レビュー

「カービィのエアライダー」レビュー

22年ぶりの新作! おとなからこどもまでが遊べる工夫が随所に

【カービィのエアライダー】
11月20日 発売
価格:
ダウンロード版 7,980円(税込)
パッケージ版 8,980円(税込)

 本日11月20日に発売されたNintendo Switch 2用ソフト「カービィのエアライダー」。

 本作は「星のカービィ」シリーズのアクションレースゲームとして発売されたゲームキューブ用ソフト「カービィのエアライド」の続編として、22年ぶりに発売されるタイトルだ。「星のカービィ」シリーズを手掛けている桜井政博氏が代表を務めるソラとバンダイナムコスタジオの共同開発となっており、桜井氏がディレクターを務めている。

 発売に先駆けて、基本操作を学べる「教習所」や速くゴールを目指す「エアライド」、マシンを育ててバトルをする「シティトライアル」を体験できる「カービィのエアライダー おためしライド」が開催された。「カービィのエアライド」から22年ぶりの続編ということもあり、全世界からたくさんのファンや新規プレーヤーが参戦し、様々な要素を楽しんだ。

 その「カービィのエアライダー おためしライド」で体験できる内容については、以下の記事にて紹介しているので、まだ読んでいない人はそちらにもぜひ目を通してほしい。

 本稿では上記記事では触れなかった要素についてレビューしていく。ひとり専用モードの「ロードトリップ」などはネタバレを避けているので、安心して読んでもらえれば幸いだ。

【カービィのエアライダー 紹介映像】

製品版では「カメラ反転」など細かいオプションの設定が可能に!

 別稿の「カービィのエアライダー おためしライド」の体験レポートにて筆者が心配していた「操作カメラの反転」については、オプションから無事設定可能だった。

他のゲームでは「カメラを反転する、リバースにする」という文章で設定することが多いが、本作では「↑で上を見る(ノーマル)」「↑で下を見る(リバース)」という表現になっているので、カメラリバース派はそこの設定を変えよう

 まずはほっと一息。他にもクイックスピンを出しやすくするかどうか、プッシュの操作、決定ボタンをAボタンにするか、Bボタンにするかなど、様々な項目を設定できる。

 さらに細かい設定では文字サイズの変更や初心者ガイドのON・OFF、クリアチェッカーのON・OFFなどを選べるようになっている。

 このあたりはもちろん自分の好みにあわせて設定してゲームを開始すれば良いのだが、個人的にONをおすすめしたいのはクリアチェッカーだ。

画面の明るさなども色々設定できる

 クリアチェッカーとは何かというと、様々なお題をクリアすることでパネルがめくれて、めくれたパネルに応じてご褒美がゲットできるというもの。ご褒美には、マシンをデコレーションする要素であるオレマシンのパーツなどが多いが、中にはキャラクターの解放やマシンの解放などのマスもある。とにかくクリアチェッカーをめくってキャラクターやマシンを解放していくのが当面の楽しみとなることもあり、ヒントはあるに越したことがない。

クリアチェッカー。漠然とコースを走っていてもクリアできないお題も多い
クリアチェッカーでお題をクリアしないとゲットできないマシンもある
キャラクターのひとり、スージー。クリアチェッカーのお題クリアで解放できた

 もちろん、「自分はノーヒントで頑張ってみたい」という人はOFFにすれば良いので、そこは好みで設定してほしい。

 オプションでは、より多くのプレーヤーが遊びやすくなるよう細かい設定が用意されており、非常に好感が持てた。「おためしライド」でオプションが変更できず不満があった人たちも、これで一安心ではないだろうか。

まずは「エアライド」。最大6人のライダーと戦って1位を競うアクションレース

 「おためしライド」では3コースしか解放されていなかった「エアライド」だが、製品版では初期状態から、フラリア、ダグウォータ、エアトピア、クリスタ、マシーンガスト、ケイビオン、サイベリオ、フォーリスと8つのコースを選択可能になっていた。

花畑が美しいフラリア

 また、「おためしライド」時はオフラインでただコースを走ってみるくらいだったが、製品版ではレース、タイムアタック、フリーラン、通信対戦など4つの項目から選べるようになっている。

