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新キーワードやバトグラデュオ追加でさらに進化! 「ハースストーン」開発者インタビュー【BlizzCon】

新拡張パック「黒の帝国の君臨」やこれからの未来についても聞いてきた

【BlizzCon 2026】
2026年9月12日、13日 開催(現地時間)
会場:米国アナハイムコンベンションセンター
エグゼクティブ・プロデューサーのNathan Lyons-Smith氏と、シニア・ゲームデザイン・マネージャーのBrenden Sewell氏

 Blizzard Entertainmentのファンイベント「BlizzCon」では、PC/モバイル向けデジタルカードゲーム「ハースストーン」の最新クラス「モンク」や、新拡張「黒の帝国の君臨」など多数のアップデート情報が公開された。

 9月23日に配信予定のパッチ36.6.1では、バトルグラウンドの最新ミニオン種族「異形」が登場する。また、10月20日には新拡張「黒の帝国の君臨」と新キーワード「合成」、「日誌」の大幅な刷新が行なわれる。

 さらに、秋以降には新しい「酒場の喧嘩」として2対2の対戦が実装予定。そして2027年3月には「モンク」が実装される。

 今回は発表された新要素について、エグゼクティブ・プロデューサーのNathan Lyons-Smith氏(ネイサン・ライオンズ=スミス)と、シニア・ゲームデザイン・マネージャーのBrenden Sewell氏(ブレンデン・シーウェル)から話を聞くことができたので、本稿で紹介していきたい。

「モンク」は敏捷性と反応性を併せ持つクラス

――新クラス「モンク」のチェン・ストームスタウトについて、日本では「World of Warcraft(以下、WoW)」がサービスされていないので、彼もあまり知られていないかと思いますが、紹介していただけますか?

Lyons-Smith氏: チェンは「WoW」の拡張パック「Mists of Pandaria」を象徴するキャラクターの1人です。モンククラスの起点となるキャラクターでもあります。彼は「ハースストーン」でもそう表現されているように、プレイヤーにモンクというクラスを紹介するための主要なキャラクターとなります。

モンクのチェン・ストームスタウト

 「WoW」でおなじみのモンクのプレイスタイル、つまり敏捷性や反応性を持っており、対戦相手の戦略に迅速に反応することができます。例えばコントロールデッキやアグロデッキと対戦している場合に、状況に応じてアプローチを変えることができるという意味で優れたクラスになっています。詳細はおいおいお伝えします。

――モンクのカードについて紹介できるものはありますか?

Sewell氏: 今は今年の「ハースストーン」の紹介に注力しているので、何もありません。モンクの情報は来年出します。

絶頂期の旧神を「ハースストーン」で体験

――新拡張パック「黒の帝国の君臨」には旧神やタイタンフォージが出てきますが、「WoW」の次回の拡張パック「The Last Titan」と関連性があるのでしょうか?

Lyons-Smith氏: 意図的にそう設計したわけではありません。旧神をテーマにした今回の新拡張は約1年半ほど前の段階で企画として決まりました。私たちは、初期デザインやブレインストーミングを含め、長いスケジュールで開発を行なっています。

 「旧神」を取り上げようと思った最大の理由は、これまでの「ハースストーン」の中で旧神の描かれ方が気に入っていたからです。デザインチームの中にも「旧神のささやき」を懐かしいと感じている人が多くいました。

 同時に、旧神が最も強大な力を持っていた全盛期は「WoW」の世界設定の中でも特に魅力的でありながら、これまで「ハースストーン」では本格的に扱われてこなかった時代でもあります。

新拡張パック「黒の帝国の君臨」

 今回旧神の力が絶頂だった時代を描けることに、大きな魅力を感じました。また「旧神のささやき」の魅力やあの拡張への思い入れを、現代の2026年版「ハースストーン」にふさわしい形で再び表現できると思いました。

 旧神を現在のゲームに登場させるのであれば、盤面に出た瞬間から大きく、強力で、わかりやすい影響を与える存在として描きたいと考えたのです。

絶頂期の旧神が登場する

――今回登場する4体の旧神が、過去に実装された旧神と似ているところ、違っているところがどこかを教えてください。

Lyons-Smith氏: 今回の旧神については「旧神のささやき」で旧神がどのように表現されていたのかを参考にしています。そのため、過去の旧神カードから直接着想を得たと感じられる部分もあります。

