G-Star 2010レポート

【G-Star 2010】XLGAMES、次世代MMORPG「ArcheAge」プレビュー
目指すのはフル3Dの「UO」!? 何でも作って壊せる生活型MMORPG



11月18日~21日開催

会場:釜山国際展示場(BEXCO)

入場料:大人4,000ウォン(前売り2,000ウォン)
学生2,000ウォン(前売り1,000ウォン)


 今年のG-StarではNexon、NHN、ncsoftといった大手メーカーが互いに競い合うように大型の新作タイトルを出展していたが、そうした大手メーカーに混じって大きな存在感を示していたのがXLGAMESだ。創業者のJake Song氏は、Nexonの創業者のひとりであり、ncsoftの元副社長であり、そして韓国オンラインゲームの黎明期を支えた「風の王国」(Nexon)や「Lineage」(ncsoft)のクリエイターでもあるという華麗なキャリアを持つ人物。韓国大手メーカーがこぞって警戒すると同時に、オンラインゲームファンの高い注目を集めているメーカーだ。

 今回の出展タイトルは現在開発中のMMORPG「ArcheAge」のみ。試遊台を60台ほど配置し、来場者に自由にプレイさせていた。弊誌でもプレイすることができたのでさっそくインプレッションをお届けしたい。まずはG-Starに合わせて公開された最新トレーラーをごらん頂きたい。

【「ArcheAge」G-Starトレーラー】

【ArcheAge】
海に現在韓国では小規模のクローズドβテストを第2次まで実施している。第3次以降のスケジュールについては未定



■ 目指すは「UO」!? モノ作りが存分に楽しめるMMORPG

「ArcheAge」一色のXLGAMESブース
ブースにはNVIDIA GeForce GTX 580を搭載した「ArcheAge」推奨ビデオカードが参考出展されていた。発売時期未定にも関わらずタイアップが成立するあたりに、韓国市場での注目度の高さが伺える
村はずれに家を建てる。仲間と共同で建設することもできるようだ
グラフィックスは掛け値無しに美しい。視点を俯瞰まで上げるとストラテジーゲームのように見える

 「ArcheAge」は広大な海を隔てて2つの勢力が相争う世界を舞台にした海洋冒険MMORPG。世界には3つの大きな大陸があり、プレーヤーは自らの船を建造して、遠洋航海に乗りだしていく。やがて家を持ち、畑を育て、土地に根付きながら、攻城戦や海洋冒険、ハウジングなどさまざまな楽しみを見いだしていく生活重視のMMORPGだ。

 今回試遊台では、初期の島を舞台に、各種クエストを受けて、家を建てたり、船を作ったり、海戦を行なったりなど、「ArcheAge」の特徴的な仕様を体験することができた。

 モニタの前に座ってみて最初に実感するのはグラフィックスの美しさだ。「ArcheAge」はCryteckのDirectX 10世代のゲームエンジン「CryEngine 2」を採用しており、MMORPGとしては最高クラスのフォトリアルな3Dグラフィックスを実現している。「ArcheAge」も他の3DMMORPGと同じように、キャラクターを中心にズームインアウトができ、「ArcheAge」の場合はキャラクターが見えなくなる1人称視点から、あたかもRTSのようなバードビューまで対応しているが、どの視点から見ても破綻がなく、綺麗にに最適化されていることに驚いた。

 グラフィックスのテイストは、ヨーロッパ製のゲームエンジンを採用したためか、キャラクターや装備のデザイン、建物の造形、街の構造なども含めて若干欧米風味。特にキャラクター周りは、美男美女ばかりの韓国産MMORPGにおいて、男女ともワイルドな味付けになっており、明確な差別化が図られている。グラフィックスのテイストひとつを取ってみても「今までの韓国産MMORPGとは違うな」という印象だ。

 今回の試遊で印象的だったのは、キャラクターがゲーム世界に対して作用できるインタラクション要素の豊富さだ。一例を挙げると、素材と証書を準備することで、街の郊外にある空き地に家を建てられたり、同じく素材と設計図を用意することで、街のドックで船を建造できる。

 家や船の建造そのものは、“ハンマーで数回叩く”と、数段階で徐々に組み上がっていくいうゲーム的な表現で処理されるが、ゲームワールド上に自らの建造物を残せる、言い換えればゲームワールドの構造に手を加えられるというのは、素晴らしい感触だ。過去にそれが可能だった代表的なタイトルに「Ultima Online(UO)」があるが、サーバーのトラフィックや運用上の理由からその後のオンラインゲームタイトルでは部分的にしか実現されていない。

 船はハンマーを叩き続けて完成させると進水式が行なわれ、その後、船が光に包まれてドックから姿を消し、バックパック内に収まる。船を使いたい場合は、バックパックで船を選択して、空いている海面をクリックすればドカンと船が配置される。これは偶然なのか意図的なのかは不明だが「UO」とほぼ同じ処理となっている。岸から離して設置した場合は泳いで船に乗り込むという荒っぽさがおもしろい。

 今回の試遊では、その後、他のユーザーが操作する敵勢力の船との海戦となった。ひとりで舵を握り、単身で敵と挑むことになってしまったが、実際は多くのユーザーを船に乗せることができる。船に乗り込んだユーザーは、操舵手か砲手の役割を担い、大航海時代のような海戦が楽しめる。ひとりで船を繰り出してしまうと、操船中は火砲を使えず、火砲を操作しているときは操船ができないという間抜けな状況になる。仲間内で船に乗り込んで海戦に挑んだら非常に楽しそうだ。

 ちなみに、火砲を多数浴びると、船は破壊されてしまう。キャラクター達は身ひとつで海に投げ出され、港に向けて泳いで帰還することになる。船を撃沈されると、船は無くなってしまうのか、それとも修理が可能なのかは不明だったが、ともあれ広がりを感じさせるシステムだ。

 ちなみに、家の建設や船の建造、海戦などはクエストという形で提供されていた。そのほかに受けられたクエストとしては、バックパックから馬を取り出して乗りこなすクエスト、川辺で水を汲んで家屋の火事を消火するクエスト、海岸沿いの敵NPCを撃破するクエストなどを受けることができた。

 今回の試遊は、ゲームのポテンシャルを見せつけるために、サンドボックスモードをマルチプレイで楽しむという感じで、ゲームとしてどのようにまとめるか、コンテンツの消費単位をどうするかはまだ未知数だ。

 ただ、ごく個人的な感想を言えば、「ArcheAge」は「UO」が半ば実現した仮想世界の生活そのものを楽しむフリースタイルのMMORPGをフル3Dで実現しようという非常にチャレンジングなオンラインゲームだと感じた。なお、今回はXLGAMES CEO Jake Song氏へのインタビューを実施したので、「ArcheAge」の世界観やシステムについては後ほどたっぷりお届けするのでお楽しみに。


【造船シーン】
造船シーンを6点連続写真で紹介。今回の試遊ではわかりやすくするため、簡単に造船が完了したが、実際にはいくつかの手順を踏んで、それなりの期間を消費して建造を進めていく形になるようだ

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(2010年 11月 21日)

[Reported by 中村聖司]