PCゲーミングデバイスレビュー

FORIS FG2421

240Hz駆動時の残像感、ゼロ。驚異の動画性能

240Hz駆動時の残像感、ゼロ。驚異の動画性能

120Hz入力時に「Turbo 240」をオンにすると240Hz駆動となる

 実際のゲーム性能について見ていこう。本製品における最大の特徴は、ネイティブ120Hz入力に加えて240Hz駆動モード(Turbo 240)を搭載するという基本スペックそのものにある。

 240Hz駆動、といっても、1秒間に240枚の映像を表示するわけではない。本製品にフレーム補間の機能はないので、別の方法で240Hz駆動を実現している。具体的には、120Hzで入力された映像を120Hzで表示しつつ、表示フレームの間でバックライトを一瞬だけオフにして黒画面を挿入するという方式だ。

 これにどのような効果があるだろうか。液晶という表示方式は、次の絵に書き換わるまで同じ映像を表示し続ける“ホールド方式”の表示装置である。次のコマを表示する際、前のコマに上書きする形で絵を書き換えてくため、どんなにコマ数を増やしても人間の目には残像感が残ってしまうという宿命的な問題をはらんでいる。

 これに対して、残像感が皆無といわれるブラウン管は“インパルス方式”の表示装置だ。画素は電子ビームにより一瞬だけ発光、消灯ののち次のコマがまた発光する。フレーム間で表示がいったんリセットされるため、人間の目には残像が無いように見えるのだ。

240Hz駆動時を高速シャッターで撮影。バックライトが点滅し黒挿入が行なわれている

 まとめると、バックライトの明滅で黒挿入を行なう本機の方式は、液晶パネル上でインパルス方式の表示をエミュレーションする機能と言える。表示内容がいちど黒挿入によって視覚的にリセットされるため、ブラウン管のように残像がないように感じられる。本機ではこれを120Hz映像に対して行なうので、120コマの黒が挿入される結果240Hz駆動になるというわけだ。

 この方式は三菱電機でも「VISEO MDT241WG」など一部の機種で採用していた。が、60Hzモニターでこれを行なうとどうしても微妙な点滅感が画面に現われる上、実質輝度が半分になってしまう、つまり暗く見えるという問題があった。本機では120Hz入力をベースとすることで点滅感の問題を克服、また輝度・コントラストの拡張機能が充実しているため明るさ低下も危惧するほどではない。400cd/cmという元来の輝度の高さも見やすさに貢献しているようだ。

240Hz駆動の概念。黒コマを挿入することで倍速化する
さらに低遅延も謳う。120Hz時で1.5フレーム

「液晶応答速度&低解像度チェック」で一番厳しい条件を課す

 実際の見え方をチェックしてみよう。今回はMMGames氏によるフリーソフトェア「液晶応答速度&低解像度チェック」バージョン1.30を使用した。このソフトには画像の移動速度を変えながら残像のかかりかたをチェックできるモードが存在する。これを最速レベル(応答速度2ms未満前提)として画面の写真を撮影した。

 本機で通常の120Hz表示を行なった場合の画像と、240Hz駆動の画像を見比べてみる。通常の120Hz表示では、赤いマークの中心線に若干のブレがでていることがおわかりだろう。実はこれでもかなり優秀で、普通の60Hzモニターでは完全にブレブレになるところ原型を保っているだけでもスゴイ。

120Hz駆動時
240Hz駆動時

 それが、240Hz駆動時では静止画を撮影したかのようなクリアな画素感が再現されている。これは、フレーム間の黒挿入のおかげで、前のフレームの情報が混ざって見えることがないためだ。また、この写真から240Hz駆動時も色味や明るさがそんなに変わらないことが確認できるだろう。

 実際のゲームでも、この低残像感は感動的だ。オススメは120Hzで確実に描画できる軽めのFPSやRTS。素早く動くキャラクターのシルエット、自分の操作で動く照準、それぞれが完全なクッキリ感で見えるため射撃ひとつとっても質の高いプレイができる。

 筆者はこれまで何年も120Hzモニターを愛用してきたが、この240Hz駆動による低残像感やなめらかさは感動的だ。特に中距離でチョロチョロ動く敵の視認性がかなり向上するため、成績にも好影響が出る。これはプラシーボではない、本当の効果だ。

画像は「Alliance of Valiant Arms」。FPS系ではかなりプレイ精度に影響する
「Dota2」。暗い場面でゴチャゴチャ動いてもハッキリ視認できる
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(佐藤カフジ)