ユービーアイソフトブースレポート その1
「アサシンクリードII」や「スプリンターセル コンヴィクション」など粒ぞろいのラインナップを披露

9月24日~27日 開催(24日、25日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 フランス最大手のゲームメーカーUbisoft Entertainmentの日本法人ユービーアイソフトは、94年の日本法人設立以来、初の東京ゲームショウ出展を果たした。Ubisoftといえば、Electronic ArtsやActivisionと並んで、優れた開発力と販売網を誇る世界を代表するメガパブリッシャーの1社だが、近年、もっとも日本展開に本格的に力を注ぎつつメーカーといっても過言ではない。

 出展ラインナップは「アサシン クリードII」、「スプリンターセル コンヴィクション」、「アバター THE GAME」、「ラビッツ・ゴー・ホーム」、「レッドスティール2」の5タイトル。初公開の新規タイトルはなく、E3等で発表されたホリデーシーズン向けラインナップの中から日本展開するものだけを選りすぐって出展した形となる。

 ブースでは試遊台を中心に展開されていたが、メディア向けに別途、E3スタイルのプライベートブースが用意され、プロデューサーのデモを受けながら、質疑応答を行なうことができた。ユービーアイソフトブースレポートその1では、「アサシン クリードII」、「スプリンターセル コンヴィクション」の2タイトルを中心にユービーアイソフトの新作タイトルの魅力を紹介したい。


【ユービーアイソフトブース】
ユービーアイソフトブースは空間をゆったりと取り、巨大なポスターの裏側に試遊コーナーやデモコーナーを設けるというE3スタイルの出展だった。一番人気の「アサシンクリードII」は、ビジネスデイで1時間の待ち行列が出ていたため、一般公開日ではより長い行列ができそうだ

【プライベートブース】
別室では、各タイトルのプロデューサーからデモを受けながらインタビューをすることができた。会場は海外メディアでいっぱいだった



■ 年末一押しタイトル「アサシンクリードII」が期待通りの出来映えに

インタビューに応じて頂いた「アサシンクリードII」クリエイティブディレクター パトリス・デジーレ氏
ベネチアでナイトパーティーが開かれる中、水路を飛び越え暗殺任務を遂行しつつある主人公エツィオ・アウディトーレ
「アサシンクリードII」の魅力は夜のシーン。繁華街を通り抜けた後は、わずかな月明かりを頼りに闇夜を進んでいくことになる

 まず初めに紹介したいのは、今年のホリデーシーズン向けの目玉タイトルとなる「アサシンクリードII」。発売日はPS3版、Xbox 360版共に12月3日と発表され、それを裏付けるように今回初めて日本語版のビルドがプレイアブル出展されていた。

 「アサシンクリード」は、中世ヨーロッパのアサシンの活躍を描いたアクションアドベンチャーゲーム。「Splinter Cell」シリーズや「Prince of Persia」シリーズなど同社を代表するヒットメーカーUbisoft Montrealの新IPとして、欧米のみならず日本でもヒットを記録したタイトルだ。

 弊誌でもすでにE3レポートでインプレッションをお届けしているが、今回はマスターアップ直前の完成度の高いビルドでデモを受けることができた。

 E3では、アサシン(暗殺)ゲームの続編として、中世イタリアの雰囲気を存分に描いた美しいグラフィックス、主人公の圧倒的な身体能力、ドラマティックなシナリオ展開などの部分で強烈な印象を残してくれた。今回特に印象に残ったのは、ゲームの自由度の高さだ。前作では、ミッションを遂行する以外の部分に関しては極端に自由度が低かった。今作ではその部分を大幅に拡充し、やり込み要素を充実させている。

 具体的には、今回からお金の要素が加わり、市民から盗んだり、チェスト(宝箱)から得たりすることで集めたお金で、ショップで武器や防具を買ったり、街でたむろしている傭兵や盗賊、娼婦を雇うことができる。たとえば、傭兵なら即戦力として、敵対勢力と戦わせることができる。盗賊なら主人公に勝るとも劣らない身体能力を活かして攪乱作戦や屋上での作戦に従事させることができる。

 思わず笑ってしまったのが娼婦で、彼女たちを雇うことで「アサシンクリード」のウリのひとつである群衆を隠れ蓑とする「ソーシャルステルスシステム」を、いつでも利用できるだけでなく、門番等の目をそらすために冷やかしに行かせたりすることができる。また、主人公の行く手を遮る鬱陶しい市民に対しては、お金を蒔くことで、事を荒立てずに問題を回避することができる。プレーヤーが目的を達成するために取れる戦術が大幅に広がったことで、ついつい寄り道したくなるゲームへと進化を遂げている。

 ショップでの買い物については、武器や防具を買いそろえるだけでなく、仕立て屋で衣装の色を変えたりすることができる。ショップではその他にも、弾薬や道具、毒などが購入できるという。ショップを探し、店先で買いものをする姿はロールプレイングゲームのようだ。

 今回デモで見ることができたのは、いまはイタリアの観光名所として知られる“水の都”ベネチア。ほかにも主人公の出身地であるフィレンツェやフォルリ、トスカーナ地方、サン・ジミニャーノ、山岳地帯、湿地帯などなど、イタリア北部の広範囲が舞台となる。

 「アサシンクリードII」は、PS3とXbox 360向けに12月3日に発売される。CEROレーティングはZ(18歳以上)。発売日が非常に楽しみなタイトルだ。

【「アサシンクリードII」プロモーションムービー】

【アサシンクリードII】
15世紀のイタリアが舞台。名所旧跡の中には、内部に進入可能なこともあり「シークレットロケーション」と呼ばれる。左上の画面がそれだ。シークレットロケーションで発生するクエストを達成すると特別な報酬が得られるという




