先行レビュー
「ダイイングライト:ザ・ビースト」プレビュー。パルクールとサバイバルが融合した極限のゾンビサバイバル体験が帰ってきた
田舎町を一変させた大災厄からの生き残りを描く
2025年7月21日 23:00
- 【ダイイングライト:ザ・ビースト】
- 8月22日 発売予定
- 価格:
- 8,140円(通常版)
- 9,240円(デラックスエディション)
Techlandが開発するゾンビサバイバルアクション「Dying Light(ダイイングライト)」シリーズ最新作「Dying Light: The Beast(ダイイングライト:ザ・ビースト)」を先行プレイする機会を得た。2015年に発売された初代「Dying Light」、2022年の「Dying Light 2」に続く本作は、プレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC向けに8月22日の発売を控えている。
今作の舞台はゾンビに占拠された観光地「CASTOR WOODS」。自然豊かで川や池が点在し、小さな集落や町が散在するのどかな田舎町だ。都会の喧騒を忘れてゆっくりと流れる時間と自然を満喫できる、そんな観光地だったはずの場所。
しかし今や、あらゆるところにゾンビが蔓延り、生き残った人々はゾンビたちに怯えながらなんとか身を守っている。生存者と敵対する人間たちもおり、極限の状態でなんとか身を寄せ合って生き残っている、そんな過酷な世界が広がっている。
この状況で生き残りを賭け活躍するのが、初代の主人公「カイル・クレイン」だ。長い捕虜生活を経た彼が、繰り広げる新たなサバイバルは、シリーズの真骨頂である「サバイバル」、「極限状況下での生き残り」そしてそこから生まれる人間関係を描き出している。今回は製品版の冒頭をプレイしたので本作の魅力について紹介していく。
初代の十数年後を描く「ダイイングライト:ザ・ビースト」
プレーヤーが操作するカイルは初代「ダイイングライト」の主人公だ。物語としては初代「ダイイングライト」の後、十数年が経った後の話。時系列としては「ダイイングライト2」の前にあたる。捕虜として捉えられていたカイルは人体実験を強いられており、カイルはそこから脱走し、復讐を誓うというストーリーになっている。
サブタイトルに「ザ・ビースト」とあるとおり、“ビースト”というのが本作のストーリー、システムの鍵になる。今回はストーリー面についてはネタバレを避けるようにアナウンスがあったため詳細は伏せるが、このビーストモードは、ゲーム中にボス戦などで戦い続けているとゲージが溜まりそれが溜まるとビーストモードに突入する。
視界はかすみ、カイルは武器を手放す。拳を握りしめ、左右のパンチで敵を攻撃するのだ。カイルのパンチは敵に大ダメージを与え、雑魚ゾンビは圧倒的な力で首を引きちぎる。ジャンプ力も大きく増し、自分の身長をゆうに超えるジャンプができるようになる。そんな野性味溢れる状態になる。このモードに入れるのは短時間だが、その短時間でも与えられるダメージは大きくなる強化状態になる。
パルクールが切り開く、縦横無尽のサバイバル戦略
まず初めに紹介したい点として「ダイイングライト:ザ・ビースト」最大の魅力はパルクールを使った立体的なルート取り(移動)にある。もちろん、ジャンプやハシゴ、エレベーターなどを使って縦方向に動けるゲームは他にもある。だが、この縦方向への移動とパルクールを組み合わせて1つの魅力に仕立て上げている。シリーズおなじみの要素ではあるが、それが本作でもしっかりと活かされている印象だ。
移動の際には単純に平地を歩いてもいいが、パルクールを使って塀をよじ登り、屋根の上に飛び乗り、屋根から屋根へと飛び移る。このアクロバティックな移動システムは、他のゲームでは味わえない遊び方だ。特に重要なのは、本作におけるゾンビは基本的に平面的な動きしかできないという点だ。つまり、塀をよじ登ったり、屋根の上に上がることが奴らには難しい。
