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「ドラゴンズドグマ オンライン」CBT1プレイレポート
ポーンが実践的に! 自由? 困惑? 今後の改善に期待の部分も
(2015/7/13 15:34)
カプコンより、8月31日から正式サービスが開始される(アーリーアクセスは8月27日)、PS4/PS3/Windows用オープンワールドアクション「ドラゴンズドグマ オンライン」。
基本プレイ料金無料のオンラインゲームながら、硬派なファンタジー世界をシリーズの特徴である“オープンワールド”で実現し、同じく特徴であるスピーディーな“アクション”もしっかり押さえているなど、意欲的な要素満載の大規模タイトルとなっている。
今年4月にはPS3版アルファテストのレポートをお伝えしたのだが、今回はPS4/PS3/Windowsの3つのプラットフォームで行なわれた、「クローズドベータテスト1(実施期間:7月7日~15日)」のプレイレポートをお伝えしていこう。
なお、プレイしたプラットフォームは、PS3版との違いを確認するという意味もあって、PS4版を選んでいる。
3機種・クロスで実施されたCBT1。PS4版は広い画面でぬるぬる&さくさく
今回のクローズトベータテスト1(以下、「CBT1」)は、おおまかなプレイ範囲や内容においてはアルファテストと同様なものの、「ポーン(プレーヤーに付き従うNPCの仲間)」のレンタルやクラフトといった仕様が実装されたことで、少人数でのプレイの印象がかなり変わった。
また、UIなど各所の調整及びブラッシュアップ、さらにゲームバランスの調整もジョブの性能調整と合わせて多数が行なわれており、アルファテストと同じ内容を遊ぶにしても「かなり遊びやすくなったなぁ」と思えた。
いわゆる“開発終盤の調整次第でゲームの良し悪しが大きく変わる”という状況の真っ最中に触れているような印象だ。同時に、ここからの最後の詰め方でどれぐらい変わってくるかも興味が湧くところ。
プレイ環境の面では、PS4版とWindows版に初めて触れるようになったことが大きい。今回はPS4版でプレイしたが、PS3版と比べると“滑らかでくっきり”している。表示したい情報が多いなか、1080pを標準にできるアドバンテージは大きく、特にミニマップは大きく表示しても画面に余裕があるのが嬉しい。
グラフィックスにおいては、テクスチャーの圧縮率が低い、もしくは非圧縮なのだと思うが、PS3版よりも画面がくっきり、かっちりとしている。そのなかでの動きも、PS4版は中間フレームを補完する方向での60フレームということではあるが、その効果は大きく、滑らかだ。アクションゲームとして大事なポイントでもある。
一応フレームレートは可変式(シチュエーションによってはレートが下がる)ということではあったが、プレイした範囲ではレートが大きく下がる場面は見られず、PS3版も考慮して作り込んだ処理の余裕を感じさせている。
またレスポンスの良さも見逃せない。サーバー通信周りはサーバーの状態によってしまうので別だが、各種UIの反応やアクションの反応など、PS4版はレスポンスが速めで気持ちいい。くっきりとした解像感と60fps化も合わせ、全体にキビキビとした動作になる。そのあたりからも前述の「かなり遊びやすくなったなぁ」という感想があったわけだ。
もちろんPS3版でも存分に楽しめるが、より快適なのは……PS4版やWindows版となる。
ポーンの機能が大幅向上。他プレーヤーと「緩く繋がる」プレイも可能に
また、ポーンのレンタルが実装され、自分+ポーン3人での冒険が楽しめるように。他のプレーヤーとがっつりではなく、緩く繋がりつつでも楽しんでいける
今回のCBT1で最も大きく変わったのは「ポーン」関係の仕様だ。もともとポーンが関わる要素の本格実装はベータテスト以降とアナウンスされていたとおりで、アルファテストでもポーンは1体が使えたものの、一応連れて冒険もできるけどあまり頼れない……ぐらいのものだった。そこで、アルファテストでは他プレーヤーとのパーティープレイを重視してお伝えした。
では今回はどうだったかというと、まずポーンの戦闘中の攻撃など行動の頻度が大幅に増えて、ばんばん戦闘参加してくれるようになった。基本的には移動と行動を交互に繰り返すようなAIになっていて、ファイターやアーチャーは武器での攻撃を、プリーストなら積極的に回復魔法を使ってくれる。
