Game Developers Conference 2012レポート

【GDC 2012】GDC Business Center & Career Pavilionレポート
KONAMIやグリー、SCEAがその場で就職希望者と面接


3月5日~9日開催(現地時間)

会場:San Francisco Moscone Center


 


 「GDC 2012」の期間中、7日から9日までの3日間、ゲーム会社やツール会社がゲーム開発者を直接リクルートするGDC Business Center & Career Pavilionが開かれた。

 今年はコナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)が公式サイトでFOXエンジンのデモ画像を掲載したGDCの求人情報を載せたり、GREEが初めて求人用のブースを出展したりと日本の企業の北米での採用活動がこれまでになく活発化した年ともなった。このレポートでは、そんなGDC Business Center & Career Pavilionの様子をお届けしたい。



就職を希望する学生や、転職を考えるプロが行列を作った

 GDC Business Center & Career PavilionはGDC会場West Hallの1階にある。昨年はエキスポ会場で、展示ブースと混在する形だったが、今年は分離してキャリア向けだけが一カ所に集められ、54の企業や団体がブースを出展した。

 Sony Computer Entertainment America(SCEA)やMicrosoft、Nintendo of America(NOA)らハードプラットフォーマー、Capcom、Activision、Blizzard Entertainment、Ubisoft、Valve、2K Gamesなど大作を生み出しているビッグメーカーは試遊コーナーを併設した大きなブースを出展した。

 SCEAはPS Vitaの各タイトル、Microsoftは「Kinectスター・ウォーズ」や「Forza Motorsport 4」などが出展されていた。Activision Publishingはもっとも目立つエントランス正面に「Call of Duty: Modern Warfare」とICチップのはいったモンスターフィギュアを使って遊ぶ「Skylanders Spyro's Adventure」の大きなポスターが目立つブースを設置。「Skylanders Spyro's Adventure」はプロモーションムービーも流して宣伝していた。その隣ではBlizzard Entertainmentが、ミニバーを併設したブースを設置。ファンタジー系RPGによくある、酒場で仲間を雇うというシチュエーションを再現していた。


Sony Computer Entertainment AmericaMicrosoft Interactive EntertainmentActivision
Blizzard EntertainmentCapcomコナミデジタルエンタテインメント
Nintendo of AmericaグリーFacebook


コナミブースで配布していた記念品のTシャツ。風呂敷なみのXLサイズ

 KONAMIは「Silent Hill: Book of Memories」や「Metal Gear Rising: Revengeance」のポスターを貼ったブースを出展していた。FOXエンジン開発のエンジニアがメインかと思いきや、話を聞くとソーシャルゲームのスタッフも大募集中なのだそうだ。KONAMIは今年の初頭にサンフランシスコの南にあるサンマテオにソーシャルゲーム開発のための新スタジオを設立しており、今回はそこのスタッフも募集している。小島プロダクションで働いてみたいけれど日本までいくのは……という開発者のために、アメリカにも拠点を作る予定なのだそうだ。

 グリーもKONAMIと同じサイズのブースを出展していた。グリーは今回3つのセッションを行なったが、北米ではまだほぼ無名の存在であるため、GDC会場に企業名を入れた大きなポスターを掲示したり、夜にフリーパーティーを開催したりして知名度の向上に励んでいた。

 他にもHavokやCryengineを開発しているCrytek、Facebook、BigpointといったSNS、CrowdStar、Playdom、Woogaなどのソーシャルゲームメーカー、Amazonの姿もあった。Scotlandが国のブースを出してスコットランド企業への求人を募っていたり、中国最大の通信会社でグリーとも提携しているTencentや、「League of Legends」のRiot Gamesも大きなブースを出していた。


今回のGDCではグリーだけではなく、ソーシャルネットワークゲーム(SNG)プラットフォーマーが多く広告を出したグリーが6日に開催したフリーパーティー。会場前はタダ酒を求める大行列で混雑したNorth Hallにあったセッション告知の看板
Blizzard Entertainmentのミニバー付き面接会場Microsoftは開発スタジオの様子をビデオで紹介していたサンフランシスコのSNGプラットフォーマーBigpointのブース
「Just Cause」シリーズを開発したスウェーデンの「Avalanche Studios」のブースもNOAの求人内容。多彩な言語へのローカライズスタッフを募集していた「League of Legends」のRiot Gamesのブース

 例年、1、2日目はGDCに参加しているプロが中心で、GDCのスチューデントパスが使える3日目には学生が多く訪れるのだそうだ。アメリカでは日本のような新卒の一括採用はなく、新卒も中途採用も同じように企業に対して自分を売り込む必要がある。それぞれのブースには採用担当者がいてその場で面接が行なわれる。就職希望者は自分の作品をまとめたポートフォリオのファイルやiPadを手にどんなことができるのかを説明する。

 作品はイラストやデッサン、テキスタイル、生ポリゴンのキャラクター、スカルプチャーで作った頭部、パソコン上で動く爆発や魔法のエフェクト、ミニムービーなど持ってきているものが様々。それに加えて、各社に提出するレジュメが必要だ。有望そうな学生とは名刺交換をしてその後の交渉を続ける。画一的な日本の新卒採用と比べると、とてもアナログで就職希望者のプレゼンテーション能力が試される。ちなみに面接を受けるとTシャツや手帳などのお土産がもらえるため、それを目当てにくる学生もいるらしい。


面接の様子。立ち話でも真剣そのものでプレゼンテーションしていた
SECAの試遊コーナー。PS Vitaや、PS Moveの野球ゲーム「MLB 12: The Show」、ロボットに変形する自動車で乱闘するアクションゲーム「Twisted Metal」が置いてあり、順番待ちの人たちが試遊していた


(2012年 3月 10日)

[Reported by 石井聡]