3Dゲームファンのためのグラフィックス講座

西川善司の3Dゲームファンのための「Panta Rhei」講座(後編)

おわりに

 今回、前後編に渡って紹介してきたカプコンの次世代ゲームエンジン「Panta Rhei」だが、このエンジン上で動作していた『deep down』のリアルタイム映像デモには、このエンジンの機能のほんの一部の機能しか使われていないという。

 今回の取材においても、人肌や毛髪を含めたキャラクターレンダリングについてや、筋肉表現の新テクニックの話題が出て、その概略を聞くことができたが「まだ詳細を明かすには時期尚早」ということで、今回の記事ではその話題はあえて取り扱っていない。

 さらに言えば、前後編に渡って紹介したレンダリングパイプラインについても、まだまだ隠し球があるようで、見せていただいたブロックダイアグラムには「AVF」、「PPL」、「OIT」、「AVSM」といった気になる略語も並んでいる。この辺りについては、また、回を改めて、取材を敢行したいと思っている。

清水氏:MTフレームワークでは高い成果を残せたと思っていますが、「Panta Rhei」はその流れをあえて断ち切って新エンジンとして開発しています。それだけ我々も覚悟を持って開発に取り組んでいます。『deep down』では、その覚悟の成果を皆さんにもお見せできると思っています。

三島氏:MTフレームワークで取り組んだ技術から、一段進んだ技術を積極採用しているのが「Panta Rhei」の特徴で、現在も開発進行中ですが、とてもいいエンジンに仕上がってきていると自負しています。次世代機でも我々は全力でがんばっていきますよ。

伊集院氏:Panta Rheiは、完全にDirectX 11世代ハードウェアベースで考えられた、MTフレームワークとはまったく異なるアーキテクチャを持つエンジンとなりました。ゆえに現行ハードウェアではこれからもMTフレームワークを活用していきますが、次世代機世代向けのエンジンはPanta Rheiに一本化されます。各タイトル開発チームに「Panta Rheiを使って制作したい」と言ってもらえるような開発環境に仕上げていきますので、今後もご期待下さい。

(トライゼット西川善司)