レビュー

「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚2」レビュー

映像体験が大幅進化。遊郭編から柱稽古編までを一気に体感!

【鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚2】
8月1日 発売予定(Steam版は8月6日予定)
価格:
通常版 8,360円
フィギュアマルチスタンド付き数量限定版 14,960円
「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚2」

 アニプレックスは、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC(Steam)用鬼殺対戦アクション「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚2」を8月1日に発売(※)する。

 7月18日より映画「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」の上映がスタートし、注目を集めている本作。今回はそんな「鬼滅の刃」を題材としたアクションゲームのシリーズ最新作を発売に先駆けて本作をプレイすることができたので、その魅力を余すところなくお届けしたい。

※PC(Steam)版はセガが販売を担当。PC版は8月6日発売だが、デラックスエディションを購入すると8月1日よりプレイ可能。

【家庭用ゲーム「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚2」第2弾PV】

「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」とは

 本作は吾峠呼世晴氏によるマンガ作品「鬼滅の刃」のアニメを基にしたアクションゲーム。2021年に発売された鬼殺対戦アクション「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」の続編タイトルとなっている。家族を鬼に奪われ妹を鬼にされた主人公「竈門炭治郎」が、妹を人間に戻すため“鬼殺隊”に身を投じる物語をゲームならではの演出とシンプル操作で表現し、対戦と物語の追体験を見事に両立した作品だ。

 前作「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」ではアニメ「竈門炭治郎 立志編」から「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」までの内容を収録。今作では新たにアニメが放送された「遊郭編」、「刀鍛冶の里編」、「柱稽古編」が収録され、プレイアブルキャラクターも鬼殺隊最高位の剣士である「柱」9人(冨岡義勇、煉獄杏寿郎、宇髄天元、時透無一郎、胡蝶しのぶ、甘露寺蜜璃、伊黒小芭内、不死川実弥、悲鳴嶼行冥)が全員参戦。さらに、上弦の鬼(玉壺、憎珀天など)、宇髄の3人の嫁(雛鶴・まきを・須磨)、「中高一貫!!キメツ学園物語」のキャラクターなど、計40以上のキャラクターが使用可能となる。さらに、特定キャラクターの組み合わせで発生する大技「合体奥義」や、対戦中に特定の条件を満たすとキャラクターがパワーアップする「装具」といった新要素も追加されるなど、ボリュームが大幅にパワーアップしている。

【家庭用ゲーム「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚2」第3弾PV】

 本作は大きく分けて物語を追体験するソロプレイモード“ヒノカミ血風譚”と、鬼殺隊の隊士や鬼を操作して対戦するバーサスモード“対戦”の二本柱で構成される。

【ヒノカミ血風譚】
“ヒノカミ血風譚”では「遊郭編」、「刀鍛冶の里編」、「柱稽古編」を追体験できる
【対戦】
“対戦”モードでは「鬼殺隊最高位の剣士『柱』」9名を含む総勢40超のキャラクターが参戦し、オフラインとオンラインで夢の競演が楽しめる

ストーリーが味わえるソロプレイモード“ヒノカミ血風譚”

 ソロプレイモードの“ヒノカミ血風譚”では、ピックアップされたストーリーの主軸の部分をメインに「鬼滅の刃」の物語を追体験することができる。キャラクターたちのコミカルな動きや、鬼たちとの迫力満点な戦いなどがしっかりと演出されており、アニメ「鬼滅の刃」を観た人は記憶がフラッシュバックして展開のひとつひとつに思わず没入してしまうはずだ。

 前作同様にプレイ中に入手できる「想いの欠片」と呼ばれるアイテムが存在し、こちらで物語の細部を回想できるようにもなっているので、アニメ未視聴の方もちゃんと物語を追えるように配慮されている。