■ 3つの新要素でプレーヤーをゲーム世界に引き込むハイセンスアクション「スプリンターセル コンヴィクション」

「スプリンターセル コンヴィクション」プロデューサーのアレクサンドル・パリゾー氏
激しい尋問は「スプリンターセル コンヴィクション」のハイライトシーンのひとつになっている
映写機で映し出したような映像がビジュアルメッセージ。自白の内容をビジュアル化している

 「スプリンターセル コンヴィクション」は、トム・クランシー監修のハイテクガジェットを駆使したステルスアクションゲーム「スプリンターセル」シリーズの最新作。Xbox 360エクスクルーシブタイトルで、2010年2月発売予定だ。

 「スプリンターセル」シリーズは、米国家安全保障局の秘密組織「サードエシュロン」のエージェント サム・フィッシャーが、単身敵地に乗り込み、様々なハイテクガジェットを駆使してミッションを遂行していくというステルスアクションゲーム。ポスト「METAL GEAR SOLID」を狙って開発されたトム・クランシーフランチャイズのひとつだ。

 「スプリンターセル コンヴィクション」はこの従来の路線から大きく変貌を遂げ、「24」のジャック・バウワーを彷彿とさせるような、情報を得るためなら手段を選ばないという陰惨さを前面に押し出した作品となっている。基本的なストーリーラインは、「サードエシュロン」を辞めたサム・フィッシャーが単独で娘の死の原因を調査するうちに、娘の死に「サードエシュロン」が関わっている事実を知り、謎を解明すべく単身ワシントンDCへ向かうというもの。

 E3では、トイレでの激しい暴力を交えた尋問シーンが話題となった。尋問シーンは、一見カットシーンのようにも見えるが、実はプレーヤー自身が操作して、どの順番で敵を絞り上げるかを決めることができる。尋問を抜きにして情報を得ることはできず、そのかわり尋問に失敗はなく、対象者が死亡したりすることはない。一定の尋問プロセスを経れば、確実に情報を得られるようになっている。わざわざ過度なバイオレンス性をイベント的に盛り込むことで、従来の作品と一線を画す部分として、作品に一定のアクセントを加えている。この“刷り込み”が、最終的にどのような影響をもたらすのかはわからないが、何か意図があってやっていることは明白だ。

 「スプリンターセル コンヴィクション」の特筆すべきポイントはまだまだある。ひとつは「マーク&エクセキューション」。ガジェットを駆使して敵の位置や数を事前に把握しても、それらを映画のように次々にヘッドショットで倒すのは至難の業だ。それを実現してくれるのがこの新システムで、敵の位置や数を把握した段階で敵を“マーク”することができ、マークした状態で射撃を行なうとマークした敵をババンとまとめて撃破してくれる。

 エイミングが苦手な人にとっては夢のようなシステムだが、さすがにこればかりでゲームを進めると簡単になりすぎてしまうので、“ステルス状態で敵を素手で倒すと獲得できるポイントを消費して行なう”という一定のリミッターをかけている。ちなみに同時にマークできる数は、武器によって異なり、取り回しの楽な武器であるほど一度にマークできる数は増えるようだ。

 2つ目のポイントは、「ビジュアルメッセージ」。次の目標や、尋問の結果、対象者が自白した内容などを、背景に写し込むような演出で見せるというセンス抜群のシステム。今までPDAなどを介して確認していた情報を、画面を切り替えることなくシームレスに確認できるというもので、最初は壁に文字や映像が浮き上がって驚くが、慣れると非常に便利だ。

 3つ目は「ラストノウンポジション」。自分が逃避行動を取る際に、敵が最後に認識した場所に白いワイヤーフレーム状の影を残すことで、敵にあたかもその位置にいるかのように見せかけて敵の裏をかくことができるというシステム。敵に目視で確認されるまでは有効なので、時間稼ぎに最適だ。これらの新システムを駆使することで、効果的にも見た目にも非常に有効な形で潜入ミッションを行なえるという寸法だ。

 さて、「スプリンターセル コンヴィクション」の残る謎はマルチプレイモードだ。現時点では同作のマルチプレイモードについては一切明らかになっていない。「スプリンターセル」のマルチプレイモードは、他のFPSと比べて、独自の進化の過程を経ているが、今回も相当ユニークなものになりそうだ。CO-OPモードはあるのか、新モードはあるのかどうか、発表が非常に楽しみなところだ。


【「スプリンターセル コンヴィクション」プロモーションムービー】

【尋問シーン】
尋問シーンは、映画のような尋問のシーンを、プレーヤー自らが操作できるというのがポイント。対象が観念して自白を始めるところは同じだが、そこにたどり着くまでのプロセスは自由となっている。画面を見ればわかるようにかなり荒っぽいことができる

【スプリンターセル コンヴィクション】
とにかく画面構成にセンスが感じられる「スプリンターセル コンヴィクション」。群衆シミュレーションの部分はまだ発展途上ということだったが、こちらも完成が楽しみだ



【RUSE】
プライベートブースのみでデモを行なっていた新感覚リアルタイムストラテジー「RUSE」。発売プラットフォームはPS3、Xbox360、Windowsで、欧米では来年の第1四半期に発売予定だ。日本での発売は未定となっている。“計略、謀略”を意味するタイトルのとおり、机上演習的な雰囲気のクォータービューをベースに、スパイ、ダミー建物の建設、暗号の解読、ユニット隠し、テロといったコマンドを駆使しながら、いかに相手の裏をかくかがポイントとなる。PS3版、Xbox 360で最大6人、Windows版で最大8名までのマルチプレイに対応。技術的にはWindows 7でサポートされるマルチタッチ機能に対応し、対応モニタを使用すれば手で直接指示を下すことができるという


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(2009年 9月 25日)

[Reported by 中村聖司 ]