今回は発売前ということもあって通信対戦は実質できなかったのだが、やはり通信対戦が楽しみなところである

 とりあえずはひと通り全てのコースを走ってみて、そのコースの特徴などを掴んで通信対戦に臨むのがいいだろう。

 初期状態で選べるキャラクターは、カービィ、デデデ大王、メタナイト、ワドルディの4体。そしてマシンはワープスター、ウィングスター、ワゴンスターの3つだ。

初期キャラクター
初期マシン

 「おためしライド」を体験済みだと、ちょっと少なく感じてしまう初期キャラクターと初期マシンではあるが、まずはキャラクターやマシンをそろえるためにもクリアチェッカーの解放を頑張っていきたい。

 とりあえず、初期コース8つをほんの片鱗ではあるが紹介していこう。

フラリア。草原と花畑のコースだ。あまり派手なエフェクトもないので走りやすい
ダグウォータ。海の上を走るような感じのコースで、水しぶきが美しい
エアトピア。地上と空で構成されたコース。開放感がある
クリスタ。クリスタルがあちこちに多くみられるコース。キラキラ煌めいていて綺麗
マシーンガスト。巨大な歯車などで構成された機械的なコース。スチームパンク感があって良い
ケイビオン。深い熱帯雨林を抜けていくようなコース。視界が開けた時は「うわぁ」と声がでてしまう
サイベリオ。近未来的なコース。行く手を邪魔するレーザー光線なども登場する
フォーリス。爽やかな渓谷が舞台のコース。割と長めで1周勝負となるので気が抜けない

 と、これらが初期コースとなる。いずれも非常にバラエティに富んでおり、何回走っていても飽きることがない。

 ちなみにクリアチェッカーで、プランテス、ヴァレリオン、コルダ、マグヒートなど「カービィのエアライド」で登場した懐かしいコースも解放できた。これら「カービィのエアライド」で登場したコースはすべて収録されている。

プランテス
マグヒート。懐かしいコースが美しくなって蘇るのは胸が熱い
クリアチェッカーでは2Pカラーなども解放される。特にオンラインでの対戦をメインにしたい人はぜひとも手に入れたい要素だ

 「エアライド」ではオンライン対戦に入る前に、他のアクションレースゲームとは大きく異なる要素を覚えておきたいところだ。

 例えば、ライバルを追うとスピードが上がる「スタースリップ」や、地面と平行して滑空し着地するとスピードが上がる「ナイス着地」、敵を吸い込んで能力をコピーしつつ敵を倒すとスピードが上がるテクニックはしっかり習得しておきたい。

 さらにエアライドマシンは地面から少し浮いているのだが、プッシュで地面をこすることができ、カーブではプッシュを駆使して上手く曲がったり(いわゆるドリフト)、プッシュ中にたまるチャージをタイミングよく使えばチャージダッシュ(ドリフトダッシュ)が使える。曲がりながらプッシュボタンを連打すれば減速をおさえながらよりきついカーブを曲がることができる「ポンピング」というテクニックもある。

 これらをオフラインのコースで習得しておくと、より一層オンラインで勝てる確率も上がってくるだろう。

 最初から全部の要素を覚えなくても、「おためしライド」と同じ「教習所」にはいつでもアクセスできるので、慣れてから教習所でじっくりと応用を学ぶのも良い。

「ウエライド」は短時間でさくっと遊べる

 コースを上から見た視点で遊ぶ「ウエライド」。コースは全部で8つだ。

 漢字ひともじで描かれるショートコースは、いずれもその文字をまさに体現しているかのようだ。

 小さなコースと、ミニチュアになったキャラクターたち。コースにある仕掛けをうまく利用したり、落ちているアイテムでライバルを妨害したりと、コース全体が全部見えているからこそのハチャメチャなプレイが楽しめる。

 オフラインでは4人での対戦だったが、オンラインでは最大8人でわちゃわちゃなプレイができるというから一層楽しみが増すというものだ。

 筆者は単純な好みでいうとこの「ウエライド」がかなり好きだ。それは比較的上手い下手が関係なくプレイしやすいからで、筆者のように「ゲーム自体は好きなのだが、下手でなかなか1位がとれない」というようなプレーヤーでも、ひょいっと1位になれてしまうことが多々あるからだ。特にコース上の仕掛けに乗れるかどうかは運が絡むコースもあり、仕掛けにうまく乗れたおかげでさくっとライバルたちを抜いてしまった時の爽快感などは格別だ。

