E3 2011レポート

2K Games「XCOM」&「Darkness 2」プレビュー
エイリアンテクノロジーと闇の悪魔の力、個性的なFPS 2作品をレポート!


6月7日~9日 開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 E3 2011のエキスポ会場にて、多数のFPS作品をデモンストレーションしていたのが2K Gamesのブースだ。2K GamesはTake Two Interactiveが擁するレーベルで、昨年には日本法人としてテイクツー・インタラクティブ・ジャパンが設立。国内向けのローカライズも充実したものになってきている。  そんな2K Gamesブースでは、2K Sportsのスポーツ関連作品を除くと、4つのデモルームで紹介されていたゲームが「Duke Nukem Forever」、「XCOM」、「Darkness 2」、「Bioshock 3」と、全てFPSという潔さ。ちなみに「Duke Nukem Forever」は当地でも大人気で、一般向けのデモルーム前には常時、長蛇の列ができていた。

 ゲーマー向けにはひたすらFPS押しで攻めるといわんばかりの今季の2K Gamesブースより、本稿では世界観とゲーム性がとても個性的な2作品「XCOM」と「Darkness 2」をご紹介しよう。



■ 古きよきアメリカを襲うエイリアン騒動。未知の技術を駆使していざ退治!

異星人による“テラフォーミング”を受ける住宅地。地球は陥落寸前?!
これがXCOMの基地。各方面のスペシャリストが集う、エイリアン特別対策チームだ
エイリアンの侵食を受ける北米各地のミッションに出撃
こちらもエイリアンテクノロジーを駆使して対抗だ

 「XCOM」は、1994年に発売された傑作ターン制ストラテジー「X-COM: UFO Defence」の系譜を継ぐ作品だ。オリジナルの「X-COM」では、プレーヤーは対エイリアンのエージェントを組織し、技術を開発し、エイリアンの動きを監視つつ迎撃するという、まさにストラテジーな戦いを楽しむことができた。本場の北米では超有名タイトルで、日本国内でもカルトな人気がある。

 その「X-COM」が今回、FPSとして生まれ変わったのだ。驚きのコンバートぶりはオリジナル「X-COM」のファンが多い北米では厳しい目で見られているが、果たしてどんなゲームが出てくるやらと高い関心が集まっていることも確かだ。ワールドワイドでは2012年3月6日にリリースが予定されていおり、対応プラットフォームはPS3/Xbox360/PC。国内版のリリーススケジュールは今のところ不明だ。

 ゲームの舞台は1962年の古きよきアメリカ。謎のエイリアンの襲撃により行方不明となる人々が後を立たない中、米国は対エイリアン部隊“XCOM”を結成。XCOMエージェントは一騎当千の切れ者ばかり。ありとあらゆる手段で市民を守るのだ。

 というわけで本作「XCOM」は、戦闘と探索のシーケンスこそFPSのスタイルを取っているが、ゲームの流れとしてはオリジナルの「X-COM」を踏襲した、ストラテジー色の濃いものになっているのが特徴だ。会場で披露されたデモでは、プレーヤーが新エージェントとしてXCOM基地に着任するシーンからスタート。基地内には諜報を担当する者、作戦を検討する者、エイリアンテクノロジーの武器を実験・開発する科学者など様々なNPCがアクセク働いていて、とてもにぎやかだ。

 プレーヤーは自分以外に2人のエージェントを選択し、相棒として行動を共にすることができる。エージェントは戦いを経ることで能力が向上したり、エイリアンテクノロジーを捕獲して新しい武器を手に入れるなど、成長要素にも力が入れられているのが面白い。

 そしてブリーフィング。基地の情報スクリーンに全米各地に飛来しているエイリアンのスポットが表示される。プレーヤーはその中から任意の1つを選んで出撃。各ミッション中で新たなエージェントが見つかることもあるそうだ。今回のデモでは、行方不明になったエイリアンテクノロジー研究者を探すミッションを開始。エージェントたちがヘリで住宅地に降下していく。

 戦闘はFPSスタイルだ。味方エージェントに対する指示や、各種スキルの使用は、「Mass Effect」シリーズライクなコマンドリング式インターフェイスで行なう。味方を敵正面の障害物に配置しておいて、それを囮に使ってプレーヤーは側面から回り込み、敵を2方向から攻撃して撃破するなど、非常に戦術性の高い戦闘内容を確認できた。

 何しろ敵はエイリアン、銃弾をはじくフォースフィールドを展開したり、空から攻撃してきたりと何でもありだ。これに対抗するべくエージェント側にも各種のスキルがある。シールドを展開して攻撃をはじいたり、敵の行動を中断させる電撃のような攻撃など、こちらもエイリアンテクノロジーを活用。さらに、エイリアンが用いる武器や装置は捕獲が可能だ。デモでは大型の固定砲台を破壊・回収して、ボス戦で活用していた。これはその場で使用できるほか、研究所に持ち帰って後のミッションで役立たせることもできるらしい。

