★ PS3/Xbox 360ゲームレビュー★
音声認識機能を搭載!
龍が如くスタジオが手がけるTPS!
「バイナリー ドメイン」
ジャンル:
  • ドラマティックアクション
発売元:
開発元:
プラットフォーム:
  • PS3
  • Xbox 360
価格:
8,390円
発売日:
2012年2月16日
プレイ人数:
1人(オフライン時)/1~10人(オンライン時)
レーティング:
CERO:D (17才以上対象)

 2月16日、株式会社セガからプレイステーション 3/Xbox 360「バイナリードメイン」が発売された。

 龍が如くスタジオ発足後、初めてリリースされるタイトルで、同スタジオらしい熱い人間ドラマはもちろんのこと、音声認識といった新たな試みも取り入れられているドラマティックアクションだ。

 ゲームのプレイにはインストールが必須で、3,761MB以上のHDD空き容量が必要となる。

 なお、本レビューにはPS3版を使用している。



■ 声で指示を出す新感覚のTPS!ハリウッドのSFアクション映画のようなストーリーが展開するキャンペーン!

 西暦2080年、東京湾。

 かつての煌びやかなベイエリアは今、無人の静けさの中に打ち捨てられていた。
 20世紀から続く地球温暖化などによる海面の上昇……。
 高さ100メートルを越す東京湾の巨大堤防は着工から50年かけた今もなお建設工事を続けている。

 特殊部隊「ラストクルー」に所属するダン・マーシャル軍曹はその巨大な堤防を
 見上げるように闇夜の海中を潜行していた。
 国連傘下の査察機関IRTA(国際ロボット技術機構)からの密命を帯びたダンの目的は、
 日本の大手ロボット開発メーカー「AMADA社」創設者・天田洋二の身柄拘束。

 天田博士には、条約で禁止された人近似ロボットの開発という国際法上の犯罪容疑がかけられていた。

 排外主義の日本政府は、密入国者の射殺に躊躇がない。
 つまり今回の任務は、厳重な警備体制をしく内務省治安維持部隊の銃口にさらされることになる。
 だが、生還者(サバイバー)の異名を持つダンの口元には不敵な笑みが浮かべられていた。
 飛び交う銃弾の中、無数に積み上げられていく鉄の屍。
 ダンをはじめとするラストクルーの猛者たちは東京の深部へと潜入していく。
 その先に人類全体の深刻な危機が待ち構えていることを、彼らはまだ誰もしらない……。

 シングルプレイ専用モードのキャンペーンでは、プレーヤーは特殊部隊「ラストクルー」に所属するダン・マーシャル軍曹となり、日本のロボット開発メーカー「AMADA社」の創設者である天田洋二の身柄を拘束すべく、東京へと潜入する。

 未来の東京が舞台のSF的な物語であり、「龍が如く」シリーズとは全くの別物だが、龍が如くスタジオらしい熱い人間ドラマは健在。世界観に加え、主人公をはじめ、主要な登場人物の多くが日本人ではないことも「龍が如く」とは大きな違いを感じさせてくれる要因の1つだろう。セリフまわしも含め、ハリウッドのSFアクション映画の吹き替え版というのが最も近いイメージだろうか。


■ ボイスコマンド(音声認識)を利用するためにもきちんと調整を!

 新しさを感じさせてくれるのがボイスコマンド(音声認識)によるリアルタイムコミュニケーションのシステムだ。プレーヤーが操作するのはダン1人だが、チームで任務達成を目指すことになる。ダン以外のメンバーは自立思考型A.I.で独自に戦闘を行なうが、マイクを使えば多彩な指示をメンバーに出す事ができる。

声で指示を出せば味方が動いてくれる。マイクを使わずに指示を出す事も可能だが、出せる指示の種類は大幅に減ってしまう。指示だけでなく、応援したり、罵声を浴びせたりすることも可能

 音声入力を利用するには、USBやBluetooth接続のヘッドセットやマイクが必要。USBなら接続するだけで自動的に登録される。Bluetoothなら機器登録をすれば利用できるようになる。すべての機器に対応しているかどうかは確認できないので、できれば「PS3対応」とうたわれているもの、もしくは予約特典のオリジナルヘッドセットを使うといいだろう。