 さらにショートコースなのもあってプレイ時間も短く、1位になれなかったとしてもお手軽にリベンジしやすいというのもある。

 「みんな上手くてエアライドではなかなか勝てない」と嘆きがちな人にこそ遊んでみてほしいのが、この「ウエライド」なのだ。

 もちろん「ウエライド」で手に入るマシンやキャラクターもいる。具体的にどんなマシン・どんなキャラクターがどのような条件で解放されるのかは、実際にプレイして確認してほしい。

「シティトライアル」はやはりオンラインが楽しい

 5分間、16名でマシンを育てながら最終決戦スタジアムに臨む「シティトライアル」。

 「シティトライアル」については「おためしライド」時にかなり語らせていただいたので、オンラインプレイについてはそちらを参照してほしい。

 本稿では、主に製品版ならではの要素について紹介していく。

 まず本作では16名全員が敵となる個人戦と、8対8で分かれてのチーム戦を選ぶことができる。

チーム戦の場合、味方の攻撃が味方にも当たるのか当たらないのかを選択できる
筆者はぬるく「当たらない」を選択。筆者は赤チームの1P。他15名は敵味方共にCPUである。いざチーム戦へ!

 前回の「おためしライド」で筆者は「シティトライアルで他プレーヤーを攻撃するのが苦手」と書いたのだが、CPUだと心が痛まない。というおかげもあって、思う存分敵を攻撃しまくってアイテムを奪いまくってしまった。

 なるほど、筆者みたいなタイプは意外とオフラインでの「シティトライアル」に向いているのかもしれない。

ギュンギュンギューン! ……と、ライバルを薙ぎ倒していける。CPU戦は気持ちが楽だなぁ

 実際そのおかげもあってか、「おためしライド」の時よりも大幅にマシンを強化することができたのだった。

「おためしライド」の時は40個弱くらいしかアイテムを取れなかったのだが、今回はそのほぼ倍まで強化できた
チームでの最終決戦に臨み、見事に赤チーム勝利!

 なお「シティトライアル」では最終決戦で挑む「スタジアム」だけを選んで遊ぶことも可能となっているので、ミニゲームをやりまくりたい人にはオススメだ。

スタジアムの初期ステージは14個だが、「おためしライド」で遊べたスタジアムの一部が入っていないので、こちらもクリアチェッカーでステージが増えたり或いはオンライン専用のスタジアムなどがあるのかもしれない
スタジアムのひとつであるグルメレース。ただひたすら落ちている食べ物をどんどん吸い込んでいけばいいだけなので、筆者は大好き

「ロードトリップ」はひとり専用のストーリーモード

 次は「ロードトリップ」。こちらは本作からの新要素となる。

 「ロードトリップ」はいわゆるストーリーモードで、ライダーとマシンが共生する世界で未知の場所を目指して旅をしていくことになる。

ロードトリップのオープニング映像より

 最初にライダーを選んで(マシンはワープスター固定)そのライダーで旅をしていくことになる。道の途中でお題が出てくるので、3つのうちいずれかを選択してそのお題に挑戦し、クリアするとマシンを乗り換えたりすることができる。

並んでいるお題は「エアライド」から。3つのコースのうちどれかひとつを選ぼう
お題には「ウエライド」や「スタジアム」からも、様々なものが登場する
お題をクリアしてマシンを乗り換えていこう

 また「お助けキャラ」も3人のうちから1人選び、選んだキャラによってどのルートに行けるかが変動するようだ。さすがに様々なルートがあったためコンプリートするのは難しかったのだが、ルートによってどのような違いがあるのかを見るだけでも色々と楽しめそうに感じた。

仲間との出会いが道を切り開く
序盤のうちは分岐ルートも少ないが、ここから先どんどん細かく分岐していく

 ミニゲームのクリア時間にもよるが、「ロードトリップ」1周にかかる時間はおよそ5時間前後といったところ。1周自体は短いが、繰り返し遊べて色んなルートで様々なイベントを見ていけるので、全部を網羅しようとするとなかなかのボリュームになりそうだ。ちなみに筆者は「スタジアム」に出てくる一部のミニゲームが苦手なのもあってクリアしやすそうな「カジュアル」モードを選択しているのだが、登場するミニゲームが「グルメレース」など比較的易しいものになる。

