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【GDC 2013】モバイルゲームの売上を伸ばすために重要な「Live Ops」とは!?
グリー子会社のFunzioが開発したミッドコア向けゲーム「Modern War」の事例
(2013/3/27 11:14)
現地時間の3月25日、アメリカのサンフランシスコでゲーム開発者向けカンファレンスGame Developer Conference(GDC)が開幕した。最初の2日間はいくつかのテーマについて集中的にセッションを行なう「チュートリアル」や「サミット」が行なわれている。今回はその中のFree to Play(F2P)サミットの中から「Modern War: A Mid-Core Journey into Live Ops」というセッションのレポートをお送りする。
このセッションではグリーの海外法人GREE InternationalのMike Lu氏が登壇し、グリー子会社のFunzioというデベロッパーがが開発した「Modern War」というミッドコア向けのモバイルゲームを通じ、売上を伸ばすために重要な「Live Ops」についてについて解説が行なわれた。
ハードコアゲームでも、カジュアルゲームでもない。ミッドコアゲームとは?
ミッドコアゲームとはハードコアゲームとカジュアルゲームの中間を指す言葉だ。Lu氏によるとARPU(客単価)とRetention(継続率)という軸でゲームカテゴリを分け、ARPUが高く、Retentionが低いタイトルはハードコアゲーム、ARPUは低いが、Retentionは高いタイトルをカジュアルゲームと位置づける。
具体例を挙げるとハードコアに分類されるタイトルは「Rage of Bahamut(神撃のバハムート)」、カジュアルは「Candy Crush Saga」などがある。この中間にあるのをミッドコアタイトルと分類する。
マーケットサイズとCVR(入会率)という軸で見ると、ハードコアゲームはCVRが低くマーケットも狭い。カジュアルゲームはCVRが高くマーケットは広くなっている。ミッドコアゲームはここでも中間に位置しているものを指す。
そしてこのミッドコアゲームとしてFunzioが開発したのが戦争をテーマにしたモバイルソーシャルゲーム「Modern War」だ。兵士を雇って自分だけの軍隊を作成し、他のプレーヤーと連合をを組んで世界征服を目指す。
こうしてリリースされた「Modern War」は、iTunes BEST of 2012の売り上げランキング上位に入り、現在でもApp Storeの売上ランキング上位を維持する大成功となった。
Mike Lu氏はModern Warがこのように成功をおさめた理由は「Live Opsにある」と話した。
モバイルソーシャルゲームの売上を伸ばすカギは「Live Ops」。その内容は?
Mike Lu氏は「Live Ops」は“イベント”だと定義し、継続的にゲーム内でイベントを行なっていくことがモバイルソーシャルゲームの売り上げに繋がっていくと話した。
そして売り切りのコンソールゲームとモバイルソーシャルゲームの具体的な違いを説明するために、あるAAAタイトルを例に説明した。
AAAタイトルは莫大なマーケティング予算を組み、大々的な広告を行ない、発売日には芸能人を呼んだ発売記念パーティを行なうなどのプロモーションを行なった。結果は初月に1年の売上のうち70%近くを売り上げたが、次月から売上は収縮したという。
それでは「Modern War」はどうだったか。大規模なマーケティング予算を組んでおらず、特にローンチイベントも行なっていないという。その代わりにローンチ時からスタートした作業がある。それが「Live Ops」、イベントだ。これを行なうことで、売上を維持し続けることができたのだという。
データを分析すると、イベントを行なうことによってARPUが倍近くに伸びている事がわかったという。しかしイベントを行なう際に気をつけるべきポイントがあるという。それは「イベントの期間を制限すること」、「イベントに通常のゲームプレイを内包すること」、「段階的な褒章を用意すること」の3つだ。
「Live Ops」には他にもユーザーデータの分析や、ユーザーコミュニティの育成、コミュニティからの反響に対応することなども含まれるという。これら「Live Ops」はモバイルソーシャルゲームの売上を伸ばすために重要で力を注ぐべきだが、チームに高い負荷がかかるのでその点に気をつける必要があると話した。