G-Star 2010レポート

【G-Star 2010】釜山にて韓国最大のゲームショウG-Star 2010が開幕
大作MMOからコンシューマー、アーケードまで。活況を呈する韓国ゲーム市場


11月18日~21日開催

会場:釜山国際展示場(BEXCO)

入場料:大人4,000ウォン(前売り2,000ウォン)
学生2,000ウォン(前売り1,000ウォン)


 韓国文化体育観光部と釜山市は11月26日、韓国最大のゲームショウ「G-Star 2010」(Game Show & Trade、All-Round)を韓国釜山市のコンベンションセンターBEXCOにおいて開催した。会期は11月21日まで。

 初日の18日は、受能日(大学受験日)に当たり、高校3年生以外は休日だったことから平日にもかかわらず多くの学生たちが訪れた。本稿では取り急ぎ初日の模様をお伝えしたい。各タイトルの詳細については追ってお届けしていく。

【BEXCO】
会場となったBEXCO。今回はNHNがショウのスポンサーになっており、向かいのホテルを「TERA」でラッピングしたり、屋外にブースを設けるなど非常に力を入れている

【オープニングセレモニー】
G-Star恒例のオープニングセレモニーは、太鼓の囃子から始まるなど今年も派手。政府高官のブース巡りではMicrosoft KoreaブースでKinectを試遊する一幕も



■ 韓国政府と釜山市の全面バックアップで拡大路線を続けるG-Star

ほとんどの学生は休日だったため、初日から大混雑の会場の様子。特に今回1番人気の「Blade & Soul」を出展しているncsoft周辺は常時大混雑だ
こちらはBtoBコーナーの入り口。ここから100メートルほどの奥行きで、小さなブースが軒を連ねる

 G-Starは韓国文化体育観光部が主催となって毎年11月に開かれている韓国最大のゲームショウ。昨年2009年からは釜山市が新たな主催単位として加わり、会場も釜山に移して開催されている。

 釜山での開催は昨年に続いてこれで2度目だが、驚かされているのは韓国政府や釜山市のバックアップ体制の充実ぶりだ。市内では大量の街頭ポスターやラッピングバスを走らせるだけでなく、空港から会場を結ぶ無料のシャトルバスを運行。メイン会場は一般来場者向けのBtoCコーナーと、ビジネスミーティングを目的としたBtoBコーナーにわけられているが、それぞれ昨年よりも出展規模を拡大していた。

 併催イベントは、2010 Korea Game Awards、The 2nd Korea-China Game Culture Festival、International Content Creator's Conference(ICON)などがあり、すべて含めると東京ゲームショウと肩を並べる規模のゲームショウに成長しつつある。世界不況のなかで、韓国だけは不況知らずといった印象がある。

 特筆すべきは、G-Starが毎年強化してきたBtoBコーナーだろう。今年は例年の倍以上のスペースで、22カ国193社のブースを確保。アジア圏のメーカーのみならず、欧米、中東からの参加も目立つなど、さながら世界のゲーム市場のハブといった印象だった。出展メーカーのなかにはZyngaやPlayfish(Electronic Arts)、Rockyouといったソーシャルゲーム大手がブースを設けていたのが印象的で、韓国にも確実にソーシャルゲームの波が押し寄せつつある。

 一方、BtoCコーナーは、ncsoft、Nexon、NHNの大手に加えて、Neowiz、WeMade、Mgame、Hanbitといった日本法人のある名の知られた韓国メーカーが勢揃い。それぞれ会社の売り上げ規模に合わせたブースを設置し、各種ライブイベントや試遊コーナー、コンパニオンなどを配置して来場者を呼び込んでいた。

 また、元ncsoft副社長Jake Song氏が設立したゲームメーカーXLGAMESや「RED STONE」を手がけたL&K Logic Korea、CJ Internetの子会社として再出発を果たしたSEED9など、デベロッパー単独でのブース出展が目立っていたのも特徴のひとつ。韓国もまたデベロッパーが力を付けつつある。

 海外勢では、5年ぶりの出展を果たしたSCEK(Sony Computer Entertainment Korea)と、同じく久々の出展となるMicrosoft Korea、そして欧米勢では唯一といっていいほど韓国市場に力を入れているBlizzard Entertainmentなどが出展。それぞれPlayStation MoveやKinect、「Diablo III」といったとびきりのコンテンツをひっさげて出展を果たし、来場者の高い注目を集めていた


【韓国メーカー】
左上から順にNexon、ncsoft、NHN、WeMade、SEED9、XLGAMES。韓国ブースは年々派手に、そして高くなる。各ブースの詳細は後ほどお伝えする

【BtoBコーナー】
BtoBコーナーは細長い構造になっており、延々とメーカーブースが続く。ブースはないもののアポイントを取って参加するビジネスマンも多く、例年になく賑わっていた



