レビュー

「ルイージマンション2 HD」レビュー

ルイージのオバケ退治物語再び。掃除機でオバケを吸い込むアクションが熱い!

【ルイージマンション2 HD】

6月27日 発売予定

価格
パッケージ版:6,578円
ダウンロード版:6,500円

 任天堂の「マリオ」シリーズのルイージを主役に据えたアクションゲームとして、国内外でスマッシュヒットを飛ばしている「ルイージマンション」。そのシリーズ第2弾がHDリマスター化され、Nintendo Switch用「ルイージマンション2 HD」が6月27日に発売される。

「ルイージマンション2 HD」。元が携帯ゲーム機のタイトルということもあり、HDリマスター化でグラフィックスのクオリティは大きく向上した

 オバケ研究の第一人者、オヤ・マー博士が開発したオバケを吸い込む「オバキューム」を装備して、無数のオバケ達が住み着いた館に再び挑むルイージの姿を描く本作。2013年にニンテンドー3DSで発売された「ルイージマンション2」のHDリマスター版で、単にグラフィックスが高解像度になっただけでなく、Switchのコントローラーに最適化された操作が用意されるなど、遊びやすさを追求した進化点も見られる。

 据置きゲーム機で初めて遊べるようになった本作のプレイレビューを本稿にてお届けしよう。

【ルイージマンション2 HD 紹介映像】

オバ渓谷の調査役として強制的に呼び出されたルイージの受難再び!

 夜空に浮かんだ「ダークムーン」の不思議な光が注ぐオバ渓谷。ある日このダークムーンがキングテレサによって壊されてしまい、渓谷でオヤ・マー博士と仲良く暮らしていたオバケ達が突如暴れ出す事件が発生する。博士によって半ば無理矢理呼び寄せられたルイージは、破壊されたダークムーンのカケラを集めるために、オバ渓谷の調査へと向かうことになる。

キングテレサにダークムーンが破壊されると、オバ渓谷には紫の霧が立ち込み、博士と暮らしていたオバケ達が暴れ出した
博士のラボに無理矢理連れてこられ、オバ渓谷の調査とダークムーンのカケラ集めにかり出されてしまうルイージ

 ルイージとオヤ・マー博士は前作で知り合った仲だが、そのストーリーを知らなくても問題なくプレイできる内容なのでご安心を。一方で、ルイージのオバケ退治のプレイフィールはシリーズ通してほぼ共通のもので、Switchでは先に発売された「ルイージマンション3」を体験した後に遊ぶのも問題ないはずだ。

 「マリオ」シリーズとは一線を画すコミカルなゴシックホラーな世界観もシリーズ恒例。半透明のキュートなオバケ達をオバキュームで吸い込んでいくアクションや、任天堂の歴代ゲーム機がガジェットとして登場する設定は筆者も大好きで、実は初代のゲームキューブ版から通して遊んでいたりする。「マリオ」シリーズで個人的に好きなキャラクターの上位に入るテレサが出てくるのも嬉しい限りだ。

オヤ・マー博士との通信は「ドコデモシャベレ~ル」(通称「DS」)で行う
「のろい玉」でモノを消してしまうイタズラをするテレサ。後述するアイテム「ダークライト」を使うと姿を現す

 オヤ・マー博士の依頼でルイージがオバケ退治に向かう先は、オバ渓谷にある複数の建物。劇中ではこれらを総じて「マンション」と呼んでいる。マンションごとの個性的な内部構造やギミックは細かいところまでしっかり作られていて、ワクワクするような遊びが組み込まれているのも本作の大きな魅力である。

どこか懐かしさもあるゴシックホラーの雰囲気や、マンションごとに異なる空気感の演出も見どころ
マンションの気になる箇所やギミックはオバキュームやストロボを使ってみるのが基本。隅々まで探索してみよう

 マンション内部は迷路のようになっていて、シチュエーションに準じたトラップやギミックがあり、それを解かないと進めないポイントもある。もちろんそこには無数のオバケ達が登場。彼らがいる部屋は事前に予兆があり、周囲の明かりが暗くなったり、ポルターガイスト現象が発生したりするのが基本だ。原則としてそこにいる全てのオバケを捕獲しないと次の部屋に進むことができない。

 手強いオバケ達に対抗するためにルイージが手にするのが、クラシカルな掃除機の形をした「オバキューム」だ。これはオバケを吸い込んで捕獲するメカで、オバケに限らず、お金やモノを吸い込んだり、逆に吹き飛ばしたりする機能も持っている。先端には懐中電灯を兼ねたストロボがあり、オバケを捕獲するときはこれをピカッと光らせて、ひるませたところでオバキュームで吸い込むのである。

オバケ退治の強い味方、オバキューム。マンションでお金を集めておくと、博士がパワーアップしてくれる
オバキュームは掃除機としてもかなりの吸引/吹き出しの力があり、オバケ以外の小さな生物や背景にあるボロ布、お金などはそのまま吸い込める

 オバケには体力があって、これが高いと簡単には吸い込ませてくれない。吸い込んでいる間は常にオバケと反対方向に動いて引っ張ることで体力を減らすことができ、オバケの体力が0になるとスポンッ!と吸い込んで捕獲できるという流れが一連の攻防だ