 例えばヨグ=サロンは今でも非常に強い影響を与える形でプレイヤーの代わりにある程度判断を行なうような性質を持っています。

黒幕ヨグ=サロン
夢の終焉ン=ゾス

 また、ン=ゾスは引き続き「断末魔」との相乗効果を象徴する存在です。一方で、それらの象徴を実際にどのような仕組みで表現するかという方法は変化しています。

 カードそのものの強さや、使い方の柔軟性について、4体の旧神それぞれにこれまでとは異なるメカニクスを与えられたと考えています。

 また私たちは以前から、複数の能力を持ち、その中から効果を選べる大型ミニオンの体験を、どのように発展させられるかを考えていました。この仕組みはもともと「タイタンの目醒め」で導入したものです。それを今回旧神らしい形に強化し、新鮮に感じられるものにしたいと考えました。

 最終的に採用したのが、1ターンで2つの能力を選べるという仕組みです。これによって「タイタンの目醒め」の旧神とは差別化ができたと思います。

タイタン殺しヤシャラージュ
帝国の目クトゥーン

――ヨグ=サロンがプレイヤーの代わりに操作するということですが、どのように立ち回るのですか? 完全にランダムな設計なのでしょうか?

Lyons-Smith氏: 楽しみ方はプレイヤーに実際に試しながら見つけてほしいのですべては言えません。ただ、ヨグ=サロンにはある程度賢く判断する仕組みが仕込まれていることはお伝えできます。

 ヨグはいわば自分の意志を持っており、その行動は完全にランダムというわけではありません。例えばダメージを与える場合には自分のミニオンではなく、基本的に敵のミニオンを攻撃することを優先します。ただし、適度なランダム性と予測不能さも残しています。完全に合理的に行動するわけではなく、何が起こるかわからない部分があるからこそ、ヨグ=サロンらしさが感じられるようになっています。

――旧神がデッキに1枚しか使えないのはどうしてですか?

Lyons-Smith氏: 開発の初期段階で、盤上に大きな影響を与える複数のアビリティを持たせて、インパクトのある強いカードにしたいと思っていました。そのため、旧神はデッキにつき1体までという制限を決めました。

 この制限があることで、すべての旧神を中立カードとして設計することができました。どのクラスでも自分のデッキに合った旧神を1体選び、そのアーキタイプやシナジーを自分のデッキに組み込めるようになりました。

「合成」、新ミニオン「異形」、2対2の「酒場の喧嘩」など

――「合成」のメカニクスについて、プレイヤーが2枚のカードから別のカードを作り出すことができるというものですが、近年の「ハースストーン」が目指している1ターンの思考時間を短くするためのものでしょうか。また、どのようにバランスを調整しているのでしょうか。

Lyons-Smith氏: 私たちデザインチームにとって、新しく導入するキーワードが理解しやすいものであることは非常に重要な課題です。1ターンの中で選択しなければならないメカニクスを導入する場合には、選択のために必要な負荷をできるだけ抑えたいと考えています。

 特に「合成」については、ユーザー体験を設計する段階で非常に多くの試行錯誤を重ねました。2枚のカードを1枚に合成するのは魅力的ですが、考えなければならないことが多くなり過ぎるかもしれません。そこでわかりやすい形で表現することを重視しました。

 具体的には「4つの候補の中から1つを選んでいる」ということが明確にわかるようにしています。どれを選択するかで、最終的にどんなカードが完成するのかがはっきり伝わるようにしています。

 みなさんが目にしている「合成」の表示方法は、操作体験という観点から何十回も試行錯誤を繰り返した結果なのです。重要な選択をわかりやすく選ぶことができるようになっています。

――カジュアルゲーマーなら複数のカードの効果を理解するのに時間がかかりそうにも思いますが。

Lyons-Smith氏: 今回の「合成」は、仕組み自体をシンプルにして、UIもわかりやすく見せるようにしています。プレイヤーが行なうのは、画面に表示された4つのボタンの中から1つを選択することです。そして中央には、選択によって完成するカードが表示され、どう変化するのかも見えるようにしています。注目してほしいのは、「最終的にどのようなカードができあがるのか」ということだけです。

