コメディアンBJ Foxの脱サラゲームブログ
連載第2弾
7月に本当に脱サラしたBJ Foxが語る「Stardew Valley」=脱サラ物語
2018年8月20日 12:00
こんにちはBJ Foxです! 今、脚本を書いたり、撮影の下準備をしながら毎日過ごしていますが、その他の活動も休憩なしです! コメディ音楽コンビで一緒に頑張っているRuben VMの新シングルにも出演させていただきました。日本の一番漢字が読みやすい祝日「山の日」の(非公式)OFFICIAL SONGです!
ところで僕は今年の7月に、来日3周年を迎えた。在日外国人の英語では、そのマイルストーンは、「Japan(日本)」と「Anniversary (記念日)」の省略語で「3rd JAPANNIVERSARY」と言う。こう説明すると、我々在日外国人がダサいと思う反面、「ポケモン」、「グラセフ」、(最近PDF化されがちの)「トリセツ」という言葉を生んだ省略語好きな日本には、いかに相応しい言葉だとも思える。
3年間。長い!けれど早い!もうそろそろ、「短期滞在」から「短期」を取り除かないといけない。36歳独身のイギリス人としては、3rd ジャパニバーサリーに結構考えさせられるのだ。
十分日本語が上達したか。
キャリアは正しい方向へ進んでいるか。
なぜ今だに結婚できていないのか。
そして1番重要なのは「3年間したら帰るよ」と約束したロンドンの母には、どう言い訳するかである。東京オリンピックを口実にするしかないと思っている。しかも、今回のJapanniversaryと全く関係なく、7月末で脱サラまでしてしまった! 普段のサラリーマンとの両立がやはり難しかった。
なぜかこの画期的な節目にプレイしていたゲームは、シミュレーションRPG「Stardew Valley(スタデューバレー)」である。(省略を「スタバ」にしてしまうと、彼女の混乱を招いてしまうので、要注意)。2016年にSteamで発売が開始され、世界で好評を得たゲームで、その後PS4、Xbox Oneにも移植され、そして去年末にやっとNintendo Switchへ到着。このようなインディーゲームがNintendo Switchへ登場して、マリオやゼルダだけで満足していた僕でも、Nintendo Switchを新しい視点で見始めた。
「Stardew Valley」は、表面上は「牧場物語」(マーベラス)のDNAも感じられるRPGである。荒れ地の草を刈り、タネを植え、動物を飼い、農作物を売って、自分の牧場をパワーアップさせる。「牧場物語」からは離れるが、ゲームを進めると、鉱石の採掘やモンスターと戦うゲームプレイも搭載されている。
ロンドン育ち東京在住の僕には、農場の運営は無知の領域であった。しかし、始めの印象から抜け出し、ゲームが進むにつれ、ゲーム内のピクセルBJと実世界のBJ Foxの共通点が目立ってきた。ストーリーの主人公が都会の生活に飽きてしまい、田舎の町「ペリカンタウン」に引っ越す。オフィスの窮屈さから自由奔放の生活へ。3年前に東京に引っ越して来た自分を思う。ちょうど今脱サラをしてしまった僕のことも思う。
バスから降りて、新しい人生がスタートした主人公。想像力不足で自分の牧場に実際に住んでいる町と同じ名前を付けてしまったようだ。誰一人知らない場所で、どうやって暮らしていけばいいのかもよくわからない。
最初のミッションは、町の人に挨拶することだ。中には手伝ってくれる優しい人もいれば、あまりフレンドリーではない人もいた。でも少しずつ、試行錯誤で、ペリカンタウンの賢い過ごし方が見えてくる。タネの植え方や、どの道具をどのタイミングにアップグレードすべきか。日本の生活と同様、今わかっているが事前に知っておけばよかったうような情報もいっぱいあり、チャレンジも様々。ちなみに、判子なしで銀行口座を開くほど難しいチャレンジはペリカンタウンにございませんので、ご安心ください。
東京での生活と同じく、早い段階で悟ってくることのひとつとしては、体力が大事な資源だということ。ゲーム内であまりに夜遅くあちこちに行き回っていると、倒れてしまう。東京でも、着いたばかりの頃、友達を作ろうと夜遅く遊び回ったりして、やはり健康面(と、お財布的と尿酸値的にも)に大変なことになった。セルフケアも大事だということを、早いうちに実感する。
1年目の春になると、鉱山への道が開く。これは大変な段階だ。夜遊びはともかく、モンスターまで現われると、体力を相当必要とされる。鉱山の1階をクリアしたら、橋子で下へ降りてまた苦労してクリアしないといけない、もう1階あるのだ。どこに向かっているかわからないまま、5階に辿り着き、ここまでの大変な階を今後はスキップできるエレベーターを発見! 今までのわけわからなかった努力には何の意味があったのだろう。まるで基礎の日本語の学習の如くだ。具体的な成果なしで平仮名やカタカナ、通じないコンビニのスタッフとの会話で苦労して、やっとある日その5階に到着してコミュニケーションが成立する。
ゲームの鉱山同様日本語も奥深く、どんどんディープに掘っていかないといけなかった。5階ごとにエレベーターがあることだけを考えると、前よりも安心して冒険できる気がする。尊敬語は、何階になるのか。たぶんずいぶん先だからエレベーターが必要となる気がする。
僕は「Stardew Valley」をゲームの時間の1年間くらい遊んでいるが、なんとなくいい軌道に乗っている。午前中に必要な農家作業を効率的に済ませようとして、午後に新しい冒険に挑戦している。森林を探検したり、サルーンのアーケード機のハイスコアを突破してみたり、魚を釣ったり、どうやって下水道を開けるか調べたりしたりする。東京にでももう慣れてきたので、このゲームブログみたいな、新しい挑戦もどんどんして行きたいな……。
僕は「Stardew Valley」を気に入ったけど、友好度システムが特に好きだ。あまり近所の人と会話しなくても、カレンダーに載っている誕生日にプレゼントをあげるくらいで、ぐんっと友好度が高まるというコツがわかれば、人間関係がすごく楽になる。まるで、僕のイギリスの友達との「友情」のようだ。あまり連絡しなくなっていても、Facebookのバースデーアラートに救われる。Happy Birthday。絵文字。また1年分は友好度アップだ!
「グラセフ」は現在社会への容赦ない風刺として取り上げられるが、ある意味で「Stardew Valley」もそうなのではないかと思う。「GTAV」のマイケルは、自分の恵まれた人生に飽きて、心の隙間を埋めようと犯罪者となる。「スタバ」の主人公も自動化された生活に飽き、何か別のものを求めて田舎へ。ロスサントスは何でもある、でも空虚な町。ペリカンタウンは、最初に何もない、でも努力さえすれば新しくかつ有意義の生活が送れる町である。
ゲーム内カレンダーでは、3年が経ったらゲームクリアとなるらしい。“3年スタバニバーサリー”ぽっちでペリカンタウンの生活が終わるだなんて寂しいが、取り敢えずこれから頑張っていくつもりだね。ロマンス・結婚システムもあるようで、そろそろそちらも挑戦するね、母よ!
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