そのため、パルクールを使って安全に移動することが生存の鍵となる。平地にはかなり多くのゾンビが闊歩している。単体であれば難なく倒せるが、多くのゾンビに囲まれるとかなり厳しい戦いを強いられる。
攻撃をするにもスタミナを消費するし、近接武器を振るにはモーションの時間が必要だ。しかも修理ができるとは言え近接武器は長く使っていると消耗してしまう。弓は弦を引く時間がかかる。ハンドガンはそれらの時間的な制約がなく連続で攻撃できるが、今度は銃弾の確保がネックになる。銃弾もトレーダーから購入できるものの、近接武器に比べると心細い。そのため、現実的には出会うゾンビをすべて蹴散らしながら進むことは不可能だ。かといって走り抜けたり、ゾンビの横をすり抜けることも難しい。
そこでパルクールの出番だ。パルクールを使えばとにかく自由に動く事が可能で、まさに縦横無尽という言葉がぴったり。本当に自由に動き回ることができ、このパルクールがやはり面白い。
一方、平地で一切動けないわけではない。今作では車も登場し、それで走り抜けることもできる。パルクールに加えた移動手段が増えたのは魅力の1つだ。当然徒歩よりも移動は早いし、ゾンビに捕まるリスクもほぼない。もっともゾンビをなぎ倒しまくれるような圧倒的な力はなく、ダメージには気をつける必要はある。
また、ガジェットを使ってサポートをすることもできる。筆者がプレイした中では「デコイ」による陽動がこれにあたる。山ほどのゾンビが滞留している場所で、何らかの形で突破したり、分断して個別撃破したりする必要がった。そこで大きな音を出して破裂するデコイを使っておびき寄せるのだ。
デコイは消耗品だが、クラフトでデコイを作ることができる。この素材は比較的潤沢に入手できるので、プレイを通して複数個を作ることができた。この町で生き残るための工夫は多くある。こういったガジェットを使った攻略法を取ることもできる。
昼夜の変化とダークゾーンが生む、極限のリスク・リターン
また、本作では昼と夜の変化、そしてダークゾーンが存在する。昼を通常状態とすると、夜はゾンビがさらに凶暴になっている。その上「ヴォラタイル」という特殊な個体も出現する。
ヴォラタイルは他のゾンビたちと全く異なる存在だ。身体能力が高く、カイルを見つけると全力疾走で追いかけてくる。特に懐中電灯の明かりはヴォラタイルにこちらの場所を教えているようなもの。ヴォラタイルが近くにいるときは懐中電灯を消し身を潜める必要があるなど、取捨選択が必要になってくる。
万が一見つかってしまったらチェイス、追いかけっこが始まってしまう。とても立ち向かえるような強さではなく、なんとか逃げ切る必要があった。ゾンビたちの弱点はUVライトなので、UVライトが漏れ出ているところ、もしくはセーフハウスまで逃げ切ればチェイスは終了となる。
だが、夜は基本的に光がない。実質は視界ゼロといったところだろうか。そこで、懐中電灯が頼りになるのだが、懐中電灯の照射範囲もかなり狭いのが厳しかった。もちろんヴォラタイルに見つかることを警戒し懐中電灯を切って動くとルートが見えないので、夜の移動はかなり難易度が高かった。
ただ、夜はハイリスクな分、ゾンビからより良いアイテムが入手できる。リスクを背負って夜も活動するか、割り切って昼だけ活動するという選択肢もある。時間経過でも昼から夜へ、夜から昼へ変化するが、セーフハウスで寝ることで昼か夜かを調整できる。
今回のプレイ範囲では確認できなかったが、夜でなければ進行できないクエストなどがある可能性もある。そうなると、昼にのみ行動するというわけにもいかないかもしれない。そういった極限の生存劇が「ダイイングライト」というゲームなのだ。
そして、もう1つ紹介したい要素がある。それがダークゾーンというエリアや放棄された軍の車両だ。
ダークゾーンは狭い範囲にゾンビとアイテムが高い密度で密集しているエリアだ。ハイリスクハイリターンで、このエリアに入ることはゾンビに囲まれるリスクが非常に高く、パルクールで逃げられるような広さはない。筆者はハンドガンでごり押しして制圧することができた。