 機器の接続や登録が終わったら、次にやるべきは音声認識のテストと調整だ。はっきり言って、しゃべった内容が認識されなかったり、誤認識されてしまうようだと、音声入力の便利さや楽しさを体感することができず、ストレスを感じるだけになってしまうので、確実に認識されるよう調整しておくことが欠かせない。

 ゲーム内のVOICE SETTINGには、音声認識テスト、認識ワード一覧、認識率の設定、ノイズ設定が用意されている。音声認識テストは、画面に表示されるワードをしゃべり、正しく認識されるかをテストできる。ここで問題ないようにしておくのが目標だ。

 認識ワード一覧には、作戦指示用の“集まれ!”、“隠れろ!”、“撃て!”、返答用の“了解”、“断る”に加え、“好きだ”、“アホ”など、認識されるワードの全てが記されている。ワード数は多いが、“突っ込め!”と“突撃”、“了解”と“分かった”など、意味合いが同じワードもあるので、全てを覚える必要はない。作戦系と返答用のワードさえ覚えておけば快適にプレイできる。

 認識率の設定では、認識OKと扱うスコアを上下させて認識率を調整する。認識率を上げると誤認識が減るが、認識不足が増える可能性がある。逆に認識率を下げると認識不足が解消できるが、誤認識しやすくなる可能性がある。

 ノイズ設定では認識する音量を調整する。しゃべる声の大きさのみ認識するように調整しておけば、周囲の音を誤認識してしまうことがなくなる。

 音声認識テストで満足な結果が得られなければ、認識率とノイズを設定し、再度テストを行なう。これを繰り返し、正しく音声が認識される状態にしてから、本作をプレイしてもらいたい。

うまく音声が認識されなければ本当の意味で本作を楽しむことはできないので、しっかりと調整しておきたい。調整だけでなく、音声入力の環境も重要。予約特典としてオリジナルヘッドセットが付くことからもわかる通り、ゲームの音や周囲の音を拾いにくいヘッドセットがベストだ。ヘッドフォン+マイクでもOKだ。調整により、認識する音量を調整すれば、スピーカーから音を出してプレイすることもできるが、周囲の音が大きければ、その分しゃべる声を大きくしなければならなくなる。ゲーム内の設定だけではうまくいかない場合は、XMB(クロスメディアバー)の周辺機器設定-音声機器設定もチェックしてみるといいだろう

 返答用の認識ワードがあることからもわかるとおり、こちらから作戦指示を出す以外に、メンバーから戦術を提案されたり、質問を投げかけられるイベントが発生する。このシステムは「リップルリンク」と呼ばれ、戦術提案に乗ることで、味方が特別な行動に出てくれる。また、返答によってメンバーの信頼度が変化する。

 信頼度は作戦指示に従うかどうかに影響するパラメータで、高いほど作戦指示に従ってくれる可能性が高まる。戦術提案に乗り、戦術を成功させたり、質問に対してうまく受け答えできれば、上げることができる。素早く敵を殲滅したり、複数の敵を1度に倒したりすることでも上がることもある。逆に味方を撃ったり、質問への回答に失敗、無視すると下がってしまう。

 音声入力デバイスを使わない場合は、L2を入力することで表示されるワードを○/×/□/△ボタンで選択する。YES/NOと返答するには困らなかったが、作戦指示で表示ワードを選択する方式は、厳しいと感じる場面には度々遭遇した。自動で選抜された4種類のみなので、出したい作戦が選択肢にないことがあるからだ。また、各個人を指定しての対話もできないので、本作を最大限に楽しみたいなら、音声入力デバイスを利用すべきだろう。

チームメンバーに指示を出しつつ、任務を遂行していく。名前を呼んでからなら、個別に指示を出すことも可能。いちいち指示するのは面倒と思う人もいるかもしれないが、何も指示せずとも自身で判断し、攻撃してくれるので安心してもらいたい
同じチャプターであっても連れて行くメンバーによって提案してくる作戦が異なることもある。他にも条件によってストーリーの展開に変化が生じたりと、繰り返しプレイすることで様々な発見がある

