先行レビュー

あのデスゲームが長崎で復活! ハウステンボス「今際の国のアリス~イマーシブデスゲーム~」先行体験レポ

三度目の挑戦でも「今際の国」は甘くない

【今際の国のアリス~イマーシブデスゲーム~】
開業日:2026年8月27日
会場:ハウステンボス アトラクションタウン アンブレラストリート沿い建物(旧トリックアート・I.Sラビリンス)
所要時間:約30分

 長崎のテーマパーク「ハウステンボス」に、アトラクション「今際の国のアリス~イマーシブデスゲーム~」が8月27日より開業する。本稿では、開業に先立って開催された体験会レポートをお届けしたい。

 僕が「今際の国」に迷い込むのは、これで三度目になる。というもの、本アトラクションはお台場にあった施設「イマーシブ・フォート東京」にあったもの。その開業時に1回、リニューアル時のパワーアップ版で1回、そして今回……というわけだ。だが先に白状しておくと、三度目でも今際の国は甘くなかった。あの世界の理不尽さは、経験でどうにかなるほどヤワではない。

プレスプレビューの「先行体験入口」。ハウステンボスの街並みとのギャップが怖い
「今際の国のアリス~イマーシブデスゲーム~」のロゴ。見るだけで首元がスースーしてくる

 「今際の国のアリス」について改めて説明しておくと、本作は麻生羽呂氏の原作コミックを実写化したNetflixシリーズで世界的ヒットとなったサバイバル・サスペンスドラマ。2025年9月にはシーズン3の配信も始まったほどの人気作だ。

 ストーリーは、主人公が「げぇむ」をクリアし続けなければ生き残れない世界へ突然引きずり込むまれてしまうというもの。この作品の怖さは、派手な殺戮シーン以上に、「ルールは教えた。あとは自分で考えろ」と突き放してくるゲームの理不尽さにある。

 そして、その極限状況を丸ごと体験できるアトラクションが「今際の国のアリス~イマーシブデスゲーム~」だ。「憧れの異世界。」をブランドに掲げる長崎のテーマパークに、よりによって一番命懸けの異世界がやってきたのは皮肉である。

 今回はオープン前日に行われた先行体験会に参加した。会場には100~150名規模のゲストが集まり、開始前から熱気がすごい。近くにいた参加者に意気込みを聞くと「ドラマはちょこっとだけ見ました。面白そうだったので。寝不足ですけど、まあ頑張ります」とのこと。筋肉質の身体はドラマ版の「アグニ」っぽくて期待できそうだ。だが油断すると命取りになるのがこの「げぇむ」の怖いところなのだ。ということで、三度目のデスゲーム体験をレポートするぞ!

三度目の首輪装着を果たした僕。着け心地には妙な貫禄が出てきた(自慢にならない)
体験前の参加者。このポーズの余裕がいつまで続くのか

首輪爆弾で「げぇむ」開始……初見勢は「ちゅうとりある」で絶望する

 受付を済ませると、まずはお馴染み「首輪爆弾」の装着だ。ボックスのQRコードを自分のスマートフォンで読み込んでから首に巻く。スマホはこの後の「げぇむ」でマップや自分のカードを表示する大事な相棒になる。つまり、この「げぇむ」に必要なのは友情でも努力でもなく、バッテリーの残量かもしれない。だから挑戦する日はぜひ満充電で臨もう。また、施設内を動き回るため、大きな荷物を持ち込めない点にも注意だ。

 この首輪は初見では着けにくいかもしれない。だが、僕は過去にこの首輪を着けているので、三度目ともなると装着も手慣れたものだ。鏡がなくても一発で装着するその姿は、おっかなびっくり首輪を締める初参加者には、ベテランの風格が漂うことだろう。だが、ここからは初見プレーヤーの気持ちで、体験していこうと思う。

