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【E3 2013】「YAIBA NINJA GAIDEN Z」プレビュー&インタビュー
稲船氏と早矢仕氏がこだわって生み出した新たな「NINJA GAIDEN」
(2013/6/12 17:24)
コーエーテクモゲームスはE3ブースにおいて2014年発売予定のプレイステーション 3/Xbox 360向けアクション「YAIBA NINJA GAIDEN Z」をプレイアブルで出展した。
「YAIBA NINJA GAIDEN Z」はコーエーテクモゲームスのTeam NINJAと稲船敬二氏のcomcept、そして北米の開発会社Spark Unlimitedによる共同開発によるアクションゲーム。「NINJAGAIDEN」シリーズの主人公リュウ・ハヤブサに倒された忍者「カミカゼ・ヤイバ」がサイボーグとなって復活。ゾンビに占領された街で戦いを繰り広げて行く。
今回会場では「YAIBA NINJA GAIDEN Z」のプレイアブルバージョンを触ることができたので、ゲームの感触を伝えていきたい。開発スタッフによるより激しい戦い方も見ることができた。さらにcomceptのCEO/コンセプターを務める稲船敬二氏と、Team Ninjaのコーエーテクモゲームスソフトウェア事業部市ヶ谷開発1部長の早矢仕洋介氏にインタビューを行なった。併せて紹介していきたい。
サイボーグ忍者がゾンビを切りまくる! ぶっ飛んだコンセプトの「NINJA GAIDEN」
今回のバージョンではカミカゼ・ヤイバとリュウ・ハヤブサの対決シーンから幕が上がる。竹林で激しくぶつかる2人の忍者。目にもとまらぬ速さで刀を繰り出し、激闘を繰り広げる。はじき飛ばされた忍者が砂煙を上げて敵にダッシュするシーンのエフェクトや、技の駆け引きなどで動きにとことんまでこだわり、日本の漫画風のエフェクトを研究していることが感じられる。
激しく刀をぶつけ、離れる両者。ハヤブサが膝をつく。笑みを浮かべたヤイバの刀が、ポキリと折れる。次の瞬間頭と手が離れ、激しい血柱を吹き上げる。そして舞台は変わり、顔半分と右腕を機械化したヤイバがアニメ風美少女の指示により、ゾンビに占拠されている街に降り立つ場面が描かれる。どうサイボーグになったのか、街の惨状はどうしてなのかは、まだあきらかにされない。
ここから大量のゾンビを相手にするのだが、戦いの感触は「NINJA GAIDEN」に近い。敵をバサバサ切っていく。刀は通常とすきが大きいが威力の高い振りがある。またつかみボタンがある。ゾンビは切られると血を吹き出してバラバラになる。技を繋げると相手の四肢を引っこ抜くなど過激な演出も盛り込まれる。囲まれないように移動し、技を繋げていくと大技が発動する。多数のゾンビをズバズバと切り裂いていくのは楽しい。
強力なゾンビはガードを使わなくては勝てないが、タイミングを合わせてガードするとカウンターが発動し、大ダメージを与えることができる。ボタンの組み合わせで多彩な戦い方ができ、うまく戦うと体力回復アイテムが出現し戦いは有利になる。
ユニークな演出も多い。ゾンビをロードローラーの運転席に放り込むと運転をはじめて壁を壊す場面があったり、巨大な赤ん坊型ゾンビがオモチャのように車を投げつけたりする。また「ロケットパンチ」という技は、手が体から分離せず体ごと突っ込んでいく。軽快なノリと過激な表現、気持ちの良い戦闘と、かなり爽快感を追求している作品だ。
開発スタッフのデモプレイでは、筆者の時以上に技が繋がり、より攻防が派手になって見応えがあった。また地形を移動していくシーンもふんだんで、道なき道を進むアクションも期待できそうだと感じた。
グラフィックスはカートゥーンレンダリングで描かれており、色使いはポップで、ゾンビをテーマにしていても陰惨な印象を受けない。様々なジョークが盛り込まれているが、カミカゼは大まじめであるのが楽しい部分だ。
現在の開発度は30%ほどで、技を繋がりやすくするなど初心者向けのチューニングを行っているとのことだ。多彩なステージと、演出はとても楽しみだし、技の増加とより硬派な方向のゲームバランスも期待できそうだ。
稲船氏、早矢仕氏インタビュー。「YAIBA NINJA GAIDEN Z」はいかにして生まれたか?