■ 簡単な操作で本格なTPSが堪能できるゲームシステム

 本作は見た目上、TPS(サードパーソン・シューティング)に分類される。自身の状態が常に確認できるため、主観視点となるFPS(ファーストパーソン・シューティング)よりも状況が把握しやすいだろう。また、操作も簡単で、難易度選択も用意されているので、この手のジャンルのゲームをプレイしたことがない人でも遊びやすい作りになっている。

 難易度は、EASY、NORMAL、HARDの3種類。1度選択すると、そのゲーム中は変更できないので、自信がなければEASYやNORMALを選んでおくといいだろう。EASYだと、敵を倒しやすく、やられにくいことに加え、敵に対する照準に大きく補正がかかる「エイムアシスト:ビギナー」が利用できるのが大きい。照準あわせ(エイム)が苦手であってもサクサクと敵を倒すことができる。さらに特定の条件を満たすと、HARD以上の高難易度もプレイできるようになる。

 次に装備や操作方法について簡単に紹介したい。

 操作キャラクターであるダンは4つの武器を所持でき、方向キーの上/下/左/右で武器を変更する。武器の性質を把握し、状況に応じて使い分けることで有利に戦闘を進めることができる。

 方向キー左は「PRIMARY WEAPON」。このスロットは固定で、他の武器と変更することはできない。ダンが使うPRIMARY WEAPONの「SOWSAR-17アサルトライフル SBMOD」は連射力、威力など、バランスのとれた武器。他の武器とは大きな違いが2点ある。1つはショップにて敵を倒して得られるクレジットを払って性能をアップさせられる点。強化段階はストーリーの進行に応じて増えていく。2つ目はR2長押しでショックバーストが放てる点だ。ショックバーストは高威力・広範囲の強力な攻撃。雑魚なら複数体をまとめて吹き飛ばせるうえに、多くのボスの行動を一定時間停止させる効果もある。ただし、発射には電力と数秒のチャージ時間が必要。電力は敵からのドロップアイテム、ショップでの購入、特定ポイントで充電できる。

ダンのPRIMARY WEAPONのアサルトライフルは、弾数が多く、連射が効き、威力も高い。万能な武器で、電力を使ったショックバーストまでも備えている。さらにショップでは性能を強化でき、最終的には全ての武器を上回るほどの性能にまでパワーアップできる。ちなみにダン以外は直接操作できないが、PRIMARY WEAPONを強化することはできる

 方向キーの右は「SECONDARY WEAPON」。自由に武器を設定できるスロットで、ショップで販売されていたり、落ちている銃器の大半はこのスロットに収まる。サブマシンガン、スナイパーライフル、ショットガン、ロケットランチャーなど性能の異なる様々な武器が存在する。例えば、スナイパーライフルなら、高威力・長射程の反面、連射力が低く、装填・所持弾数が少ない。ロケットランチャーなら最大級の威力を誇るが、数発しか弾が所持できないといった具合だ。同タイプの武器であっても複数種用意されているので、新たな武器を見つけたら試してみるといいだろう。なお、本作での主な弾薬の補充方法は、“ステージに落ちている弾薬を拾う”、“ショップで購入する”、“同じ弾薬を使う銃器”を拾うの3つなので、安定した弾薬供給を求めるなら、多く登場するアサルトシューターという敵が所持している「RAOW-R8アサルトライフル」を選んでおくのが無難だ。

自由な銃器をセットできるSECONDARY WEAPON。連射力の高いサブマシンガン、長射程のスナイパーライフル、近距離で大ダメージが期待できるショットガン、高威力のロケットランチャーなど、PRIMARY WEAPONのアサルトライフルとは違った武器を使うことができる。ステージ中に武器を拾った場合、所持していた武器はその場に置かれる。一旦新しい武器を試して、前の方がいいと思ったら拾いなおすこともできるわけだ。ただし、ショップで購入した場合、所持していた武器は破棄される