 ゲームの流れとしては、各地でエイリアンを撃退し、エイリアンテクノロジーを獲得してパワーアップを重ねつつ、全国の市民を救うことが目的となる。作風としては、古いアメリカのごく典型的な住宅街が戦いのフィールドになることや、エイリアンのデザインがレトロな感じであることなど、全体的に何か温かみが感じられることが特徴といえるだろう。ゲーム全体から漂うレトロ感と、あふれ出る“ダサ格好よさ”がたまらない。個性的で楽しい作品になりそうだ。


【「XCOM」トレーラームービー】

【XCOM】




■ 残虐表現に磨きをかけて、闇の力で敵を葬るFPS「The Darkness 2」

両手に銃、さらに左右1対の悪魔の腕。これが主人公に宿る闇の力だ
敵は数千年もの間存在するという組織「ブラザーフッド」。照明を持ってこちらを無力化してくる者もいる
バイオレンス表現はかなり激しい。人体を生きたまま引きちぎるような表現が基本アクションだったりする

 2K Games傘下のDigital Extremesが開発を手がけるFPS「The Darkness 2」は、2007年に欧米で、2008年に日本でスパイクより発売されたFPS「Darkness」の続編だ。同名のアメリカンコミックをベースとし、「闇の力(The Darkness Power)」を持つ主人公の戦いをダークな色調で描く、バイオレンスホラー・アクションとなっている。

 本作の特徴は何と言っても、主人公Jackie Estacadoが駆使する闇の力による多彩な攻撃方法だ。ジャッキーには闇の力により、左右1対の「Dark tentacles」=悪魔の腕が宿っており、自らの両手で銃を撃ちまくりながら同時に、悪魔の腕で敵を捕まえ引き裂いたり、マップ中のオブジェクトを掴んで投げる、あるいはシールド代わりにするという様々なアクションの組み合わせが実現されている。人間の両腕と悪魔の両腕を同時に駆使する操作系は、コントローラーの左右トリガーおよびボタンを組み合わせて直感的に扱えるようになっている。

 本作で描かれるのは、前作のラストから2年が経過した世界だ。前作で最愛の女性を殺されたJackieはその復讐を果たし、闇の力を封印してきた。が、その身に宿る闇の力を奪わんとする組織「ブラザーフッド」との抗争が勃発。封印されていた闇の力は前作にも増してパワーアップを果たし、人間と悪魔の4本の腕を駆使したバイオレンスアクションが火蓋を切るという格好である。

 普通の人間で構成されている敵組織「ブラザーフッド」は、闇の力の前には人形同然の無力さだ。悪魔の腕で捕まえて突き刺し、引き裂き、放り投げて2つに分断する。復讐に燃える主人公は前作よりもさらにパワーアップしており、無数の組み合わせが用意された残虐アクションで次々に敵を肉片へと変えていく。その表現は非常にグロテスクであり、さすがの北米市場でも成人向けというレーティングだ。

 しかし同時に、主人公の闇の力には大きな弱点もある。光を浴びると闇の力が無効化されてしまうのだ。闇の力を行使できないJackieはただの人であり、体力回復すらできなくなってしまう。敵はこの弱点を知っており、明るい場所に主人公を誘導したり、照明弾を撃ってきては、集団で無力化を図ってくるのだ。

 これにどう対抗するかが本作のゲームプレイのキモだ。蛍光灯などの照明装置は銃撃で破壊し、路上の電灯などは悪魔の腕で引きちぎり、敵に突き刺してしまう。時には戦闘とは関係なく、先に進むために照明を無力化しなければならないシーンも。蛍光灯を破壊しつつ少しづつ進んだり、どうにかして電源を無力化したりと、ちょっとしたパズル風味のアドベンチャーが展開したりもする。

 成長要素もフィーチャー。主人公は敵を殺すことで「エッセンス」を吸収し、これを使用して各種能力「タレント」をアップグレード可能だ。タレントには4系統の「サークル」があって、ツリー型に発展させていくことができる。今回見ることのできたデモンストレーションでは、銃の攻撃力を倍増させるスキルと、壁を透視して敵の位置を見ることのできる能力を使用して、屋内に立てこもる敵集団を銃撃で一網打尽にしていた。

 マフィア的な組織による抗争を描く作品だけあって、登場する銃器もUZIやカラシニコフなど、いかにも裏ルートで流通していそうなものばかり。血みどろでダークな世界観は、プレーヤー自ら演ずる残虐なアクションに拍車をかけ、作品全体を通じて重々しい雰囲気となるようだ。

 人体を生きたまま切断するなどのアクションがゲームの主軸となっているだけに、この手の表現に厳しい日本での取り扱いがどうなるかが気になるところだが、今のところは不明だ。北米では10月4日に、ワールドワイドで10月7日に発売が予定されている。対象プラットフォームはPS3/Xbox 360/PC。


【「The Darkness 2」 トレーラームービー】
※グロテスクな表現が含まれています

【The Darkness 2】

(2011年 6月 11日)

[Reported by 佐藤カフジ]