THINGSOFT/NEXON、「Project NT」プレスカンファレンスを開催
ファンタジーライフにこだわったセルアニメスタイルのMMORPG
G-STAR 2012で、6本の新作オンラインゲームを発表したNEXON。その中で今回唯一プレイアブル出展されなかったタイトルがTHINGSOFTが開発しているWindows用MMORPG「Project NT(仮称)」である。韓国で2013年にCBTの開始を予定し、正式サービスは2014年を見込む。
「Project NT(仮称)」は、「NEXON G☆STAR 2012 CONFERENCE」のトップバッターを飾り、開発元THINGSOFTで開発総指揮を採るジョン・サンウォン氏自ら、ゲームの概要説明と、質疑応答に応じた。ジョン氏は、元NEXON社長、前Neowiz Games副社長という異色の経歴を持つためか、韓国メディアに対してやや照れ笑いを浮かべながら登壇し、実に1時間にわたって情熱的に語り続けた。「MMORPGの限界を突破したい」というジョン氏が手がけるMMORPGとは一体どのようなものだろうか?
【「Project NT(仮称)」トレーラー】 |
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【「Project NT」イメージイラスト】 | |
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人間 | キラナ |
■ プレーヤーが世界に関与できるMMORPG。ファンタジーライフを満喫できるオンラインゲームになるか!?
「NEXON G☆STAR 2012 CONFERENCE」の会場の様子 |
THINGSOFT代表取締役社長ジョン・サンウォン氏 |
「Project NT(仮称)」のイメージ |
人間とキラナが共生する不思議な世界が舞台となる |
ジョン氏は、「韓国ゲーム開発第1世代」と言われる。韓国は実質的に1990年代後半から始まったオンラインゲームの開発が、ゲーム開発の始まりであり、そこで活躍したのが彼となる。まだヒット作のなかったNEXONで、「風の王国」や「闇の伝説」を立ち上げ、社長に就任してからも「クレージーアーケード」や「メイプルストーリー」、「カートライダー」などヒット作に恵まれた。
ジョン氏はその当時を振り返り、「今のMMORPGは『3カ月後にはやることがない』と言われるが、かつてコンテンツがないことに悩んだことはなかったし、なくても良かったし、ユーザーはなかったらやることを探してくれた」と、当時の状況を正直に語った。また、カートゥーンレンダリングは10数年前は多かったが、2000年代半ばにパッタリなくなってしまった。ジョン氏はその理由について、カートゥーンより、単純にリアルに作るほうが作りやすくなったからだという。
ジョン氏はこうした状況を踏まえ、あえてカートゥーンレンダリングベースのゲームエンジンを開発し、3カ月経っても「やることがない」と言われないような、ユーザー参加型、ユーザーが積極的に世界を変えていけるようなMMORPGを制作しているという。ストーリーを練り込むため、時代設定から行なっているため、開発に時間が掛かっているという。
「Project NT」の世界観は、厳格な女神“ペリル”と、彼女の創造物である“人間”の世界、自由奔放な男神“アカシャ”と彼の創造物である“キラナ”が共生する世界が舞台となっている。この2つの世界の存在は、神々の戦争を引き起こし、2人の神はすべての力を失って死滅してしまう。この戦争によって生活の基盤を失ったキラナが、人間の世界に着陸することで、2人の種族は新しい局面を迎えることになる。「Project NT」の物語はここからスタートする。
ジョン氏が熱心に語ったのは、キラナについてだ。キラナとは妖怪であり、彼らの中では、人間と共に生きるか、人間と敵対するか意見が分かれている。プレーヤーは人間として、キラナに相対し、キラナを助けたり、キラナを捕獲して仲間にしながら、キラナと向き合っていくことになる。
キラナについては質疑応答で韓国メディアからは「『ポケモン』とどう違うのか?」という単刀直入な質問も出ていたが、どのキラナをパートナーにするか、どのキラナをバトルに投入するかによって、ゲームが大きく異なり、ジョン氏によればキラナはクラスの代わりになり、タンクやディーラー、ヒーラーの役目を果たしてくれるという。キラナは無限に捕獲できるが連れ歩ける数には限りがある。どのキラナを選ぶかによってキャラクターの方向性が決まるというわけだ。
また、ジョン氏は、「MMORPGはプレーヤーの感情が重要だと思う」と語り始めた。MMORPGにおける感情とは、ゲーム内でのプレーヤーによる情感を伴う様々な表現をさしており、細かい顔の表情の変化や、挨拶、お喋り、料理を振る舞ったり、結婚といった要素も含まれる。こうした要素はゲーム寿命を延ばす上で非常に重要な要素であり、それを促進するためにプレーヤー自身が世界に直接関与できる要素を入れて行くという。
具体的には村をプレーヤーの手で育てることができたり、村長を投票によって決めたり、この世界では村は与えられるものではなく、人々の努力で作っていけるようにしたいという。このため、人々が行かない村は徐々に廃れていき、逆に良く行く村は繁盛するような要素も考えているという。カンファレンスで示されたスライドでは、森にある木々が増えていく様子が描かれた。このMMORPGの全体像はまだ見えてこないが、大作感は全面に押し出さず、手触り感のある楽しさやおもしろさの実装にこだわっていることが伝わってきた。
【街の風景】 |
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【カットシーン】 |
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【バトルシーン】 |
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【キラナ】 |
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【表情豊かなNPCたち】 | |
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■ Q&Aセッション「『マビノギ』は素晴らしいゲームだが影響は受けていない」
Q&Aセッションでは、「Project NT」に対する関心の高さから、多くのメディアから質問が飛びだした。以下、簡単にまとめておきたい。
――いつゲームを作りはじめたか、またTHINGSOFTでの開発規模は?
