Electronic Artsタイトルレポートその1
ジャングルと化したニューヨークでの戦いを描く「Crysis 3」、雪原でのサバイバル「Dead Space 3」、成長する街を見るだけでも楽しい「SimCity」
毎年E3で溢れるほどにタイトルを出展していたEAは今年は出展タイトルをかなり絞ってきた。プレイアブルでの出展は、「BATTLEFILED3」、「MADDEN NFL 13」、「NHL 13」、 「NCAA FOOTBALL 13」の4タイトル、それ以外は入場者を限定するシアターでのデモプレイでタイトルを紹介していた。
それでも出展タイトルはタイトルも興味深いものばかりである。本稿ではこれらシアターで紹介されていた3タイトルを紹介したい。北米で2013年2月発売のプレイステーション 3/Xbox 360/Windows用FPS「Crysis 3」と、北米で2013年2月発売のプレイステーション 3/Xbox 360/Windows用ホラーアクション「Dead Space 3」と、Windows用都市育成シミュレーション「SimCity」を紹介したい。
今年のEAはタイトルを絞った出展を行なっていたが、ユーザーの注目は高かった。多くのタイトルを、右のようなシアターで紹介していた |
■ 多彩な弾頭の弓、強力なスーツで密林と化したNYで戦う「Crysis 3」
密林と化したニューヨークで、プロフィットの復讐が始まる |
“密林と化したニューヨークで戦うパワードスーツ姿の男”というイメージイラストが強力なインパクトをもたらす「Crysis 3」は、前作「Crysis 2」から20年後の未来での主人公プロフィットの戦いを描く。
「Crysis 2」は遙か昔に地球各地に打ち込まれた宇宙人の“種子”が目ざめ、ニューヨークにもその種子が活動を開始するという展開だった、その中でニューヨークは巨大津波に覆われ、水没してしまう。宇宙人の種子そのものは機能を止めたはずなのだが、ニューヨークは変わり果ててしまった。そして今作の主人公プロフィットは、前作の主人公アルカトラズにスーツを託し、自殺したはずなのである。
今作でプロフィットと名乗る人物は、20年何をしていたのだろうか。「セフ」と呼ばれる宇宙人の活動は? 宇宙人の技術を利用し、プロフィット達のスーツを作り出しただけでなく、現在は一大勢力を作り出している「C.E.L.L.」は何をしており、プロフィットの“復讐”はC.E.L.L.にどんな影響を与えていくのか……。ストーリーが気になる作品である。
EAブースではシアターでデモプレイを行なっていた。シアターの椅子にはツタが絡まっており、照明は水の反射のようなフィルターが掛けられていた。開発者によると、「これらはゲーム内のニューヨークをイメージしています」ということだ。
今作の新要素はプロフィットが使う「弓」だ。スーツにより強化された力で引き絞る弓は敵を一撃で倒す威力を発揮する。さらに矢尻を変えることで様々な効果を付与できる。爆弾をつけグレネードランチャーのように使えるし、煙幕弾を打ち込んだり、電撃を発する矢も使える。弓以外の武器も様々なカスタマイズができ、デモではショットガンをマシンガンのように連射できるようにしていた。攻撃力が凄まじい反面、弾切れしやすい武器になっていた。自分がどう戦っていくか、そのテーマに合わせて武器をカスタマイズできそうだ。
プロフィットの着るスーツは着用者に様々な能力を付与する。デモプレイを行なった開発者は、C.E.L.L.の兵士相手に、ジャンプも駆使しながら高速で動き回って攪乱し、弓や銃、そして素手で敵を次々と倒していった。前作にもあった敵をロックオンする機能は強力なパワーアップを遂げており、敵をあらかじめロックしておけば彼等がどこに逃げようが障害物を透かしてプロフィットに教え続ける。また敵に接近してつかみ上げ、敵を遙か彼方に投げ飛ばすと言った戦い方も披露した。
スーツは防弾機能の強化やステルス、ダッシュなどの能力を持つが「バッテリー」という使用期限がある。バッテリーが切れると再充電が行なわれるまでの一定時間無防備になってしまう。プロフィットのポテンシャルをどこまで引き出せるようになるかが「Crysis 3」の大きな楽しみだと感じた。
デモプレイでは、C.E.L.L.の守るダムを襲撃し、そして破壊することに成功する。ダムはプロフィットが仕掛けた爆弾で穴が開き、激しく水を噴き上げ、そこから一気にダム全体が決壊し、プロフィットのところまで水が押し寄せる。この大破壊の後に、どのような展開が待っているのだろうか。
スーツに身を包むプロフェット。強力さを感じさせるシルエットだ |
■ 雪に覆われた惑星で、力を合わせて生き残れ! 「DEAD SPACE 3」
Co-opでは、シングルプレイのシナリオを2人でプレイできる |
EAブースで、最も人気が高かったのが、「DEAD SPACE 3」だ。ブースではシアター形式で公開を行なっていたが、E3最終日まで希望者の行列が途切れなかった。シアターでは「EA」で公開されたマルチプレイに加え、多くのゲーム要素が明らかになった。
「DEAD SPACE 3」の主人公はこれまでと同様アイザックで、前作「DEAD SPACE 2」のエンディングからストーリーは繋がっている。前作である女性と逃げることに成功したアイザックだが、何らかの理由で宇宙船は大破、その爆発の中アイザックは女性と離ればなれになってしまう。