 方向キー上は「SIDE ARM」。ハンドガンタイプの武器スロットで、同タイプなら変更が可能。ハンドガンは、射程は短く、威力も低いが残弾数は無限。他の武器の残弾がなくならない限り無理に使うことはないが、耐久力の低い敵にはハンドガンを使っておけば、他の武器の弾薬の節約になる。

 方向キー下は「EXPLOSIVES」。グレネードなど、投擲系の武器で、遮蔽物に隠れた相手に対して有効。こちらも同タイプの武器に限り変更可能。

ハンドガンは威力は低いが、弾数に制限がない。他の武器の弾薬が尽きたら、ハンドガンに頼ることになる隠れている敵や集団相手に活躍するのがグレネード。中にはホログラフィーを投影する粒子を展開させ、一定時間敵ロボットの光学センサーを欺瞞するなんてものもある

 武器の持ち替えには数秒かかるので、安全を確保した上で持ち替えるようにしたい。ちなみに複数の武器が使えるが、単に敵を倒すだけなら、弾薬がなくならない限り、PRIMARY WEAPONを使っておけば問題はない。

 これらの武器はR1ボタンで使用する。ただ、R1ボタンだけで攻撃した場合、銃器は照準が絞れず、効果的にダメージを与えることができないので、L1ボタンを入力し、照準を合わせた状態をキープしながらR1ボタンで射撃するのが基本となる。

 もちろん、R1ボタンだけでの射撃にも使い道はある。例えば、遮蔽物に隠れた状況でL1ボタンを押すと身を乗り出すため、ダメージを受けやすくなってしまうが、R1ボタンだけを入力すれば、武器だけを出して射撃するので、受けるダメージを抑えられる。敵が近くにいたり、サイズの大きい敵であれば、的が大きいため、この攻撃方法でも十分なダメージを与えられる。

L1ボタンで照準を合わせ、R1ボタンで射撃する。詳しくは後述するが、部位破壊も敵を効率良く撃破する手段の1つで、照準を素早く、的確に合わせることは攻略の鍵となる。また、激しい攻撃にさらされる場面などでは、照準を合わせず、R1ボタンのみで射撃するのが有効となることも

 射撃以外に格闘攻撃(□ボタン)も可能。装備武器で殴る攻撃方法で、近くにいる複数体を1度に攻撃することができる。ただ、近寄るとダメージを受ける可能性も高くなるので無理は禁物。複数の敵に囲まれてしまっては、連続で攻撃を叩き込まれ、あっという間に瀕死状態にされてしまう。あくまで射撃で倒すのが基本だ。

 防御面のアクションは、「遮蔽物に隠れる」、「回避行動」の2つで、操作は×ボタンに統一されている。遮蔽物に隠れるには、隠れられるものの側で×ボタンを入力するだけでOK。左スティック+×ボタンでは短いながらも無敵時間のある回避行動となる。また、左スティック+×ボタン(長押し)ではダッシュになり、ダッシュ状態で遮蔽物に正面から接触すると自動的に隠れてくれる。

隠れられるもののそばで×ボタンを押せば隠れることができる。隠れた状態でR1ボタンを押せば隠れたまま射撃し、L1ボタンを押せば少し身を乗り出し狙いを定めることができる

 撃つ部位によってリアクションが変化する点も本作の特徴の1つ。本作で戦う相手はロボであり、人間ではない。多くの人間相手に戦うゲームであれば、数発撃ちこむかヘッドショットを決めれば倒せるが、ロボが相手ということで、相当数の弾丸を撃ち込まねば倒すことはできない。しかし、部位を破壊すれば動きを制限したりすることができるため、どの部位を撃つのかが重要になってくる。最も多く登場する人型のロボットを例に部位破壊のリアクションをいくつか紹介したい。

 足を破壊すると行動力を奪うことができる。特に走って接近してくる近距離を得意とするタイプに有効。連射し続けると銃口が上がってくる性質もあるため、立っている相手に確実に銃弾をヒットさせる点でも使いやすい。ただし、足を破壊しても、完全に停止するかというとそうでもない。動きは遅いものの這い寄って、掴みかかろうとしてくる。足を破壊しても安心せず、動きが制限された相手に確実にトドメを刺しておきたい。

