★Wiiゲームファーストインプレッション★

明日発売! 多くのファンを生んだ名作が
Wiiリモコンで“より魅力的に”なった良移植

「大神(おおかみ)」

  • ジャンル:ネイチャーアドベンチャー
  • 発売元:株式会社カプコン
  • 価格:3,990円
  • プラットフォーム:Wii
  • 発売日:10月15日 発売予定
  • プレイ人数:1人
  • 拡張コントローラ:Wiiリモコン+ヌンチャク専用
  • CEROレーティング:A(全年齢対象)

パッケージにも使われているメインビジュアル

 2006年4月にプレイステーション 2で発売された「大神」が、いよいよ明日10月15日にWiiで発売となる。「大神」は、日本画のような独特なタッチのグラフィックス、その画面に筆を走らせることで奇跡を起こす斬新なシステム“筆しらべ”、犬の姿をした主人公の大神アマテラスの個性的なアクションと操作感、さらに味わい深く冒険心をかき立てるストーリーで、非常に多くのファンを獲得した名作だ。DSによる新作も発表されており、東京ゲームショー2009のカプコンブースでも非常に注目を集めていたのが印象的だった。

 Wii版では移植にあたり、操作方式をWiiリモコンとヌンチャクに特化させている。Wiiリモコンによってアクション操作や筆しらべの操作が直感的に行なえるようになったのが最大の特徴で、それを余さず体感してもらうためにも、操作はWiiリモコンとヌンチャクに絞っている。また、Wiiというハードの特性を活かし、16:9比率のワイド画面対応やプログレッシブ出力の対応なども行なわれている。

 Wii版を発売前にプレイさせて頂いたのだが、移植作品ながらWiiリモコンの操作にこれほどマッチするゲームもなかなかないのでは? と驚かされた。その新たな操作感を中心に、「大神」の魅力をお伝えしていこう。PS2版を遊んだ人も、新しい操作感覚で感動をもう1度体験してほしいし、遊ぶタイミングを逃してしまっていた人はこの機会にプレイして頂きたい作品に仕上がっていた。なお、本稿の最後にオリジナル壁紙も掲載しているので、そちらも忘れずに入手して頂きたい。



■ 大神アマテラスが独特のタッチで描かれる世界を駆ける!日本のおとぎ話や神話の世界を描いた個性的な物語

―― ストーリー ――

むかしむかし。
それはまだ人が自然と共存して平和に暮らしていた神話の時代。
自然に囲まれた国「ナカツクニ」で人々は平和に暮らしていた。
ある夜、太古に退治された大妖怪“ヤマタノオロチ”の封印が破られ、
その呪いにより大地は生命力を失ってしまう。

呪われた世界を救うために、
遥か昔にヤマタノオロチと闘った伝説の大神「アマテラス」が
復活するが、かつての力は13の分神に姿を変え、
世界に散り散りになってしまっている。

世界を滅ぼした“ヤマタノオロチ”とは何なのか?
荒廃してしまった大地に自然と生命力を蘇らせるために
大神アマテラスは旅立つ。

“ネイチャーアドベンチャー”「大神」の中で繰り広げられる、
さまざまな物語。この物語は美しく、力に満ちている。


昔話の中に入り込んだような純和風の世界が独特のグラフィックスで描かれている
主人公の大神アマテラスは犬の姿(オオカミの姿)をしている。そのため、人々との会話もできない。それが物語にユニークな場面を生んでいる

 まずは初めて「大神」に触れるという方に向けて、どんなゲームなのかを紹介していこう。「大神」は主人公のアマテラスを操作して、人々や自然に生きる動物たちと触れあい、願いを叶えて、大自然を取り戻していくことが目的だ。

 アマテラスが旅する先には、おとぎ話や日本古来の神話に登場する誰もが知るキャラクターたちがたくさん登場する。暖かみがあり、それでいて鮮やかなグラフィックスで描かれる和風の世界が、他にない独特な魅力を放っている。

 主人公のアマテラスは百年前にヤマタノオロチと戦い、勝利するも傷ついて実態を失ってしまった伝説の大神だ。大神像の姿を借りて現世に復活するが、大半の力を失っていて、その力は13に分かれてしまっている。世界を荒廃させている妖怪と闘い、少しずつ力を取り戻しながら世界に命を蘇らせていく。

