【特別企画】

「ファイアーエムブレム 万紫千紅」発売直前、遊ぶ前に知っておきたい情報まとめ

交差する4つの運命をおさらい! 遊び応え抜群の新システムと、世界に落ちる「風花雪月」の影

【ファイアーエムブレム 万紫千紅】
発売日:9月17日
価格:
8,980円(ダウンロード通常版)
9,980円(パッケージ通常版)
14,980円(パッケージDagdan Collection)

 9月17日に発売となるNintendo Switch 2「ファイアーエムブレム 万紫千紅」。発売がいよいよ目前に迫ってきた本作だが、ここで改めて、これまでに判明している情報や世界観を振り返りつつ、先行プレイで見えてきた手応えをお伝えしていきたい。

 本作は、シリーズが長年培ってきた戦記シミュレーションRPGとしての骨法を継承しつつも、かつてないスケールと複雑怪奇な群像劇へと大胆な進化を遂げた意欲作である。

 舞台となるのは、神々の息吹が残る広大な大陸「ダグザ」。すでに明かされている通り、その中心で圧倒的な栄華を誇るダグザ帝国の首都ダグシオンでは、優勝者に「どんな願いでも一つだけ叶う」という究極の特権が与えられる「大剣闘祭」が幕を開けようとしている。

 本作においてプレーヤーは、単一の軍を率いる絶対的な指揮官ではない。全く異なる境遇、全く異なる目的を持ち、大剣闘祭の熱狂へと吸い込まれていく4人の主人公たちの数奇な運命を、自らの手で並行して紐解いていくこととなる。

 前回のプレビュー記事では美剣士ディートリヒを中心に着目してレポートをお届けしたが、今回はこれまでの情報を総括する意味も込め、視点を広げて4人の主人公全員の背景や思惑へと満遍なく迫っていく。

 なお、ディートリヒのパーソナリティやイシュマールに関するより詳細な考察は前記事にて深く掘り下げているため、彼らの魅力が気になる方はぜひ前回の記事も併せてご一読いただきたい。

 本稿では、これまで断片的に公開されてきた要素を改めて整理しつつ、4人の主人公が織りなすシナリオの恐るべき引力、同時並行プレイがもたらす極上の高揚感、そしてプレーヤーのリソース管理能力を容赦なく試してくる新機軸のダンジョン探索や、世界観の底に沈む謎について、徹底的に深掘りしていく。システムなど一部前記事と重なる項目もあるが、改めて本作の全貌を紹介させてもらえれば幸いだ。

灰燼に帰した未来からの飛翔。運命の介入者・イシュマール

 新たな世界への期待に胸を膨らませるプレーヤーを待ち受けているのは、あまりにも絶望的な光景だ。華やかな剣闘祭のファンファーレなどではない。そこにあるのは、冥界の王たる魔神バロールの軍勢によって徹底的に蹂躙され、紅蓮の炎に飲み込まれゆく、滅亡寸前の未来のダグシオンの惨状である。

 プレーヤーの分身となる本作の真の主人公・イシュマールは、この地獄絵図のような戦場へと降り立つ。キャラクターメイクによって容姿を自在に設定できるイシュマールだが、デフォルトの姿は全身を純白の装束に包み、まるで終末の世に舞い降りた天使のような神秘的な美しさを放っている。序章のチュートリアルを兼ねた戦闘において、イシュマールはプレーヤーの度肝を抜くほどの圧倒的な戦闘力で、亡者たちをでなぎ倒していく。

魔神バロールによって焼き尽くされた、未来のダグシオン。絶望的な状況から物語は始まる
プレーヤーの分身となるイシュマール。キャラクターメイクで自分好みの姿で戦場に降り立つことが可能だ

 だが、その無双の力をもってしても、すでに崩壊した世界を救うことはできない。運命の女神フォトナから告げられるのは「戦力を揃えぬ限り、バロールには勝ち目がない」という非情にして絶対の現実だ。バロールを打ち倒す唯一の希望は、すでにこの世を去ってしまった4人の英雄たちの存在である。

 イシュマールは彼らの過去に干渉し、彼らが死を回避して共に戦う未来へと歴史を改変するため、自らの姿を白い鳥に変え、5年前の過去へと時間を遡ることになる。

 なぜ、大剣闘祭に集った才能あふれる彼らは、無惨にも命を落とさねばならなかったのか。イシュマールは彼らの傍に寄り添い、ある時は静かな傍観者として、またある時は運命の分岐点で重要な選択を下す介入者として、彼らの過酷な歩みを追体験していく。

