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「YAIBA: NINJA GAIDEN Z」稲船氏と早矢仕氏に突撃インタビュー!

稲船氏、早矢仕氏インタビュー ~皆が求めているアクションゲームに!~

稲船氏、早矢仕氏インタビュー ~皆が求めているアクションゲームに!~

comceptの稲船敬二氏(上画像・左)とコーエーテクモゲームスのTeam NINJA・早矢仕洋介氏(同・右)

――本作の開発は海外スタジオ「Spark Unlimited」とのことですが、早矢仕さん、稲船さん、Sparkの3者で、どのようにコミュニケーションをとられているのでしょうか? 工程上、難しいことなどはありますか?

稲船氏そうですね、簡単ではないんですけど……基本的にはこっちから行くのと、TV会議をするパターン。現場サイドにはTV会議を毎週のようにやってもらって、そのフィードバックをどんどんゲームに活かしていく。それプラス、3~4週間に1回くらい(Sparkに)毎月のように行ってもらっている。僕と早矢仕さんも、2~3カ月あけずに行く。特に最初の頃はびっちり(スケジュールを)詰めて……。

 最近はだいぶ流れができてきたので、現場からの意見や報告で済ませることもありますけど、最初にコンセプトをしっかりと伝えて「こういう形にしよう」というところまでは、かなり詰めてやりました。

――3者の主導権……引っ張っていく役割といいますか、イニシアティブを取っているのはどなたになるんでしょうか?

早矢仕氏ゲームのコンセプトは稲船さんから出ているもの。それを広げていくところを稲船さんにメインでやっていただいて、我々は「NINJA GAIDEN」として肉付けしていくような役割で一緒にやっています。

稲船氏主導権はあまり考えずにやっていて、もちろん早矢仕さんとTeam NINJAを無視してやることもないし、だからといってTeam NINJAの顔色をうかがいながらやっていくのも違うかなって。Sparkに対しても、任せ切りでも押し付けることはしていません。特に外国のディベロッパーは、押し付けると絶対に100パーセント実力は望めないんです。

――それは過去の経験から?

稲船氏そうですね。僕はカプコン時代にそういう経験を多々して、失敗も成功もしました。彼らにどう動いてもらうかを考えますが、押し付けることはしません。時間がかかったり、面倒くさかったり、腹が立ったりとか色々あるんですけど、彼らが納得するところまで話すように心がけています。もちろんTeam NINJA側が「違う!」ということを、自分が「それでいい」としてしまうようなこともありません。無理に気をつかうわけではなく、上手く進めてこれたかなと思います。

 最初に「どういうゲームにする」というところが一致していれば、そんなにずれないじゃないですか。早矢仕さんが思っているヤイバと、俺の思っているヤイバが違っていたら、両方が正しいことをしても違いが出る。最初のスタートをどう一緒にするかは、だいぶ話し合いました。

――最初のまとめに至るまでは、相当な時間をかけたんですか?

早矢仕氏できあがったゲームがあるわけじゃないので、色々な例えを出しながら「こういうゲームを目指そう」という“ゴール”を設定し方向性を決める。そこに関しては「みんな同じ方向を向いているな」っていうのは最初のうちに感じてて、そこに向かって走ってこれていると思います。

稲船氏あとは“ルール”ですよね。「こうしちゃダメ」とか。たとえば「NINJA GAIDEN」の本流にあわさなきゃダメ、「NINJA GAIDEN」のこのルールを絶対に使わなきゃダメとかっていうのを、どう決めておくか。使う、使わない、といった細かいところまで一致させていきました。一致させておかないと、絵が出てきたときに「これ『NINJA GAIDEN』ぽくないよね」っていう話が絶対に出てくる。けど(一致させていれば)「NINJA GAIDEN」ぽくない絵が出てきても「これこれ!」って言えるようなあわせ方はしていました。

 「NINJA GAIDEN」のどこを取るの? っていう部分もあわせておかないといけない。全然違うゲームに、ただ名前だけ「NINJA GAIDEN」とつけましょうよ、ということでもない。「NINJA GAIDEN」の捉え方のルール決めなど、基本的に、クリエイターの言語って一緒なんですよね。凄く細かく話さなくても「早矢仕さん、わかってるよね?」っていうことは、俺もわかってるし。俺も「わかってますよね?」って思われてるのはわかってる。(そういうのは)だいぶあるよね?

