フロム、「DARK SOULS Special Event 人間性を捧げよ ~生存率0/20000~」を開催
来場者を襲う脅威と絶望! 侵入、召喚、オンラインの新要素も体験!


会場:東京「時事通信ホール」



このスペシャルイベント用のオリジナルポスターが来場者を出迎えた

 株式会社フロム・ソフトウェアは、東京「時事通信ホール」にて「DARK SOULS Special Event 人間性を捧げよ ~生存率0/20000~」を開催した。このイベントは、9月発売予定のプレイステーション 3用アクションRPG「DARK SOULS」を先行体験できるというもので、公式サイトの募集に寄せられた参加希望者のうち、抽選で100名が招待された。

 「DARK SOULS」では、先日にもE3で出展されている試遊バージョンのプレイレポートをお届けしたが、国内でユーザーがプレイできたのは今回のイベントが初めて。会場でプレイできたのはE3試遊バージョンと内容は同じで、その日本語バージョンとなっている。

 このイベント、会場内のPS3はすべてネットワーク接続されていたのが大きなポイントだ。今作の醍醐味であるとされているプレーヤー同士での“相互ロールプレイ”の片鱗が感じられるようになっていた。ネットワークの要素はオフラインでプレイしていたプレイレポートではお伝えできなかったところでもある。オンラインでの“侵入”、“召喚”、そして“新たな要素”と、イベントの模様をあわせてお伝えしていこう。




■ 新プロモーション映像公開! “あなたのデザインした盾がゲームに登場する”デザインコンテストも開催!

シアタスペースで新プロモ映像やキャンペーンの発表が行われた

 会場の時事通信ホールでは、大きなスクリーンのあるシアタースペースを中心に、シアター周りのスペースに試遊台がズラリと並べられていた。試遊台は合計30台あり、来場者100名を5つのブロックにわけ、1人10分のプレイをループして楽しむ形式となっていた。

 イベントはまず、シアタースペースでの発表からスタート。まずはスクリーンにて新しいプロモーション映像が公開された。映像は今作の物語の導入や背景を語ったものだろうか。「ダークリングは不死の証」、「不死はすべて捕らえられ北に送られ」、「世界の終わりまで牢に入る」という意味深な言葉からはじまり、プレーヤーに襲いかかる巨大な魔物の姿が次々に映し出された。

 そして、おそらくプレーヤーに対して「新しい奴は久しぶりだ」とNPCから話しかけられている会話や、「センの古城ってのは古い神が作った試練の道だ」や、「お前では絶対に行けない、あの、アノール・ロンドには」という会話のやり取りもあった。プレーヤーはどこかを目指して危険に身を投じるのだろうか。また最後には、「…たまごも背負わぬ半端物が」というセリフが入っていたが、セリフの中身からしても、人ではない異形のNPCもいることわかる。


【新プロモーション映像】
物語の背景がうっすらと見えてくるかのような新プロモーション映像。巨大な敵やダークな会話を投げかけてくるNPCの存在、世界の背景が断片的ながら掴めてくる

 続いて発表されたのは、「ダークソウル シールドデザイン コンテスト」というキャンペーンだ。こちらは、盾のデザインをユーザーから公募し、応募作品の中から最優秀作品を決定するというもの。なんと最優秀作品に選ばれた盾のデザインは、実際に製品版のゲーム内に登場するということだ。応募期間は6月11日~6月30日までで、イベントでの発表後から、公式サイトに詳細が掲載されている。

 最優秀作品になれば、自分の考えたデザインが施された盾が登場するというのだから、それは最も愛着のある装備になること間違いなし。他のプレーヤーもその盾を活用してくれるだろうと考えると、たまらないものがある。


【シールドデザインコンテストを実施】
壇上には本作のディレクターを務める宮崎英高氏(写真左)、宣伝セクションの小倉康敬氏(写真中央)が登壇。シールドのデザインを一般公募するというキャンペーンを発表した




■ 100人のプレーヤーが試遊バージョンに挑戦! ネットワークを使った侵入&協力プレイ、新要素も体験!

