Electronic Entertainment Expo 2010現地レポート

ATARI、「Test Drive Unlimited 2」プレビュー
今回はなんとイビサ島とオアフ島の2島収録! 昼夜、天候、ソーシャル要素を加えさらに究極度が高まったカーライフシミュレータ


6月15~17日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



Westホールの外にあった「Test Drive Unlimited 2」特設コーナー。今回出展を見合わせたATARIだが、「Test Drive Unlimited 2」だけは例外だったようだ

 2006年から2007年に掛けてXbox 360およびWindows PC向けにリリースされ、1,600平方kmにも及ぶハワイ州オアフ島を全島収録するという超弩級のゲームデザインが世界中に衝撃を与えた「Test Drive Unlimited」の続編がついに登場する。

 開発元は前作と同じフランスのEden Gamesで、発売元はATARI。北米でXbox 360、PS3、Windows PC向けに2010年9月21日発売予定。すでに日本を含む海外からのバイヤーが引きもきらぬ状況ということで、日本での発売は時間の問題だ。

 ATARIは、E3の顔役として長年メイン会場の大型ポスターに登場するなど、大きな存在感を示してきたメーカーだが、今年はここ数年の業績不振の影響を受けてブース出展を見合わせていた。ところがWestホールの外ではATARIがマクラーレンの実車を展示し、その存在感をアピールしているではないか。そこにいた担当者に話を聞くと、ミーティングスペースでこっそり見せているというので、さっそく突撃取材してきた。


【「Test Drive Unlimited 2」最新トレーラー】
何はともあれこの最新トレーラーを見て欲しい。昼夜、天候の採用に加え、リアリティを増したカーやレースシーン、マイホームのカスタマイズや、アバター要素の拡充、オフロードカーとオフロードエリアの実装などなど「Test Drive Unlimited 2」のアップデート要素をひととおり見ることができる

【ATARIブース】
Westホールの奥に位置するミーティングスペースの一角にATARIブースはあった。「Test Drive Unlimited 2」ディレクターのVince Farquharson氏(中央)と、同じくディレクターのAlain Jarniou氏(右)



■ 「Test Drive Unlimited 2」を特徴付ける4つのウリ

「Test Drive Unlimited 2」はイビサ島でスーパーカー同士のレースが堪能できる
イビサ島で車ひとつでビッグになる。この夢の具現化が豪邸の購入にあたる。今回はマイホームのカスタマイズが細かくできる

 「Test Drive Unlimited 2」ディレクターのVince Farquharson氏は、同作の特徴として4つの要素を挙げてくれた。ひとつはシングルプレイ、マルチプレイを意識しないシームレスなゲームデザイン。前作をプレイした人ならご存じの通り、「Test Drive Unlimited」はシングルプレイとマルチプレイの垣根が存在しない。同社ではこのシステムをMOOR(Massively Open Online Racing)と呼んでおり、オンライン接続をオンにした状態でプレイすれば、同じエリアを走行しているオンライン上のユーザーを自動的にマッチングしてくれる。そのまま対向車としてすれ違ってもいいし、クラクションを鳴らしたり、ボイスチャットでアピールして、ドライブに誘ったり、1対1のオンラインレースを楽しんでも良い。この前作最大の魅力は、当然2でも引き継がれる。

 2つ目の特徴はオープンワールド。前作でもオアフ島の1島丸ごと再現し、オアフ島全域でレースや各種ミッションを楽しむことができたが、今回はスペイン東部沖の点在するバレアレス諸島のリゾート地イビサ島が舞台となる。日本ではあまり知られていないが、欧米、特にヨーロッパでは著名な観光地のひとつ。島の規模や、風光明媚でドライブが楽しいという点で共通しているため同地が選ばれたようだ。前作から島のジオメトリデータも細かくなり、よりリアルに島の形状を再現しているという。

 なお、ビッグサプライズとして、「Test Drive Unlimited 2」では、前作のオアフ島も盛り込む。もちろん、ジオメトリデータも新しくなり、美しいグラフィックスで再びオアフ島ドライブを堪能することができる。飛行機でイビサ島から行くことができるという設定になっており、イビサ島とオアフ島の二重リゾートライフが楽しめるようだ。

 3点目はカーライフシミュレータの要素。前作では、カーディーラーで車を購入し、車を収納するためのガレージとして家を購入することができたほか、家では車のギャラリーを確認したり、クローゼットで衣装を着替えたりすることができた。今回はこの部分を全面的に強化し、トレーラーでも確認できるように、家の内装や家具をカスタマイズしたり、家に仲間を招待することができる。