 武器を持っている手を撃つと武器を落とすことができる。反対の手で拾おうとするが、それまでの間の銃撃をなくせる上、遮蔽物から身を乗り出して拾おうとするため、的が大きくなり、射撃を当てやすくなる。

 最も特徴的なのがヘッドショット。頭部を破壊すると敵を撃破できるのではなく、同士討ちをさせることができる。攻撃を与えてくれるだけでなく、敵の攻撃対象が頭部を破壊されたロボットになり、こちらへの攻撃を抑える効果もある。

部位破壊は戦闘を有利に進められるだけでなく、ショップでの武器・弾薬の購入や武器強化に必要なクレジット稼ぎにも有効。クレジット入手条件は部位破壊と本体破壊なので、部位を破壊してから本体を破壊すれば、部位を破壊した分、多くのクレジットが入手できる

ナノマシンでキャラクターを強化すれば、攻略が楽になる。ナノマシンはショップで購入したり、ステージで拾うことで入手できる。大半のナノマシンはキャラクターを強化するものだが、中には瀕死状態から復活できる救急キットの所持上限を増やすといったナノマシンもある

 武器だけでなく、ナノマシンではキャラクターを強化することができる。ナノマシンをセットできるのは横2マス×縦3マスの計6ブロックで、セットすることで体力、防御力アップ、自動回復速度上昇といった効果が得られる。これらは各メンバー個別にセットすることになる。

 基本は隠れて、撃つ。やることも操作もシンプルなのだが、豊富な武器、隠れる場所の選定、部位破壊による敵のリアクションの変化、ステージの仕掛けを使った攻撃などにより、戦略的な戦闘が手軽に楽しめるように作られている。銃撃を受けても即やられることはなく、時間経過で回復するし、救急キットがあれば瀕死になっても回復できる点でも遊びやすい。チェックポイントが細かく区切られており、リトライしやすい点も嬉しい。さらに仲間の存在が戦略性を高めている。

 チーム戦なので、仲間は敵を倒してくれるし、自分が瀕死になって救急キットがない場面で助けてくれたりもする。ダンだけでなく、仲間がやられてもゲームオーバーになってしまうが、難易度NORMALでプレイした際には仲間がやられてしまい、助けにいかねばならないようなこともほとんどなかった。しかしながら、指示の出し方が悪いのかもしれないが、仲間は頻繁に射線上に飛び出してくるため、撃ってしまって信頼度を下げてしまうことがしばしばあった。信頼度が下がるシステムがあるので、この点は気になった。基本的にダンより後ろに位置して攻撃するなど、メンバーのおおまかな戦い方が設定できれば、より良かったのではないだろうか。また、せっかく音声認識で遊べるので、指示だけ出して戦う別モードなんてのも面白いかもしれないと感じた。



■ 対戦と協力の両方が楽しめるオンラインプレイ

 オンラインプレイでは、対戦と協力のどちらも楽しめる。対戦と相性のいいゲーム性であることからか、対戦で選べるルールは7つも収録されている。また、レベルアップや特定の条件を満たすことで経験値が得られるチャレンジといった要素も用意されている。

 オンラインプレイを行なうには、マッチを作成するか、作成されたマッチに参加する。参加する際には、対戦なら対戦ルールで、協力ならステージで条件を絞ることができる。何でもいいなら、クイックマッチを選択すれば、参加できるマッチを探して組み込んでくれる。待たされていると感じることもないほど、マッチングにかかる時間は短い。平日の昼間はともかく、夕方~深夜の時間帯であれば、すぐにオンラインプレイが楽しめるだろう。特に対戦は、試合開始後でも参加できるシステムのため、マッチングされやすい。

 オンラインプレイで選択できるステージは7つ。ルールによって選択できるステージは異なる。5つはキャンペーンで登場したステージを対戦用にしたもので、残り2つが対戦プレイ(ドメインコントロール)や協力プレイ専用のステージとなっている。