この試遊バージョンでは、あらかじめ用意されている6種類からプレーヤーキャラクターを選択してプレイする。製品版とは異なる仕様だ
試遊の模様。シビアなゲームだけに、プレーヤーはもちろんとして順番を待っている人も真剣に画面を見つめていた

 発表の後は、いよいよ試遊プレイが開始された。この試遊ではキャラクターはあらかじめ6体プリセットで用意されている。選べるキャラクターは、「Solder」、「Knight」、「Witch」とそれぞれ近接攻撃や魔法を使う標準的な性能を持ったキャラクターが3種類いる。この他に、魔法がメインだが“ある特殊な力”を持っている「Pyromancer」、性能が高く強い「Solaire of Astro」、他プレーヤーの世界へ侵入するためのアイテムを所持している「Black Knight」の6種類となっている。

 試遊が開始された直後は、初プレイということで、当然ながら皆、標準的なキャラクターを選んで奥へ進んでいく。だが、プレイレポートにも書いたとおり、この試遊ではいきなり赤く巨大な火竜「ヘルカイト」と遭遇することになる。

 プレイしていた皆さんは真剣そのもの、高い集中力と緊張感で挑んでいた。順番を待って後ろでプレイを見守っている人たちもプレイのヒントを得ようと真剣なまなざしだ。だが、やはりまずヘルカイトに焼き殺され、試遊コーナーのあちこちで業火に焼かれるシーンが続出していた。思わずギャラリーから苦笑いが漏れるような光景だ。

 ヘルカイトのいるあたりを抜けても、次から次に苦難が押し寄せるが、さすがに「DARK SOULS」はどんなゲームなのか、ということをあらかじめ理解してイベントに応募して参加しているユーザーが多く、雑魚のアンデッド兵の奇襲をものともせず、非常にうまく立ち回る人が多かった。だが、そんな手練れの人でも、鋼の装甲に身を包んだイノシシに果敢に挑んで、はね飛ばされて死亡、というシーンを多く見た。


次から次にプレーヤーを襲う危機。開始早々ヘルカイトの炎に焼かれ、建物の中では奴隷のアンデッドに取り囲まれる


地面に定型文のメッセージを残せる。このメッセージはネットワーク接続している他のプレーヤーにも見えるもので、役立つ情報を共有したり、時にはひっかけの嘘ヒントがあったりと、冒険をより面白くしてくれる

 ここで、筆者がプレイして確認したオンライン要素についてお伝えしよう。冒頭にも記述したように、今回のイベントでは全試遊台の30台がネットワークで繋がっていて、オンライン要素を体験できる。

 筆者は、今回出展されていたものと同内容のE3試遊バージョンをオフライン状態でプレイ済だったが、ネットワーク接続されている今回プレイを開始すると、すぐに変化があった。時折うっすらと、他のプレーヤーが動いている様子が現われるのだ。「Demon's Souls」で言うところの“徘徊幻影”だ。同じ箇所をプレイ中のプレーヤーの姿が幻のように表示される。1人でプレイしている状態だが、同時刻に同じようにプレイ中の人がいるのが感じられる要素だ。こちらの姿も同じように他プレーヤーの画面に時折見えているのだろう。

 地面にも変化がある。爪痕のように地面に刻まれている“メッセージ”や“各種のサイン”だ。メッセージは「赤いろう石」というアイテムを使って地面に定型文のメッセージを残せるというもので、こちらもネットワーク接続している他のプレーヤーにも見える。試遊プレイながら「がんばれよ」とか、「心が折れそうだ…」といった他プレーヤーが残したメッセージがあった。この試遊版だけのものとして「製品版も買うぞ!」というメッセージもあったのがユニークだ。

サインから他のプレーヤーを自分の世界に召喚! 独特の作りをしているオンライン協力プレイも健在

 続いては“召喚サイン”。サインはメッセージと似ているが、地面に刻まれている色がまず異なる。地面に書かれている“召喚のサイン”に近づくと、それを書いた他プレーヤーの姿が浮かび上がり、それを調べると、他のプレーヤーを自分の世界に呼び出して一緒にプレイできるようになる。逆に、「白のろう石」というアイテムで自分の召喚サインを地面に刻めば、他のプレーヤーが自分を召喚することも可能。いわゆる協力プレイだ。

 ちなみに、「Demon's Souls」同様、プレーヤー間でコミュニケーションを取るジェスチャーもある。手を振ったりお辞儀をしたりといった動きだ。セレクトボタンから選択するか、○ボタンを押しながらコントローラーを振るなどのモーションセンサーを使った操作でジェスチャーできる。