――まず、どうして「YAIBA NINJA GAIDEN Z」は生まれたのでしょうか。稲船さんはどういった理由で「NINJA GAIDEN」を手掛けたのでしょうか。
稲船氏: 「NINJA GAIDEN」で、ゾンビで、カートゥーンレンダリングで、というようなコンセプトは私が提示しました。「NINJA GAIDEN」シリーズを手掛けた板垣伴信さんと食事をしている時、「NINJA GAIDEN」は「鬼武者」のリスペクトであると聞いたんです。「鬼武者」とは違う面白さを目指し、海外に受ける要素を意識して盛り込んだところに感心しました。
忍者という要素と、ある意味の“残虐性”、単に残虐ではないカッコイイ見せ方に海外の人に“忍者にひたらせる”事になったのじゃないかと。忍者って海外の人の方が夢中な気がするんです。もっと日本人でも忍者カッコイイと言ってもらいたい。認めてもらいたいと思いました。だからこそしっかり忍者ゲームを作れば、必ず海外は受けると思いますし、日本の人にも忍者の魅力を見直して欲しいと思いました。
今の世代の人に忍者を見直して欲しい。僕の世代だと「仮面の忍者 赤影」だけど、30代前半くらいの人は忍者の良さを知らないんじゃないかと。彼等にゲームという形で忍者のかっこよさを認識してもらいたかった。もちろん「NINJA GAIDEN」そのものも見なおしたかった。海外では評価されていますが、もっと日本人も指示して欲しいと思いました。
――今回ではいきなり決闘で倒され、説明もなくサイボーク化されゾンビの街に行くという感じで舞台の説明がありませんでした。どうしてこう言った流れにしたのでしょうか。
早矢仕氏: この展開は稲船さんが提示したストーリーをゲームで表現したものです。
稲船氏: 細かい提示はしなかったのですが、実際開発会社のSpark Unlimitedから上がってきたのは、和のテイストに溢れるものでした。「こんだけ日本をわかっているんだ」というスタッフが作っている、ということを知ってもらいたいですね。
早矢仕氏: うちから出したのはリュウ・ハヤブサのモデリングくらいです。それいがいは彼等が本当に好きで出してくれましたね。
――アクションの感触1つでも、comcept、そして北米の開発会社comcept、park UnlimitedTeam Ninja、Spark Unlimited目指すバランスは大きく異なり、それぞれがまったく異なる想いを持っているのではないでしょうか?
稲船氏: テレビ会議で何度も話し合っています。何よりも「NINJA GAIDEN」でなくてはならない。ここは早矢仕さん達が言ってくれます。こちらの言い部分は伝えて、彼等のいい部分は残していくと言うことをしっかりやってるんで、気持ちの良いものができています。特に「YAIBA」は先ほど知り合いから、やられても気持ちいいといわれたのは嬉しかったですね。
――アクションとしては「地形を移動する」という要素が盛りこまれていました。この要素は今後さらにパワーアップさせていって欲しいと思いました。
早矢仕氏: あれはSpark Unlimitedが忍者ならばこういう動きをさせたいといって入れてきているものです。色々なアイデアを言ってきている。これは僕らだけでは発想できない要素でした。
稲船氏: ここに忍者らしさ、「YAIBA」らしさを盛り込めれば良いなと思っていますが、今はまだ途中段階、満足がいってない部分ですね。
――ゾンビをロードローラーの運転席に入れると操縦して壁を壊したり、かなり独特のユーモアセンスがありますが、これはSpark Unlimitedのものなのでしょうか。
稲船氏: そうですね、バカバカしく見えるような部分も多く盛り込まれています。しかし主人公のヤイバ自体は、大まじめなんです。彼は真面目にリュウを追いかけている。
――巨大ゾンビが車を投げてくる時、ヤイバは避けるのではなく、拳で粉砕します。こういった“ヤイバらしさ”はどうやって決めているのでしょうか?
