レビュー

「ドラゴンクエストVII Reimagined」レビュー

再構築されたプレイフィールが楽しさを底上げ。大変だった石版探しも快適に!

【ドラゴンクエストVII Reimagined】
2月5日 発売予定(Steam版のみ2月6日)
価格:
通常版 8,778円
豪華版 15,800円
超豪華版 29,800円
デジタルデラックス版 10,978円

 スクウェア・エニックスは、プレイステーション 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/Microsoft Store on Windows/Steam用RPG「ドラゴンクエストVII Reimagined(リイマジンド)」を2月5日に発売する。

 「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち」(2000年)をフルリメイクした本作は、登場人物やモンスターなどのキャラクター表現に、人形を思わせる3DCG「ドールルック」を採用。単純にビジュアルやサウンドがリッチになっただけでなく、ゲーム全体のバランスや一部のシステム、インターフェース、さらにシナリオの一部にまで手が加えられ、現代のプレイスタイルに寄り添う形で“再構築(=Reimagined)”された「ドラクエVII」である。

 弊誌では昨年11月に試遊レポートをお届けしているが、今回はNintendo Switch 2版の製品版を最初からプレイしてのレビューとなる。

 過去に発売された作品ではあるものの、本作で初めて「ドラクエVII」を遊ぶ人もいると思われるため、ストーリーの核心に触れることは控えつつ、主にゲームシステムやプレイフィールを中心に紹介していきたい。

【【体験版配信中!】『ドラゴンクエストVII Reimagined』 オープニング映像】
本稿の画像は全てNintendo Switch 2版で撮影したものだ

人間の業やエゴをテーマとしたシナリオがプレイヤーの心を揺さぶる

 本作の主人公は「エスタード島」に住む猟師の息子の少年。島の王国の王子で親友のキーファや、幼なじみのマリベルとともに、小さな島の中で平穏な生活を送っていた。しかしある日、キーファが城で王家の古文書と「ふしぎな石版」のかけらを見つけたことをきっかけに、島の東にある「禁断の地」へと足を踏み入れる。

主人公の親友キーファ。彼の行動力は、ときとしてプレイヤーさえも困惑させる

 謎の声から課せられた「試練」を乗り越えた彼らは、禁断の地で出会う「石版案内人」により、“選ばれし者”を導くための力が石版に宿っていることを知らされる。かけらを集めて完成した石版によって、新たな世界への道が開かれ、彼らは島の外へと旅立っていくのだ。

世界中に散らばった「石版のかけら」。複数集めるとひとつになり、新たな旅への扉が開く

 この石版がもたらすものは“世界の再生”だ。石版の先にある「島」ではさまざまな出来事が起きており、主人公たちが関わることで物語が動き出し、その結果として世界が少しずつ元の姿を取り戻していく。

 旅先で描かれるエピソードの多くは、シリーズ王道の勧善懲悪な冒険譚とは趣が異なり、人の業やエゴを発端とする現実味のある人間ドラマが中心となっている。しかもそれらは必ずしもすっきりとした結末ばかりではなく、問題が解決したとしても、どこかに傷跡や余韻を残す話も少なくない。

 世界が少しずつ再生していく希望の裏にある出来事を主人公たちだけが知る――そうした体験の積み重ねは、プレイヤーの心理を強く揺さぶる。

序盤から心にズンと響くストーリーが展開していく

 「ドラゴンクエスト」シリーズの中でもかなり個性的なゲームデザインであり、上記のような展開は多少なり好みが分かれる部分もあるだろう。ただほかのシリーズと直接的な繋がりはなく、石版の世界は短編小説を読むような感覚で進められるので、好きなときに進め、好きなところで区切れるという点で、現代のプレイスタイルにも向いている印象を受けた。

島とそこで起こる物語は石版の数だけ存在する。期待と同時に不安も湧いてくる

「ドールルック」の表現は想像以上にドラマチック。可愛さと重いストーリーのギャップも

 以前の試遊でも思ったのだが、前述のドールルックを伴ったグラフィックス全般は、本作の雰囲気にうまくマッチしている。鳥山明氏のイラストをそのまま人形にしたような質感の3DCGで起こしたキャラクターたちは生き生きと描かれ、セリフのあるイベントシーンもドラマチックで、プレイヤーの感情移入も深まる。