 召喚についてここまでは「Demon's Souls」と同様なのだが、今作では自分の選んだキャラクターによって違いが見られた。通常のキャラクターが他プレーヤーを召喚すると、召喚されたプレーヤーは白く光る姿で表示されるが、他プレーヤーの世界へ侵入することが中心の「Black Knight」でプレイしている時、召喚されたキャラクターはオレンジ色と黒色で表示されていた。

 このオレンジと黒色の姿は、侵入してきた敵対する存在の色に近い。だが、「Black Knight」でプレイする自分と召喚されたプレーヤーは敵対するわけではなく、協力プレイできた。「Black Knight」のようなダークサイドのキャラクターによるプレイだと、このオレンジ黒の表示になるのかもしれない。これはディレクターの宮崎氏が今作のポイントとしている“相互ロールプレイ”のヒントになりそうだ。


【召喚しての協力プレイにも違いがある?】
左の写真は従来のプレーヤー召喚で、召喚されたプレーヤーは白く光っている。だが右の写真は、「Black Knight」でプレイ中に他プレーヤーを召喚したもので、オレンジと黒い色に光っている。ここにはなにかスタンスの違いのようなものがあるのだろう


他のプレーヤーの世界へ侵入! 狙うはその世界の主人公であるプレーヤーの命だ
その世界のプレーヤーを倒すと、“人間性”を獲得できた。これがいったいなんなのかはまだ不明だが、今作のキーワードであることは間違いない

 続いては、“他プレーヤーの世界への侵入”。これは、今回選べたキャラクターの中で「Black Knight」が所持している「闇の瞳のオーブ」というアイテムを使う。アイテムを使うと、「悪霊となり、別世界へ侵入します」の表示。ほどなくして、他プレーヤーの世界に降り立つ。侵入の通知はもちろん、侵入された側にも表示される。自分の姿は赤黒い表示になり、いかにも邪悪な存在というのがわかる。

 侵入した場合、モンスター側の勢力となるので、雑魚敵からは攻撃されない。スタート位置も、プレーヤーを待ち構えるアンデッドの一員のような立ち位置からだった。侵入したプレーヤーが敵を倒して進んでいった跡をたどっていくと、今まさに奴隷のアンデッドと戦っているターゲットの姿が見えた。どうやら必死に戦っていて、まだこちらが近づいているのに気づいていないようだ。そろりそろりと背後から近づいていって、背中に「致命の一撃」をお見舞いする。一端この場所を離れようとするターゲットを追い、トドメを刺した。なんともダークなプレイ。だがこれも「DARK SOULS」の醍醐味だ。

 ターゲットのプレーヤーを倒すと画面には、「人間性を得、元の世界に戻ります」という文が表示された。この“人間性”というのは、今作の重要なキーワードになっているようだ。今回のイベントの副題にも、「人間性を捧げよ」とある。

 そして今回の試遊の中では、中間ポイントであり休息ポイントでもある「篝火」に、この人間性を捧げる(『注ぎ火を行う』と表示)ことができたが、人間性を足してもすぐわかるような変化は見られなかった。詳しくは、今後に明かされるので、そちらをお待ち頂きたい。


【侵入プレイで他のプレーヤーを襲え!】
ただでさえ緊張感の高い冒険をしているところに、他のプレーヤーが侵入してきて襲ってくる。背徳な魅力を持つPVP“侵入プレイ”も健在だ


今回新たに判明したオンライン要素「Pyromancer」の悪影響。フードをかぶったキャラクターがそれだ
「Pyromancer」のプレーヤーがいると、ネットワーク接続された他のプレーヤーの世界にも悪影響が出る。写真では赤黒の霊体と戦っているが、これは侵入してきたプレーヤーではなく、「Pyromancer」の影響で増加した敵だ

 最後に、筆者が最も特殊な要素と感じた「Pyromancer」というキャラクターの能力について。このキャラクターは、“Pyromancerでプレイしている人がネットワーク上にいると、他プレーヤーの世界へ悪影響を及ぼす”のだという。これはどういうことかというと、Pyromancerが放つ瘴気が、他のネットワーク接続を通じて他プレーヤーの世界へ行き、通常は登場しない敵が出現するというのだ。

