★ PS3ゲームショートレビュー★
スーパーテクで翻弄し、抜き去れ!
本格的でカジュアルな新世代サッカー
「 FIFAストリート」
ジャンル:
  • スポーツ(サッカー)
発売元:
  • エレクトロニック・アーツ
開発元:
  • エレクトロニック・アーツ
プラットフォーム:
  • PS3
価格:
7,665円
発売日:
2012年3月22日
プレイ人数:
1~7人(オンライン2~10人)
レーティング:
CERO:A(全年齢対象)

 エレクトロニック・アーツの「FIFAストリート」はスペインやドイツ、ブラジル、アルゼンチンなど、世界のスーパープレーヤーたちが、駐車場や公園、ミニサッカー場などで、超人的なテクニックを惜しげもなく披露しながら試合を繰り広げて行く、カジュアルでユニークなサッカーゲームだ。

 ゲームエンジンには「FIFA 12 ワールドクラス サッカー」のものを活用しており、選手やボールの挙動、駆け引きなどは、リアルで本格的な戦いが楽しめる。さらにやり込み要素も併せ持つ、楽しくて深い作品である。本稿では「FIFAストリート」の基本要素と、魅力をお伝えしたい。


■ 1vs1の局面でテクニックを見せつける。“股抜き”の面白さを追求

本作を象徴するテクニック“股抜き”。戦術的に効果的であると同時に、相手に屈辱を味あわせる高等テクニックだ
世界の有名スター選手に加え、実在のストリートサッカー選手も登場。夢の対戦が繰り広げられる
多彩な対戦ルール。オリジナルルールも設定可能

 プロサッカーの有名選手が、テレビ番組で華麗なドリブルを披露したり、見事なリフティングを見せることがある。また、ゴールのハイライトでも選手達のスーパーテクニックを見ることができる。「FIFAストリート」はそういったプロサッカー選手の“凄さ”を凝縮したサッカーゲームだ。

 彼らが対戦する場所は、世界各地のストリートや、フットサルのピッチなどだ。様々なルールがあるが、対戦人数は最大で5vs5と、サッカーと比べると規模は小さめだが、その分、スピーディーで熱い戦いが楽しめる。

 本作は「いかに相手を抜くか」にテーマを凝縮している。ゴールは直ぐそこ、相手も自分もボールに追い付くことは容易で、向かってくる敵は少人数。この状況でプレーヤーは、相手選手を翻弄し、抜き去るために、そのテクニックを限界まで駆使する。特に相手選手の足の間にボールを抜けさせる「股抜き」は、「PANNA RULES」という専用の試合形式があるほど重視されている。「PANNA」とは“股抜き”を指し、ストリートサッカーでは幅広く取り入れられている、選手の高い技量を見せつけるテクニックだ。「PANNA RULES」では、股抜きを成功させゴールすることで高得点が得られるのだ。

 敵を抜くことにフォーカスした本作は、敵と1vs1になったときが最も面白い瞬間だ。ここに、特殊な操作を取り入れている。ボールを運んでいるときにL2ボタンを押すことで選手が一旦停止し、ボールを足下で転がす「ストリートボールコントロール」の状態になる。この時左スティックを入れると、体は動かさずボールをスティック方向に動かすディフェンダーに対するフェイントとなる。ここからディフェンダーに向けスティックを倒しながらR2ボタンを押し、L2ボタンを放すと股抜きが行なえる。

 股抜きを警戒しているディフェンダーに対しては、R1ボタンでボールを浮かしディフェンダーの頭上を越すことも可能だ。さらに右スティックを使うことでフェイントをかけたり、ボールを軸に体を回転させるようなドリブルも行なえる。多彩なアクションで相手を翻弄し、抜き去った上でシュートを決める。もちろん相手を出し抜くのはこうした個人技のみではない。パスワークを活用することで、戦術はさらに広がる。さらに「FIFAストリート」の試合場の多くは壁に囲まれており、時にはビリヤードのように、ボールを壁に反射させてのパスも可能だ。

 試合場の小ささ、参加選手の少なさが「サッカー」という競技からより“抜き合い”に特化した状況を作り上げており、濃厚な駆け引きが楽しめる。相手を抜くためにリフティングやフェイント、ユニークなドリブルなど、プロ選手でも限られた者しか使えないようなスーパーテクニックを簡単操作で繰り出し、爽快な勝利の空間を作り出すことができる。「FIFAストリート」の醍醐味は、ここにあると思う。

 「FIFAストリート」の基本的なゲームモードは、キーパー1人を含む5vs5の「5-A-SIDE」、そして股抜きがシュート以上の得点となる「PANNA RULES」、周りに壁のないスタジアムで行なわれる「FUTSAL」、そしてシュートを入れるごとに人が減っていくというユニークなルールの「LAST MAN STANDING」がある。世界の有名チームの選手がカジュアルで熱い戦いを繰り広げる本作は、通常のサッカーゲームとはひと味違った魅力を持っているのだ。


