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World of Tanks

生き急げばお金がかかる! 良く練り込まれた課金システム

生き急げばお金がかかる! 良く練り込まれた課金システム

ゴールド購入ページ。クレジットカード、銀行振込などサポート
例えば重戦車Lowe。およそ5,000円!
いわゆる課金弾。シルバーでも買えるが使いすぎるとまず赤字になるので、効率重視ならゴールドに頼る
大量のエリート車両があるとフリー経験値変換がわりと大変
搭乗車種を変える乗員の再訓練。ゴールドを支払うと経験値ペナルティなしにできる

 さて、基本プレイ無料ゲームの宿命である課金システムだが、本作では完全無料でプレイを続けることも充分に可能な反面、急速な成長を臨む場合はリアルマネーがかかるという作りになっている。

 ゲーム内には2種類の通貨がある。ゲーム内の試合報酬として手に入る「シルバー」と、リアルマネーで購入する「ゴールド」だ。価格はおよそ1円=2.5ゴールド(1番オトクな買い方をした場合)という比率で、使い道は複数ある。

 ひとつは、プレミアムアカウントへのアップグレード。月2,500ゴールド(約1,000円)程度かかるが、プレミアムアカウントでは試合報酬が通常の1.5倍となり、プレイ効率が非常に良くなる。多くのユーザーにオススメなオプションだ。

 続いて代表的なゴールドの使い道は、“プレミアム戦車”の購入だろう。プレミアム戦車はどのティア帯にもひとつは用意されていて、ゴールドを支払えば研究ツリーの進行度を無視していきなり搭乗できるというものだ。プレミアム戦車は、試合報酬にボーナスがあり、ゲーム内マネーの稼ぎには良いのだが、得てして同一ティア内での性能バランスが微妙な車種が多いので一般的に扱いは難しめだったりする。

 次にあるのは、“課金弾”の使用だ。各車種ともに概ね徹甲弾(AP弾)、対戦車榴弾(HEAT弾)、榴弾(HE弾)の3種の弾を搭載することができるのだが、このうちHEAT弾は、1発単位で、それなりの多額のシルバーか、2~10ゴールド程度のどちらかで購入できる仕組み。課金弾は一般的に貫通力が高く、ここ1番の場面で使えば戦況を好転させることが可能なため、ついつい使いたくなるが、1発撃つたびにお金が飛んでいくと考えると、使いすぎは禁物。ましてや常時課金弾などという贅沢は、リアルお金持ちの専売特許となろう。

 それだけではない。地味にお金がかかるのが経験値関連だ。本作では試合で得た経験値は基本的に稼いだ車種でのみ使えるシステムなのだが、その枠を超えてどんな車種でも使える汎用性の高い「フリー経験値」という概念がある。通常、試合報酬の5%がフリー経験値に参入されるが、全てのパーツ研究を完了した車両(エリート車両)については100%がフリー経験値に変換可能な経験値として、プールされるのだ。

 プールされた変換可能な経験値をフリー経験値として使える状態に変換するには25expあたり1ゴールドが必要。エリート車両を5も10も所有して毎日プレイしていると、プール経験値があっというまに10万、20万と溜まっていくため、素直に全部変換していると月に5,000円は軽くかかってしまう。乗りたい戦車のために必要なだけ使うようにすれば節約できるものの、ついつい全部使いたくなるのが人のサガというもので、ビジネス的には良いシステムだな、とうならされる。

 他にも乗員を別車種に載せ替える際の経験値ペナルティをなくすためにひとり200ゴールドばかりかかるなどゴールドの使い道は多数あるが、その全ては「効率を高めたいなら金払え」という形に統一されている。したがって、そう急がずゲームそのものを楽しむだけなら、1円も使わずに本作を100%プレイ可能だ。ざっくりいってせいぜい研究ツリーを進めるのにプレミアムユーザーの1.5倍の試合数がかかるだけだ。腕がよければその差はさらに縮まるか、逆転することもあるだろう。

 このようなゲーム設計が多くのプレーヤーを惹きつけているのだと思う。筆者はフリー経験値の変換とガレージ拡張のためにある程度ゴールドを使用しているが、ペースとしては月5,000円くらいだろうか。そのうち研究ツリーが満足行くまで進んで、本作のプレイ頻度が落ち着いてきたらプレミアムの維持だけ(月1,000円程度)に収まるかなと思う。お金の使い道としての納得性は高い。

 というわけで、本作は素朴で奥深いゲーム性を核に、全体が丁寧にまとめられた良作だ。味は濃厚、香りは硬派。大戦中の各国戦車の知識も得られて、面白さは後を引く。頻繁なアップデートによって新車種の追加やゲームバランスの調整が常々行なわれているのも良いところで、定期的に遊びの内容が微妙に変化していくため新鮮な気持ちでプレイを続けられる。是非、みなさんも1度お試しあれ!

 ユニークな内容ゆえ最初は理不尽な戦果にあえぐことも多い本作。初心者がつまづきやすい点について今後予定の短期集中連載でカバーしていく予定なのでお楽しみに!

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(佐藤カフジ)