 “ヒノカミ血風譚”では、基本的に「ムービーシーン → 探索パート → バトル → ムービーシーン」という流れになっており、全体的にテンポ良く進められる。探索パートでは、アニメに登場したロケーションを自由に歩き回れる。移動ルートなどはほぼ一本道に近いのでゲーム初心者にも安心だ。前作ではマップが狭く一本道だったことからあまり探索という感じはしなかったが、その改善として、今作では新たに「登る」というアクションが追加され、プレーヤーの探索範囲が広がっている。高所から見下ろす風景や、高速移動やジャンプで屋根伝いを移動していくアクションによって、探索パートに新たな楽しみが生まれている。

フィールドにある建物や自然環境の縁部分に青色のラインが表示されている箇所は“登る”ことが可能
屋根から屋根にジャンプして移動するなど、アクション要素がパワーアップしている

遊郭編

 遊郭編では「ド派手に行くぜ!」でお馴染みの音柱「宇髄天元」と共に遊郭へと潜入する。序盤は任務のために女装する三人(炭治郎、伊之助、善逸)を操作し、各屋形で聞き込みを行なう探索パートが展開される。各々のパートが用意されており、炭治郎は「匂い」、伊之助は「空間識覚」、善逸は「聞き耳」と、それぞれのスキルを活かして鬼や情報をみつけていく。さらに、伊之助は高速移動しながら猪突猛進で襖や設置物を吹き飛ばして進んだり、善逸は作中同様に三味線を弾くミニゲームがあったりと、キャラクター固有のミッションが設計されており、アニメの潜入劇がゲームとしてしっかり楽しめるように昇華されている。

アニメでも登場した炭治郎たちの女装姿。宇髄さんがついていながら、どうしてこうなったのだろう……
炭治郎は「匂い」、伊之助は「空間識覚」、善逸は「聞き耳」を活かして情報を集めていく
善逸パートでは三味線を弾くリズムゲームが展開される
伊之助はマップに配置された設置物をふっとばしながら豪快に移動し、遊女たちを恐れさせる

 バトルでは音柱を含む各キャラクターの戦闘も用意されており、ストーリーに登場するキャラクターたちの戦いがまんべんなく体験できるようになっている。

【炭治郎VS堕姫】
【禰豆子VS堕姫】
【宇髄VS妓夫太郎】
【善逸、伊之助VS堕姫】

刀鍛冶の里編

 刀鍛冶の里編では蝶屋敷を旅立った炭治郎が刀鍛冶の里に足を踏み入れる。瓦屋根から木立までまるごとフィールドになっており、高所から見下ろす里の風景に圧巻される。里内には刀を打ったり研いだりしている刀鍛冶たちがおり、探索パートでは刀鍛冶の里の空気を感じることができる。戦闘パートでは「縁壱零式」との戦闘訓練、さらに上弦の鬼「半天狗」や「玉壺」襲撃では大量の鬼との戦闘が繰り広げられる。今作から新たに追加された一対多の戦闘では“無双ライク”なラッシュ戦が用意されており、フィールドを走り回りながら大勢の敵を薙ぎ払うといった爽快感抜群の戦闘が楽しめる。

刀鍛冶の里
縁壱零式戦は作中でもかなりの高難易度。うまく攻撃タイミングを掴めないと防戦一方になってしまうほど相手の攻撃と防御が厚い

 一対多で活躍するのが恋柱「甘露寺蜜璃」。新体操のリボンのようにしなる日輪刀と共に、華麗な動きで繰り広げられる広範囲攻撃で鬼をなぎ倒していく。つぎつぎと押し寄せてくる鬼を瞬殺していく姿には筆者もプレイがうまくなったと錯覚してしまうほどだ。雑魚鬼を蹴散らすスピードと派手さに柱の強さを感じた。

甘露寺蜜璃はリボンのような日輪刀の一太刀で小型の鬼を一掃する
霧柱「時透無一郎」の一対多戦闘。甘露寺蜜璃のように広い攻撃範囲はないが、強力な攻撃で確実に鬼を排除していく
不死川玄弥VS哀絶、炭治郎VS積怒・可楽・空喜、対玉壺や憎珀天など刀鍛冶の里編はかなりのボリュームになっている