■ 今年のトレンドは“リアルタイムアクション”。コンシューマーはPlayStation MoveとKinectが人気

今年の大本命となる次世代MMORPG「Blade & Soul」(ncsoft)。2008年に発表されて、今年ついにプレイアブル出展を実現。サービススケジュールは未定
対抗馬と目されるのが「TERA」。MMORPGでありながら、ターゲットの概念をなくし、アクションゲームのようなゲーム性を実現している
今年のG-Starのダークホース的な存在である船を駆使して様々な大陸を旅する海洋冒険系MMORPG「ARCHEAGE」(XLGAMES)

 今年の注目作は、「Blade & Soul」(ncsoft)、「TERA」(NHN)、「Kingdom Under Fire 2」(NHN)、「Diablo III」(Blizzard Entertainment)、「ARCHEAGE」(XLGAMES)など、PC向けオンラインゲームが中心。トレンドの傾向としては“リアルタイムアクション”ということになるだろうか。

 2009年と同じキーワードになってしまうが、昨年は様々な事情で実現せず、サービス開始は先送りされた。今年は各社ともプレイアブル出展を果たし、それが可能になりつつあることをアピール。いよいよMMORPGの世界でリアルタイムアクションが可能となる。日本ではおそらく「TERA」が最初に展開することになりそうだが、その日が非常に楽しみだ。

 次に日本では爆発的にその数が増えつつあるブラウザゲームやソーシャルゲームについては、驚くほど少なかった。ブース出展を行なっていためぼしいタイトルはNexonの「三国志を抱く」と「2012:Seoul」ぐらいで、全体的な傾向としては日本ほど関心は高くないといった印象を受けた。

 一方、水面下で盛り上がりつつあるのが、iPhone/iPod touch/iPad向けのゲームアプリケーション。韓国では、日本以上の勢いでiPhoneが大ヒットしているが、iPhoneの発売に伴い、ニンテンドーDSやPSPの売り上げが落ち込んだという。韓国では依然として国の方針によりApp Storeに「ゲーム」カテゴリがないが、「エンターテインメント」カテゴリとして、あるいは韓国市場を完全にスルーしてグローバル向けに新作ゲームアプリがリリースされている。会場で見ることができたのはWeMadeの「Petz」と「Master of Deffence」などわずかだったが、ほかにも開発着手の話をいくつか耳にすることができた。今後韓国でiPadが発売されれば、さらに盛り上がりそうだ。

 オンラインゲーム以外の分野では、SCEKは9月15日に発売したPlayStation Moveに、Microsoft Koreaは本日11月18日より発売を開始したKinectを出展するなど、体感型のゲームが存在感を示していた。韓国の体感型ゲーム好きは筋金入りで、アーケードゲーム各社で共同出展しているアーケードコーナーは体感型のマシンばかりで、その隣に配置されていたKONAMIと提携関係にあるUNIANAブースでも、「jubeat knit」や「Drum Mania V7」などの人気が高かった。

 パッケージタイトルでは、まずSCEKは、恒例の世界最速となる11月24日発売を発表した「グランツーリスモ5」や「KILLZONE 3」、ハングル版「Winning Eleven 2010」、「MARVEL VS. CAPCOM 3」などを出展。3D立体視対応タイトルはほぼすべて3D立体視の形で出展するなど、プラットフォームの強みのアピールに余念がなかった。

 対するMicrosoft KoreaはブースのほとんどをKinectに費やしていたためパッケージタイトルの出展はわずかだったが、日本でも発売されたばかりの「Call of Duty Black Ops」や、Xbox 360を代表する人気フランチャイズ最新作である「Gears of War 3」をアジア初出展。2011年秋に発売が延期された本作だが、非常に注目は高かった。

 今年は、韓国のゲームファンが遊びたいと思うプラットフォームやタイトルが軒並み出展され、来場者にとって満足度の高いゲームショウとなったのではないだろうか。明日以降、各社の最新タイトルの情報をお伝えしていくのでぜひお楽しみに。

【SCEKブース】
SCEKはSCEグループ定番の2階建てブースでPlayStation Moveを出展。韓国ではPlayStation Moveと「スポーツチャンピオン」のバンドルパックが1番人気だという。「グランツーリスモ5」はハングル版の最新バージョンを出展。限定パックは即完売の人気ぶりだったという

【Microsoft Koreaブース】
Microsoft Koreaは、11月18日に発売したKinectを大々的に出展。メインに据えていたのは「DANCE CENTRAL」(Harmonix)。パッケージタイトルではアジア初出展の「Gears of War 3」に高い関心が集まっていた

【Blizzard Entertainmentブース】
E3には出展せず、G-Starに全力を注ぐBlizzard。それだけ韓国市場を重視している現われだろう。「Diablo III」のために用意された試遊台は実に80台以上。「World of Warcraft」、「Starcraft II」に続いて「Diablo III」でも大ヒットを狙っていくようだ

【バラエティに富んだゲーム達】
G-Star会場には、PCオンラインゲームやコンシューマーゲーム以外にも、アーケードゲーム、ボードゲーム、iPhone/iPadゲームなど、様々なカテゴリのゲームが出展されている

(2010年 11月 19日)

[Reported by 中村聖司]