 4点目はソーシャル機能の向上。3つ目の特徴とも繋がってくるが今回アバター要素が大幅に強化されており、前作は“コックピットに搭乗するキャラクター”以上の意味はなかったが、今回は実際に車の外に出て、歩き回ることが可能になっている。具体的には家の中やクラブハウス、カーディーラーを自由に歩いたり、マルチプレイのマッチングが、シンプルなマッチング画面からビジュアルロビーに進化していて、道路上に参加する車がずらりと並んだ状態で、プレーヤーは車の外に出て、他の車を観察したり、他のドライバーとボイスチャットやエモーション機能を使ってコミュニケーションを取ることができる。

 こうした特徴をすべて搭載した上で、イビサ島とオアフ島の全域を舞台にした無数のレースやミッションを楽しむことができる。ジオメトリデータの精密化に加えて、トレーラーでも確認できるように、リアルタイムの天候変化や、太陽の位置の変化がわかるほどに精密な昼夜の変化も再現されているため、レーシングは前作から確実に変わる。当然、夜限定、雨限定といった縛りもありそうで楽しみだ。




■ 道路のジオメトリデータの細密化と、天候・昼夜の変化に感動

オフロードコースも完備。昼夜に天候にオフロード。コース条件の多様化も「Test Drive Unlimited 2」のウリのひとつ
自分のガレージでマイカーをカスタマイズ。アバターを操作することで手間は増えるが、仲間を呼んでチューニング談義をするのもいいだろうし、何よりリアリティが出て良い

 Farquharson氏の説明の後、わずかではあったが実際にプレイすることができた。カーディーラーから始まり、アバターを操作して、車を様々な方向から眺めたり、運転席に乗ってみたり、助手席に乗ってみたりできる。複数のユーザーがいれば、運転席と助手席に乗ることもできた。もちろん、気に入った車があればその場で購入することもできる。ホイールデザインとボディカラー、車内カラーを設定すればすぐに走り出せる。

 次にディーラーから出てGクラスの車でゆったり走ってみた。アクセル、ブレーキ、全体マップの呼び出し、ラジオの呼び出し/変更、クラクション等々、基本操作はまったく変わっていない。夜が追加されたためライトのオンオフが加わったぐらいだろうか。

 個人的に気になっていたのが、ジオメトリデータの高精度化である。前作はオアフ島を丸ごと再現するという無茶なゲームデザインを採用した代償としてジオメトリデータが荒く、起伏のある坂道ではガクガク走行になり、なぜか平面を走っているはずなのに、路面をすってしまったりしていた。カーブは90度の角度が多く、ディテールの再現性はいまひとつだった。

 今回はどうかというと、確かにジオメトリデータが細かくなっており、起伏のある坂道でもまったく破綻せずに走ることができた。また、コースアウトして木々にぶつかると、激しいブラーが掛かる。激突のショックのようなものを表現しているようで、かなり大きなペナルティだと感じられた。

 全体マップから、レースモードやミッション、ショップ島を見ようとしたところ、「そこはまだダメだ」と止められてしまった。かろうじて判読できたものとしてはカジノがある。どうやら稼いだ金でカジノを遊べるようだ。

 Farquharson氏に頼んで、昼夜と天候を変えて貰った。確認できたのは朝、昼、夕方、夜、深夜、天候は晴れ、曇り、雨、雷雨。印象的なのは夜、そして雷雨だろう。夜は街灯が灯り、街並みが美しくライトアップされるが、街灯のないエリアはヘッドライトを灯さないと判別が付かないぐらい暗くなる。雷雨は、文字通り稲光が差し込み、辺り一面が光に包まれる。アスファルトは水でぎらつき、昼夜と天候の2つだけでも大きくゲームが変化したなという印象を持った。肝心のレースが体験できなかったのが残念だが、カーライフシミュレータの分野では敵無しの存在だけに、日本での発売にも大いに期待したいところだ。


【登場車種の一部】
パガーニ、マクラーレン、バイパー、アウディなどなど、今回も欧米の名車が数多く揃いそう。収録車種については未確定ということで教えて貰えなかったが、ぜひ日本車の拡充も期待したいところだ

(2010年 6月 18日)

[Reported by 中村聖司 ]