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【新春特別企画】ワールドカップイヤーに遊ぶサッカーゲームは!?

検証その4:オンライン対戦機能の充実度

検証その4:オンライン対戦機能の充実度

【FIFA 14】

GOOD!
・10ディビジョン制「FIFA シーズン」
・22人オンライン対戦「プロクラブ」
・マッチロビー機能

BAD!
・国内プレーヤーが少なく、海外とのマッチングが多い

【ウイニングイレブン 2014】

GOOD!
・レーティングを競う「ランクマッチ」
・最強のチーム作りを目指す「マスターリーグオンライン」
・様々なオンライン大会
・国内プレーヤー数が膨大

BAD!
・22人対戦機能は向上の余地あり

「ウイイレ 2014」オンライン対戦では複数の試合を通じてレーティングが決定。自分のレベルが明らかに
「FIFAシーズン」。勝ち点を奪い昇格を目指す
「FIFA 14」で更に強化された「プロクラブ」。最大22人で対戦できる機能で、フレンドとの固定チームで挑む

 サッカーゲームに慣れてきたら絶対に挑戦したいオンライン対戦。人間同士の戦いならではの多彩な展開や、読み合いの面白さがその魅力の中核だが、そこにさらなるドラマを込める試みは「FIFA」、「ウイイレ」の双方で試みられている。

 いわゆるオンライン・ランクマッチの要素では、「ウイイレ」は対戦成績に応じて自分のレーティングを高めていくというオーソドックスなシステムを採用している。よりレーティングの高い相手に勝つことができれば自分のレーティングも高まり、プレーヤー全体の中での相対的な強さを把握できるという寸法だ。

 1人遊びの王道であった「マスターリーグ」のオンライン版もある。ここでは対戦によって得られるポイントを使って新たな選手を獲得し、やがては最強のチーム編成を目指すというもの。監督モードを選ぶことで、対戦時にAIに操作を任せることもでき、アクションゲームが苦手なプレーヤーでも知力を尽くして戦えるのが素晴らしい。その他、「ウイイレ 2014」では常にいくつものオンライン大会が開催されており、自由にエントリーして覇を競うことができる。

 一方の「FIFA 14」では、マッチロビーを通じた野良対戦も可能だが、10ディビジョン制の「FIFAシーズン」が注目モード。1シーズン10試合の勝ち点によって昇格・残留・降格が決まり、より高ディビジョンを目指すという仕組みだが、やはり昇格や降格がかかった試合はいつもより手に力が入り、大きな流れとしてのドラマが生まれやすい。

 さらに究極のチームプレイモードといえる22人オンライン対戦機能「プロクラブ」は、マッチングシステムの改善によりさらにサクサク遊べるようになった。動作も軽く、ラグを感じさせないシステムにより1on1マッチ同様の操作性で仲間との緻密なチームワークを磨き、様々な戦い方を試していくことができる。

 「ウイイレ 2014」もこれの後を追う形で、今回ついに22人対戦モードが追加された。ただ、その完成度はまだまだで、フレームレートが30程度まで低下し、かなりの操作遅延もある中でのプレイとなるため、どうしても大雑把な展開が多くなってしまう。マッチングもロビーに集まってその場のチームで戦うというもののみであるため、長期的に連携を磨いていくような部分は楽しめず。将来の拡張に期待したいところだ。

「プロクラブ」の試合風景。「FIFA 14」ならではの緻密なボールコントロールに加えて、人間同士ならではの連携が最大の面白さだ

検証その5: 総合評価

【FIFA 14】

GOOD!
・洗練されたUI
・リアルサッカーとの連動性
・次世代機対応

BAD!
・中心はあくあまで海外。日本人選手もアルファベット表記のみ。
・演出面がやや無味乾燥ぎみ

【ウイニングイレブン 2014】

GOOD!
・国内サッカーシーンの再現度
・臨場感あふれる演出
・新エンジン採用による将来性

BAD!
・新エンジンゆえの全体的に漂う荒削り感
・次世代機対応予定なし

「FIFA 14」。演出面では、選手たちの表情が硬いのが難点といえば難点
「ウイイレ 2014」。感情のほとばしりが、豊かな表情で描写される。新エンジンさまさまである
「FIFA 14」のUIは実に完成されている。膨大な機能へ容易にアクセス

 現時点で言えば、総合的な完成度が高くまとまっているのは「FIFA 14」だ。充実しまくりのゲームモードや多彩な機能は、使いやすいUIのおかげでサクサクとアクセスできる。また、完成度の高いオンライン機能、特に22人対戦がスムーズで快適に実現しているのはもはや魔術的ですらある。世界で1,000人以上のスカウティングチームがリアルの試合を観戦し、選手パフォーマンスをゲーム内に反映するという仕組みも「FIFA」だけのもの。これがリアルサッカーをさらに深く楽しむ、大きな助けとなってくれる。

 しかし、選手名がすべてアルファベット表記であるところなど、いかにも舶来品的な雰囲気が抜けきれてないところは大きな難点だ。例えば日本人選手も“S.KAGAWA”、“K.HONDA”といった表記となる。これはカタカナ、漢字表記が標準の国内サッカー中継に慣れたサッカーファンにとっては違和感の大きいところだろう。この点は、エレクトロニック・アーツによるローカライズ体制が根本的なレベルで変革されない限り今後も続きそうである。

 「ウイイレ 2014」は新エンジンを採用することでゲームシステムを根本から見直すことになったため、まだまだ荒削りな点も目立つし、ゲームモード等のプラスアルファの部分にまだまだ進化の余地が見られる。ただ、今作で新たなスタートを切ったということで、次回作以降の進化を含め、やはり大きな期待を寄せずにはいられないことも事実だ。実際、発売以降は頻繁な大規模アップデートが行なわれており、どんどんゲーム内容が改善されてきている。それだけに、「ウイイレ 2014」が次世代機(PS4、Xbox One)への対応を見送ったことは残念である。

 かたや「FIFA 14」は、そもそも次世代機がメインターゲットだ。海外ではすでにPS4、Xbox One版がリリースされており、さらに強化されたAI、より多彩なアニメーション、それに裏付けられるインタラクティビティの高まりにより、ひときわ進化したサッカーゲームとなっている。海外ですでに次世代機版をやり込んでいる記者は、「あらゆる次世代機対応ゲームの中で、『FIFA 14』が一番進化している」とまで賞賛していた。

 とはいえ、日々の対戦プレイを楽しむなら「ウイイレ 2014」の国内人気の高さは魅力だ。海外プレーヤーとのマッチングが多くなる「FIFA 14」とは違って、おおむね国内プレーヤーとのマッチングとなるため、良好な接続状況でプレイでき、良い試合をした後にフレンドを作りやすい。各種のオンライン大会にも気軽に参加できるのも魅力だ。「FIFA 14」にもオンラインカップ戦の機能は存在するが、国内プレーヤーの少なさからピークタイムですらマッチングされにくく、やる気を削いでしまうのが難点だ。

 いずれにしても一長一短ある2つのサッカーゲーム。筆者のオススメは「両方遊べ!!!」だが、そこまで時間の無い方、はじめてサッカーゲームをプレイするた方にはこう伝えておきたい。欧州サッカーが好きならまず「FIFA」、日本サッカーが好きならまず「ウイイレ」。プレイに慣れてきたら他方もプレイしてみて、自分の手で本当に好きになる方を選んで欲しい。

(佐藤カフジ)