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“発明満載でお見せできない”新作スマホRPG「アナザーエデン」
ドット絵時代のRPGの冒険をスマホに。加藤正人氏、光田康典氏らが参加
(2015/9/18 08:00)
東京ゲームショウ2015のグリーブースにおいて、スマートフォン向けRPG「KMS Project(仮)」の制作発表ステージが開かれた。「KMS Project(仮)」は、グリーが設立したアプリ開発スタジオWright Flyer Studiosにて開発されている作品。
ステージには、グリーのプロデューサー高大輔氏と、同社のシナリオライター加藤正人氏、声優の園崎未恵さんが登壇した。高氏は昨年まで「ぷよぷよクエスト」の運営プロデューサーを務めていた人物。加藤氏は「クロノ・トリガー」のシナリオや「ゼノギアス」の演出などを担当した後にフリーランスとなり、高氏の後からWright Flyer Studiosに参加した。
ステージの冒頭、高氏から「個人的にスマホで遊びたいRPGがない」と暴言とも取れる宣言が飛び出した。「子供の頃に遊んだRPGと違う。冒険していない。シナリオで楽しそうな感じや驚く展開のものはあるけれど、ストーリーを読むだけでは冒険じゃない」という。つまり、その答えとなるのが「KMS Project(仮)」というわけだ。
正式タイトルは「アナザーエデン」になることが発表された。高氏はプロデューサー兼ディレクター、加藤氏はシナリオと演出を手掛ける。さらに加藤氏と長年コンビを組んできた光田康典氏がオープニングテーマを作曲。ゲーム中の楽曲は、光田氏が代表を務めるプロキオン・スタジオに所属する土屋俊輔氏とアボンナサー・マリアム氏が担当する。
ゲームの特徴は、まずソーシャルゲーム的な要素を省いたこと。「昔のRPGには、キャラクターを貸してくれるようなゲーム内のフレンドはいなかった。売れているアプリを真似るのは、本当に作りたいものなのかと問いかけたい。これこそ冒険かもしれないが、わかってくれる人は絶対にいると思って作っている」という。ただしスタンドアローンの作品だとも言っていないところが気になるところ。
またゲームは可能な限り2Dで開発されている。「本当に3Dを使う必要があるゲームはそれほど多くない。3Dを使うと開発工数も増える。本作では圧倒的なボリュームを提供したいことから、量産しやすい2Dにした」と高氏が説明した。
続けて高氏が挙げた要素は、“フィールドを歩ける”ということ。「当たり前だと思われるが、スマートフォンで歩ける、しかも気持ちよく歩けるというゲームは本当に少ない。最初の3~4カ月はフィールドを気持ちよく歩けるということだけに取り組んだ」という。実際のボタンがないスマートフォンだけに、コンシューマーゲームに慣れた人が気持ちよく歩ける操作を実現するのは並大抵のことではない。
そして忘れてはいけないのが、加藤氏が手掛けるシナリオ。「加藤さんの中二病センスで膨大なものを書いてもらっている。ゴールデンウィーク中だけで100ページ分くらいのシナリオができていた。今は300、400ページになっている」という。加藤氏は過去に、「シナリオが入りきらない」と言われ、書きあげたシナリオを1/3まで削らされた経験があるそうで、そういう点での制約もなく大ボリュームのシナリオが展開されることになりそうだ。
ストーリーはタイムトラベル物となっている。加藤氏はこの点について、「入社したら『クロノ・トリガー』みたいなゲームを作りたいと言われて、またかと思った。自分ではもうやり尽くしたつもりだったが、1つタイムトラベル物で思いついたことがあって、それからは一気に書いていった」のだそうだ。
ゲームの説明はここまでにして、いよいよゲームのデモへと移るところで、高氏がアプリが入ったスマートフォンを取り出した。ところが「いろいろな発明があって、今はまだお見せできない」という。どうやら技術的・アイデア的に面白い仕組みになっており、特許が絡むため、現時点では公開できないということのようだ。
やむなくステージ上で園崎さんがプレイし、その感想を聞くという、摩訶不思議なステージに。園崎さんは、「十字キーがないのにこんなにスムーズに歩ける。コンシューマーゲームみたい」、「RPGといえばこう、という街の映像。昔のゲームを遊んだ私は『そうそう、これ!』というイメージだけど、10代、20代の方にはとても新鮮なのでは」、「バトルの仕掛け方がスマホらしい。フリックで敵を攻撃する(高氏によると、これは少し違うらしい)」などと感想を語った。非常に違和感なく、懐かしさのあるゲームプレイ感覚になっているようだ。
そういった事情でデモプレイは見られなかったが、画像はいくつか公開された。最初に公開されたコンセプトアートは、3つの建物が並んで描かれているもの。「シナリオは古代、現代、未来のような3つに分かれているので、そのテーマを現わしている」という。
また開発中の画面も公開された。キャラクターは等身が低い可愛らしいもので、人間のキャラクターの他に猫も同行している。高氏が「猫ゲームの中でナンバーワンを目指している」と言うと、横から加藤氏が「シナリオ的に猫が主人公」と秘密を漏らす一幕も。他にもいくつかの場所や時間のシーンが公開された。
完成は2016年春頃となる予定だが、年末から年明け辺りにクローズドβテストを実施するという。開発は今年からスタートしたそうだが、順調に進んでいるそうだ。今回見られなかったプレイ映像についても、近日中に見せたいとしている。
本作をプレイした園崎さんは、ゲームのイメージから昔の感覚を思い出したのか、「キャラクターに声を入れて欲しくない」と声優らしからぬ意見が。これについて高氏は「キャラクターボイスは一切入れない。このキャラクターと世界観だと違和感がある」と明言した。
それではと園崎さんは自分の仕事を提案。「PVのナレーションというのはオーソドックスだけれど、ここは斜め上で主題歌を!」と言うと、高氏が「じゃあやりましょう。イメージソングとして使うならあり」と快諾。合わせて「俺、コーラスやるわ」とも言っていたので、そちらもご期待いただきたい。
今回の発表に合わせて、公式ツイッターアカウント「@RPG_AE」が公開された。今後の最新情報を確認したい方は忘れずフォローを。