ジョン氏:前にNeowizにいた時代からカートゥーンゲームを作りたいという考えがあった。NeowizではカートゥーンのAOSゲームを作ろうとしていたが、途中でMMORPGにしてもいいんじゃなかという考えに変わった。開発は2010年からスタート。開発者は45人ぐらい。最終的には60人規模まで拡大するつもりだが、それ以上に増やすつもりはない。
――NEXONやNeowizから小さいデベロッパーに来たわけだが、やりづらくはないか?
ジョン氏:NEXONにいた時代はNEXONはそんなに大きいな会社じゃなかった(笑)。昔のように楽しくやっている
――ユーザたちが作っていくMMORPGを強調したが、どういうシステムになっているのか?
ジョン氏:まず、ユーザー達の行動によって、世界が変わるものを考えている。ユーザーたちが直接ゲームのコンテンツを作るものも考えている。まだ内部でリサーチ中だが、ユーザーたちがクエストを作ることなども考えている。
例えば、「プリンセスを救え!」というクエストがあるとするとプリンセスを救ってクエストを完了するだけでは少し物足りないと思う人がいるかもしれない。それを2時間内にクリアすると報酬が変わったり、+αすることで多様な変動のあるものなどを考えている。
また、ユーザーたちが政治的な活動をしようとするための投票システムや、それによってゲームの世界に影響を与えるなど。一部のスクリプトもユーザーが作れるようなものも考えている。実装に当たっては問題が発生しないように、多角的な面で検討している。開発のモットーは、システム的にサポートしてなくてもゲーム内で結婚したりなど、ユーザーがアイデアレベルで作れるものなら、ゲームデザイナーはもっと早く作るという感じで開発している。
――「Project NT」の発表以降、ユーザーたちの反応を見ると「マビノギ」との比較が多い。そして「Project NT」について「マビノギ」のように生活型MMORPGを予想するユーザーが多いが、実際はどうなのか?
ジョン氏:「マビノギ」を作っていた頃、「マビノギ」が目指したものはとても素晴らしいものだった。音楽を作ったり、ゲーム内で生活するというものだ。しかし、実際のユーザーたちのプレイは、単純に同じことを繰り返すものになってしまっている。「Project NT」はそれは避けたい。会話などはすべてスキップし、ただ与えられたミッションだけをひたすら最短ルートでクリアすることを繰り返すゲームにはしたくないと思っている。「マビノギ」の方向はとても素晴らしいが、このゲームには影響はない。
もちろん、ユーザーがいろんなことにトライしたり、世界に可愛らしいものがあったりということは「Project NT」にもある。ゲームに入って宿題をするのは嫌で、レベルアップを心配せずに楽しめるようにしたい。
【ファンタジーライフ】 | |
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――「ポケモン」との差は?
ジョン氏:「ポケモン」ではプレーヤーがマスターで、戦うのはポケモンだけ。スキルもポケモンが使用するもの。強いポケモンを持つことが重要。「Project NTでは、プレーヤー自信が、キラナ化して戦うこともできる。キラナもただ攻撃スキルだけを持っているのではなくて、プレーヤーを強化したり、敵に異常状態のスキルを使用したりなど、多様なものが用意されて、そのキラナ立ちの組み合わせで戦闘を楽しむもの。
――戦闘で頭を使うというのは具体的はどういう意味なのか?
ジョン氏:他のゲームだと、例えば戦士だったとすると、タンクとしての役割があり、そのスキルだちをどのタイミングで使うかのものだったと思う。「Project NT」では、使用するキラナによってスキルの組み合わせも変わるので、あるボスモンスターを攻略するとなると、どのキラナで組み合わせれば、うまく攻略できるかというものを考えるようなものにしている。
それからボスモンスターのパターンを見て、自分なりの攻略法を見出すこと。また、ボスモンスターにランダムに20秒間魔法攻撃は無効などといったパターンも入れることも検討中。それによって、毎日同じパターンで攻略するのではなく、毎回違う戦闘が楽しめる。
【バトルシーン】 | |
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――カートゥーングラフィックスは何から影響を受けたのか? ターゲットユーザーは?
ジョン氏:担当者によると日本のコミックやアニメで勉強したという。「二ノ国」などと同じように、ターゲットはライトユーザーを想定している。女性もターゲットに考えており、今検討しているものの中では、狩りをしなくても楽しめるものも考えている。ビジネスモデルはアイテム課金になる。
――なぜカートゥーンを採用したのか?
ジョン氏:リアル系のMMORPGが多すぎるから。個性を出すため。
――「NT」の意味は? 今考えている正式タイトルは?
ジョン氏:特に意味はない。タイトルは商標登録する予定なので今発表するのは難しい。
――プレイアブルがなく、公開した理由は?
ジョン氏:まだクオリティーの面で不十分で、プレイアブルは出せなかった。2014年のサービスインを計画してるが、あまりに秘密にすると人を採用するのも難しいので、今回出すことにした。
――ジョン氏が考える次世代MMOとは何か?
ジョン氏:今まではグラフィックスの善し悪しだけで次世代といっていた。オンラインゲームでは、持続するゲームのストーリーをどのように連結していくか、コンテンツは充分提供できているかも重要だと思う。「Project NT」では、オンラインMMORPGの限界点を解決して、10年前のMMORPGのようにユーザー自身が遊べるものを作り出すことができるゲームにしたいと思う。
【カットシーン】 | |
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(C) NEXON
(2012年 11月 10日)