柱稽古編

 物語が一息つくと、舞台は柱稽古編へ。炭治郎や柱たちに発現した痣の謎や、水柱「冨岡義勇」の過去が語られていく。柱稽古ではそれぞれの訓練にあわせた戦闘やミニゲームが用意されており、隊士たちの訓練や、柱たちの想いを体験できるようになっている。すべての稽古が終わる頃には、自分自身も決戦へと赴く覚悟と決心が芽生えたように感じた。プレイした今なら、公開中の映画「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」をまた違った気持ちで楽しめそうだ。

柱合会議に一堂に会する柱たち
錆兎との過去を思い出す冨岡義勇
柱稽古では柱との戦闘訓練や、甘露寺蜜璃の地獄の柔軟訓練などのミニゲームが遊べる

「ヒノカミ血風譚2」の新要素を紹介

 また、今作より新たに登場する要素についても紹介していく。探索時の自由度を向上させる「登る」アクションや、ゲームならではの組み合わせによるコンビ技「合体奥義」など、前作にはなかった要素が複数存在している。

“登る”アクション

 瓦屋根や崖をジャンプで駆け上がり、立体的な移動が可能。炭治郎を操作し、自由にフィールドを歩き回ることができる。

合体奥義

 特定の組み合わせで発生する「合体奥義」が登場。作中にも登場した炭治郎と禰豆子による燃える刀の合体技「爆血刀」や、作中ではなかった柱同士のタッグ技などが実現する。

【「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚2」合体奥義集】

装具システム

 攻撃力UP・体力自動回復・呼吸ゲージ増幅など、戦闘スタイルをカスタマイズできるアイテム「装具」でキャラクターを強化可能。

装具は探索でみつけたり、サブクエストの報酬などで入手できる

熟練度

 “ヒノカミ血風譚”や“対戦”などでキャラクターを使用すると「熟練度」が上昇し、報酬が解放されていく。

熟練度は対象キャラクターを使用することで上昇していく

鬼殺の軌跡

 「鬼殺の軌跡」では、前作の「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」に収録された「竈門炭治郎 立志編」から「無限列車編」までのストーリーを振り返ることができる。ストーリーの内容はダイジェストされているので、さくっと振り返りたい方や、鬼との戦いを楽しみたい方にはおすすめだ。ストーリーをじっくりと楽しみたい方は、前作をあわせてプレイしてほしい。

ストーリーの振り返りができるだけでなく、クリア報酬も用意されている

修練の道

 「修練の道」では柱たちとの修練に挑戦できる。マス目状に用意されたステージをクリアしていき、最後は柱を相手に自分の腕前を試すことができる。

修練を受けたい柱を選択
修練を受けるキャラクターを選択
ステージではボーナス条件が設定されており、達成することで能力強化のボーナスを受け取ることができる
最後には柱自らが実力を試してくる
修練を終えると結果が発表されるので、頑張って高評価を目指そう

研ぎ澄まされた映像体験を体感できる「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚2」

 今回遊んでみて2021年発売の前作「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」でも感じた“映像体験の衝撃”は4年でさらに研ぎ澄まされていた。

 シンプル操作と縦横無尽のアクション、そして作品愛に満ちた演出の数々に心を奪われる。「遊郭編」、「刀鍛冶の里編」、「柱稽古編」の濃度が凝縮された本作は、前作をプレイした方はもちろん、「ゲームはあまり遊ばない」という前作で一歩を踏み出せなかった層にもぜひプレイしていただきたい。スクリーンで楽しんでいた「鬼滅」の情景が指先を通じて蘇る。アニメで泣き笑いしたあの瞬間を、己の呼吸で再び切り拓く。それが「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚2」の核心だと私は感じた。

 前作経験者には合体奥義と演出強化を、初挑戦者には“鬼殺隊最高位の剣士「柱」”全員を扱う贅沢と呼吸を刻む爽快感を体験してほしい。「鬼滅の刃」のファンなら一度は味わう価値がある。