チュートリアルビデオでは、本作ならではのテクニックを学ぶことができる
キーパー1人を含む5vs5の「5-A-SIDE」。本作の最も基本的な対戦ルール。壁に跳ね返らせたパスや、股抜きなど、様々なテクニックで戦う
股抜きに特化した「PANNA RULES」。股抜きを成功させシュートで得点を決めると、高得点をゲットできる
「FUTSAL」は壁がない。コーナーキックなど、サッカーと同じ駆け引きも
得点を決めた方がメンバーが減っていく「LAST MAN STANDING」。実力差があって得点を決められても、人数で有利になっていくので、逆転のチャンスも


■ オリジナル選手で戦う「WORLD TOUR」、多人数プレイももちろん対応

自分だけの選手が作れる。「FIFA 12」からのインポートも可能
オフラインでも最大で7人プレイができる。オンラインなら10人まで参加可能だ

 「FIFAストリート」は有名選手によるぶつかり合いだけでなく、オリジナルキャラクターで世界の強豪と勝負するという、RPGの様な楽しさを持つゲームモードも用意されている。それが「WORLD TOUR」だ。プレーヤーキャラクターを5人分作ってチームを作成し、開始エリアを勝ち進み、やがて世界へと勝負していく。

 「FIFA 12」ユーザーは自分が作ったバーチャルプロの選手を「FIFAストリート」にインポートすることが可能だ。「FIFA 12」で世界を目指した、思い入れたっぷりの選手に、全く別な活躍の場が与えられるのだ。この他、友人が作ったキャラクターを選手としてインポートもできる。「FIFA 12」でコミュニティを作った人ならば、より楽しいチームが作れそうだ。

 もちろん、実は「FIFA」シリーズは未経験で、「FIFAストリート」が「FIFA」シリーズ初挑戦という人も楽しめる。試合を繰り返すことで、キャラクターを成長させていくことができ、自分の戦術にあったチームを作り出すことが可能だ。「FIFAストリート」をたっぷりと楽しめるゲームモードだろう。育て上げたチームで、オンライン対戦も可能だ。

 多人数の協力・対戦プレイも楽しめる。本作はオフラインで1~7人、オンラインでは最大10人での協力・対戦プレイができる。今回は2人での対戦・協力プレイを体験してみた。CPUとのシングル戦とおおきく違うのは、協力プレイではフォローに徹することもできるということだ。ゴール前でパスを待ったり、ぶつかっている友人の近くでこぼれ球を拾ったりと、うまくフォローできると爽快だ。反対に、あえて1人で突破しようと突っ込むのもアリだ。CPUとでは味わえない友人とのプレイは、やはり楽しい。

 対戦は、初心者同士ならばワイワイと、上級者同士ならばかなり白熱した戦いが楽しめる。「FIFAストリート」は、フィールドが狭いため、偶然蹴ったボールがゴールに入ってしまう事もある。一方でゴールも小さいために、絶妙のチャンスなのにシュートを外してしまうことも。攻守がめまぐるしく変わるスピーディーな展開は、友人との気軽なゲームプレイにより向いていると感じた。

 特に対戦では「LAST MAN STANDING」がオススメだ。最初は5vs5でスタートするのだが、得点を得るとメンバーが1人抜ける。5人全員が抜けられれば勝ちだ。このルールの場合、プレーヤーに実力差があっても、選手数でフォローできる。人数が少なければ必ずフリーの選手が出てしまうし、少人数の場合、カウンターを食らうとリカバーするのが難しい。家に来た友人と遊ぶのにぴったりの、間口の広いゲームモードだ。

 「FIFAストリート」はカジュアルに、楽しく楽しめるサッカーゲームだ。サッカーゲームは試合が長かったり、選手の駆け引きが複雑だったりと、敷居が高い部分もある。一方本作は、気軽に、短時間で楽しむことができる。それでいながら、やりこむと奥が深い。相手をどう抜くか、シュートをどう決めるか、こだわることで山のように課題が生まれ、「理想的な得点パターン」を生み出すため、試行錯誤を繰り返すことになる。この時には、実際の選手の動きなどを研究しなくてはいけないだろう。

 「FIFA 12」のエンジンを活用した本作は、選手やボールの挙動、選手達のボールを巡るやりとりなど、基本的な部分で“本格さ”を強く感じさせられる。ルールや雰囲気は、間口が広いが、どこまでもこだわれる“奥深さ”を持っている。そして「FIFA 12」のプレーヤーにとっては、自分の選手の新たな活躍の場になるという点も楽しい。初心者からコアプレーヤーまで、幅広い層のユーザーにオススメできる、新しいサッカーゲームである。


オリジナル選手、オリジナルチームを作り、成長させていく。目指すは世界一のチームだ。作ったチームは、オンラインでも使用できる
スポーツゲームは特に多人数プレイが楽しい。間口が広い本作は、細かいところがわからなくても楽しくプレイでき、練習を繰り返すことで高みを目指せる

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(2012年 3月 22日)

[Reported by 勝田哲也 ]