この際にはかなりの弾薬を使い、そこそこに回復アイテムも使ってしまった。しかし、狭い範囲に数多くのアイテムが散らばっており、貴重なアイテムを入手できたため、それ以上のメリットを得られた。フィールドを隅から隅まで回れば同じ量のアイテムを入手することも不可能ではないが、短時間かつ狭いエリアで貴重品を含む多くのアイテムが入手できるという意味では非常に大きなメリットだ。
同様にあるのが、軍に捨てられた車両だ。こちらも弾薬などが入手できるが、特殊なゾンビが周囲を守っていた。弾薬を手に入れるために弾薬を消費するというのは矛盾を感じるが、近接武器で突破するには敵が強い。ある程度の装備が充実したり、スキルの取得などで安定してきたら狙いたいところだ。
クラフトとRPG要素が織りなす、多彩な戦闘スタイル
デコイの部分でも触れたが、本作ではクラフトが重要になる。武器や弾薬、ガジェットを作ることが可能で、より高い攻撃力を持つ武器も手に入る。
攻撃力が高い武器を入手するにはいくつかの方法がある。その1つがトレーダーから入手することだ。今回の筆者のプレイではゲームが少し進行したところで1人のトレーダーに出会ったが、彼は少し強い武器を持っていた。もう1つがクラフトでの強化だ。素材になるアイテムを消費することで武器の強化ができる。前者はお金が、後者は各種素材が必要になるが、相応のメリットはある。
町中を探索することで、クラフト素材になるのはもちろん、トレーダーが買い取ってくれるアイテムなども入手できる。クラフト素材は生存のために必要なのでできるだけ取っておきたいが、収集品は特に用途がないため売却し、強い装備やクラフト素材に変えてしまった方が良いだろう。
戦い方という面でもバラエティがある。近接武器で殴ったり切りつけたりするのはもちろん、弓やハンドガンで遠方から攻撃することもできる。火炎瓶を投げるようなこともできた。あらゆる武器、あらゆる道具を使ってこの惨劇から生き残らなければならないのだ。
あらゆる戦い方という意味では、獲得するスキルによっても変化がある。筆者はスニーク系のゾンビに気づかれにくくするスキルを獲得した。ゾンビに気づかれていない状態で後ろから攻撃するとゾンビを一撃で葬ることができる。つまり時間をかけ慎重に動けばほぼノーダメージで周囲のゾンビを殲滅させることも可能なのだ。
もっとも数体程度を排除するならともかく、数が多くなると手間もかかるし、どれかのゾンビに気づかれてしまう。ただ、こういったスキルのように、戦い方に変化を及ぼすスキルがあるということだ。
戦い方に大きな変化をもたらす部分ではないが、高所からの着地の衝撃を和らげるスキルもあった。高いところから降りるとダメージを受けてしまったり、次に動けるまでにラグが発生してしまうのだが、それを軽減するスキルだ。これにより大胆な移動が可能になる。スキルによってプレイの幅が変化するのはこの点もあげられる。
「ダイイングライト:ザ・ビースト」はシリーズの強みであるパルクールシステムを軸に、昼夜のサイクルによるメリハリ、クラフトとRPG要素を活かし、強化した作品だ。今回のプレイではあまりストーリーを体験することはできなかったが、極限状況下でのカイル自身のサバイバルを通し、同じ世界で生き残っている人間のドラマも描かれている点が魅力となっている。
ダークゾーンや放棄された軍用車両など、ハイリスク・ハイリターンな探索要素も充実しており、プレーヤーの判断力が常に試される。パルクールで道なき道を切り開き、この地獄から生き延びる。8月22日の発売に向けて、ゾンビサバイバルゲームファンの期待は高まるばかりだ。
DYING LIGHTR: THE BEAST (C) Techland S.A. Published and developed by Techland S.A. All other trademarks, copyrights and logos are property of their respective owners. All rights
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