コメディアンBJ Foxの脱サラゲームブログ
連載第7弾
Nintendo Switch版で「INSIDE」デビューしてミニマリズムの素晴らしさに気づいたよ
2018年10月29日 07:00
この脱サラゲームブログを開始するきっかけとなった脱サラのきっかけだったプロジェクトの新シリーズがついに発表された! 僕が脚本家・主役を務めている国際結婚コメディドラマ「Home Sweet Tokyo」のシーズン2が発表されたんだ。国内放送の詳細はまだ発表されていないが、ひとまずNHK Worldにて海外向けに12月にスタートするからみんな見てね!
さて、前回のブログでフィーチャーしたゲームは「Marvel's Spider-Man」だった。ピカピカで輝いたニューヨークをベースとしたオープンワールドの爽快感は素晴らしかった。おそらく次に取り上げたい大作は、Rockstar Gamesの期待作「Red Dead Redemption 2」だろう。トレーラーを見ると、PS3でも圧倒された開拓時代の描写は、PS4にてさらに美しくて壮大となっている。
そして次の次は、「Fallout 76」となるでしょう。今まで大好きな「Fallout」シリーズのオンライン版で、自由度もレベルアップすると思う。「Spider-Man」も楽しかったし、次の2作も待ちきれないが、全部プレイ時間が長いゲームだね。一時的に自分の人生を取られてしまうゲームだね。僕と彼女のリレーションシップを危うくするゲームだ。「爽快感」、「壮大」、そして「自由度」はいい言葉なんだが、「プレイ時間が60時間以上」に該当する暗号だろう。
だから、今回はオープンワールドの神ゲー連発の前のウォーミングアップとして違う体験を求めたかった。自由度が高くてなんでもできる、しかも喋りが止まらない「Marvel's Spider-Man」の正反対のゲーム体験だ。そこで僕が探し出してきたのがPlaydeadの「INSIDE」だ。「INSIDE」は2016年にリリースされたゲームだけど、Nintendo Switch版が6月に発売されたので、これを機に遊んでみたんだ。
「INSIDE」は自由度が高いどころか、ほぼ一本線。ピカピカどころか、ほぼモノクロ。口が止まらない主人公どころか、セリフ、解説、言葉さえが1個もない、アドベンチャー・パズルゲームだ。英語では、“Less Is More(レス・イス・モア)”という表現があるが、日本語だと、“モノが少ない方が豊富だ”という、ミニマリズム風な、いかにも片付けコンサルタントの近藤麻理恵氏の著作にあるような言い方となるだろう。今回は、「INSIDE」を通じてその表現が正しいかどうか、僕をときめかせてくれるのかどうかチェックしてみた。
このゲームはずっと気になっていた。ひとつの理由は、海外レビューでの評価の高さ。もうひとつは、同じメーカーの前作「LIMBO」が超お気に入りだったから。インディーズゲームの代表作だったし、モノクロでの世界観が強烈な印象を残していた。「INSIDE」は、「LIMBO」から6年ぶりの2作目だったから、楽しみだったね。
「LIMBO」との共通点は多く、「INSIDE」を最初に手にした瞬間からそのDNAが感じられる。両ゲームは、左から右へスクロールしていくアクションゲームだ。両ゲームはモノクロ。両ゲームの主人公は、1人ぼっちの青年だ。ステージ内のパズルを間違えば、即死だ。
本当にこのゲームは死の祭りだね。激突死、感電死、溺死、窒息死、猟犬に四分五裂にされる死、狂豚に押し潰される死……死に方は豊富であり、そして「Less is More」というアプローチの見どころは、静かに無言でモノクロで主人公が命を取られてしまうシーンが、グロのアクションゲームの中の死よりもインパクト有り。1人ぼっちさが伝わってくる。寂しさも。人生の無意味さも。
「LIMBO」の世界観は非常に暗かったが、「INSIDE」は、さらに絶望的だ。ロシア性ディストピア系の小説のゲーム化されているのような体験。人間はただ工場の中の機械の中の歯車の歯の1個に過ぎなく、人命の価値も一斉ない世界だ。
その工場から脱出しようとする主人公が他の人間に発見されたら、死。でも主人公としても、自分の脱出のためとなるならば、周りにいる人間もただの道具として平気で使い捨てにする。ヨーロッパの中では、スカンディナビアの国々の国民性は、暗くかつ冷たいというイメージがイギリス人にはあるので、メーカーのPlaydeadがデンマークにあると調べたら、「なるほど」と思った。
先ほども触れたように言葉のないゲームだから、ストーリーはプレーヤーの想像に任されている。ただ、確かにある。何かの工場からの脱出。違う、工場じゃないかも。工場ではなく、人間養殖施設からの脱出かな。それもどうだろう。何も解説もないため、全てがプレーヤーの想像に任されているんだよね。にもかかわらず、ストーリー性は豊富であり、引っ張られる。4時間の脱出の末に出てくるエンディングはハッピーか悲しいかどうかということも、プレーヤーの想像に任されている。“微妙ハッピー”だなと、僕は決めつけた。
そして大事なのは4時間くらいでクリアできるゲームだということだ。パズルがやや難しいものもあるが、頭を回転させながらストレスなく(しかも攻略をチェックせずに)進められるはずだ。何回も苦労して、何回も死んでパズルの解き方がやっと見えても、いつものリアクションは満足感に満ちた「なるほど」があった。4時間ほどプレイして、 エンディングが出てきたときでも、同じ満足感があった。
もう2018年では、今まで想像すらできなかった素晴らしいゲーム体験に恵まれている。より広大なマップ。数えられないほど多い武器。永遠に続くストーリー。
僕はこのコラムでBigger is Better(でかいものはより良い)という考え方が間違っていると言いたいわけではない。正直、僕は今年の秋の大作を待ちきれないが、「INSIDE」がいろんな意味で見せてくれたように、たまにLess Is Moreでいいだろう。確かにこのタイトルは僕をときめかせてくれた。
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