 それは人物に限らずモンスターたちも同様で、フィールドのエンカウントシンボルとして登場しているときはそれぞれの生体が感じられる動きを見せるなど、演出も凝っている。

映像には被写界深度が設定されていて、ミニチュア感がより深まって見える
特別なシーンでは、フルボイスのムービーシーンが展開される
フィールドやダンジョンでのモンスター達の動きにも注目
バトル時のモンスターはその大きさも画面に反映される

 これらがジオラマ風に作られた背景の上で動くことで、ミニチュアが動いているような独特の風合いを楽しめる。初代プレイステーションの3D+2Dスタイル、ニンテンドー3DS&モバイルのフル3Dスタイルを経ての本作は、リメイクタイトルの最新作として確かな進化を実感できるはずだ。

可愛らしい見た目とのギャップによる、重いストーリー展開がじわじわと効いてくる

遊んで実感するゲーム全体のテンポの良さ。石版のかけら探しも短縮

 オリジナルの「ドラクエVII」は、無数に存在する石版のかけらを探す作業と、そこから広がる複数の世界を巡るゲームデザインにより、プレイにかなりの時間を要する作品として知られている。

 本作「Reimagined」では、そうした点を緩和するための工夫が随所に施されている。近年のリメイク作品と同様、プレイヤーが向かうべき場所はマップ上に[!]マークで示され、さらにマップ画面には現在進行中の目的が「冒険ガイド」として表示される。これにより、何をすればよいのかわからず進行が止まってしまうシチュエーションは起こりにくくなっている。

マップやフィールドに[!]が表示されたところに行けば物語が進展する。逆にここに行かなければ、現状のまま旅を続けられるのだ

 手間のかかった石版のかけら探しについても、メニューの「せんれき」タブ内にある「石版リスト」に、入手状況や入手場所などが記録されるようになった。何を入手済みで、何が不足しているのかをいつでも確認できるのは非常にありがたい仕様だ。

消費アイテムと同じようなところに、さりげなく落ちていることもある石版のかけら
行った場所にある石版のかけらについての情報が書き込まれていく石版リスト
街やダンジョンなどにあるものは、宝箱などと同様マップに表示される

 さらに、現時点で入手可能な石版のうち、フィールドなどに落ちているものは視覚的にわかりやすく表示されるようになっている。万が一取り忘れがあった場合でも、神殿の「石版案内人」が所在のヒントを教えてくれるなど、探索面のフォローも手厚い。

 石版探しは「ドラクエVII」を象徴する要素であり、その基本構造自体は変わらない。しかし、そこに費やす時間が大きく短縮された点は、リメイクにおけるマストな改良点として評価したい。

誰かが持っているものはマップに表示されないので、神殿にいる石版案内人に尋ねてみよう

 また、ゲーム全体のテンポも大きく向上している。フィールド上でのパーティの移動が軽快になり、3DS版から引き続き採用されたシンボルエンカウントと、難易度設定でモンスターの挙動を調整できるようになり、不必要な戦闘を避けやすくなっている。戦闘回数を減らしてテンポを重視した場合でも、同じく難易度設定でモンスターの強さや、経験値/職業熟練度の獲得量を変更することで、戦闘を回避したことによる育成面の遅れを補えるようになっている。

モンスターの近くでも、素早く走り抜けて逃げ切ればエンカウントせずに進むことが可能だ
難易度は「冒険スタイル」としてゲーム開始時にプリセットを選べ、ゲーム中も任意に変更できる

育成とバトルが楽しくなる、キャラクターの「転職」における2つの新要素

 ストーリーの進行に準じて仲間がパーティに加わっていく本作の職業システムは、前作「ドラゴンクエストVI」から基礎要素を継承しつつ、この「Reimagined」ではさらなる改良が加えられ、キャラクター育成がより楽しくなっている。

 主人公と仲間たちは固有の職業を持って登場し、旅の途中で訪れる「ダーマ神殿」での転職によって、新たな職業につくことが可能となる。

転職を司るおなじみのダーマ神殿。おや? この大神官の姿は……

 固有職以外の「基本職」は誰でもつくことができ、選んだ職業ごとにパラメータが変化するほか、戦闘勝利時に得られる「職業熟練度」によって「職業ランク」が上がり、呪文や特技を身に着けていく仕組みだ。また全ての職業には「職業とくせい」なる固有能力が用意されており、戦闘中の「バースト」発動時にその効果を発揮し、バトルを有利に進められるようになっている。

職業ごとに使える呪文や特技は変わる
職業ランクが上がると、パラメータ上昇とともに呪文や特技を習得する
敵の攻撃を一定量受けるとバースト状態となり、発動させるとバトルが有利に。なおバーストはボスモンスターも同条件で使ってくる

