ニュース

新進気鋭のオンラインフライトコンバットシム「War Thunder」βテストレポート

ついに実装された陸軍要素。既存タイトルを超えた何かがそこにある!

ついに実装された陸軍要素。既存タイトルを超えた何かがそこにある!

ドイツの戦車開発ツリー。「WoT」とはまた違ったフィロソフィーだが幅広い車種がカバーされている
「アーケードバトル」では独ソの戦車が混在するランダムチームでバトルへ
空と陸の戦いがひとつの戦場でリンクする

 5月15日にオープンβテストがスタートした“War Thunder陸軍”は、空軍要素と同一のクライアントで遊べるようになっている。Wargaming.net作品で言えば「World of Tanks」と「World of Warplanes」の両要素を1本のゲームで楽しめるゲームというわけだ。

 現在のところ利用可能なユニットはドイツ、ソ連の2カ国を対象に、1937~1944年にデビューした70車種ほど。空軍の航空機には独ソに加えて日本、アメリカ、イギリスの3カ国が存在するので、今のところ陸戦は限定公開といった様子だ。

 とはいえ東部戦線で大量の火花を散らしたドイツ・ソ連の両国である。大戦初期の軽戦車から末期の重戦車までそのバリエーションは幅広く、また、本作には「World of Tanks」等のタンクバトルゲームには存在しない、対空砲ユニットも存在している。

 というのも、もともと緻密な“空の戦い”を再現していた本作である。陸上の戦いにも空軍機の編隊が登場し、制空戦闘や対地爆撃が同時並行的に展開する。「アーケードバトル」ではAI制御の機体のみが登場するが、5月30日の更新で、「リアリスティックバトル」以上のリアリティレベルではプレーヤー自身が戦車と航空機の両方をプレイ可能になっている。

 この“空陸共同作戦”は、これまでのゲームではほとんど味わえなかったシチュエーションを与えてくれる。戦車同士のかけひきで神経をすり減らしていると、突如として不気味な風切り音が聞こえ、空から大型爆弾が降ってくるのである。当たれば1撃で爆散、避けることなどほとんど不可能なので、風切り音が聞こえたら当たらないように祈るか、そもそも爆撃を受けないように頻繁なポジションチェンジを心がけるしかない。

 なんとなれば、自分自身が戦闘機として出撃して、敵機を片付けてから改めて戦車戦に挑んでもいい。空が安全なら、爆撃機として戦車狩りに出かけるのも手だ。空と陸がひとつの戦場にリンクすることで、プレーヤーが取りうる戦略は驚くほどの広がりを見せる。これが本作の圧倒的にユニークな特徴だ。

上空から襲いかかるAI操作のIL-2攻撃機
対空砲による迎撃戦闘が楽しめるのも本作のユニークなポイント
空で戦うか、陸で戦うか。その選択が戦場の勝敗に大きく影響する
いざ占領ポイントを目指して進軍
弾薬庫を破壊すれば敵は一撃で爆散
貫通力に自身があれば、車体中央を狙うことで複数モジュールへの大ダメージを期待できる

 さて本題の戦車戦に戻ろう。本作における各戦車は、大戦初期型のものから大戦末期のものまで全5つの「ランク」に分かれており、基本的には所有車輌の同ランク内±1ランク程度の幅でマッチングされるようになっている。例えば大戦初期のドイツ2号戦車しか所有していなければ、ソ連の初期型戦車BT-7が大勢存在するセッションにマッチングされるというものだ。稀にT-34が出てくることもないわけではないが、そこは運次第。

 ポピュラーな「アーケードバトル」での各対戦は16対16人。マップ中に1~3箇所配置された戦略拠点の占領を巡り、いずれかのチームの再出撃チケットが枯渇すれば勝敗が決まるという「バトルフィールド」のコンクエストライクなルールだ。1セッションは5~10分ちょっとの短さである上、「アーケードバトル」では所有車両の数が続く限り何度でも再出撃が可能なので「World of Tanks」に勝るとも劣らぬサクサク感でプレイできる。

 その中でも既存作品との特に違いを感じるのは戦車戦の骨子となるダメージモデルだ。本作ではHP(ヒットポイント)制を採用しておらず、主砲、弾薬庫、履帯、エンジン、燃料タンクその他、搭乗クルーを含む15あまりのモジュールへのダメージによってのみ、車両の破壊が決定する仕組みを採っている。

 筆者はドイツ・ランク3後期のTiger I/Pantherまで車両の開発を進めたが、各ランク内での貫通力・装甲の関係はおおむねバランスがとれており、きちっと弱点を狙えば砲弾を貫通させるのはたやすい。しかし敵車両を破壊するためにはただ貫通させるだけではダメで、各重要モジュールに損害を与え、誘爆や炎上といった現象を引き起こす必要があるのだ。

 この要素が戦車戦の面白さを深めてくれている。「World of Tanks」では稜線からはみ出たキューポラをひたすら打ち続けるだけでも重戦車を撃破することができるが、本作ではもう一工夫必要だ。いくら撃ちこんでもダメなものはダメ、かたや弾薬庫を直撃すれば重戦車ですら1発でバラバラに破壊できる。

 より確実にいくなら、クルーへのダメージ(失神)を狙う戦略もある。操縦手を失神させれば敵はしばらく動けなくなり、砲手を失神させれば火力を無力化できる。敵車輌の装甲厚とモジュール配置、そして自分の砲の火力を計算に入れつつ、1発1発の狙い所を決めていくのはとても面白く、小気味良い緊張感がある。

 ともあれ、最も危険な部位である弾薬庫と燃料庫の破壊は爆発・炎上に繋がるので、本作では搭乗車輌の種類によらず1撃で爆散するケースが非常に多い。1撃で終わらなくても、最初の1発でドライバーが失神し、回復するまでの次の1撃で砲手が失神、にっちもさっちもいかない間に穴だらけにされ、ついにエンジンが燃え上がって終わり、というやられかたも“あるある”というケース。

 本作ではとにかく最初の1発が重要であり、会心の一撃が大きなカタルシスをもたらしてくれる。偉大な先輩である「World of Tanks」とは違ったアプローチで、非常に高密度でくせになる体験をプレーヤーに与えてくれるのだ。

貫通可能ポイントを狙った場合、見越し点が緑色に転倒するため貫通弾を狙うことはたやすい
占領ポイント付近は入り組んだ構造になっていることが多く、極端なインファイトや出会い頭の一撃で勝負が決まることも。高い緊張感がある

(佐藤カフジ)