プレーヤーがスタミナ切れになったときもすぐに近づいてきて助けてくれるし、ダウンした魔物を押さえ込みすれば、それを優先して攻撃もしてくれる。移動補正のときにジャンプを繰り返してしまうなど、まだブラッシュアップの必要を感じるところはあったものの、だいぶ頼れる存在になっていた。
シリーズの醍醐味と言っていい「ポーンのレンタル(貸し借り)」もついに実装された。2人レンタルすれば、プレーヤー1人+ポーン3人という編成での冒険も可能だ。ちなみにポーンはお金(リム)で雇い、決められた回数の冒険かクラフトをこなし終えるまで使用できるというものになっていた。
積極的に戦ってくれるようになったポーンを3人入れられるようになったことで、少人数 or 1人でプレイするときの印象がかなり変わった。CBT1でのバランスは、探索やクエストをこなすなどはポーンを連れてのソロプレイでもやっていけるが、大型ボスに挑むのは他プレーヤーとパーティーを組んだ方がいいかなぁ……といったところ。とはいえ、アルファテストではほぼ“いるだけ”だったポーンがいよいよ実践的になってきて、ソロでもパーティーでも楽しめるようになった印象だ。
そしてポーンを3人連れてガンガン遊んでいると、独特な気持ちにもなってくる。というのも、本作は街が最大100人のプレーヤーが行き交うロビーで、外のエリアは自分(自分のパーティー)専用の世界となっているので、ポーンのみのパーティーで冒険しているときの気分はオフラインゲームのようでもあるのだ。
それでもチャットログには他プレーヤーのシャウトなどが聞こえてくるし、街に帰れば多数のプレーヤーが行き交っている。他人とがっつりコミュニケーションを取ってのプレイもできるし、他人の存在を感じつつポーンの貸し借りだけする程度の“ゆるい繋がり”でも遊べる。そのあたりがなんとも「ドラゴンズドグマ」らしいという印象だ。
ちなみに神殿の白竜との会話では、「リムストーンの欠片」を見つけてくれば、自分のメインポーンの数も増やせるという内容もあった。将来的に、自分のポーンによる4人パーティープレイを思わせるものとなっていた。
アイテム生産「クラフト」も登場。他人のポーンもアシストに
もうひとつ初実装となったのは、アイテムを生産したり強化したりする「クラフト」。クラフトはプレーヤーキャラクターが行なうのではなく、ポーンに指示して作らせるというものになっている。クラフトの熟練度を示すクラフトレベルも、ポーンにだけ存在している。
素材を使って、武器・防具・消耗品(回復アイテムなど)・素材(鉄鉱石からインゴットを作るなど)といった「アイテム生産」ができるほか、「装備の強化」、特殊効果のクレストをアイテムに付ける「クレスト装着」、さらに「カラー変更」が可能だった。
特徴的だったのは、メインポーン1人に生産させるだけでなく、他のポーンもアシスタントとして参加させられるところだ。ポーンの数が多いほど、生産時間の短縮や成功率などが高まる。クラフトレベルの高いポーンは、たくさんの人にレンタルされる人気ポーンになるのだろう。
自由な冒険が発見を生む! ……が、それだけにちょっと困惑もしてしまう
パーティープレイ関連では、自動マッチング機能「クイックパーティー」が加わった。プレイするエリアを指定し、ジョブのバランスやレベル差を考慮するかのチェックを付けるだけ、とお手軽な機能で、マッチしたプレーヤーと自動でパーティーが組まれる。
ただ今回クイックパーティー機能を頻繁に試してみたのだが、パーティーが組まれたことはほとんどなかった。本機能ではマッチングの目的がはっきりしているわけではないので、ゲーム内容の理解が進まないうちにこの機能を使っても、むしろ気まずくなってしまいそうと敬遠している人が多かったものと思われる。実際に「それで、この後は何したらいいの?」と困惑してしまっている人もいたので、何かしら対策や方策があると良さそうだ。現時点では、ゲーム内の遊びを熟知した上級者向けな機能になっていると言える。
一方で、クエスト主導でパーティーが作成される機能に「レスタニアニュース」がある。「レスタニアニュース」はクエストのガイドであり、そのクエストをやりたい人同士でパーティーを自動で組める機能があるのだが、UIやクエスト内容にわかりづらい点があって、こちらもあまり活用されていないようだ。プレーヤーにクエスト内容が浸透していないこともあるのだろうが、見せ方を変更するともっと活用されるかもしれない。