首輪はQRコードをスキャンしてから装着する。スマホは満充電で挑もう
こちらが「首輪爆弾」。時間切れになると電流が流れる設定だ

 そして「首輪爆弾」の装着が全員終わると、「げぇむ」の常連プレーヤー風の案内人ユーキが現れる。「お前らがげぇむに参加するのは何回目だ?」「初めてか! いい度胸じゃねえか!」と客をいじり倒しながらも、ここが「今際の国」と呼ばれる場所であること。デスゲームが開催され、クリアし続けることでしか生き残れないこと。そして首輪は時間切れになると電流が流れる仕掛けだということ。……などを教えてくれる。

 また、彼はトランプを集めてこの世界の「げぇむ」を終わらせるために「ビーチ」という拠点を築いた同志の一人で、生き残ることができたら特別に仲間に加えてやる、みたいなことまで言ってくれる。原作ファンなら、この設定を聞くだけでニヤリとするはず。

げぇむ常連風の案内人が登場。生き残りたければ彼の指示をよく聞こう
「お前らがげぇむに参加するのは何回目だ?」と初参加者いじりも飛び出す
口は悪いが、生き残るための指示は的確なのだ
妖しく両手を広げるキャスト。世界観への引き込みが上手い

 さらにスクリーン越しに別会場との通信がつながり、ドラマでも人気の「ボーシヤ」が登場する。これには、ファンは大歓喜するはず!

 そして、二手に分かれた会場が連動して進行することが判明し、彼らの「げぇむ」知識に全てを任せたくなるはずだ。そして「ボーシヤ」との軽妙な掛け合いの中で状況説明が進み、この世界へと馴染みつつある自分に気づくだろう。

 だが、誰もがそんな簡単に納得できるわけではない。ここで、参加者たちの心の中を代表するように、もう一人のキャストが登場する。彼は、この理不尽さに納得できない様子。

スクリーン越しに別会場との通信が始まる。会場は二手に分かれて連動する
リュックを背負ったキャストも登場し、参加者を代弁する

 そんな中、練習問題がモニターに出題される。ルールはシンプルで、モニター内に映されたカードから「同じ絵のカードを探して数字を足す」だけ。この練習問題は拍子抜けするほど簡単で、会場に「なんだ、簡単じゃないか」という安堵の空気が流れる。

 だが、そう思った直後の「ちゅうとりある」で、その認識は粉砕される。ネタバレになるから詳細は書けないが、画面には初見殺しともいえる内容が写しだされ、容赦なく進むカウントダウンに絶望する。

 会場のあちこちから悲鳴が上がり、さっきまでの笑顔が消えていく。この「上げて、落とす」の理不尽こそ、今際の国の様式美である。東京で僕が味わったあの絶望感は、長崎でも完全再現されていた。そして微弱な電流が流されて、参加者に「本当にやるからね」という絶対的なトラウマを植え付けるのだ。

ルールは「同じ絵のカードを探して数字を足す」。簡単そうに聞こえるだろう?
練習問題の例。この時点ではまだ全員に笑顔があった
「ちゅうとりある」開始。ひらがな表記に嫌な予感しかしない
手がかりを求めて、視線とスマホが行ったり来たりする
祈るように画面を見つめる参加者。気持ちはよくわかる

 ちなみにルールを破った者がどうなるかは、目の前で実演される。先ほどのもう一人のキャストがパニックを起こし、勝手に首輪を外そうとしたのだ。もちろん、ユーキからは「やめた方がいい」と制止されるが、それを聞かずに行動し黒い布を被されることになる。

 そして、その直後に流れる「指定された方法以外で首輪を外すことはできません」という「念押し」だが無機質なアナウンスが怖い。演出とわかっていても、会場の空気が一段冷える。この緊張感の作り方が実に上手いとしか言いようがない。