 この「すでに悲劇的な結末が確定している主人公たちの過去をプレイし、死の運命を回避する」という重層的なストーリーテリングは、序盤からプレーヤーの心を鷲掴みにし、ダグザ帝国に渦巻く深い闇へと強烈に引きずり込んでいく。

イシュマールのもとに集う仲間たち。後にわかるのだが、ここにも伏線が既に張られている

交差する4つの命。それぞれが抱える願いと深淵

 本作のシナリオが放つ熱量の源泉は、プレーヤーが導くべき4人の主人公たちの動機と背景が四者四様に完全に独立している点にある。彼らは身分も、戦う理由も、抱えている闇の深さも全く異なっている。1人につき1本の大作RPGが作れてしまうのでは、と感じるほどの濃密なドラマが、本作には4本も内包されているのだ。

各キャラクターいずれも4章まで進むと、この「方尖塔の間」にアクセスできるようになり、プレーヤーは各主人公の進行度を維持したまま、他のキャラクターの物語へと飛べる

 ここでは改めて、本作の物語を牽引する4人の主人公たちが抱える背景と目的を整理しておきたい。

カイ:陽だまりの日常に忍び寄る、理不尽で残酷な未来の影

 辺境の長閑な村で素朴に育った、心優しき少年カイ。仲間たちとのコミカルな掛け合いも豊富に用意されており、カイ自身の裏表のない明るい人間性も相まって、序盤は非常に活き活きとした王道ファンタジーの冒険譚として進行していく。

 しかし、その快活で平和な日常描写の裏で、時折カイ自身がうなされる不穏な夢などのシーンもあり、一抹の不安を感じながらプレイを進めることとなる。その先に何があるのだろうか。光が眩しいからこそ、迫りくる影の漆黒さに息を呑むルートだ。

カイ。母親は幼いころに既に亡く、父親は実は死刑囚だったという重い設定を背負うが、カイ本人は非常に真っ直ぐで明るい性格をしている。全体的にバランスが取れており、戦闘面でも最も使いやすいと言えるだろう

セオドラ:祖国復興の悲願と、肉体を蝕む呪いの時限爆弾

 女王であるセオドラは、祖国の復興という君主たるにふさわしい崇高な願いを胸に大剣闘祭へと身を投じる。凛とした威厳、そして常に自身の命よりも民を第一に想う高潔な精神は、4人の主人公の中でも屈指のカリスマ性を放っている。

 だが、彼女の戦いはあまりにも凄絶な時間との戦いでもある。彼女の右腕には「マハマドゥの腕」と呼ばれるおぞましい呪物が嵌められており、それは時限爆弾のように、刻一刻と彼女の肉体を侵食し続けているのだ。

 死の気配を常に背負い、激痛に耐えながらも決して他者に弱音を吐かず、祖国の悲願を果たすため気丈に振る舞う彼女の姿には、痛切なまでの王の矜持が宿っている。

セオドラ。弟との王権争いの末に右腕を失くすが、その腕を補う義手のような「マハマドゥの腕」を手に入れ、王座に就く。武器は豪快な槍だが、序盤のステータスでは2回攻撃はしにくい

ディートリヒ:戦闘狂の危うさと、世界を彩り始める絆

 涼しげで端正な容姿の裏に、極限の戦いを求める渇望を秘めた美剣士ディートリヒ。一見すると冷酷な戦闘狂のようだが、実は大の甘党であり、可愛いものや妹を溺愛するという極端なギャップを持ち合わせている。

 仲間である宣教師ファビオや、彼を「ダーリン」と呼ぶエスメラルダといった仲間たちとの交流を通し、ただ戦いの衝動を鎮めるためだけに他者を求めていた彼が、少しずつ「おまえたちのおかげで、この世界の見え方が変わってきた気がする」とこぼすようになる。

 その心情のグラデーションは非常に美しく、プレーヤーの庇護欲を強く刺激する仕上がりとなっている。

ディートリヒ。冷血漢のように見えるが、仲間との交流で少しずつ心に変化が表れていく様が描かれる。剣を武器にし、単純な強さでいえば主人公4人の中でもカイと並んでかなり使いやすい

レダ:他者と交わらない孤高の道、ただひとつの復讐のために

 目の前で最愛の父親を理不尽に惨殺された過去を持つ少女レダ。彼女を突き動かす唯一最大の動機は、国を救うことでも名誉でもない。極めて個人的で純粋な復讐(仇討ち)である。その仇を追い詰めるためだけに、彼女は単身、華やかな帝都ダグシオンの裏側へと潜り込んでいく。

