レビュー

「マリオカート ワールド」プレビュー

遊び方が広がった新時代の「マリオカート」! カメラ機能がユニークで面白い

【マリオカート ワールド】
6月5日 発売予定
価格  ダウンロード版:8,980円
パッケージ版:9,980円

 任天堂の看板タイトルの一つである「マリオカート」。シリーズ最大のヒット作となった「マリオカート8 デラックス」から既に8年が経過しており、「マリカ」プレーヤーは今か今かと新作を待ちわびていたが、いよいよシリーズ最新作「マリオカート ワールド」がNintendo Switch 2のローンチタイトルとして、6月5日に発売される。

 既に「Nintendo Switch 2 体験会 TOKYO」でプレイしたという方もいらっしゃると思うのだが、今回は「マリオカート ワールド」を長時間プレイできる機会を頂いた。本稿では「サバイバル」や「フリーラン」といった新モードやカメラを用いたプレイを中心にプレビューをお届けしていく。

【マリオカート ワールド Direct】

ひと繋ぎの広大な世界で白熱の大陸横断レースが楽しめる「サバイバル」

 「マリオカート」といえば、やはり「マリオカート8 デラックス(マリカ8DX)」を思い浮かべる方が多いだろう。「マリカ8DX」はキャラクター、マシンパーツ、コースの全てにおいて、一つの「マリオカート」の完成形となり、全世界で6,820万本(2025年3月末時点)を販売する大ヒット作となった。

 そして今回、待望の最新作「マリオカート ワールド」はこれまでの「マリオカート」シリーズと一線を画す新要素が実に豊富。シリーズ初のオープンワールドによる広大なマップ、最大24人でのオンラインマルチプレイ、そして「Nintendo Switch 2 カメラ」によるプレーヤー間のコミュニケーションに特化した遊び方など、新世代機であるSwitch 2にぴったりな“新しい時代のマリオカート”なのだ。

 本作が発表されるや否や、特に話題となった要素が、広大なワールドを走り続けるエリミネーション形式のレース「サバイバル」だ。こちらはチェックポイントごとに一定の順位に入り込めなければ、どんどん脱落していくという無慈悲なサバイバルレース。これを「マリオカート」シリーズで楽しめるのだから、興味を惹かれないプレーヤーはいないはずだ。

 今回のプレビューでは「サバイバル」をローカル通信対戦でプレイすることができた。サバイバルでは同じコースを周回するのではなく、広大なマップの中で決められたルートを走っていくので、レース中に同じ景色を見ることがないのが新鮮。“大陸横断レース”のようでもあり、シリーズ最大規模のスケール感だ。

 途中には過去作のリメイクコースを通り過ぎ「あ、このコースやったことある!」と懐かしく感じたり、コースとコースを繋ぐルートもカーブや坂道といった地形の緩急に富んでいる。巧みな地形づくりでシームレスなレース体験を演出していて、コースの完成度の高さに感服した。

24人で広大なワールド内を走るというシチュエーションがワクワクする
コースとコースをつなぐルートには一般車両の姿も
同じコースを周回するのではなく、非常に長〜いコースをどんどん走り抜けていく

 「サバイバル」は24人からスタートし、チェックポイントごとに下位にいる4人は脱落し、そのままレース終了。最終的に上位4人まで絞り込まれ、最後に1位となったプレーヤーが優勝だ。通常の「グランプリ」と比較して1レースのプレイ時間は長めで、上位にいなければ脱落してしまうため、アイテムやテクニックを使っていかに順位をキープするかが重要になる。特に脱落するか否かの瀬戸際にいるときのハラハラとした気持ちは「サバイバル」ならではだ。

 プレイ後はコントローラーを握る力と手汗のすごさに驚きつつ、最終的に3位という可もなく不可もない結果でレースを終えた。レースは1回10分程度で終了するので、体感的には短過ぎず長過ぎずの丁度良い加減といったところ。今回はほとんどがCPUとのバトルだったが、オンライン対戦ではより一層の緊張感が味わえるに違いない。

最初のチェックポイント。20位以内に入れなければそこで脱落となる
「ダッシュフード」を獲得するとマリオのコスチュームをゲットできるのだが……、サバイバルの緊迫感もありそれどころではない
1位を獲得した時もあったのだが...
今回のプレビューでは3位でサバイバルを終えた