 また、「合成」のカードプールについても、効果を2種類に分けています。1つは効果の発動条件となるトリガーと、発動した結果の効果です。トリガーには例えば「断末魔」や「自分のヒーローがダメージを受けた時」といったものがあります。

 画面上段に表示される2つの選択肢はトリガーです。プレイヤーはそれを読んでどちらか1つを選びます。同じように画面下段の2つの選択肢は「実際にどのような効果を発動したいのか」を選びます。

 中央のカードを読めば、自分がこのカードで何をしたいのかがわかります。その上で、変えたいのがトリガーなのか、それとも実際に起きる効果なのかを選べばいいのです。

――バトルグラウンドに実装される新しいミニオンについて教えてください。

Lyons-Smith氏: 新たに「異形」というミニオンの種族を導入します。この種族には大きく2つのメカニクスを持たせています。

 1つ目は旧神との連携です。今回、バトルグラウンドにはまず2体の旧神を導入します。今後別の旧神を追加する可能性もあります。

 異形が死亡すると、死亡数が蓄積されていきます。3体の異形が死亡すると旧神のうち1体が目覚めます。目覚めた旧神は盤面に大きな影響を与えます。例えば、盤面全体に大量のダメージを与えて敵を一掃したり、自分の盤面に生き残っているミニオンを大幅に強化したりします。

 2つ目のメカニクスは「破棄」に関する効果です。構築戦で破棄を活用するようなプレイスタイルを、今回初めてバトルグラウンドに導入します。

――2対2のバトルを導入するにあたり、技術的に乗り越えなければならない課題はありましたか?

Lyons-Smith氏: 「バトルグラウンド・デュオ」を導入するためには、かなり多くの技術的な検証が必要でした。UIについても新しく検討する必要がありました。

 その結果として実現したのが、ポータルを使った仕組みです。これによってパートナーの盤面を確認したり、お互いにカードを送り合ったりできるようになりました。

 今回導入する2対2の「酒場の喧嘩」では、幸いなことにバトルグラウンドですでに研究・開発されていた技術の多くを活用することができました。そのためこのモードを比較的短期間でプレイヤーに提供できました。

 今回は2週間限定の形式で実施します。実際にプレイしていただいて、コミュニティがどのように反応するかを確認できます。その反応をもとに、今後の「ハースストーン」でプレイヤーがこのような2対2の体験をどの程度求めているのか、どの要素が特に好評なのか、あまり推進しない部分は何なのかを判断していきたいと思います。

――2対2の基本ルールを教えてください。

Sewell氏: 2対2の時には4人すべてが独自の盤面を持っています。自分の盤面は自分で操作し、相手は相手の盤面を操作します。どちらか一方のプレイヤーが倒されると、その時点で相手チームの勝利となります。

 チームメイト同士が同時に同じ行動をするわけではありません。しかし、カードを交換することができるので、お互いに協力して、それぞれの相手を倒せるように助け合うことができます。

――2027年からクラスセットが導入されることになっているが、カードの開発体制や、年間のアップデート・リリーススケジュールはどのように変わるのでしょうか。

Sewell氏: 「黒の帝国の君臨」の中で、次のクラスセット追加も予定しています。2027年以降、拡張パックの間に追加するコンテンツをどのような形にしていくかは、プレイヤーの反応を見ながら現在検討を進めています。試してみたいアイデアはいくつかありますが、現時点ではまだお話できる段階ではありません。

――新しいボスファイトは、全プレイヤーがボスのHPを削っていくコミュニティ型ですか、それとも個人が何度も削っていくのでしょうか?

Sewell氏: 今回実装するバージョン1では、ソロモードでコツコツダメージを積み上げていく形です。フィードバックを楽しみにしています。将来的には、多くのプレイヤーが共通の敵を倒したり、どれだけ早く倒すかを競うリーダーボードを作りたいと思っています。

日誌は、物語やゲーム内の現状を知る手がかりに

――「日誌」の刷新や2対2のバトルなど、これまでのアップデートとは違ったものが多く登場していますが、今後の「ハースストーン」はどのような方向に進化していくのでしょうか。

Sewell氏: 今後はクエスト、イベント、新カードといったさまざまな要素を、プレイヤーがたどる旅の中で結びつけていきます。それぞれの要素がなぜ行なわれているかを、より大きな物語の中でどんな意味を持っているのかをきちんと理解できるような背景を与えたいと考えています。