3つの中から得意なものを選べばいいのだが、カジュアルだと難易度が低めなミニゲームが出てくる

 もちろん、「ロードトリップ」にも様々なクリアチェッカーがあり、プレイすることでゲットできるキャラクターやマシンもある。キャラクターやマシンをコンプリートする上でもプレイは必須となってくるのだが、やらされている感はなく、むしろ道中での素敵な出会いやイベントを楽しみながら遊ぶことができるようになっている。同じ場面でも、仲間にしたキャラクターでどのような変化が起こるのか、ぜひ自身の目で確かめてほしい。

様々なイベントが起こるので、とても楽しい

やれることが多すぎて、何から手を付けようか迷うほど大ボリューム

 本作はアクションレースゲームだが、レースゲームの枠を超えた大ボリュームなタイトルだと感じた。

 キャラクターやマシンひとつを解放するのにもクリアチェッカーを細かく開けていく必要があり、漠然とレースゲームをプレイするだけではなく目標を持ってプレイできるという点が非常に面白い。

筆者はレースゲームはなんとなくオフラインで全コース1位を取ってあとはオンラインを楽しむばかりが多いので、本作のように「このコースで●●を行う」といったような要素が満載のレースゲームは新たな気持ちで取り組むことができた

 「おためしライド」にあった「教習所」で基本操作をいつでも振り返られるので、まずは基本操作に徹して、プレイに慣れてきたら改めて教習所でより一層の応用力を備えたプレイにチャレンジもできるし、新しい要素を選ぶと説明のムービーが入るので「このモードでは何をすればよいのか」というのが簡単に理解できるのも嬉しかった。

「シティトライアル」は、いきなり放り込まれると何をすればいいのかわからないと思うが、こうしてきちんとムービーで丁寧に説明される

 恐らく最初は全キャラクターと全マシンを集めるのだけでヒィヒィ言うことになるだろう。もちろん、全部集まらずとも通信対戦はいくらでもできるので、通信対戦を楽しみつつ少しずつオフラインを頑張っていっても良い。特にオンラインで自分の持っていないキャラクターの使用者に出会ったら、「自分も早く取りたい! どうしたら取れるんだろう?」という良い刺激にもなる。

 今回の新要素となる「ロードトリップ」も、様々な分岐でプレーヤーを楽しませる工夫があり、1回クリアしたら「はい、おしまい」という仕様になっていない点が良い。オフライン専用モードなので、小さなお子さんに触れさせたいという際にもぴったりだと感じた。

 「カービィのエアライダー」は、「Switch 2を買ったはいいものの、何をプレイすべきか迷っている」という人への最初の1本としてオススメしたいのはもちろんのこと、おとなからこどもまでが遊べる工夫が随所にされているので、これ1本で当分の間は遊べるだろうとひしひしと感じた。

 また、酒井省吾氏、岩垂徳行氏による楽曲はいずれも粒ぞろい。本作で得られる「プレイしていて思わず笑顔がこぼれてしまう楽しさ」を、より一層音楽で彩ってくれている。もちろんBGMだけを楽しめるモードもあったり、お気に入りの曲をレースでかかりやすくするといったオプションもあるので、自分の好みでカスタマイズをあれこれ楽しめるのも嬉しいポイントだ。

好きな曲を思う存分聴けるサウンドテスト
「オレ曲セレクト」でどの曲が出やすいかを設定できる

 ちなみに「おためしライド」と今回の製品版を経て、改めて筆者がおすすめしたいのは「シティトライアル」のオンラインと、そして「ウエライド」だ。

 どちらにも「カービィ」シリーズらしいわちゃわちゃ感があって、そこにとてもワクワクさせられる。今回はあいにく体験できなかったものの、「シティトライアル」のオンラインでチーム戦にして「味方にも攻撃が当たる」設定にした場合かなりカオスな戦いが楽しめそうで、より一層発売日の楽しみが増した。

 この1本のためにSwitch 2本体を買う価値があるとすら言い切れるほどの名作になりそうな予感がする。発売日をぜひ楽しみにしていてほしい。