 彼女のルートは、他の3人と比べても極めて異彩を放っている。カイ、ディートリヒ、セオドラの3人は、大剣闘祭の予選や街中のイベントなどで行動範囲が重なり合い、時に共闘したり、言葉を交わしたりするため「あ、この戦場、あっちのキャラクターの視点でも見たな」という群像劇特有のクロスオーバーを感じやすい。

 対してレダ篇は、比較的序盤では彼らとほぼ交わることなく、裏社会や独自のルートを徹底して孤独に突き進んでいく。表舞台の喧騒の裏で蠢く別の陰謀劇を見ているような、ヒリヒリとした新鮮な緊張感でプレイできるのが大きな特徴だ。

レダ。他のキャラクターらとは少々違う道を歩むことになる。愛用のビウエラで歌い、周囲を強化するほか、弓と剣を使い分けて遠近に対応できる。また速さに優れているため回避や追撃が発生しやすいキャラクターだ

同時並行プレイがもたらす伏線回収の圧倒的な快感

 1人のキャラクターの物語を第4章まで進めると、そこから先はプレイデータを維持したまま、他の主人公のルートへ自由に切り替えることが可能になる。ここで筆者が声を大にして強く推奨したいのが、「1人のキャラクターの物語を一気に進めてクリアを目指すのではなく、各キャラクターの物語を少しずつ、同時並行で進めていくこと」だ。

 これまでの情報でも謎多き群像劇であることが示唆されていたが、実際のシナリオでは「誰がどういう思惑で動いているのか」が意図的に、そして非常に巧みに隠されている。超序盤のイシュマール篇(未来の世界)において仲間だったはずのキャラクターが、5年前のカイ篇では明らかな敵意を向けてきたりするのだ。

イシュマール篇で仲間として動いていたコウカが、カイ篇ではカイと敵対するような立ち位置で現れる

 1人のルートだけを一直線に進めてしまうと、他勢力がどのように動いているかが分からず、展開が唐突に感じる場面も出てくるだろう。しかし、複数の視点を交互に読み解いていくことで、「あの時のあの場面の裏には、こういう意図があったのか!」「ここで彼らがすれ違っていたから、あの大事件が起きたのか!」と、各陣営の立ち位置や思惑が少しずつ立体的に、そして残酷なほど鮮明に見えてくるのだ。

 広大なダグザ大陸に散りばめられたパズルのピースが、自らの手でカチリと音を立ててはまる瞬間。この群像劇ならではの極上の知的興奮と、すべての謎が繋がる瞬間の快感こそ、本作のストーリーテリングにおける最大の魅力である。

謎多き女性・マリア。とあるルートでは友好的に接してきているようには見えるのだが……

戦術の幅を劇的に拡張する固有技と、采配が試されるタクティカルバトル

 ストーリーの重厚さに負けず劣らず、ゲームシステム面もかつてないほどの大幅な進化を遂げている。

 戦闘は、シリーズ伝統の地形効果などを活かしたマス目状マップで展開されるターン制バトルをベースとしつつ、武器の耐久値を消費して放つ強力な戦技や、キャラクター固有の超必殺技とも言える「ブレイズアーツ」が加わり、よりダイナミックでアグレッシブな采配が可能となった。

シリーズお馴染みの戦術性の高さに、新たな要素が加わって戦略の幅が大きく広がった
キャラクターの個性が色濃く反映されるブレイズアーツ。戦局を一気に覆すポテンシャルを秘めている

 たとえばディートリヒの「影渡り」というブレイズアーツは、障害物や敵の強固な陣形を完全に無視して、最大3マス先へ一瞬で瞬間移動できるという反則級の特殊技だ。前線で孤立してしまった味方の救援に駆けつけるのはもちろん、厄介な回復魔法を使う後衛の敵を強襲して戦列を崩壊させるなど、プレーヤーの発想次第で戦局をいかようにも覆すことができる。

 対して、カイやセオドラは一気に離れた敵にも大ダメージを与えるような、わかりやすいブレイズアーツを所持している。

 主人公やユニットごとの個性がダイレクトに戦術に直結しており、誰を主軸に操作するかでマップの攻略アプローチがガラリと変わる手応えは、シミュレーションRPGとしての完成度の高さをまざまざと見せつけてくれる。

 各陣営(主人公)が共闘する形での試合は、それぞれのルートで同じ戦いをクリアしなければならないのだが、カイ篇を進めている場合はカイとその仲間にしか経験値が入らない。そのため、いかにその時の陣営の戦力で効率よくクリアしようかと考えることになる。