 職業ランクを最高の★8まで上げると「マスター」状態となり、それ以上は上がらなくなるが、複数の職業をマスターにすることで転職できる「上級職」や「マスター職」も存在するため、職業ランクは常に意識しておくことが望ましい。

 呪文や特技はその職業についている間のみ使用可能となるが、ここで重要になるのが新システムの「どこでも転職」と「職業のかけもち」である。前者は「ダーマの水晶」を使うことで、その場で転職できる便利な機能で、強敵に挑む前に戦闘に適した職業を選んでおくといった戦略が立てやすくなっている。

転職が可能になった段階で手に入るダーマの水晶。方向キーのショートカットに登録されて手軽に行える。転職自体もレベルに関係なく行え、リスクもない
マスターとなった職業は黄色で表示。転職後のパラメータにも注目しよう

 後者は文字通り職業を掛け持ちするシステムで、選んだ2つの職業のパラメータが反映され、両方の呪文や特技が使用可能になるほか、「職業とくせい」も2種類使えるようになる。さらにかけもち中の一方の職業がマスター状態であれば、もう一方の職業ランクが上がりやすくなるなどの効果があり、育成と戦略の幅が大きく広がった。

職業のかけもちはダーマ到達後から比較的早い段階でできるようになる
バースト時の効果も2つから選べるようになる

“Reimagined=再構築”によって究極の進化を遂げた「ドラゴンクエストVII」

 現代の技術で再構築された「ドラゴンクエストVII」は、オリジナルの魅力を生かしたまま、かつて指摘されていた短所を丁寧に改善していて、「Reimagined」の名にふさわしい仕上がりとなっている。個人的には、近年の「HD-2D」リメイク作品以上に楽しめたと感じている。

出会いと別れがある本作は、そのタイミングにも調整が加えられている

 過去のプレイから時間が経っていることもあり、物語や演出が新鮮に感じられたことがプラスに働いているものの、テンポよく進められるバランスが楽しさに直結していた印象が強い。特に戦闘を自動で進められるオートバトルは、仲間が素早く的確に行動してくれるため、安心して任せることができた。

仲間のAIは非常に賢く、戦況に応じてかけもち職業の呪文や技を的確に使い分けてくれる
全員が「バッチリがんばれ」相当の高速戦闘を行うオートバトル。該当のボタンでオン/オフが可能だ

 かといって短くなり過ぎていたり、あるいはヌル過ぎたりする印象はなく、難易度は初期設定のまま、オートバトルを適度に活用するプレイスタイルで進めたところ、ダーマ神殿クリアまでに約11時間を要している。もっともこのあたりの所要時間は難易度設定によって大きく変わると予想できるのだが。

ストーリー展開の影響でトラウマものの難しさだったダーマも、条件は変わらないが難易度はかなり緩和された

 そのほかにも、方向ボタンのショートカット機能、マップ上での店舗販売アイテム表示、収集アイテムや小さなメダルのリスト化、店で再購入不可アイテムを売却する際の注意喚起など、細かな配慮が随所に行き届いており、遊びやすさの面でも好印象だった。

方向キーのショートカットには「くちぶえ/たからのにおい(ガボの特技)」、「ダーマの水晶」、「まんたん/ほぼまんたん」、「魔法のじゅうたん」が設定される
メダルリストは石版リストと同様、行った場所にあるものをリスト化している

 今回のレビューで筆者のモチベーションを高めてくれたのがBGMだ。プレイステーション版では前作からの音源の進化を実感し、3DS版ではより良い音で聴きたくてイヤホンを新調し、近年は「ドラゴンクエストウォーク」のイベントでも耳にして懐かしさを覚えた楽曲群である。本作の楽曲は最新のアレンジが施されており、特にフィールド曲「足どりも軽やかに」は冒険心を強くかき立てられた。可能であれば音響環境を整えてプレイすることを勧めたい。

発売当初、生音が使えるようになった「ドラクエVII」は、それまで以上に楽曲のクオリティが高いものとなった

 オリジナルの発売から26年を経て“再構築”され、現時点で“究極”と呼んで差し支えないリメイク作品「ドラゴンクエストVII Reimagined」。当時の思い出をリピートするのもよし、途中で止まっていた冒険を再開するのもよし。あるいはシリーズから長く離れていた人や、未体験のプレイヤーにも勧められる大傑作として、心から楽しんでもらいたい。