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【特別企画】弾ける笑顔と生活感溢れるマニラゲームショップ特大レポート

マニラ郊外で日本製PCの再生工場を発見! 「サヌアン/マカティ編」

マニラ郊外で日本製PCの再生工場を発見! 「サヌアン/マカティ編」

広大すぎて映しきれないグリーンヒルズショッピングセンター
入った瞬間、ロレックスの壁掛け時計と「ロレックスあるよ」のかけ声。筆者の海賊版レーダーがビンビンに反応する

 お次は、マニラ都心部からUBERを走らせ、マニラ郊外のショッピングモール、ITモールを訪れた。

 最初に紹介したいのは、マニラの東、サヌアン(San Juan)市にある大型のショッピングモールグリーンヒルズショッピングセンターだ。異なる年代に建てられた複数の建物が中で1つに繋がっており、今回訪れた中では最大規模だった。すべて丁寧に見て回ろうと思ったら1日は欲しい広さがある。

 若干余談になるが、アジアにおけるショッピング/ITモールのグレードはだいたい4段階に分けられると思う。1つは正規品しか扱わないグローバル水準のモール、これは残念ながらマニラには1つもなかった。次に表向き正規品のみを扱っている風だが、テナントが小遣い稼ぎのために海賊版もこっそり扱っているケース。これは先ほど紹介したロビンソンやSM CITYが該当する。玄人が見れば一撃でわかるが、デートに来た若い地元のカップルがそれに気づくことはないというレベルだ。

 3つ目は正規品と海賊版が仲良く混じり、改造や修理も行なっているケース、これは後述するMAKATI SQUAREや168 Shopping Mallなど、郊外型ショッピングモールのほとんどがそうだった。このあたりから、粗悪品や偽装新品(参考記事を掴まされる可能性があり、素人には手に負えない領域に入ってくる。

 そして4つ目が海賊版しかないモールだ。今回のケースだと、キアポのNew Barter Trade Mallやその周囲にあった無名の海賊版モールが該当するが、売る方も買う方もそれとわかった上で売買をしており、観光客にはまず縁のない空間だ。外からはそれとわからず、スモークガラスの扉を抜けると、扇風機のファンの音だけが響く独特の静けさをたたえた異空間が広がる。

 話を戻すと、グリーンヒルズショッピングセンターは、増築増床を繰り返して巨大化したためか、2つ目のケースと3つ目のケースが混在するという非常に珍しいモールとなっている。ゲームショップで言えば、ロビンソンにもあった「DATA BLITZ」のような超優良店が大型店舗を構える一方で、PS3やXbox 360、スマートフォンの改造、修理を行なう店や1枚50ペソ(約120円)で海賊版を投げ売りする店まで、様々な形態、規模のショップが並んでいる。

【グリーンヒルズショッピングセンター】
建物によって扱っている商品も雰囲気もまったく異なる。非常にユニークなショッピングモールだ

【多種多様なゲームショップ】
モール内には多種多様なゲームショップが点在している

 また、グリーンヒルズには深センの模造スマホモール「明通電子市場」を彷彿とさせるような、小規模なスマホ/PCショップが何百件も密集しているエリアもあり、そこでは新旧入り交じる形で、様々なスマートフォンのリファービッシュ品(修理再生品)や中古品が売られていた。10店に1店ぐらいの頻度でゲームを扱う店もあるが、ゲームは海賊版もしくは中古が前提で、改造とセットになっているお店が多かった。

 ゲーム以外にも、アニメグッズやフィギュアを扱うホビー系のショップもあったが、こちらも海賊版が多かった。中国の広州や深センなどのように偽物が正規品と同じ価格で売られており、ショップが客を騙しているのか、業者がショップを騙しているのかはわからないが、罪深いビジネスが大手を振って行なわれている。

【スマホ/PCショップコーナー】
スマホとPCの修理と、リファービッシュ品の販売がワンセットになったコーナー

【モールに溢れる海賊版】
ゲームのみならず、フィギュア、グッズ、映像、音楽など、ありとあらゆる海賊版が販売されている。ショップによっては海賊版に注意を促す張り紙が掲げられているが、貼ってる側から海賊版ビジネスに手を染めており、汚染度はインドネシアと同様、最悪レベルだ

マニラでPCをお求めならギルモアITモールで決まりだ
最大店舗となるギルモアITセンター
新製品も扱っている
当時の助役殿もまさかPCがマニラにあるとは想像できないだろう

 続いて訪れたグリーンヒルズショッピングセンターのすぐ北にあるギルモアITモールは、PCおよび関連デバイスを専門に扱うモール。ITモールは、ITのメインストリームがPCからスマホに移行してから衰退する一方だが、ここマニラでもITモールと言えそうなのはここだけだった。

 ちなみにITモールというと、昨年訪れたインドネシアバンドン(参考記事)では、停電が多いため、バッテリー駆動が可能なノートPCばかりを扱っていることをレポートしたが、マニラではデスクトップPCが多かったのが印象的だった。もちろん、停電はゼロではないため、無停電電源装置も併売していたが、インドネシアでのPCケースも、ビデオカードも、モニターもなく、ノートPCだけという異様な光景と比較すると、日本の秋葉原と変わらない普通の光景だった。

 ただ、日本と大きな違いは、中古品が異様に多いことだ。所得の面で新品のPCを購入するのは厳しいためか、型落ち品の中古ばかりを扱うショップが多かった。調べていくうちに気づいたのは、それらの中古品はすべて日本から来ていることだ。

 何故そう言い切れるかというと、キーボード表記がすべて日本語だったからだ。中には「非番助役から当務助役に確実な引継ぎを行おう」と大書された、鉄道会社のリース品の払い下げらしき中古品もあり、日本の中古PCは、ここフィリピンで再利用されていることがわかる。今はなき、20インチ前後の4:3モニターも大量にあり、数千円程度の安価で売られている。

 これら中古PCの使い道は、家庭用や業務用として使われるほか、PISONETにも使われる。PISONETとは、お金を入れると一定時間利用できるPCシステムで、そのほとんどはインターネットに接続でき、かつ1ペソで利用できることからPISONETと名付けられた。なお、PISONETについては、生産現場から利用シーンまで一通り取材してきたので別記事で詳しくお届けするつもりだ。

【PCショップ】
新製品はデスクトップ、ノート、モニター、ペリフェラルが仲良く並ぶ。アジアでは停電や置き場所など様々な理由からノートPCばかりが好まれる中、この風景は珍しい。アジアではお馴染みの無停電電源装置を扱う店もあった

【溢れかえる中古PCは日本からの輸入品】
とてもすべて載せきれないが、ここには大量の中古PCがあり、1万円以下の安価で販売されている。一部はPISONET(左下)の中身となり、PISONET屋で活躍する。中古は故障が多いためか、修理屋は順番待ちの賑わいだった

【マカティショッピングセンター】
マニラの南東、日本人街で有名なマカティ市にあるショッピングモール。1,000円程度から買える安価なフィーチャーフォン、海賊版、改造・修理ショップのほか、ボーリング、実弾射撃、フェンシング、アーチェリー、ボクシング、ビンゴ、ロトなど、市民から駐在員に向けたあらゆる娯楽が集まっている

(中村聖司)