 よって、後でセオドラ篇やディートリヒ篇で同じマップが出てきても、また「ならば次はセオドラの能力を主軸に」「ディートリヒでうまく障害物を躱して進んでいこう」といった全く違う戦術でクリアすることになり、クリアの仕方がまるで違ってくるのだ。

4章、5章では共闘が発生することが多い
共闘する場合、当然同じマップで同じ敵と戦うことになる。カイ篇ならば経験値が入るのはカイのパーティメンバーのみで、他のキャラクターはゲスト扱いとなり経験値が入らない
できるだけ経験値を無駄にすることなくクリアしたいかということを考えると、攻略の仕方はまるで変わってくるので、同じマップでも飽きることなくプレイが可能だ

3D空間を駆けるダンジョン探索と、極限のリソース管理「クイックバトル」

 大剣闘祭の試合当日を迎えるまでの自由行動期間において、ファンの間でも大きな注目を集めている新機軸が「探索できるダンジョン」の存在である。従来のシミュレーションRPGの枠組みを大きく逸脱するこのシステムは、本作のゲーム体験をより立体的でスリリングなものへと昇華させている。

広大なワールドマップを移動して目的地を目指す。移動するごとに時間が経過していく仕組みだ。ワールドマップのなかにはダンジョンがいくつも点在し、経験値やアイテムを稼ぐことができるので、戦力強化において重要な場所となっている

 ワールドマップ上から各所に点在するダンジョンへ足を踏み入れると、出撃メンバーを選択した後、キャラクターを自由に動かす3Dアクション空間へと切り替わる。プレーヤーは主人公を直接操作し、入り組んだ通路や隠された宝箱を求めて自由にダンジョン内を駆け巡ることになる。

ダンジョン内部の様子。右上にそのダンジョンの中にある宝箱の数と、未到達出口がある場合はその旨が記されている。未到達出口から出るとワールドマップでさらに先に進めるようになるので、必ず未到達出口を見つけてそこから外に出たい

 道中には魔獣やならず者といった敵のシンボルが徘徊しており、彼らに接近して攻撃ボタンで斬りつけるか、ダッシュで体当たりを仕掛けることでバトルへと突入する。剣で斬りつけながらエンカウントすれば先制攻撃となり、一方的にダメージを与えた上で戦闘を開始できる。

敵シンボルへの先制攻撃が重要となるダンジョン内。先制攻撃が攻略の鍵を握る
コマンドバトルは「攻撃」「連携」「戦技」などを選び、テンポ良く進む。Xボタンでオートバトルにすることも可能だが、+ボタン押しっぱなしで勝利結果までスキップしてくれる

 しかし、本作が恐ろしいのはここからだ。どんなに戦闘をスキップして快適に進めようとも、「戦闘中に受けたダメージによるHPの減少は、戦闘終了後も一切自動回復しない」という極めてシビアな仕様がプレーヤーに牙を剥く。

 オートバトルや勝利結果までをスキップしたからといって無傷で終わっているわけではなく、小さなダメージも蓄積すれば致命傷となる。消耗したHPを回復するには、広大なダンジョン内に1か所ほどしか存在しない貴重な「休憩所」を見つけて利用するか、一度ダンジョンから完全に脱出し、街の宿屋でお金を払って休む、など手段は限られている。手軽さに任せて連戦を重ねていると、気づけば回復手段が尽き、パーティが全滅の危機に瀕している……という事態が頻発する。

 この快適なテンポ感とヒリヒリとするリソース管理のジレンマが見事なバランスで融合しており、ダンジョン探索にただの作業ではない、深い戦略性をもたらしている。

シビアな時間管理と、戦士たちの素顔に触れるひととき

 自由行動期間中のもう一つの重要な柱が、拠点である帝都ダグシオンでの活動だ。ここでの過ごし方と準備が、本戦の勝敗を文字通り大きく左右することになる。

賑わいを見せる帝都ダグシオン。さまざまな施設を利用できる

 巨大な街では、訓練を受けてユニットの技能レベルを高めたり、兵種の資格試験を受けてクラスチェンジを行ったり、住人たちから依頼される様々なクエストを解決して名声値や報酬を得たりと、とにかくやれることが山積みだ。

 また、宿屋で仲間を誘って食事を共にすることも戦力強化に繋がる重要な要素。誘える仲間は主人公を除いて2人までで、食事がうまくいくとその分好感度(支援値)も上がり、戦闘中の連携が強化される。