デモプレイはここからスタートする。意識を取り戻したアイザックは、全身が霜に覆われ、凍死寸前になっている。何とか船の外に逃れられたアイザックの前には、吹雪に煙る雪原が広がる。このままここにいるだけでは凍死は確実で、アイザックは生き残るため、そして離ればなれになった女性を探すため、雪原に足を踏み出す。雪煙の向こうから、エイリアンによって変異させられた死体“ネクロモーフ”が襲いかかってきた。この場所もまた、エイリアンの襲撃を受けている場所だったのだ。
「DEAD SPACE」シリーズにおけるエイリアンは人間を殺害後、死体を変異させて怪物にしてしまう。1部に人間の形をとどめているからこそ、一層醜悪な本作のエイリアンは、独特の恐ろしさをもたらしている。今作ではさらに人間の首に触手を生やしたようなタイプが登場する。人間の死体の頭部を食らい、そのまま自分が首の位置に納まる。体を倒しても首だけ分離して攻撃してくるやっかいな敵だ。
また、Co-opプレイの情報もさらに明らかになった。「DEAD SPACE 3」では、シングルプレイのシナリオをいつでも2人でプレイできる。オンラインを通じて、友人をゲームに招待することで、Co-opが可能になる。協力することで2人の会話シーンが入るなど、ストーリーも微妙に変化する。孤独だったアイザックに“相棒”が登場するのである。デモではさらに寒冷地用のスーツの存在も明らかになった。
ここから先は、巨大な掘削機のボスとのの戦い、さらに巨大エイリアンに飲み込まれるシーンまで、「EA at E3 2012 E3 Press Conference」と同じものだったが、2度見ることで気がついた点もあった。削岩機のボスはいくつかの刃を持っており、それを花びらが閉じるようにまとめて開店させることで地面をえぐるのだが、ここに敵の動きをゆっくりにする「ステイシス」という能力を使うと、刃の回転がゆっくりとなり、隙間から削岩機のコアが狙える。Co-opプレイでは1人がステイシス、もう1人が攻撃というコンビネーションを見せて撃退していた。
単純に火力が倍になればゲームは簡単になりそうだが、「DEAD SPACE 3」では難易度も参加人数に合わせて変わる。開発者はデモプレイ時に「シングルプレイをクリアしてから、Co-opによる“変化”を楽しんで欲しい」と語った。「DEAD SPACE」シリーズはアイザックの“孤独で絶望的な戦い”がテーマの1つとなっているが、どう変わるのか、期待が高まる。
人型の敵がでるのも本作の特徴。また、“人間”との戦いもある |
■ 「生きた街」を実感できる、想像を超える緻密さで街を表現する「SimCity」
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プリレンダかと思ってしまう緻密なグラフィックス
日本にもファンが多い「SimCity」は、基本要素を紹介するデモプレイが行なわれていたが、並んでいる人には女性が多かったのが印象的だった。「SimCity」はFPSやレース、スポーツと言った他のEAタイトルとはひと味違う、しかしEAを代表するタイトルだ。今回、ナンバリングを外した“新生”「SimCity」を見ることができた。
「SimCity」はGlassBoxと呼ばれる新しいシミュレーションエンジンによって生み出されている。筆者は実機によるデモを始めて見たのだが、最初、街を俯瞰している時、今の映像はてっきりプリレンダによるムービーなのかと勘違いしてしまった。おもちゃのような車が動き、建物の周りには人がいる。建物は細部まで作り込まれてるのが一層“ミニチュア感”を強調する。注目する度に新しい発見がある、眺めているだけで楽しい「生きた街」がそこにあると感じた。
デモプレイでは「SimCity」ならではの要素が紹介された。今作では、フリーハンドで道を引くことができる。これまでのグリッド表示に捕らわれない、自由な街作りが可能になったのだ。そして範囲を指定することで、道の周りにきちんと誘致ができる。道の形に沿って住宅地や商業地区を作れる。また工場などの建物は、パーツごとに機能を足すこともできる。
街は、昼夜で表情を変えるのも楽しい。交通量の増減や、人の行き来、そして街灯や街の明かり1つ1つが細かく、時間による変化が実感できる。さらに“治安”が悪化すると、建物に落書きがされるといった要素も紹介された。街の表情は地域によって大きく異なってくる。そういった街が繋がっていくのも本作の楽しみだという。
「SimCity」では他の地域から人が流入してくる。他の街に繋がる道路を作ることで一気に人口が増える場合も。「空港」はハブとしての機能が重視されており、アップグレードすることで街の重要度も増していく。今作では空港の規模の大きさが、街の発展のバロメーターとなるという。
最後に紹介されたのが“赤い暴走車”である。整然と動く街を暴走してかき乱しており、イベントなのかな、と思ってみていると、銀行の前で止まり、なんと銀行強盗を始めたのだ。近くの警察署からパトカーが現われ銀行の前で激しい銃撃戦が展開した。そして、警察が強盗を捕まえて事件は解決した。「SimCity」ではこう言った凝ったイベントも起きるという。まだまだ驚かせてくれる要素を持っているに違いない作品だ。
刻々と表情を変える街。プレイするにはかなりPCのパワーが必要そうだが、見ているだけで楽しくなる | ||
(2012年 6月 9日)