけでは、友達の期待をほったらかしにした自分が許せない。そうだ、最高に手間がかかるコーヒー豆を使った、凝ったゲーム内の食べ物を上げよう。僕はそう決心した。

 「マビノギ」は現実のように食材を組み合わせて料理を作る。配合によって品質が変わり、いいバランスだと高品質になり、飲む(食べる)とムービーが流れる。今回僕が目指したのは「最高品質のアイスカフェモカ」だ。

 「アイスカフェモカ」を作るためには、まずコーヒー豆を少しの水で煎り、「煎ったコーヒー豆」にする。そこから多めの水を加え焙煎し「エスプレッソ」を作る。これで友達との約束は果たしたことになるわけだが、ここから、もう1つエスプレッソを用意し、アイスカフェモカを目指した。ミルクと水を鍋で煮て、スチームミルクを用意して、チョコレートの材料と混ぜ、「カフェモカ」を作り、さらに氷と生クリームを混ぜることで、ようやくアイスカフェモカが完成するのである。

 各材料は、それぞれ別々の街にしか売ってない。「氷」は、夜にしか開かない、入場料を取るバーでしか手に入らないのだ。結局、色々街を駆け回り、現実の時間で1時間近くかけて作った。大変だったが、友達のためにかける手間は、楽しい。一品作るために馬で荒野を越え、峠を越えて食材をそろえるというロールプレイが楽しかった。



~今回ぐだってしまったオンラインゲーム~

「マビノギ」

6周年記念の会場。抽選で選ばれた、360人以上のプレーヤーが集まった

 「マビノギ」は韓国NEXONのdevCATスタジオが開発するMMORPG。日本では2005年より正式サービスが行なわれている。現在6周年を迎えた。オフラインイベントでは、6月23日に実装される「G14S3(ジェネレーション14シーズン3)」だけでなく、「G14S4」そして、先行している韓国でも未発表の「G15」の情報が公開された。

 ケルト神話をベースに神々の物語を展開していた「マビノギ」は、未知の大陸の探検や、錬金術という新しい技術体系など、新たな要素を積極的に導入している。2010年末からは「シェイクスピア」の物語をゲームに取り入れている。秋に予定されている「G15」では、「貿易要素」が導入されるという。

 現実のような細かいスキル、PKがなく、PvPもあまりない、まったりとした生活感が魅力の作品である。韓国産MMORPGの中で、強いオリジナリティを感じさせる作品だ。


【スクリーンショット】
生活要素、冒険、戦闘と、多彩な要素と明るい雰囲気が魅力だ

Copyright (c) 2003 NEXON Corporation. All Rights Reserved.

(2011年 6月 28日)

[Reported by 勝田哲也]