オバケがいる、またはいそうな方向にストロボを光らせるとオバケの動きが止まる。ストロボは少しだけパワーをためる時間が必要だ
すかさずオバキュームで吸引! オバケが逃げる方向と逆にルイージが移動することで体力を減らせる
ゲージが溜まったらAまたはRボタンで「Aプル」が使える。これで大きく体力を削れる
体力が0になるとオバケはオバキュームに吸い込まれていく

 オバケとの引っ張り合いは本作の醍醐味であり、実体のないオバケと戦う感触を上手くゲーム化していて、筆者が本作で最も好きなところである。ゲームを進めるとオバキュームがパワーアップして複数のオバケと長時間の攻防も可能となるが、敵もさるもので、サングラスを付けてストロボを防いだり、背景のモノに隠れたりと、単純な攻防では吸い込めない存在も現われる。さらにいくつかの手順を踏まないと倒せないボスオバケや、他のオバケとは性質が違うテレサも登場。彼らを吸い込んで捕獲する手段を考えるのもまた楽しいところだ。

ルイージを困らせるユニークなオバケ達。色と体型で性質を見分けよう。複数の種類がいて、捕獲したものは記録されていく
同じオバケでも個体差があり、この「ルノーマ」はサングラスをかけていて、それを外さないとストロボが効かない
要所に登場する手強いボスオバケ。動きや周囲のシチュエーションなどを考えて戦う必要がある
テレサは他のオバケとは倒し方が違う。ダークライトの使い方がポイントだ

「ルイージマンション3」の操作スタイルを導入。これにより遊びやすさがグッと増した

 元々はニンテンドー3DSでリリースされた本作だが、今回のHDリマスター化にあたり、Switchでは先に発売された「ルイージマンション3」の操作スタイルを導入している。オプションの「Rスティックでの向きの操作」を「上下方向」から「水平方向」に切り替えることで、Rスティックでルイージの向きを周囲360度方向に変えられるようになるのだ。

Rスティックは3DS版に準じ、上下方向がデフォルトになっているが、これを水平方向に設定する。筆者は最初からこの操作でプレイしていた

 操作自体斬新なものではないが、ニンテンドー3DSでは物理的に不可能だった操作スタイルであり、Rスティックで任意方向にオバキュームを向けながら移動ができるようになったことで、オバケとの攻防時の操作性が大幅に向上している。なお上下方向にはジャイロ操作かX&Bボタンで向けられるフォローがあり、さらにストロボやAプルはRボタンにもアサインされているので、Rスティックから指を放すことなくこれらのアクションができるなど、細かいところまでケアが行き届いている。

後ろに下がりながらストロボは前に向けるといった操作がしやすい
上下に向けるときはジャイロ操作がやりやすかった

 本作はステージクリアスタイルだが、1つのマンションが1つのステージというわけではなく、ストーリーに則って進んでいく。オヤ・マー博士の都合で強制的にラボに戻されてしまうこともあって「ムムッ!?」と思うこともあるが、ルイージの活動は調査が主なのでここは仕方がないところ。

 直前にクリアしたステージまでは何度でもやり直すことができ、ストーリーの途中で入手する見えないものを照らし出す「ダークライト」を持って、最初に挑んだときには見つけられなかったテレサや隠しアイテムの宝石などを探すプレイスタイルもある。

虹色の光を照射するダークライト。何かがある場所を照らすとエフェクトが現われる
宝石はマンションに隠されたコレクションアイテム。それ自体に効果はない
各ステージはクリア後の成績によってランクが算出される。全ステージ最高ランクを目指してプレイするのもいい
捕獲したオバケは「ギャラリー」で閲覧可能。プロフィールとともに捕獲数やウェイトが記録される

 また今回は発売前のレビューなのでプレイできなかったのだが、オンライン/オフラインの最大4人のプレイヤーでゴールを目指す「テラータワー」も健在で、ソロプレイでは味わえない連帯感や緊張感も味わえるはずだ。

[Nintendo Direct 2023.9.14]の映像より、テラータワープレイの様子。タワーのタイプ(ルール)とフロア数、レベルなどを設定して挑む

 「マリオ」シリーズのジャンプアクションとはまったく違うゲームデザインで、特に初回のプレイは、探索や謎解きをしながらじっくりと進めていくプレイスタイルになると思われ、その感触に多少なり好みは分かれると思う。とはいえ、前述の通りオバケと遭遇したときの攻防は実に熱く、近年新作が公開された懐かしのゴースト退治映画シリーズが好きだったりすると、より楽しめるのではないだろうか。

キノピオとの邂逅。ルイージ以上に臆病で同行時も逃げ回るので、オバキュームで掴んで運んであげよう
仕掛けやボス攻略は、「ゼルダの伝説」シリーズに通じるちょっとしたひらめきが必要なことも

 Switchでは先に発売された続編の「ルイージマンション3」とセットで持っていて損のない傑作なので、この機会にぜひ手に入れて、暑い夏にピッタリの(!?)オバケ退治ストーリーを味わっていただきたいものだ。