 「ハースストーン」で遊ぶさまざまな体験が、ひとつのまとまりある体験としてつながることでプレイヤーにとって非常に楽しく、魅力的なものになると考えています。

 刷新される「日誌」は、多くのプレイヤーがゲームに入った際の出発点になります。日誌を見ることで、何が新しく追加されたのか、今どのコンテンツを遊ぶべきなのかがわかるようになります。

 日ごろからプレイしている人であれば、どこで何をすればいいのかを自然に理解しています。しかし何百万人もの復帰プレイヤーには「今は何を遊べばいいのか」、「今、何が話題になっているのか」を知るための手助けを必要としています。新しい日誌はその役割を担います。

 さらに、単に遊ぶべきコンテンツを示すだけではなく、その拡張の中で実際に何が起きているのかを物語として伝える役割も持たせます。例えば「黒の帝国」とはどのような物語なのか、それがプレイヤーにどんな影響を与えているのかといった背景もわかるようになります。

――アリーナでばかり遊んでいますが、日誌を通じてほかのモードで遊んだりするようになりますか?

Lyons-Smith氏: チュートリアル的にどうプレイすればいいのかを教えるのではなく、最新の情報を読んでワクワクしてもらいたいと思っています。物語の枠組みを作って、今「ハースストーン」ではこんなことが起きているんだよとアリーナのプレイヤーさんに伝えることで、アリーナしか遊んでいない人でも全体の流れが追えるような作りになっています。

大型コンテンツの合間にも新鮮な遊びを提供していく

――「ハースストーン」も、日誌の改修など新規や復帰者のためのシステムを考える段階に入っているのだと思います。今後プレイヤーに長く遊んでもらうために何が必要だと思いますか?

Sewell氏: まず昨日発表した新しいイベントや、新しい遊び方についてお話しします。例えば、2対2の「酒場の喧嘩」は、大型拡張と大型拡張の間にもプレイヤーに新鮮な体験を提供するためのものです。今後は、こうしたさまざまな種類の遊び方に、これまで以上に力を入れていきたいと考えています。

 新しい遊び方をゲームに導入し、プレイヤーの反応を見ながら調整し、別の形で登場させる。その後もフィードバックをもとに改良し、また新しいバージョンを提供していきます。そうすることで「黒の帝国の君臨」や新クラス「モンク」のような、大規模で注目度の高いコンテンツの間にも、小規模や中規模の新鮮な体験を、より頻繁に提供できるようになります。

 これは大型コンテンツと大型コンテンツの間にも、プレイヤーが継続してゲームに関心を持ち、遊び続けられるようにすることが狙いです。

Sewell氏はオープニングセレモニーで登壇し「モンク」や「黒の帝国の君臨」を発表した

 物語を伝える仕組みも重要だと考えています。普段から熱心に遊んでいるプレイヤーにとっても、現在ゲーム内で何が起きているのか、その物語や背景を知ることは楽しみのひとつになります。

 さらに新規プレイヤーやしばらく離れてから戻ってきたプレイヤーにとっても、これまでに何が起きたのか、現在どのような物語が進んでいるのかを把握できることは、ゲームに入りやすくなるきっかけになると期待しています。

 これまでも新規プレイヤーや復帰者がゲームを始めやすくなるような改善を、長年にわたって行なってきました。今年の例では「カタクリズム(CATACLYSM)」の際に導入した「お試しカード」があります。また過去には新規プレイヤーや復帰プレイヤーに無料デッキを提供してきました。この仕組みは現在も継続しており、しばらくゲームから離れていたプレイヤーでも戻ってきた際に対戦用デッキを受け取りすぐに遊び始めることができます。

 これまでに1億5,000万人以上の人たちが「ハースストーン」をプレイしてきました。非常に多くのプレイヤーがいるからこそ、私たちはそうした人たちを再び歓迎することを重視しています。

 特に、新しいコンテンツを追加する時期や、新クラスを導入するタイミングは復帰の機会になります。今後は世界中の人たちにモンクを楽しんでもらえるよう、チームとともに計画を進めていきます。

 ただしまずは旧神とタイタン勢力との戦いに注力していきます。

――ありがとうございました。