色々機能は追加されたのだが、CBT1時点でも結局、「チャットのShoutでクエスト内容を伝えつつ参加者募集」がパーティー作成の1番手っ取り早い方法となっていた。実際のところ「それならそれで構わない」とも思うのだが、レスタニアニュースのクエスト参加機能、使う人が増えれば便利だと思うので、改善を期待したいところだ。
クイックパーティー機能は「上級者向け」と書いたが、実際のところ、CBT1でのゲーム内は雰囲気は“この手前の段階にある人が多そう”という印象だ。実装されている範囲のストーリークエストをクリアした後、「何をしたらいいの?」という状態になっている人のチャットを見かけることがあったし、パーティーを組んだ人からもそういう声があった。
実はここが今回お伝えしたいポイントであって、「ドラゴンズドグマ オンライン」は、“プレーヤーが自分で目的を見つける”という方向性の強いゲームとなっている。ゲーム側からの「あれをやれ」や「これをやれ」が、チュートリアル的な要素以外はほとんど出てこない。これは筆者としては“良いところ”と感じているのだが、プレイし始めには困惑する人が多いかもしれない。
まずは行ったことのないエリアを探索してみて、そこで見つけた魔物を倒したり、ダンジョンに入ってみたりと、「自由にいろいろやってみてください」という方向性が「ドラゴンズドグマ オンライン」であり、そうすればクエストが現地で発生していく。
それこそ本来は、クイックパーティー機能でパーティーが組まれたら誰ともなく「とりあえず○○方面に行ってみましょうか!」と冒険に出発するくらいでいいのだろう。とりあえず出発してしまえば、現地でクエストなりなんなり、何かが起きるようなゲームなのだから。ただ……それをゲームに不慣れなうちから言い出すのには勇気がいるのも事実としてあり、そこが噛み合っていないように感じた。
というわけで、そんな様子を見て筆者の取った行動は、とりあえずポーンを3人連れてソロプレイで各エリアを冒険してまわり、大型ボスを発見したときには(もしくは出現条件が判明したら)1度街へと帰還。そこでシャウト募集を募って4人パーティープレイへ……、というものだった。
実際、筆者が大型ボスのリンドブルムと戦いたいなと思ったときに「ローテス周辺を冒険しませんか?」というシャウトでは反応はさっぱりだったが、「リンドブルム発見したので倒しませんか?」なら、反応多数でさくっと4人パーティーができあがった……当たり前と言えば当たり前なのだが、筆者的には当面はこういう遊び方がベターと思えた。
ただ、「ドラゴンズドグマ」シリーズとしては、大型ボスがあっちこっちのエリアに移動したり、不意に出現したりといった要素も外せないところであり(ベータテスト時点ではそういった要素は見られない)、「自由に冒険してみて発見したものに挑む」という良さが活きてくるかどうかは、今後のポイントにはなりそうだ。
その良さにもう少し早い段階で誘導してあげるような、ガイドなり、何かしらのフォローを開発・運営チームには期待したい。
課金の方向性も確認。CBT1時点での課金要素まとめ
今回のCBT1では、気になる「課金要素」も、その概要が見えてきた。あくまでベータテスト中のものなので、あくまで方向性として「ベータテスト時点ではこういうものがあった」というものとしてお伝えしたい。
まず、有料で購入する通貨として「黄金石」というものがある。これを使って、メニュー内のオンラインショップにある各種の有料要素を購入するという形式だ。
その要素には、「冒険パスポート」、「報酬サポートコース」、「成長サポートコース」などといったものがあり、「冒険パスポート」は復活力の回復し放題(復活力は戦闘不能から復帰するための力で通常は1日3個補充できる)、アイテム保管ボックスの拡張枠使用、リム転移の割引などがセットになっている。
「報酬サポートコース」は3時間だけアイテムの入手率やリムの獲得量が増すコースで、「成長サポートコース」は同じく3時間だけ獲得経験値等が増加するコースとなっている。
また、著名な人気声優さんのポーンボイスも有料で販売されていた。この他にもメニューには「クラフトマスターポーン」という、いかにもクラフトレベルの高いポーンを購入できそうな項目があったのだが、こちらは中身は用意されていなかった。
