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人口3万2,000人の田舎町が「ゲームジャム高梁」を開催にこぎつけるまで

「ゲームジャム高梁」を中四国のゲーム開発者を熱く繋げるイベントに育てたい!

「ゲームジャム高梁」を中四国のゲーム開発者を熱く繋げるイベントに育てたい!

【各チームが開発したゲーム】
社会人と学生の混合チーム「アニマルパニック」のゲーム「あヌまるの惑星」。タブレット用のアクションゲーム。プレーヤーは自動的に前に進むので、左右をタップして落ちてくるあヌまるを捕獲する。完成がぎりぎりだったので、あまり遊べなかったのが残念
全員がプログラマーのチーム「HOKKY」のゲーム「ユニティちゃんが羽柴勢の間者と間違われて備中松山城に幽閉されたので脱出ゲームになった」。巡回している侍の視線が赤い光で表示されており、そこに入ると即ゲームオーバー。侍は画面外からもこちらを感知してくるので、完全な覚えゲー。完成版では主観視点が追加されていたが、主観で遊ぶと超高難易度
地元の高校生も参加したチーム「もじゃれんじゃぁ」の「備中松山城へ」。テーマの「前へ!」を意識した前方強制スクロールのアクションゲーム。2人同時プレイなのだが、完成直後にはブーストアイテムの効果が切れずに累積していくというバグがあり、最初に「スタミナ丼」を取ったプレーヤーが無双するゲームになっていた。2段ジャンプの人間離れした動きは、ダイナミックで操作していて楽しいゲーム

完成後のプレゼンで詳細なゲームの設定なども紹介している
高梁市の小林重樹議員

 社会人参加者の多いチーム1は、終了後もゲームをブラッシュアップしていって、スマホ向けのゲームとしてリリースできるところまで持っていきたいと語っていた。他の2チームは学生が多かったことから、ポートフォリオに使ったり、ゲームを完成させた実績として就職活動に活用したいと語っていた。

 チームでアイデアを共有することの重要さ、難しさ。定められた時間内に完成させるための時間配分やボリュームの見極め。第三者に興味を持ってもらえるようなプレゼンテーションやβバージョンの作成など、30時間という限られた時間の中で参加者は多くのことを学べる。

 ゲームは遊んでもらって初めて意味を持つ。人目を引くタイトル画面、わかりやすいUIなど、ゲーム全体の完成度をいかに上げていくかが重要だ。今回も実際には、制限時間いっぱいまでゲームの中身を作りこむことに必死で、完成度を上げるという作業までは追い付かなかった。

 「PCゲームをどうやってインストールしてもらうかが、日本のインディーズの課題です」と山根氏。作る人が増えても、遊んでくれる人の裾野が広がらないとムーブメントは大きくなっていかない。自己満足で終わらず、いかに自分たちのゲームを売り込めるかという部分が実はかなり重要であり、現在苦手としている人が多い分野でもある。例えばどのくらい面白そうなスクリーンショットが取れるか、PVでどのくらいゲームメカニクスの楽しさを伝えられるかといったことは、アマチュアのほうがより意識する必要があるだろうと山根氏は語っていた。11月には、「岡山Unity勉強会」でゲームジャム高梁のポストモーテムが開催される予定だ。

 ゲームジャム高梁は地元密着型のGameJamとして、ご当地グルメを昼食に用意したり、夜は町のグルメマップ片手に散策してもらったりした。その甲斐あってか、高梁市のB級グルメ“インディアントマト焼きそば”がゲームの中で回復アイテムとして使われていたり、高梁市の観光名所備中松山城が登場していたりしていた。会場にはインディーゲーム開発者NIGOROのメンバーが見学にきていたりと、ネットワーク作りという目的でも一歩前に進んだ感があった。

 「多くの方のご協力で、高梁市で初めてのゲームジャム開催が無事に終了いたしました。高梁市での開催が学生を中心とした参加者の方々にとっていい思い出になるよう、来年も参加していただけるように頑張ります」と井上氏が言うように、まだまだ開催の熱気が冷めやらない終了直後には、すでに来年のアイデアが語られていた。「グローバルに勝負のできるゲームというジャンルだからこそ、地方は弱点にはならない。中四国地方のインディーズシーンが熱いらしいぞと話題になるよう、今後も盛り上げていきたいです」と市会議員の小林氏は語っていた。

 完成したゲームはこちらのゲーム体験コーナーからダウンロードできる。現在はチーム2の「ユニティちゃんが羽柴勢の間者と間違われて備中松山城に幽閉されたので脱出ゲームになった」のみがダウンロード可能。製作中の写真や、スタッフリストもあるので、参考にして欲しい。

(石井聡)