稲船氏: ヤイバのキャラクター性は本当にみんなで取り決めました。「ヤイバはそんなことはしない、言わない」と色んなところから突っ込みが来て直すことがあります。これはお互いが言っていますね。
早矢仕氏: 内容は言えないんですが、今回のバージョンでもぎりぎりで変えた部分があります。
稲船氏: 車が飛んできた時、ハヤブサは避けるけど、ヤイバは避けない。おでこで受けるくらいのキャラクターですね。
――オペレーターの女の子がアニメ風美少女なのも面白いですね。
早矢仕氏: 最初はもっと違う感じだったのですが、プレーヤーにこの子を好きになって欲しくて変えました。もっと魅力的に変えていきたいですね。
稲船氏: Team Ninjaは女の子にこだわりますから。ゲーム内のキャラクターとしても登場していきます。
――現在は街で戦っていますが、今回は街中のみなんでしょうか。
早矢仕氏: ストーリーの展開次第ですが色々なところに行きます。どんどん新しい場所はでてきます。
――ここからさらにふくらましていくところはどこでしょうか。
稲船氏: 基本のスラッシュ部分はできてきたので、バラバラになったゾンビを武器として使うといった要素ですね。またサイボーグアームのパワーアップや、サイボーグアイの使い方ですね。そう言ったメカの部分は強めていきたいですね。
――ロケットパンチは体ごと飛んでいってしまうのが面白かったです。後チャージしすぎると自爆してしまうこととか。
稲船氏: それらはSpark Unlimitedのアイデアです。「デッドライジング 2」でも欧米の開発者と仕事をしたのですが、「ゾンビを倒す武器を考えて」といったらもう良いよと言ってもまだ出てくる。彼等のやりたいことはやらせよう、ということは学びましたね。押しつけず、向こうの面白いものを評価するとどんどん出してくれる。やる気をどう尊重するかが大事だと思います。ヤイバは「アメリカン忍者」ですから。忍者らしさはリュウが担当します。
――リュウはこの後も登場するのでしょうか。
早矢仕氏: ヤイバにとって復讐の相手ですからね。ゾンビは準備運動で、目指すはリュウハヤブサなんです。
稲船氏: これでリュウが出てこないというのはないですね。ただ、ヤイバにとってリュウは復讐の意識はないと思います。ヤイバは1番になりたい。そのためにリュウが邪魔だったんじゃないかと。
――一方で、自分たちが作るのではなく、開発をまかせるというところでの難しさはあるでしょうか。
早矢仕氏: こちらが言うだけでなく、自分たちで判断できなければ良いゲームにはならないので、良い意味での距離感は心がけています。こういった経験が開発に繋がる部分もあって、「このままスラッシュゲームを作り続けて良いんだろうか」という考えがあって、答えの1つになるかもと考え、うちのスタッフは「YAIBA」に関わっています。
稲船氏: 俺は何度か海外の開発者と関わってゲームを作っていますが、「こうしろ」という指示は出したことがない。理解をさせないといいものは上がってこない。日本人には「理解できなくてもこうやって」といえるんですが、海外の人には使えない。時間は最初かかるんですが、理解してもらうためにやっています。
作り方も全然違う。日本人は順を追って作るのですが、海外の人はバラバラに作って一気に組み上げる。ヨーロッパの開発者はさらにその傾向が強いですね。今回もぎりぎりまで出てこなくて、ひやひやしました。
早矢仕氏: タイトルもいきなり直前で変わりましたね。
――Spark Unlimitedとの開発の中で、彼等への評価を確定させたものは何でしょうか。
稲船氏: 最初のコンセプトアートです。「これを動かせば良いのか」とみんなが納得しました。コンセプトアートで方向性が決まりました。
――最後にユーザーへのメッセージをお願いします。
早矢仕氏: 「YAIBA」はこれまで「忍者×ゾンビ」というコンセプトをお伝えしましたが、今回どんなゲームなのかと言うことをお伝えできたと思います。手触りに関しても、Team Ninjaとしてしっかり皆さんが満足していくものにしていきますので、楽しみにして下さい。
稲船氏: 日本のユーザーは「YAIBA」を洋ゲーチックだ、海外のゲームっぽいという人がいるのですが、触ってもらい、全体を見て判断して欲しい。充分日本のアクションゲームになっているし、「見たことがない、触ったことがない」ということを感じてもらえると思います。新しい見せ方ができているので、ぜひ偏見無くやって欲しいと思います。
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