早矢仕氏そうですね、だいぶ……。

稲船氏全然違う業種の人とだと、絶対にあるじゃないですか。「ゲームだとこうなのに!」って。

――映画畑の人なら、こうだとか。

稲船氏そうそう。そういうのがある。そこは(ゲーム会社同士)ルールが一緒なので、会社が違っても(一致する)。そこは楽な部分がありました。あとは、仮に「コーエーテクモゲームスがRPGしかやったことがない」とかとなると、ちょっと言語が違ってくる。逆にTeam NINJAはアクションなんだけど「俺がRPGしかやったことがない」とかなると、また言語が違ってくる。お互い“アクション言語”が通じるので、そこは共通化できてる。どこが気持ちいいの? みたいなところですね。

早矢仕氏稲船さんが作られてきたアクションゲームを参考に、我々もアクションゲームを作ってきていたところもあります。その辺りに関しては(アクションの)共通言語みたいな形で話はできているなって思います。

――ゲームを通じて“知らない仲ではない”みたいなかんじですね。それ以前にお互いに面識はあったんでしょうか?

早矢仕氏特にはないです。

――作品を通じて互いを理解しているということですね。

早矢仕氏私の場合は、稲船さんは以前から存じ上げておりました。私がTeam NINJAを率いることになってから、すぐにお会いしました。2年前くらいですかね?

稲船氏俺も「忍者龍剣伝」はファミコンからやってるので、知らない仲じゃないかな(笑)。「忍者龍剣伝」を知らずに(一緒に)やりたいといったわけじゃない。

――稲船さんはこれまでにも海外スタジオと一緒に仕事をされた経験をお持ちですが、早矢仕さんは今回が初になるのでしょうか? もし初だとしたら、そこで感じたメリット、デメリットなどを教えてください。

早矢仕氏初めてです。今回は、現地の海外スタッフ1人ひとりが何をしているか、全部把握しているわけじゃない。「こういうところを目指そうよ」をベースにしていると、我々が想定していないものを入れてきたりするんですよ。だけど、それが凄く方針にあっていて、我々も驚くというか“いちユーザー”みたいな感覚で「あっ、面白いな!」と思えるものが入っていることが多々ある。それは我々としても凄く新鮮。内製でモノを作っていると素材の段階からすべて把握していて、それを少しずつみなさんにお出ししていくわけです。一緒に作りながらも、それを超えるアイデアを出してくれるというのが、外の方と組んだときの楽しさだなぁと思ってやっています。

――逆に「何があがってくるんだろう」という怖さはありませんか?

早矢仕氏そもそも国が違うディベロッパーと組んでいて、我々に出せないものが欲しい。我々が作れないものを出してくれるんですよね。それが一緒にやってよかったな、と思うところですね。

――戸惑ったことなどもなかったのですか?

早矢仕氏そういう意味では、単純には言うことをきかないときもある(一同笑)。

――先ほど稲船さんのお話にあった「納得しないと100パーセントの力を出してこない」ということでしょうか。

稲船氏信念があるんですかね。納得してないと、やらないよね。納得させればしっかりやるんだけど、納得させるのが凄く難しいときがある。そこを、どう納得させるか。

早矢仕氏「これがいいと思うんだ!」っていうのが、ゲームを触ると伝わってくる。そこにいいところが凄くいっぱい詰まっている。

稲船氏それで「ほら、やってみろ! 面白いだろ!?」って出てきたものが「面白いね!」というときもあるよ。でも「やっぱり面白くないじゃん! ダメじゃん!」っていうときもあるよね(笑)。

早矢仕氏そこはちゃんと(Spark側に)伝えながらやってます(笑)。

(豊臣和孝)