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人口3万2,000人の田舎町が「ゲームジャム高梁」を開催にこぎつけるまで
無事スタートした「ゲームジャム高梁」。朝起きたら思っていたのとは違うゲームに
(2015/10/27 18:00)
無事スタートした「ゲームジャム高梁」。朝起きたら思っていたのとは違うゲームに
さて、「ゲームジャム高梁」は、3チームにわかれてスタートした。まずはチーム毎にどんなゲームにするのかという企画会議が始まる。アイデアを書き込んだ付箋を並べて、ああだこうだと言い合う。絵を描くことができる人材のいるチーム1と3はアイデアの段階からアートワークに入ることができるが、6人全員がプログラマーのチーム2はテキストだけで作りたいイメージを積み重ねていく。最初は見知らぬもの同士だったチームも昼食にいくころにはすっかり打ち解けて、チームとしてのまとまりが出てくる。まだこのころには心に余裕があり、市民ホールの外にあるテラスで、差し入れのお菓子を食べながら談笑する姿も見られた。
午後2時には、最初のプレゼンテーションが行なわれた。ここでは作りたいゲームの仕様とアイデアをパワーポイントにまとめたものを使って発表する。発表後はいよいよ具体的な形を作っていく。全員で進めた企画会議と違って、ここからは個人の作業になる。
最初の段階でしっかりと全員が同じイメージを共有しておかなければ、この後の作業で少しずつズレが出てくる。お互いに、きっとこういうものを作っているんだろうと思いつつ前に進めているのだが、朝起きて合体させてみると最初に想像していたものとはかなり違うゲームになっていることはよくあるのだそうだ。
今回も、やはりそういった現象は起こったようだ。チーム3のアクションゲームは、当初は「スーパーマリオ」的な雰囲気のものを想定しており、2段ジャンプなどは仕様書にもない。しかし完成したものは、2段ジャンプを駆使して空を舞いながら相手を踏み落とすという、マリオとは全く違うゲーム性のものになっていた。プロの現場でも、作りたいゲームのイメージを共有することの難しさは、さまざまなインタビューなどで語られるがチームで動く時に遭遇する最初で最大の試練だといえるだろう。
2日目の昼には、βバージョンを完成させて試遊台にインストールし、ゲーム開発の様子を見学に来ていた小学生や中学生の子供たちに遊んでもらい、もらった意見をもとにゲームをブラッシュアップしていく。筆者も遊んでいる様子を見ていたのだが、子どもたちは開発者が想定していない遊び方でゲームを楽しんでいた。
たとえばチーム2が作っていた脱出ゲームは、開発中のバージョンではポリゴンの隙間からコース外に出ることができた。子どもたちはその穴から抜け出して、本来は入れない部屋に入ってみたり、襲えないはずの敵に上から襲い掛かってみたりと自由に遊んでいた。
「いくら子どもたちが楽しく遊んでいたとしても、それは単にクソゲーっぷりを楽しんでいるだけで、ゲームを楽しんでもらっているのとは少し違う。それを教える時間が少なかったのが残念」と、社会人参加者の1人は終了後に語っていた。本来意図した遊び方できっちりと楽しさを伝えることの難しさが、そういった情景からも感じられた。