■ クラス/レベル/スキル/チャレンジ

 クラス/レベル/スキル/チャレンジは、対戦・協力どちらにも共通するシステム。

 初期状態で選択できるクラスは、「ソルジャー」、「スカウト」、「スナイパー」、「ヘビーガンナー」、「ストライカー」の5種類。ダウンロードコンテンツによりクラスを追加することができる。クラスによる大きな違いはPRIMARY WEAPON。得意なプレイスタイルに合わせて選択するといいだろう。

 レベルは経験値を一定以上得ることで上昇し、レベルが上昇するとセットできる「ナノマシン」(スキル)が増える。ナノマシンはキャンペーンと同様に6マスにセットする。銃弾の攻撃力アップ、銃弾に対する防御性能アップ、移動速度上昇など、様々なスキルがあるので、クラスやプレイスタイルに合わせてセットしておきたい。はっきり言って、ナノマシンがあるとないとではキャラクターの性能は大きく異なる。低レベルではセットできるナノマシンは少ないが、オンラインプレイを繰り返してレベルを上げ、ナノマシンを増やし、キャラクターを強化したい。

 チャレンジは、特定の武器で一定数以上キル数を稼ぐ、対戦プレイにてキル数1位を一定回数以上達成などがあり、全部で200以上のチャレンジが存在する。チャレンジを達成すると経験値が得られ、レベルアップに一役買ってくれる。

 多くのチャレンジは対戦プレイ用だし、対戦プレイでは敗北しても経験値が得られるので、経験値稼ぎなら対戦プレイを行なうといいだろう。

キャンペーン同様、ナノマシンの効果は大きい。レベルを上げて、多くのナノマシンを手に入れたい200以上のチャレンジが用意されている。全てのチャレンジを達成するには、かなりのやり込みが必要だ

■ 装備の追加

 出撃前、復活時などには、装備の追加が可能。ポイントを消費して、救急キット、SECONDARY WEAPONやEXPLOSIVES用の武器などを購入するのだが、出撃前はポイントが少なく、強力な装備を購入することはできない。ポイントは敵を倒すことで増える。追加した装備はやられてしまうとなくなってしまうので、どのタイミングでどの装備を追加するのか考えどころだ。

■ 対戦プレイ

 対戦プレイは、パブリックマッチなら6~10人、プライベートマッチなら4~10人で行なう。制限時間内に他のプレーヤーを倒した数を競うフリーフォーオール、制限時間内に敵チームのプレーヤーを全て倒すと勝利となるチームサバイバル、ステージに配置された爆弾を入手し、制限時間内に敵チームの補給物資の爆破を目指すデモリションなど、7種の対戦ルールが収録されている。

【対戦ルール】
ルール名説明復活の有無
フリーフォーオール制限時間内に倒したプレーヤー数を競う個人戦
チームデスマッチ制限時間内に倒した敵チームプレーヤー数を競うラウンド制チームバトル
チームサバイバル制限時間内に敵チームのプレーヤー全てを倒すと勝利となるラウンド制チームバトル×
オペレーション攻撃側と守備側に分かれ、攻撃側は制限時間内に補給物資を爆破すれば勝利となり、守備側は制限時間内に補給物資を爆破されなければ勝利となるラウンド制チームバトル×
デモリション制限時間内に補給物資を爆破すれば勝利となるラウンド制チームバトル×
データキャプチャー制限時間内での敵チームのデータを自チームのデータ回収ポイントまで持ち帰ることで得られるスコアを競うチームバトル
ドメインコントロール攻撃側と守備側に分かれ、攻撃側は制限時間内に全てのポイントを制圧すれば勝利となり、守備側はポイントを1つでも防衛できれば勝利となるラウンド制チームバトル

 フリーフォーオール以外は全てチーム戦と、チームでの対戦がメイン。ルールによって、成すべきことが違うので、自分でルールを決めて対戦するならわかっているだろうが、クイックマッチで参加するなら、対戦ルールの確認は欠かせない。また、フレンドリーファイアの有無も確認しておきたい。

 ショックバーストは撃てないが、キャンペーンと基本操作は同様なので、キャンペーンを一通りプレイしておけば、操作で迷うことはない。また、ルールも簡単なので、TPSの対戦は初めてであっても、気軽に対戦できる。