ルールを破るとどうなるかは、目の前で実行される
黒い布の下は……ご想像にお任せする

別室での本格的絵柄探し——「みつけた」と思ってもよく見ると違う

 だが、ここまでは序章でしかない。本番の「げぇむ」は、制限時間内に首輪の解除コードを見つけ出す勝負だ。

 スマホには自分だけのカードとマップが表示され、残り時間のカウントダウンが始まる。ここで注意事項もアナウンスされる。走らないこと、そして首輪に衝撃を与えないこと。デスゲームだからといって熱くなりすぎるな……ということである。

 やがてメインホールから「ギャラリー」と呼ばれる別室への移動が解禁される。ただしメインホールから出られるのは1回だけ、別会場との通信も2回だけという制約だ。いつ動くか、いつ戻るかの駆け引きも生死を分けるのだ。

メインホールから出られるのは1回、通信は2回
ギャラリー側でもルールをおさらいできる
「行くのかい?」とばかりにギャラリーへ誘うキャスト

 ギャラリーは一転して城壁風の意匠の空間で、壁には額縁がずらり。額の中には古めかしい絵柄のカードが収められている。自分のスマホに表示されたカードと同じ絵柄を探すわけだが、これが曲者だ。

 「誰かウサギのカード見なかった?」「あっちにあったよ」「……いや、微妙にデザインが違う!」。そう、実は似て非なるカードが大量に仕込まれており、「みつけた」と思ってもよく見ると違うのがミソ。同じウサギでも、持っている得物が違う、向きが違う、帽子をかぶっている……などの微妙な差に、参加者たちが次々と引っかかっていく。

 面白いのは、この絶望的な物量を前にすると、初対面の参加者同士が自然と情報交換を始めることだ。「何のカードを探してるんですか?」「その絵柄、あっちの壁で見ましたよ」。気がつけば会場全体が協力戦の様相になっていく。100人規模で挑むからこそ生まれるこのワイワイ感は、少人数制の謎解きイベントでは味わえない、本アトラクションならではの醍醐味だろう。

 で、三度目の僕はどうだったかというと、経験者の貫禄で華麗にカードを特定できた……と言いたいところだが、予想よりも時間がかかった。だが、この「げぇむ」は、そんなに甘くない。ここから先はネタバレになるので伏せておくが、原作やドラマのファンなら「なるほど」と唸ることだろう。

別室「ギャラリー」は城壁風の空間。壁の額縁にカードが並ぶ
額装されたカード。「みつけた」と思っても、よく見ると違うのだ
「あれじゃない?」と指差し合う参加者
スマホのカードと壁のカードをにらめっこ。微妙な違いに惑わされる
自然と参加者同士の協力が生まれる。初対面同士でも不思議と会話が弾む
スマホに表示された自分のカード。同じ絵柄を探し出せるか

ハウステンボスだからこそ、デスゲームとの落差が楽しい

 体験を終えた参加者に感想を聞くと、見事クリアした人でさえ「焦りすぎて数字が見えなかった」「一人じゃ厳しい。二人で参加してよかった」と口を揃えていた。実際、カード探しも情報戦も、仲間がいるほど有利になる設計だ。ドラマでも仲間がいるチームは強い。だから挑むなら、気心の知れた相棒との参加をおすすめする。あとは、相手に裏切られないことを祈るだけだ。

 なお本アトラクションの強みは、ハウステンボスの中にあるということだ。ヨーロッパの街並みも季節のイベントも楽しんだうえで、ついでに命も懸けられる(えっ?)。所要約30分と旅程に組み込みやすい長さなので、参加が目的でなくても、パークに行く予定があるならぜひ選択肢に入れてほしい。

 日常から突然デスゲームに放り込まれる感覚は、「憧れの異世界。」というテーマパークの中で味わうからこそ、いっそう際立つと思う。

体験の締めに掲げられるタイトルロゴ。絶対にドラマ版や原作コミックを読みたくなるはず!
第一回先行体験の参加者たち。これからデスゲームに参加するのに……
クリアの余韻に浸る参加者。「二人で参加してよかった」の声も
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