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レノボ・ジャパン、ゲーミングPCに本格参入

オーバークロック機能を搭載した水冷PC「Erazer X700」を発売

3月12日 発売

レノボ・ジャパン執行役員専務の大岩憲三氏
レノボ・ジャパン コンシューマーデスクトップ製品担当の藤井宏明氏
「バイオハザード6」など3タイトルの推奨を取得

 レノボ・ジャパンは3月12日、日本におけるゲーミングPC市場に本格参入することを表明するとともに、デスクトップPC「Erazer X700」の販売を開始した。

 これに先駆けて行なわれた発表会では、レノボ・ジャパン執行役員専務の大岩憲三氏が挨拶し、レノボがゲーム市場に参入した経緯について説明した。レノボは2011年8月にドイツのMEDIONというPCメーカーを買収しており、そのMEDIONの主力製品がハイパフォーマンスPCのErazerブランドだった。Erazerブランドは既に欧州、中国で展開しており、第3の地域として今回日本を選んだ。大岩氏は「日本市場では新参者、経験もない。関係会社との関係を深めることによってこの市場を深彫りしたい」と述べた。

 次にレノボ・ジャパン コンシューマーデスクトップ製品担当の藤井宏明氏が、「Erazer X700」の詳細を説明した。今回発売するのは1製品1モデルのみで、直販・店頭販売とも共通の仕様となる。想定価格は17万円前後。主なスペックは下記のとおり。

Erazer X700
CPUCore i7-3820
チップセットインテル X79 Express
メインメモリ8GB(4GB×2、PC3-12800)、最大16GB(空き2)
ビデオカードNVIDIA GeForce GTX 660(ビデオメモリ1.5GB)
HDD1TB(7,200rpm)
光学ドライブDVDスーパーマルチ
OSWindows 8 64bit
外寸210×475×455mm
重量約18.5kg

 藤井氏は「Erazer X700」について、「ゲーミングPCにおいてはソフトウェアや周辺機器メーカーとの協力は欠かせないと考えている」と述べた。その取り組みとして、カプコンが3月22日に発売予定の「バイオハザード6」と、エレクトロニック・アーツが3月7日に発売した「シムシティ」の2タイトルから推奨PCの認定を取得。他にスクウェア・エニックスが発売中の「コール オブ デューティ ブラックオプス」の推奨スペックPCにも認定されている。

 製品の特長は、オーバークロックボタンを搭載したこと。専用ソフトウェアがプリインストールされており、BIOSを立ち上げることなく、ワンボタンでCPUをオーバークロックできる。実際にオーバークロックするには再起動が必要だが、手間を減らせる利点がある。藤井氏は「最初からオーバークロックしておけばいいのではという声もあるが、オーバークロックしたままにすると熱も上がり、機器が早く故障しやすくなる。オーバークロックを切るときにワンタッチでできるのが便利」と説明した。

 CPUは水冷方式を採用。MEDIONの製品はこれまでも水冷を採用しており、今回もそれを引き継いだという。具体的なデータは出さなかったものの、藤井氏は自らの主観として「狭い部屋で4台並べて動かしてもかなり静かで、PCが動いているのかどうかもわからない」と語った。

 「Erazer X700」にはキーボードとマウスが付属しない。藤井氏はこれについて「ゲーマーの方はほとんど別売りのものを使う。それなら最初から同梱せずに、サードベンダーの製品を購入していただけるようにと考えた」と説明した。

 そのため先述のタイトル認定においては、アイ・オー・データ機器から液晶モニター「MF274XBR」と「MF234XPBR」を、マッドキャッツからマウス「M.M.O.7」とキーボード「S.T.R.I.K.E.7」、ゲームパッド「MLGプロサーキットコントローラー」の各製品を借りたという。ただし各製品は「Erazer X700」のオプションとしては用意されず、参考出展オプションとして紹介された。

 同社は発売記念キャンペーンとして、「Erazer X700」の購入した先着100名に、「バイオハザード6」のソフトと外付けの1TB HDDをプレゼントする。

参考出展オプションとして紹介されたアイ・オー・データ機器のモニターとマッドキャッツのゲーミングデバイス
発売記念キャンペーン。総額1万円以上となるお得な内容

「バイオハザード6」プロデューサーの平林良章氏

 発表会ではカプコンとエヌビディア ジャパンからのゲストも招かれた。カプコンで「バイオハザード6」のプロデューサーを務める平林良章氏は、PC版「バイオハザード6」の独自機能を紹介した。

 解像度やテクスチャ、影等のグラフィックスの調整機能が加えられたほか、コンソール機より高いパフォーマンスを出せるPC向けに、登場する敵を増やした新モード「ザ・マーセナリーズ アンリミテッド」が追加された。コンソール版のおよそ倍の敵が登場するという。またコンソール版では別料金で配信しているエクストラステージ7つを最初から収録している。

「バイオハザード6」の動作・推奨環境。「Erazer X700」は推奨環境を大きく上回るスペック
PC版にはオリジナルのゲームモードが追加されたほか、コンソール版では有料だったDLCも標準で付属
会場に置かれたデモ機で平林氏が「ザ・マーセナリーズ アンリミテッド」をプレイ。今回が初公開だそうだ
コンソール版の「ザ・マーセナリーズ」の約2倍の敵が現われる。クリアとなる敵の数も倍の300体に

エヌビディア ジャパン マーケティング本部部長の林憲一氏

 エヌビディア ジャパン マーケティング本部部長の林憲一氏は、「レノボとは長年協業しており、ともに日本のゲーム市場を盛り上げられると期待している。GeForce GTX 660は最も人気が高いモデルだ」とコメント。また「バイオハザード6」について、ゲームのグラフィックス設定を自動的に最適化するツール「GeForce Experience」に対応していることを明らかにした。

「バイオハザード6」はNVIDIAが開発初期から協力しており、The Way It's Meant to be Playedロゴも付いている
「GeForce Experience」に対応。「バイオハザード6」においてPCのスペックに応じたグラフィックス設定を自動的に選んでくれる

本体各部紹介

正面のデザインは中世の騎士をイメージ。青色LEDを内蔵し、暗所で美しく光る
正面パネルを開くと、29種類のメディアに対応したカードリーダーとDVDドライブが現われる
正面にはさらに3.5/2.5インチドライブを内蔵できるスロットを2つ用意
サイドパネルは大きなメッシュで開いている
背面はシンプルなデザイン。7.1chアナログとデジタルのサウンド出力を搭載
上面にも排気ファンを搭載。中央部には専用のオプションを搭載できるが、現状は未提供
サイドパネルを開いたところ。ケースはATXサイズだが、マザーボードはMicroATXサイズを採用
CPUはレノボ独自の水冷ユニットを搭載。メモリはCPUの左右に2基ずつスロットがある
ビデオカードはGeForce GTX 660を搭載
シャドウベイには3.5インチドライブを搭載できるトレイを4つ用意(1つはHDDで使用)
本体上部にあるオーバークロックボタン。その手前の「engine start」は電源ボタン
プリインストールされるオーバークロック用のソフト。標準状態では36倍(3.6GHz)で動作
オーバークロックボタンを押して再起動すると、標準で41倍(4.1GHz)にクロックアップ。最大43倍まで設定があった
アイ・オー・データ機器とマッドキャッツの機器も一緒に展示されていた
「バイオハザード6」のベンチマークソフトも用意されていた
実際にベンチマークしてみると、最高評価のSとなった

(石田賀津男)