 確かに他プレーヤーの画面をみると、オフライン状態では出現しなかった赤黒の霊体のような姿の敵モンスターが出現していた。今回選べた6種類のプレーヤーキャラクターではなく、敵モンスターのシルエットをした赤黒の霊体だ。これが、Pyromancerの影響なのだという。

 この影響はかなりのもので、例えば聖堂の中にいる巨大なタワーシールドとメイスを持つ重装備の騎士も、本来は1体だけなのに、赤黒バージョンが一緒に出現して2体になっていた。1体でもまともに相手をしたら苦戦させられるのに2体となるとかなり厳しい。全て、会場内のどこかでPyromancerでプレイしているプレーヤーの影響だ。

 これを排除する方法もある。Pyromancerの悪影響を受けているプレーヤーの世界には、どこかに“そのPyromancerの世界に通じるサイン”が表示されているという。それをたどり、Pyromancerを撃退すれば、悪影響が消えるのだという。サインは悪影響を受けているプレーヤー全員に表示されているので、誰かがPyromancerを討てばいい。全員で一致団結して、排除するというわけだ。

 このあたりにも、「Black Knight」同様に“ダークサイドなプレイスタイル”が感じられ、そして今作の醍醐味という“相互ロールプレイ”という言葉の意味も、おぼろげながら掴めてくるようなところがある。オンラインプレイの新要素が、その広がりがどんな世界を作り出すのか。非常に楽しみだ。


【Pyromancerの悪影響で戦いがさらに厳しくなる】
どちらの画面にも赤黒の敵の姿が写っているが、これがPyromancerの悪影響により出現した敵だ。侵入してきたプレーヤーなら名前と体力ゲージが表示されるが、悪影響で出現した敵にはそれがない。姿もモンスターのものだ


試遊プレイの最後に待ち受けるのは、手強いガーゴイル。足場の悪い屋根の上での戦いだ

 筆者がオンラインプレイの新要素に感心しているうちに、来場者のプレイもかなり進んでいた。当初は10分で交代して次の人は新規にプレイを開始していたのだが、それではクリアは難しいということで、希望すれば前の人のプレイを引き継いでプレイできるようになった。クリアを目指して各ブロックの連帯感が高まってきた一方で、順番が一巡しプレイに慣れてきて侵入プレイをメインに楽しむ人も増えてきた。

 順番にプレイを重ねてはいるものの苦難は多い。聖堂で巨大なメイスになぎ倒され、騎士の動きに苦戦し、奴隷兵士に取り囲まれて八つ裂きにされる。不意打ち、奇襲、圧倒的な破壊。なんでもござれという状況の中で、ちらほらと、試遊できる内容の最奥地、聖堂の屋根までたどり着いている姿も見られるようになってきた。だがそこに飛来するのは、空を素早く飛びまわり、手にしたリーチの長い槍と、口から吐く火のブレスで責め立ててくる“ガーゴイル”だ。


【強敵ガーゴイルがプレーヤーの心を折る!】
禍々しい外観をしたガーゴイルは、リーチの長い槍を駆使して素早く攻撃してくる。また、反撃しようにも空を飛んで逃げてしまう強敵だ。さらに、“ある出来事”が果敢に戦っていたプレーヤーの心を折る……


 試遊が開始されてから1~2時間が過ぎたころだろうか。ついにガーゴイルを打ち倒したプレーヤーが現われた。ガーゴイルが立ちふさがっていた屋根の先には、教会の塔がそびえ立っている。そこを昇っていく。てっぺんには大きな輝く鐘があった。それを調べて鳴らすと、会場中にその鐘の音が響き渡った。クリア者が現われた合図になっていたのだ。会場中から、「おおっ」という声が沸き、それがクリアしたプレーヤーが現れたことを告げる音だと知るや、拍手が起こっていた。

 最初の鐘の音が響いてから少しすると、ポツポツとクリアのそこかしこから鐘の音が聞こえるようになっていた。それでもクリアに至るまでに、「Demon's Souls」ゆずりどころかパワーアップしたシビアなゲームデザイン、そしてダークな雰囲気、新要素が増えてよりカオスな状況を生み出すネットワーク要素と、醍醐味の一端を堪能できたのではないだろうか。こうして、「DARK SOULS」国内初披露となったスペシャルイベントは幕を閉じた。

(C)2011 NBGI 2011 FromSoftware, Inc.

(2011年 6月 12日)

[Reported by 山村智美]