 「大神」のポイントのひとつが、主人公が犬の姿であるということだ。外見のかわいらしさだけでなく、人間型のキャラクターにはない、吠える、くわえる、穴を掘るといった独特のアクションを持っている。また、犬なので村人たちから話は聞けども会話することはできず、吠えたり動いたりすることしかできない。そうした犬の姿ならではの特徴がうまくゲームに活用されていて、物語をユニークに、時にはシリアスに彩っているのがポイントだ。

 本作の魅力はたくさんある(全体が魅力と言っていい)が、独特な暖かみのあるグラフィックスのタッチがあり、そのグラフィックスで描かれる自然を取り戻していく描写には目を奪われるものがある。アマテラスが駆けていくだけで足下には美しい花が咲き乱れる。

 中でも見所は「大神降ろし」というもので、塞の目と呼ばれるご神木に筆しらべを行なうことで、地域一帯の呪いを払い除けることができる。生命力が溢れ、それが爆発するようにはじけ、周辺一帯に一気に広がっていく。その美しさは圧巻だ。

【イメージイラスト】
【登場キャラクター】
主人公アマテラスは旅先で様々なキャラクターと出会う。旅を共にするイッスン、昔話でお馴染みの桃太郎、一番右は妖怪の女郎蜘蛛だ。誰もが知る日本の昔話のキャラクターも多数登場する
【大神降ろし】
アマテラスの目的は自然を蘇らせること。中でも地域一帯を呪いから解き放つ大神降ろしのシーンは圧巻。自然の生命力が爆発するようにはじけて広がっていく


■ Wiiリモコンとヌンチャクによる操作は直感的で馴染みやすい。筆しらべもより体感的になった

最大の特徴である「筆しらべ」。Wii版ではWiiリモコンで筆を操作する

 本作最大の特徴が「筆しらべ」というアマテラスの能力。時間が止まった水墨画のような世界に筆を使って絵柄を描くと、その絵柄によって様々な奇跡を起こせるという独特の能力になっている。例えば、枯れ木に円を描くと一瞬で満開になり、横に線を引けばいろんなものを斬りさくことができる。壊れた物を見えなくなるように塗りつぶすと、元通りに戻すこともできてしまう。まさしく神の力だ。

 この「筆しらべ」をWii版ではWiiリモコンで行なえるのが大きな魅力。ポインタの位置が筆の毛先になっていて、まさしく画面にそのまま書いているような感覚で描くことができる。操作はヌンチャクのZボタンを押して筆しらべ画面に切り替え、Aボタンを押しながらWiiリモコンを動かすという手順になる。Bボタンを押しながらAボタンで直線も書ける。

 筆しらべはPS2版の時から、画面に直接絵を描いているような不思議な感覚が魅力だったのだが、Wiiリモコンで描けるようになったことでその感覚がより高まっている。インターフェースとシステムがぴったりフィットしたような抜群の相性、という印象を受けた。

【筆しらべ ― 桜花-花咲 ―】
枯れ木に花を咲かせる力「桜花-花咲-」。枯れ木を丸で囲むように描く
【筆しらべ ― 輝玉 ―】
空間に爆弾花火を出現させる力「輝玉」。丸に導火線の縦線を引くように描く
【筆しらべ ― 水郷 ―】
水を操って移動させる力「水郷」。水面から移動させたい方向へ線を描く
穴を掘ったり回避行動のかわせ身をしたりといった操作は、Wiiリモコンやヌンチャクを振る操作になっている。操作方法の割り当ては非常にうまく考えられていると感じた
道中にいる「百鬼絵巻」とぶつかると、妖怪と戦闘になる

 本作は“自然と触れあい冒険していく物語”という意味合いからかジャンルが「ネイチャーアドベンチャー」という独特の表現になっているが、ゲームとしての要素はアクション操作が中心になっている。アマテラスの移動はヌンチャクのアナログスティック、Aボタンで頭突き、Bボタンでジャンプとなる。

 また、ヌンチャクを振ることでくわえるアクションや穴掘りが行なえる。特に穴掘りの感覚は、ヌンチャクの動きにちょっとシンクロするようで面白い。また、Wiiリモコンを振ることで、かわせ身(サイドステップ)になる。緊急回避的な動きだが、こちらも危ないと思った瞬間に直感的に操作できてうまくマッチしている。アマテラスの動くスピードやリズムも、Wiiリモコンを動かす感覚にうまい具合に合っていると感じた。

