PCゲームデバイスレビュー

KANA V2 Black

快適性は随一。実に気持よくFPSをプレイできるマウス

快適性は随一。実に気持よくFPSをプレイできるマウス

汎用設定ソフト「SteelSeries ENGINE」。2通りのCPI、及びポーリングレートが設定可能
CPIチェンジボタンを除く各ボタンをカスタム可能。

 続いて細かい点も見ていこう。トラッキング解像度の設定は「KANA」(400/800/1,600/3,200の4段階)よりも自由度が増しており、400~4,000CPIの間で400CPI刻みで任意のCPIを2種類設定し、マウス中央のCPIチェンジボタンで切り替えることができる。筆者のようにゲーム毎の感度の違いを、切り替え機能で微調整する向きには非常に有難いところだ。

 センサーのリフトオフディスタンスは2mm程度に調整されており、1円玉2枚を挟むとほぼ反応なしとなる程度だ。この辺りの調整機能は「SENSEI」と違って省かれているが、黒い布系パッド(SteelSeries QCK)でも、表面を微細なガラス玉でコーティングした複合系パッド(Artisan「紫電改」)同様のリフトオフディスタンス感を得られ、トラッキングもその双方で非常に安定したパフォーマンスを得られる。

 「SENSEI」では直線補正の有り無しを10段階で設定できるが、本製品の場合はそれが調整不可能な代わりに、「SENSEI」の直線補正OFFと同様の設定があらかじめ施されているようだ。下にペイントソフトでフリーハンド描画した直線の画像を示すが、「KANA V2」のほうも微妙な歪みがでており、直線補正がほぼカットされていることがわかる。

「KANA V2」でのフリーハンド直線描画結果
「SENSEI」(直線補正カット設定)でのフリーハンド直線描画結果

SteelSeriesマウス揃い踏み。左から「SENSEI」、「SENSEI RAW」、「KANA V2」、「KINZU V2 PRO」

 これらのセンサー特性に加えて、「KANA V2」の良さはその軽量さだ。実際にFPSをプレイしてみると、「SENSEI」よりもずっと楽に操作ができる。違いが出るのはマウスを頻繁に置き直す高速操作時もそうだが、実は精密操作時にも違いが出るのがポイント。

 筆者の場合、精密操作時には指先に力を込め、マウス重量からくる初動抵抗を相殺することでミリ以下単位の確実な操作を行なっているが、つまみ持ちが無理なくできるサイズと軽量さが相まり、「KANA V2」ではより速く少ない力で精密照準を実行できる。

 このことが、FPSのプレイを非常に快適にしてくれる。狙った場所にスッと照準が合う感覚が気持ち良い。「KANA」のTTCスイッチからオムロンスイッチに変更されたクリック感も軽妙で、指先にかかる負担は「SENSEI」よりも軽い。

 唯一の弱点は最大トラッキングスピード60インチ/秒という部分だけだろう。180度振り向くのに50センチ以上もマウスを動かすような、超ローセンシ設定のプレーヤーだと問題となる可能性がある。筆者を含め、手首いっぱいで振り向く程度のややローセンシ気味くらいのプレーヤーなら、本製品の性能・特性に大いに満足することうけあいだ。

 総合的に見て、筆者は大半のFPSをプレイする際、「SENSEI」よりも「KANA V2」を好む。「KANA」の代ではやや存在感の薄かったSteelSeriesのミドルクラスマウスだが、「KANA V2」の代で期待される特徴を余すところなく発揮している。「SENSEI」、「SENSEI RAW」を差し置いて1番人気となるポテンシャルを充分に持つ製品だ。

(佐藤カフジ)