 気になったのが、チーム戦においてリスポーン(復活)ポイントが1カ所しかないこと、そしてステージやクラスが同じでも、所属するチームによって使用できる武器が異なる点。リスポーンに関しては、1カ所しかないことにより、リスポーンポイントでキャンプという場面にしばしば遭遇した。また、チームによって武器が異なる(クラスによりタイプは固定されるが、武器自体が異なる)ので、同じクラスであっても2つの武器に慣れなければならないし、武器性能に差があるのも気になった。

操作やルールだけでなく、ステージ構成の把握も重要。対戦中は敵がいるため、ゆっくりとステージを見て回ることはできないが、プライベートルームを作れば1人で自由にステージを歩き回ることができる

■ 協力プレイ

 協力プレイでは、ラウンド毎に出現する敵群を撃破し、全50ラウンドを生き抜けばステージクリアとなる。対戦プレイとは異なり、最大4人でプレイし、1度始まったら途中参加はできない。敗北の条件は全員がやられてしまうこと。1人でも生き残り、ラウンドに出現する敵を全て倒せば、次のラウンドから全員復活できる。

 協力プレイは1人でもプレイできるが、敵の数は多く、攻撃も激しいので1人で50ラウンドをクリアするのは厳しい。正直、4人でもクリアするのは難しいほどだ。ボリュームはかなりあり、筆者は35ラウンドほどまでしかクリアできていないが、全ステージをクリアするにはゆうに1時間以上はかかることだろう。

全50ラウンドを戦い抜く協力プレイ。5ラウンド毎に装備が追加可能なうえ、弾薬は自動で最大になるが、それまではステージに配置されている限られた弾薬を使うしかない。全メンバー共通の弾薬なので、無駄にしないような立ち回りが重要だ。また、対戦プレイでは救急キットを持っていても、使う前にトドメをさされてしまいがちだが、協力プレイでは使える場面が多い。救急キットなら初期の少ないポイントでも購入できるので、保険として最初は救急キットを購入しておくのがオススメだ


■ 最後に

 龍が如くスタジオから初めてリリースされた本作。音声認識といった新しい要素を取り入れつつも、TPSとしても初心者から経験者まで楽しめるように作り込まれている。音声認識に関しては、マイクを使って様々な指示を出したり、仲間と会話したりできるが、マイク無しでも遊べるため、必須というまでの位置付けにはなっていない。ただ、音声で指示を出す新しい遊び方には可能性を感じる。音声認識の技術が進歩すれば、個別に細かな指示が素早く出せるようにもなるだろう。そうなれば、戦略の幅は広がり、さらに面白いゲーム体験ができるはずだ。

 ボリューム面では、キャンペーンの初回プレイでのクリアタイムは8時間程度。試行錯誤やマップを隅々まで歩いたりしている分、普通にプレイするより長めのクリアタイムになっているはず。2回目にプレイした際には、2時間30分ほどクリアタイムは短くなった。ボリュームに関しては、少ないと思われるかもしれないが、全4段階の難易度があるし、同じチャプターであっても連れて行くメンバーで提案してくる作戦が違ったり、展開が変化する要素もあるので、1周で終わらせてしまうのはもったいない。ちなみに集めたクレジット、武器の強化段階、信頼度の引継ぎなどはできない。また、オンライン対戦・協力プレイをするなら、オンライン上にプレーヤーがいる限り、遊ぶことができる。勝利を目指すだけでなく、チャレンジ、レベルといった要素もあるので、長く楽しめることだろう。対戦がメインに作られているようだが、個人的には協力プレイを推したい。キャンペーンと似た感覚で遊べながらも互いに助け合いながら共闘できるのが嬉しくて、ついつい時間を忘れてプレイしてしまった。

 龍が如くスタジオが生み出した「龍が如く」シリーズとはまた違ったゲーム性の本作。TPSやFPS初心者でも遊びやすいし、アクションや音声入力に慣れれば遊びの幅が広がり、より楽しくなる。体験版では音声入力を使ったプレイが体験できるので、興味があれば、まずはダウンロードしてもらうのがいいだろう。


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(2012年 3月 2日)

[Reported by 木原卓 ]