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Microsoft China、Xbox One独占タイトル大量出展で中国展開再起動を宣言!

「GEARS4」や「Fallout 4」のトレーラーも公開するなど今年も“攻めの出展”

7月30日~8月2日開催



会場:Shanghai New International Expo Center

 コンソールゲームメーカーの中でもっとも早い2014年9月に中国進出を果たしたMicrosoft。しかし、その船出は大変厳しいものになった。中国ゲームマーケットレポートでもお伝えしたように、Xbox Oneはリージョンロックを掛けたままで中国での発売を開始し、また中国当局のセンサーシップの壁にことごとく阻まれ、わずか10タイトルでのスタートとなったのだ。

巨大なブースを構えたMicrosoft China
SCESHブースを視察していたHead of Xbox Phil Spencer氏
Phil氏は「Forza」の生みの親だけあって、「Project Cars」の出展をかなり厳しくチェックしていた
「Halo: The Master Chief Collection」
「Forza Motorsport 6」
多くのタイトルが簡体字にローカライズされている。E3の出展から2カ月経っていないことを考えるとかなり早い

 この時代、“わずか10タイトルしか動作しないゲーム機”が成功するはずもなく、中国でXbox Oneの販売を手がけるE-Homeは2014年度の決算で早くも3万ドル規模の赤字を計上。販売台数についてもローンチ直後の10万台以降の数字は出していない。E-Homeの赤字が明らかになった直後は、Microsoftと合弁を組む親会社のBesTV(百視通)が中国でのXboxビジネスを断念し、撤退するのではないかという観測も飛び交ったほどだ。

 しかし、ChinaJoy2015では、SCESHを凌ぐ規模のブースを出展し、2014年9月のローンチ以降、滞りがちだった新規タイトルをここぞとばかりに投入し、健在振りをアピールした。会期初日には米MicrosoftのHead of Xboxを務めるPhil Spencer氏も応援に駆けつけ、Microsoftとして中国市場を重視する姿勢を名実共に示した。

 出展タイトルは、「Forza Motorsport 6」と「Halo: The MasterChief Collection」を2トップに、「Fable Legends」や「Minecraft Xbox One Edition」、「Neverwinter Online」、「Ori and the Blind Forest」、「Cuphead」などなど、Xbox One独占タイトルを中心に展開。日本をはじめ、欧米、アジア、中国と様々な地域からのタイトルを満遍なく集めたSCESHに対して、Xbox Oneは明確に欧米タイトル推しで、そのほとんどは、現時点で中文簡体字にローカライズされており、センサーシップの影響で、出展タイトルが絞られている点を除けば、その注力ぶりはすでに日本市場を凌いでいる。

 また、Xbox One版「Infinity Blade」レポートでもお伝えしたように、PS4とのハードウェア面での差別化として、Kinectをクローズアップしている点も大きな特徴と言える。E3 2015ではMicrosoftブースでの出展規模は大幅に縮小され、ファーストパーティータイトルでの対応もなくなりつつあるのに対し、ChinaJoyでは、先に紹介した「Infinity Blade」をはじめ、「JUSTDANCE 2015」、「Shape Up」、「フルーツニンジャ2」と4タイトルもすべて試遊台込みで出展し、ステージイベントも盛んに行なっていた。

 正直な所、注目度の高さはSCESHのProject Morpheusに軍配が上がりそうだが、中国の2大ゲームプラットフォームであるモバイルとPCではなかなか味わえないゲームコンソールならではの遊びの提案に、非常に高い注目を集めていた。

 SCESHのProject Morpheus対抗として、Microsoft ChinaにはHololensの出展を期待したいところだったが、今回は影も形もなかった。何より意外だったのは、Xbox Oneと非常に親和性の高いWindows 10自体、ほとんどプロモーションしていなかったことだ。「Fable Legends」の試遊コーナーにWindows 10版が使用されていたぐらいで、ローンチ時期であるにも関わらず、影も形も無いのは、意図的に除外したものと見られるが、その具体的な理由はわからないものの、中国ではWindowsとXboxはかなり距離がある印象だ。

 ちなみにブースの垂れ幕には、プレイアブル出展している「Halo」や「Forza」、「Fable」に加えて、「GEARS」や「Tomb Raider」なども掲げられていたが、これらの出展はE3トレーラーのみに限られていた。プレイアブル出展を見送った理由は、センサーシップが通らない可能性が高いためで、このあたりは昨年のChinaJoyで、中文簡体字版「Watch Dogs」を出展し、業界に衝撃を与えた「Watch Dogs」事件の失敗から多くを学んでいると思われる。ちなみに中文簡体字版「Watch Dogs」は、そのままお蔵入りとなった。反権力、反社会的なコンテンツは、今後もセンサーシップは通過しないとみられる。

 それでも「Microsoftは攻めているなあ」と思ったのは、E3トレーラーを中文簡体字付きで流していたところだ。E3トレーラーの中には「GEARS4」、「Gears of War: Ultimate Edition」、「Fallout 4」など、センサーシップを通過するかどうか微妙なかなり過激なゲームも含まれており、トレーラーの下に、「製品版では中国の法律に基づく認可を受けた内容になる」との但し書きが常時表示されているものの、同様のE3トレーラーはSCESHでは流しておらず、かなり大胆だ。

 このトレーラー公開には、やはりXboxは、アジア地域で長年のビジネス経験のあるPlayStationと異なり、日本のコンテンツが少なく、かつゲームメーカーのコネクションも少ないため、北米、欧州タイトルを、できるだけそのままの形で中国で展開したいと考えていることが伝わってくる。その道のりは決して平坦ではないが、その取り組みが成功することを期待したいところだ。

【出展エリア】
「Minecraft」
「Fable Legends」
「Happy Wars」、「Happy Dungeons」
「SMITE」
「NBA2K15」
「Cuphead」

【Kinect試遊エリア】

【ステージイベント】
1日10回前後のステージイベントを実施していた

【“攻めてる”E3トレーラー】

(中村聖司)