 プレーヤーがライバルと差を付けられるための新しいアクションもある。「チャージジャンプ」で小さな障害物を飛び越え、「レールスライド」でコースの端に敷かれたレール上を走り、ショートカットやインコースを狙える。さらに少しの間、壁を走ることが可能な「ウォールラン」も忘れてはならない。アカこうらやミドリこうらといった妨害アイテムから身を守ることもできるため、習得しておきたいテクニックだ。

まるでマリオのテーマパーク! 世界を自由にドライブできる「フリーラン」

 今回はもう一つの新モード「フリーラン」も試すことができた。本作では、ワールド内のあらゆる場所にギミックが用意されており、プレーヤーは「Pスイッチ」を踏むことでミッションにチャレンジできる。ミッションには「スーパーマリオブラザーズ」シリーズと同様に青いコインを集めるものやショートコースのタイムアタックまで、様々なものがある。

 またワールド内にあるコースにも入れるため、コース取りを練習することも可能。もちろん「フリーラン」の名の通り、自由にドライブもできるので、横に座っていた編集担当と他愛もない雑談を交わしながら気ままにドライブし、稀に見つかるPスイッチでちょこっと腕前を確かめたりしていた。この時は仕事で来ていることを忘れ、まるで本当にドライブしているかのようで、そのゆるさが大変心地よかった。

各地で見つかる「Pスイッチ」を踏めばさまざまなお題のチャレンジに挑戦できる
「Pスイッチ」はパッと見てすぐわかる場所にあるものや隠されているものもあり、Pスイッチを探すだけでもかなり楽しい
コースに入ってドライブもできる

 さらに周りを見渡していると、ベンチに座ってのんびりしているヨッシー、キノピオたちが乗車しているツアーバス、土管ごとどこかへ輸送されているパックンフラワーなど、マリオシリーズらしいユーモアの効いたネタが多数用意されている。このほかにもタル大砲を使った大ジャンプ、一般車両でもお構いなく吹っ飛ばすスターの効力など、世界全体がマリオのテーマパークのようになっていて。ただ走っているだけでもかなり楽しめるのが「フリーラン」の特徴だ。

 「フリーラン」は画面分割プレイには非対応だが、オンラインプレイに対応しているため、Switch 2の新機能「ゲームチャット」を繋ぎながら、フレンドと一緒にドライブできる。加えて「フォトモード」も実装されており、好きなキャラクターやマシンと写真を撮れるなど、過去作にはなかった新しい楽しみ方ができるので、ぜひ世界各地をドライブしてみてほしい。

まるで現実世界のような光景が広がっているところもあれば……
キラーをエンジンに使ったなんとも危険な船が登場
桜が美しいポイント
タル大砲で大ジャンプ!
ドライブしていると急にトッテンが出現!
フォトモード中に気づいたのだが、ツアーバスにはなんとキノピオとヘイホーが乗っている

カメラを使った体験は非常にユニーク。24人対戦が激アツ必至の「バトル」も相変わらず楽しい

 ここまで新モードを中心に紹介してきたが、「マリオカート ワールド」には過去作に引き続き「グランプリ」や「VSレース」、「バトル」も用意されている。また、Switch 2をTVモードまたはテーブルモードにすれば、画面分割によって最大4人で各モードを一緒にプレイできる点も引き継がれている。そして、これらのモードをよりユニークなものにしてくれるのが、Switch 2の周辺機器「カメラ」だ。

 今回は同行していた編集担当と2人で、画面分割とカメラ機能を使った遊びに挑戦してみた。カメラ機能を使うと、最初にゲーム画面内に映し出すエリアを設定する必要がある。コントローラーのスティックでカーソルを移動し、プレーヤーの顔に合わせておくと、カーソル内の範囲だけがゲーム画面内に反映されるという仕組みだ。

 プレーヤーの顔は常に表示されているわけではなく、レースでプレーヤー同士の距離が近付いたりすると表示されていた。例えば、1位をキープしている編集担当の勝ち誇った顔が、そのすぐ後ろを走る筆者(2位)の画面に表示されるので「ぐぬぬ……!」となったり、アカこうらといったアイテムがヒットすると、マシンのスピンに合わせてプレーヤーの顔もグルグルと回転するので非常に面白い。