そのほか有料の要素には「トレジャーズロット」という、アイテムをランダムに入手できるクジ引きのようなものもある。こちらは黄金石以外にもシルバーチケットというもので引けるという形式になっていて、大当たりでS賞があり、以降はA賞、B賞、C賞と、装備品やアイテム強化のクレスト、カラー変更の塗料やクラフト素材などが用意されていた。
このほか黄金石は、戦闘不能に陥ったときに黄金石を消費しての復活も可能で、通常の復活力での回復とは違って、復活時に周囲の敵を吹き飛ばす効果と、一定時間ダメージ無効という効果がついていた。
こうした有料要素への印象としては、有料要素は冒険をサポートしてくれるプラスアルファであり、プレイにあまり時間を取れない人向けの「時間短縮」になっている。ポーンボイスにおいては、「欲しい人が買う」ものに収まっている。
「トレジャーズロット」については装備品などが手に入るが、テスト版ロットで出た高性能な装備品などは全て「バザーNG」という、ユーザー間での売買ができないものになっていた。NPCのショップでゴールドにすることは可能だが、これをバザー出品可能にするかどうかで、ゲーム内の経済バランスや装備品の価値が大きく変わってくることだろう。個人的にはロット品は見た目のユニークさや特殊さに重点を置いて、冒険で入手する装備品の価値を完全に殺すことのないよう、期待したいところだ。
また、黄金石での復活がどんな敵に対してもできると興ざめしてしまうので、エンドコンテンツ的な遊びでは「黄金石での復活不可」というものも用意してもらえたら……と思う次第だ。
雰囲気は◎! 頻発のサーバーダウンを活かす今後に期待
CBT1ではやはり、ポーンのレンタルやクラフトといった要素が実装されたことが大きい。「ドラゴンズドグマ」の特色とも言えるポーンの貸し借りが可能になり、動きも良くなったことで、“オンラインゲームの中でポーンと共に冒険する”、“ポーンに何かをさせる”という「ドラゴンズドグマ」らしいプレイがしやすくなった。
理解度がアルファテストより高まったことで、以前にインタビューで伺った「オンラインゲームだからということはあまり考えずに、『ドラゴンズドグマ』らしい世界で自由に遊んで欲しい」という言葉が、より掴めてきたところもある。
“自由にプレーヤーが冒険して目的を見つける”というのは、CBT期間内だとなかなか難しいところではあるが、ゲームを理解すればするほどに美味しく感じていける方向性だ。そこには、オンラインゲームならではの“変化し続ける世界を楽しむ”良さも待っている。
筆者的には最もベース部分として大事と考えている“手触り・感触”、いわゆる“雰囲気”が良いかどうかなのだが、そこは二重丸。
フィールドを歩き回って、朽ちた廃村を見つけたり、遺跡があったり。村から離れた灯台に1人住んでいる老人がいたり、そのすぐ近くにかなりの脅威が潜んでいたり。景色が昼から夕暮れ、そして夜へと移り変わっていき、BGMや環境音がそれを飾っている。それを感じているだけで、「この世界は居心地がいいなぁ」と思えるセンスがあった。
一方、シビアな話に戻ると、最も気になったのはサーバーダウンが頻繁に起こったことだ。
CBT1は当初は先着1万人が参加予定だったところを、最終的に18万人にまで拡大。3つのプラットフォームはクロスプラットフォーム(ハードが違っても一緒に遊べる)対応ということで、サーバーを安定させるのはさすがに厳しかったのかもしれない。
コアタイムにはサーバーダウンからの緊急メンテナンスが多発していた。これには実際にテストに参加したユーザーはストレスを感じたことだろう。
ただ、逆に言えば、「10万人規模+クロスプラットフォームでのサーバ過負荷」を前倒しにテストできたという見方もある。以前に公開されたロードマップだと今後にはCBT2が予定されていたので、そこでCBT1のデータを反映させたサーバー安定稼働を期待したいところだ。
というわけで、いよいよゲーム要素のおおまかなところも出揃ってきて、方向性や独特さも見えてきた「ドラゴンズドグマ オンライン」。今回テストに参加できなかったという人も、次の機会や正式サービスで、この新しい世界の始まりをぜひ体験してみてもらいたい。
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