 道中にいる「百鬼絵巻」とぶつかった時は妖怪との戦闘に入る。戦闘時には周囲に結界が張られ、わき出てくる妖怪を倒さなくてはならない。アマテラスの攻撃方法はWiiリモコンのAボタンによる主装備か、ヌンチャクのCボタンによる副装備で攻撃する。ジャンプと攻撃を混ぜながら、たまに妖怪の攻撃に反応してヒュッとWiiリモコンを振れば、アマテラスが素早くかわせ身で攻撃を避けてくれる。

 ガードしている妖怪のなかには、Zボタンで筆しらべ画面を出し、Wiiリモコンを振って画面にヒュッと横に線を引いて物を斬る「一閃」でガードを崩すものもいる。妖怪の数が多い時には、丸に縦線を伸ばすように描く「輝玉」で爆弾花火を出現させて吹き飛ばす。なかなか文章表現で掴んでもらうのは難しいかもしれないが、こうした一連の流れを非常にスムーズに自然に行なえるのがポイントだ。

 ボタンの配置や操作方法もよく考えられている。実際のところWiiリモコンとヌンチャクの操作はよほど普段から触り慣れていないと、ボタンの割り当てが頭に入ってこないところがあると筆者は感じているのだが、本作はほんの10分、20分もプレイすると操作がしっくりと馴染んだ。中でも筆しらべは、まるで体感ゲームのように直感的という言葉がピッタリ当てはまる感覚で、ゲームに慣れていない人もすぐに理解できる。そしてその感覚は斬新だ。良質なアクションゲーム感覚の中に、そうした体感の要素がうまくミックスされているところが、斬新かつ新鮮な感覚を与えてくれる。

 さらに、優れていると感じられたのは“Wiiリモコンの使わせ方”。筆しらべ以外ではポインター操作は使っていない。あくまでアクション操作はボタンやスティックだけなので、普段は画面に向かって手を上げることなく、楽な姿勢で操作できる。過度に活用するのではなく適材適所なところだけ、というわけだ。

戦闘時はWiiリモコンのAボタンで主装備、ヌンチャクのCボタンで副装備を使う。画像右はかわせ身(サイドステップ)で、この操作はWiiリモコンを振って行なう
戦闘時も筆しらべは大活躍。画像のようにガードしていて攻撃が通じない妖怪も、筆しらべの「一閃」で斬り、ガードを崩してしまえば攻撃できるようになる


■ Wiiリモコンとヌンチャクに特化させた操作で、より遊びやすく、楽しくなった「大神(おおかみ)」

味わい深い世界、奥深い物語、名作の呼び声高い「大神(おおかみ)」が、よりマッチした操作で楽しめるようになった

 Wii版への移植で最も大きな変化を感じたのは、やはりWiiリモコンによる入力で、違和感をほとんど感じさせない仕上がりになっていたのが好感触だ。むしろWiiリモコン操作のほうがマッチしているという印象で、パッドタイプのコントローラで操作するよりも敷居が下がっているように感じられた。

 筆しらべをうまく使いながら妖怪と戦っている様子を見ると、ちょっと触ってみたくなる魅力がある。ゲームにあまり慣れていない人や小さな子供でも、すんなりとプレイできるとっつきやすさを感じた。そして良くできたアクションの魅力、不思議な感覚が楽しい筆しらべの魅力を楽しみつつ、ストーリーを追っていくうちに、本作の魅力にハマっていくこと間違いなしだ。

 ワイド画面対応やプログレッシブ出力にも対応し、独特の味わいがあるグラフィックスもより楽しめる。ゲーム内容としてはPS2版そのままではあるが、その内容自体も名作の呼び声高い保証済みのもの。プレイする機会を逃していた方はこの機会にぜひプレイしておきたいところだ。


■ Wii「大神」オリジナル壁紙プレゼント!

 下のリンクをクリックするか、右クリックし、「名前をつけてリンク先を保存」を選択してください。4つの解像度別のデータを用意していますが、図柄はすべて同じものです(ZIP圧縮)。

【オリジナル壁紙】
800×600
1,024×768
1,280×960
1,600×1,200

(C)CAPCOM CO., LTD. 2006, 2008 ALL RIGHTS RESERVED. Wii development by Ready At Dawn Studios LLC.

(2009年 10月 14日)

[Reported by 山村智美 ]