 今回は画面分割でのプレイだったが、隣を見なくても相手がそのときどんな顔をしているのかわかるので、今までにない楽しさがあった。フレンドとオンラインプレイで遊ぶ時も活用したい機能だ。

こんな感じでサークル内に顔が入るようにする
サークル部分の映像だけがリアルタイムにゲーム内へ反映される
今回は編集担当にレースで勝つことはできなかった。さてはやり込んでいるな

 シリーズのなかでも筆者が好きなのが「バトル」モードだ。今回のプレビューでは新たに総勢24人対戦が可能になった「ふうせんバトル」と「あつめてコイン」をプレイすることができた。といっても今回は2人でプレイしたため、筆者と編集担当を除く残り22体はCPUだったのだが、それでも前作の「マリオカート8 デラックス」からプレイ人数が2倍に増えただけあって、相手がCPUであっても戦いは苛烈を極める。

 チームは最大4チームにわけることができ、この場合は1チーム6人となる。今回はCPUを「つよい」に設定し、早速4勢力での戦いに挑んでみた。念の為「ふうせんバトル」は、アイテムボックスから出現したアイテムを使って、相手チームを攻撃していき、括り付けられた風船の破壊数を競い合うガチガチのバトルモードだ。風船は1人につき4つ所有しており、全て破壊されるとバトルから脱落してしまう。

 流石に24人対戦となると、やはり誰が敵で誰が味方なのか混乱する。かと言って、戦略を練りながらとろとろ走っていると、あちこちからアイテムが飛んできて被弾し、あっという間に脱落となってしまう。CPUを強くしたために、結局ふうせんバトルは1度も1位を取れぬままに終わってしまった。4チームでのバトルは混沌としているが、お祭り感があって楽しかった。

シリーズ恒例の「ふうせんバトル」も24人対戦が可能に
自分の風船を全て破られてしまうと、その試合を終了となる
CPU相手に3ラウンド行ない、総合3位というなんとも不甲斐ない結果になってしまった……

 もう一方の「あつめてコイン」は、フィールド上のコインを集めた合計数を競い合うというもの。コインは様々な場所に散らばっており、ただフィールドを走っているだけでは集め切れない。レールスライドやウォールランといった新しいアクションを駆使して、立体的にフィールド内を探索する必要があり「こんな場所にコインがある!」という感じで非常に楽しかった。

 「ゲームチャット」でフレンドとチームを組んでいるときは、コインの収集役やライバルチームの攻撃役にわかれ、アイテムを使って相手からコインを奪うといった作戦を立てても面白いだろう。一方でふうせんバトルもあつめてコインも、“味方への攻撃ができてしまう点”には注意が必要だ。

 どちらのルールもアツくなって遊べる楽しさは相変わらず健在。対戦人数が増えたことと、新アクションでの駆け引きや応用が効くようになったことで、よりパーティ性と競技性が高まったとも思う。ゲームチャット機能を使えば、戦略的な連携を楽しく行うこともできるだろうし、24人でのわちゃわちゃとしたバトルは、カメラ機能との相性も良さそうだ。

「あつめてコイン」はフィールド上にあるコインを集めた枚数で競う
レールスライドやウォールランでしか集められないコインもあり、本作らしく進化していた

“マリカらしさ”を残しつつ“新時代”を感じる「マリオカート ワールド」

 ここまで「マリオカート ワールド」のプレビューをお届けしてきた。「マリオカート8 デラックス(Switch)」から約8年ぶり、「マリオカート8(Wii U)」から数えると約11年ぶりとなるシリーズ最新作だが、本作は随所に「マリオカート」らしさを残しつつもオープンワールドやフリーラン、24人での対戦プレイなど、これまでになかった要素を取り入れており、プレイしていて非常に楽しいゲームに仕上がっていた。

 前作「マリオカート8 デラックス」は、発売から8年を迎えた現在でも高い人気を誇っている。Switch 2のローンチに合わせて、発売日からプレイ可能な最新作「マリオカート ワールド」は、今後どのような展開と盛り上がりを見せてくれるのだろうか。コアなプレーヤーも、カジュアルなプレーヤーもユーザー層を問わずにワイワイ盛り上がれる新時代の「マリオカート」に期待したい。

表情がとにかく写真映えするドンキーコング。とてもいい表情……