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【特別企画】「Goat Simulator」に負けるな! 良作からおバカゲーまで揃う本家「シミュレーター」の世界

なんでこんなことになっちゃったの! おバカ&ダメダメシミュレーター

なんでこんなことになっちゃったの! おバカ&ダメダメシミュレーター

 シミュレーターは玉石混交。「Goat Simulator」よろしく、反則&ダメダメシミュレーターももちろんあります! こちらも2作を紹介。

手術シミュレーション、「Surgeon Simulator 2013」

 おバカシミュレーター部門で紹介するのは、手術シミュレーション「Surgeon Simulator 2013」だ。価格は9.99ドル。

 正直この作品を「シミュレーター」シリーズに入れるのは悩んだのだが、「Goat Simulator」以前にも反則的な「シミュレーター」シリーズがあることも紹介したいと思い、ここに並べることにした。

 このゲームは文字通り「手術」を行なうのだが、内容は非常に大雑把である。例えば心臓移植の手術であれば、なんらかの手段で肋骨を除去し、肺や心臓といった臓器、そして古い心臓を取り除き、新しい心臓を体内に放り込めばクリアだ。移植後の縫合などは必要ない。

 この説明だけだと簡単なゲームに感じられるだろうが、実はトップクラスに難易度の高いゲームだ。

 その理由は操作方法にある。というのもキーボードのA、W、E、F、スペースキーがゲーム内のそれぞれの指に対応しており、マウスの左クリックで手が下に降りる、右クリックを押しながらマウスを左右に動かすと手首が回転するという、奇々怪々な操作体系になっている。

 もうとにかく思い通りに手が動かない、肋骨を砕くためのハンマーも持てないし、古い心臓を血管から切り離すメスも持てない。さらには必死に道具を掴もうとしていると誤って止血剤が手に刺さってしまい、朦朧として視界もロクに定まらないといった次第だ。

 これまで紹介した「シミュレーター」シリーズとは異なり、何一つとしてシミュレーションしようとしていないところが潔い作品である。真面目なゲームばかりの「シミュレーター」シリーズに敢えてバカゲーを投入するというマーケティング戦略が伝わる作品だ。

【スクリーンショット】
とにかく操作がトリッキーだ。まともにメスを掴めるようになるまでかなりの練習が必要になる

フォークリフトで荷物を運ぶ、「Warehouse and Logistics Simulator」

 最後はおまけというか、「Simulator」の名を冠しているのにイマイチだったダメダメシミュレーターの参考例として「Warehouse and Logistics Simulator」、直訳すると「倉庫と物流シミュレーター」を紹介する。価格は14.99ドル。

 正直本作は名前負けといった印象を受けた。名前からは倉庫の配置や物流の流れを細かくシミュレートし一流の倉庫主になるシミュレーターを想像していたのだが、実際はフォークリフトを使って指定の場所から指定の場所まで荷物を運ぶだけ。

 しかも「Towtruck Simulator 2015」とは違い複雑な操作は一切必要ない。WASDキーで移動、キーボードの↑キーと↓キーでフォークを上下に移動するだけ。ちなみにチュートリアルやマニュアルの類は一切なく、操作方法は全て手探りで確認していった。フォークリフトを動かすのは直感的にWASDキーだとわかったのだが、爪を上下させる方法はどうしてもわからず、キーボードのキーを端から端まで押すハメになった。

 ゲームをやりながら理解したのは、フォークリフトで荷物を指定の場所から指定の場所まで移動するというゲームルールだ。スーパーマーケットや倉庫など何種類かステージがあり、ステージごとに普通のフォークリフトや、リーチフォークリフトで荷物運びをする。指定通りに荷物を運ぶと次のタスクが表示されるので、淡々と仕事をこなしていく。

 物理演算が働いているので無茶なことをすると横転しゲームオーバーになるが、総じて難易度は低い。またフィールドには買い物客や労働者がうろうろしているのだが、当たり判定は一切無く、当たってもすり抜けてしまう。せめて当たり判定があれば「人や障害物を避けながら巧みにフォークリフトを操るゲーム」と言えるのだが、現状では「ウロウロしている人を無視してすり抜けながら最短距離で荷物を運ぶ」という、2014年にリリースされたタイトルとは思えないダメダメ作品になってしまった。

【スクリーンショット】
ただ淡々と荷物を運び続けるだけ

 というわけで駆け足で、「シミュレーター」シリーズを6本紹介してきた。「なぜその題材をゲーム(Simulator)にしようと思った」というツッコミと、異様なまでに作りこまれた細かさ(一部を除く)、そして一種の労働にすら感じるシュールなゲームプレイ、という点が「シミュレーター」シリーズに共通している笑いどころだ。

 この笑いどころが全世界のゲーマーに評価されているのか、それとも別のニーズがあるのかはわからないが、今でも新たな「シミュレーター」シリーズが続々とリリースされている。これを読んで興味が出た読者は、ぜひこの限りなく広がる摩訶不思議な「シミュレーター」シリーズの世界に足を踏み込んでみて欲しい。

(八橋亜機)