 もともと食事は、街中の人物の支援値を上げて「スカウト」することが主な目的となっているが、すでに仲間になっているキャラクターにも有効だ。キャラクターの好みに合わせたメニューを吟味し、激しい死闘の合間に見せる彼らの穏やかな表情や意外な一面に癒やされる時間は、過酷な物語を進めるプレーヤーにとっても、至福のひとときとなるはずだ。

宿屋での食事。3人まで食卓を囲める。3人が好きなものを頼むと好感度もたくさんあがるため、メニュー選びも重要だ
食事はどれもおいしそう。こちらのおなかが空いてくる

 だが、ダグシオンの街を満喫するにあたって、カレンダーの進行には常に気を配らなければならない。本作では、クエストにも期日が設定されており、それまでにクエストを終わらせなければならなかったり、メインクエストの期限までに指定された目的地へ到着していなければ、無情にもタイムオーバーとなり、問答無用で章の最初からやり直しになってしまうシビアなシステムが採用されている。

 ダグシオン内での行動は基本日数を消費しないものの、ワールドマップを移動する場合は時間を消費するため、限られたゲーム内の時間をどのように配分するか、プレーヤーの指揮官としてのマネジメント能力が深く問われるのだ。

クエストの期日と現在の日付は、必ず確認するようにしておきたい

中世に落ちる異質な影と、「風花雪月」がもたらす知的好奇心の爆発

 そして最後に、本作の重厚な世界観に大きな刺激を与えるスパイス的な要素についても言及しておきたい。

 「ファイアーエムブレム 万紫千紅」の基本軸は、剣と魔法が支配する中世風の王道ファンタジーである。しかし、プレーヤーが選択したルートや、探索の進め方によっては、その王道ファンタジーの皮を突き破るように、明らかに毛色の違う異質なテクノロジーの残滓が顔を覗かせるのだ。

 たとえば、キャラクターが装備する武器群。その中に、システムの分類上は「籠手」と表記されていながら、グラフィックはどう見ても近未来のSF映画に登場するレーザーガンにしか見えない代物がしれっと混ざり込んでいる。

どうやらこれらは太古の「失われた文明」時代の武器とのことだが……

 さらにルートによっては、石造りの城や木造の村落とは明らかに一線を画す、無機質な金属と謎の発光体で構成された高度な文明の遺跡と思しき施設へと足を踏み入れることになる。

 これは魔法の産物なのか、それとも遥か昔に滅びた科学の遺物なのか。これらが作品全体を強引なSFテイストに変貌させるわけではない。あくまで「ダグザ大陸の成り立ちに関わる強烈な謎」として限定的に提示されるため、旧来のファンに違和感を抱かせることなく、「この世界はどうなっているんだ?」というプレーヤーの好奇心を刺激してくる見事なバランス感覚だ。

 そして何より筆者を驚愕させ、コントローラーを持つ手を震わせたのが、この混沌とした世界観の奥底に、前作「FE 風花雪月」で絶大な存在感を放っていたソティスが姿を現したことである。

玉座に腰掛けるソティスの姿。彼女がこの世界で果たす役割とは何なのだろうか

 なお姿を現したのは、セテスもである。髪の色こそ違うが、「染めた」と言っているので、恐らく元の髪の色はうっすらとわかる通り緑色なのだろう。

セテスはどうやら大剣闘祭の参加者のようで、スカウトもできるようだ。筆者がプレイした際は、仲間にすることはできなかったが……。何故セテスはこんなところにいるのだろうか

 他にも、ディートリヒの持つ英雄の遺産をはじめ、4人の主人公の持ちものや体の一部には、それぞれ負の噂があるものが多い。これらとダグザ大陸とフォドラの大地、そして神々の血脈は、どのような因果で結びついているのか。過去作を深く愛するファンであればあるほど、考察の沼へとどっぷり沈み込んでしまうに違いない。

 4人の主人公が織りなす、複雑に絡み合い、裏切りと希望が交差する運命の糸。誰から物語を紐解き、そしてイシュマールの戦いはどこに辿り着くのか。

 美しい3D空間の探索、ヒリヒリとしたリソース管理、手応え抜群の戦術バトル、そして緻密に編み込まれた途方もないスケールの群像劇。戦いの先にはどのような展開が待っているのか。いよいよ目前に迫った9月17日の発売日には、ぜひプレーヤー自身の手でダグザ大陸に隠された世界の深淵を覗き込んでみてほしい。

イシュマールと4人の戦士たちが辿り着く未来を、ぜひその目で見届けてほしい